青年の旗 1977年9月15日 改題7号 

【主張】 総評の「新路線」と労働運動の課題

<求められていたのは何か>
 「組合員の間に大きな不満が蓄積されつつある春闘の真の勝利と闘う戦線統一を促進する睦・海・空の大産別共闘を実現するため国労はどんな役割を果さなければならないか。二七〇〇万人近い未組織労働者の組織化と彼らの生活・権利を守るために労働組合は具体的になにをなさなければならないか。」(国労七七年度運動方針より)
 ここに端的に示されているように、わが国労働運動は未だかってない危機に直面している。労働者階級は、個人消費を犠牲にし財政と輸出によって経済恐慌から脱出しようとする政府独占の反動攻勢のもとで、雇用不安の拡大、実質賃金の低下にさらされている。一方三月決算に見られる通り独占資本はこの恐慌過程において生産の集中を押し進め、中小企業と雇用の切り捨てによって未曽有の蓄積を果している。この中で、活路を切り開くこと、これが今日勤労大衆が労働運動に求めている切実かつ緊急な課題である。春闘三連敗・保革逆転失敗の情勢をふまえて、具体的で現実的な方針と闘いこそが今こそ求められている。
 だが総評定期大会をはじめ相次いで開催された主要各単産の定期大会において、これらの緊急かつ切実な課題は、通り一ペんの反省と単なる要求の羅列ですまされ、内容の伴わないスローガン倒れにとどまっている。それどころか賃金を事実上CPI上昇率の範囲に抑制する「実質賃金の維持」という方針転換に代表されるように、明らかな後退すら示している。

<悪しき政治主義の深化>
 こうした労働運動の基本課題をめぐる闘いにおける日和見主義の台頭と併せて提起されているのが、総評定期大会の「連合の時代に対応する戦線を」に代表される国民春闘路線の発展一反自民の政権構想である。それは、方針において故意に反独占の大衆闘争が削除されていることでも分るように、今日苦悩し停滞する労働運動の現状に目をそむけ議会における政党レベルの「連合」によって活路を見い出そうとする主張である。七七春闘に対して、社共両党が、あたかも選挙闘争によって国民春闘の発展と労働者の生活改善が全て可能であるかに主張した、悪しき政治主義(議会主義)と労働組合運動の原点を放棄する敗北主義・日和見主義がこうしてついに総評の運動方針にまで高められている。日共宮本指導部がこれに全く異を唱えていないのは、彼らの路線が導入されたからである。
 
<粘り強く運動の基本方向を>
 いうまでもなく、今労働運動に求められているのは危機に直面している労働者の生活を即刻改善し、首切りの不安をなくし、雇用を確保するための闘いである。しかもこの雇用確保の闘いこそが、賃金をはじめとする労働条件向上の闘いの前提条件であり、土台である。総評はそのために一兆円の公共事業の追加などを気長に実現しようとしているが、大会で全金代表が述べたように「今闘っている一六〇組合をどうしてくれるか」には少しも答えようとしていない。
 企業別組合を脱皮する産別統一交渉・統一協約・統一闘争の粘り強い目的意識的追求は急務である。国民春闘要求としての制度改革の闘いも、大衆闘争抜きの政労交渉では具体的前進がありえないことは、ここ数年の経験が教えている。
 賃金闘争にしても、物価上昇分は当然のこととして労働分配率の向上に迫る闘い、独占利潤に喰い込む闘いこそ求められている。低成長下では、賃上げ闘争は十分闘いえないという逃げ口上に対しては、次の事実こそ、その反論である。

<今こそヨーロッパ並みの闘いを>
 各国における実質賃金の動向をみると、米と日本のそれが成長率とほぽ併行に動いているのに対して、六八年の仏、七〇年の西独・伊、七一年の仏、七二年の英と成長率を突き破る大巾な実質賃金の上昇となっており、さらに今回の不況過程・マイナス経済成長下においてもヨーロッパ各国においては、実質賃金の維持向上が確保されている。このことは当然広い意味での労働分配率が増大したことを意味する。例外は七四年の米、七五年以降の日本で実質賃金がマイナス、成長率を下回っている。(日銀、外国経済統計年報より) もちろんこの背景にはフランスの六八年五月、イタリアの暑い秋等に代表されるの闘いの蓄積がある。そして今日、発展するヨーロッパ労働運動はゼネストを背景に全国的に労資の団体交渉の場に政府も当局者として参加せざるを得なくなり、「団交の社会立法化」(ILO)といわれるまで発展している。我々は今こそ労働運動の原点から正しい労働運動確立に向け闘うべきだ。

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