青年の旗 1980年1月1日 第35号

【主張】 大平訪中と日本の進路

<大平訪中の政治目的>
 昨年十二月五・六日、大平首相は訪中し、華国鋒首相はじめ中国首脳と会談し中国の近代化に経済協力をすることを約束して来た。
 大平首相ら日本政府首脳は、この訪中は「まったく純経済的な協力についてであり、政治的目的はいっさいない」と弁解し、ソ連等国際世論の「日中軍事同盟化の危険な表われ」という批判をかわそうとしてきた。
 しかし、その経済協力がいかなる内容のもので、又その協力によって何をもたらすかを考えてみる時、その政治的意図は誰の目にもはっきりと映し出されるのである。
 日本が中国へ贈ったプレゼントの第一は、「五強渓水力発電所建設」他炭田開発、鉄道建設など六つのプロジェクトヘの協力とその費用として五〇〇億円(七九年度分のみ)の円借款を供与するというものである。
 中国は今”四つの近代化”をスローガンに掲げているが、そのうち軍事の近代化に力を入れ、覇権主義的野望を企てている。英からは水陸両用ハリアーズの提供を受け、仏・西独からも軍事技術を導入する計画を立てている。
 この武器調達にばく大な資金を必要とし、産業の近代化は大巾に遅れてしまう。この間の矛盾を埋め合わせようと救いの手を指しのべたのが日本なのである。
 とりわけ、重化学工業の基礎的分野と電力不足が近代化のネックとなっている折、この部門での日本の最新工業技術と経済援助は、中国首脳をして心残りなく軍事の近代化に乗り出させ得るのである。
 第二のプレゼントは、金利三%、返還期眼三〇年という特恵関税制度を適用するということである。この特恵関税は、開発途上諸国に適用するものだが、これまでバングラディシュ等国際的にも認められた開発途上諸国への適用を拒否してきたにもかかわらず「大国」の中国に適用しようと言うのだから、中国へのなみなみならぬ″熱意″が伺えるのである。
 これに比べ、ソ連に対する経済協力はどうかと言うと、比較にならぬほど冷たく乏しい″差別待遇″なのである。
 例えば、ヤクートの石油探鉱には四億五千万ドルを貸しているが、その金利は七%と高いし、又サハリンでは石油が出ているのにパイプ建設への追加援助の二億ドルを日本が出し渋っているお陰で、運べないのである。
 鉄道建設についてもバーム鉄道への協力を七四年に拒否したが、その理由は中国が「中ソ戦争時に不利益だ」といって反対したからということである。なのに今度は中国の鉄道建設には丸のみで協力するとは、いかに日本の姿勢が「反ソ親中」であるかが分ろうというものである。

<反ソ覇権主義で、日中は″友″>
 中国は反ソを煽りながら、東南アジアに乗り出そうという”大中国主義”の構想をたてている。そのためには帝国主義と手を組むことさえ辞さないのである。
 日本も又、北方領土返還要求をソ連につきつけ、ありもしない”ソ連の脅威”を煽り、軍事力強化と海外出兵の地ならしを行い、これもまた東南アジア・極東へ進出し日本圏を作ろうとするものだ。
 ここに両者の利益が合致し、ソ連を主敵に見なし、お互いを″友″と呼びかわしているのである。
 しかし、このやり方で日本の将来が安全かと言うと、全くそうではない。資源エネルギー問題では、ヤクートやサハリン開発に協力すれば石油や天然ガスの安定供給を確保できるし、イラン問題でも米に依存してもメジャーは日本を競争者とみなし供給もカットして来たし、保護貿易主義も強硬なのである。
 従って、日本経済の危機を冷静に直視する者のみが、現実的で有効な政策を選択しうるのである。その道は、日ソ関係を修復し友好関係を強め、経済協力について政府間協定をとり結ぶことである。そのためには北方領土はじめ反ソ政策を取り下げねばならない。
又、イランを始め開発途上諸国の主権を尊重し、互恵平等の経済協力体制を確立することによって、輸出立国である日本の資源を確保してゆくべきなのである。
 反ソ・米日「韓」中の軍事同盟形成を狙う大平訪中と現政府の外交政策は、日本経済をいよいよ破局的なものに追いやるものであり、また、日本をしてアジアの「平和の敵・軍事大国」へと落とし入れるものに他ならない。
 日本労働者階級は、とりわけ青年労働者は、今こそ日本の進路をめぐって、現実的で、かつ平和的なる道を選択を迫る闘いを強めなければならないのである。
 八〇年代を平和と平和共存、反独占の大衆闘争高揚の年としよう。

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