青年の旗 1979年11月1日 第33号

【主張】 総選挙の結果と労働者階級の課題

 大平の賭けは、完全に裏目に出た。自民党は「単独過半数」はおろか、前回五十一年総選挙時の二四九議席にも及ばず、二四八議席に終わった。”かけ込み入党”組を含めても二五三議席で過半数に達せず、”伯仲時代”は依然として続くことになる。
 自民党の大敗は、何と言っても大平内閣の増税と値上げの大衆収奪路線が国民の拒否にあったことによるものだ。近年稀な政策選挙の結果、欧米と比べ国税の収支に関心が薄いと言われて来た日本国民が、不況のツケの転嫁をきっぱり拒否した事実は重要である。今や、露骨な増税や賃下げによる資本主義経済の危機回避が、そう簡単には実行できない力関係の時代だと言えよう。
 自民党支配の危機は現代日本の基本的流れである。地方選以来、高まったかに見えた”保守回帰”ムードは、公共事業投資による景気刺激を国民が期待したことを反映したにすぎず、それを革新離れ・保守回帰と錯覚した自民党・財界は手痛いシッペ返しを被ったのである。
 一方野党は、社会党を除いて、全体として自民・新自由クラブの票を切り崩し躍進・漸増した。これは、基本的には一般消費税反対・自民党長期政権打倒の世論に支えられたものである。もち論、民社党の場合は、企業ぐるみ選挙の結果が多分にあり、そのまま本来の力と見なす訳にはゆかないし、”民社推進″の結果を「反共中道路線の選択」と悪意的に分析するならば、必ずや自民党と同じように国民のシソペ返しを受けるだろう。
 この中にあって、ひとり社会党は優利な情勢を生かしえず、解散時の議席を十減らしてしまった。従って、その凋落傾向は依然続いているものと厳しく受けとめざるを得まい。特徴的なことは、郁市部に於いて、全体得票率の十九・七%に及ばぬ箇所が多く、その支持票を主に共産党に奪われていることである。
 原因は明日である。革新の横手としての任務を果しえず、議会主義と労組縦割り選挙に安住した結果、市民層はもち論産業労働者の支持まで失いかけていることにある。社会党・総評内で、「政党支持見直し」論が議論されているが、一面日常活動と”足”の確立という点では適確な問題提起ではあるが、他面、支持基盤を産業労働者から市民に移そうというのであれば、時代錯誤的な提起であり自ら自分の首を締めかねない。社会党に必要なのは、失いかけている産業労働者と労働組合への指導性を回復し、具体的な「一般消費税導入阻止」等で国民統一行動を組織しうる力であろう。
 共産党は、今回の躍進で意気軒昂のようだ。しかし、”天狗”になって、得票率が横ばいであること、産業労働者への侵透が依然弱いことを看過し、従来のセクト主義を増して強めるならば、一日にしてその支持を又失なうであろう。
 「この機を逃がして、一般消費税導入の時機なし」として、解散・総選挙を断行した政府・自民党は、国民の拒否宣言に直面し、再び景気刺激と赤字予算の葛藤の淵に落されてしまった。しかし、この問題ほど、階級性が鮮明に表われるものはない。今日の国際経済の中で、鈍化はできても一定の成長は持続せねばならず、かと言ってこれ以上赤字国憤を乱発する訳にもゆかない。従ってその解決は税の増収と国民生活関連支出の抑制か、企業課税による増収と国民の需要拡大・南北・東西経済交流による市場拡大かの二者択一によらざるを得ない。
 当面、政府・自民党は一般消費税の五十五年導入を見送りつつ、企業課税と抱き合わせの祈らたな大衆課税を打ち出し野党分断を画策するだろう。
 しかし、選挙敗北の責任問題を中心に主流・反主流の抗争が激化している今、野党が攻勢に山るチャンスは致来していると見てよい。社公か社公民か社共かの選択ではなく、具体的な課題でいかに共闘体制を作り上げて行くか----これこそ野党に課せられた責任であろう。
 院内では二委員会を除いてすべて伯仲しており、自民が議長をとれば逆転委員会になる。今後通常国会では、予算編成をめぐる闘いが最重要な政治闘争となり、その優利な条件を十二分に生かさねばならない。労働者階級と革新勢力は、雇用促進・失業対策、教育・福祉の充実拡大、軍事予算の削減、公共料金値上げ阻止、企業優遇税制撤廃等で大衆闘争を組織し院内外の統一した闘いで、自民党の政治危機を深めさせねばならない。

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