青年の旗 1981年9月1日 第55号

【主張】 労戦統一の健全な推進のために

<1> 六月三日、労働戦線統一推進会は「労働戦線統一の基本構想」をまとめ、いわゆる民間先行統一のよびかけを行った。これで労線統一問題は、今日我が国労働運動の最大の焦点となっている。
 問題の核心は、右からの労働戦線再編というへき今回の「労戦統一問題の本質をはっきりと把握することが重要であろう。「基本構想」は労使協調主義への呼びかけであり、JC路線の賛美に他ならない。いうまでもなく労働組合とは、そのイデオロギーに相違があることは当然として資本主義社会そのものの中で生まれ、資本に対抗し労働者の利益と権利を守る運動である。しかし「基本構想」で、高成長から低成長への移行がうまくいったのは、日本の労働力と労働組合の対応のおかげであるとする主張をみるときそれは、まさに減量経営という名の首切り・合理化協力と経済整合性論に基づく賃上げ自粛協力の自己賛美であり労働組合ではなく従業員組合のよびかけであり、資本家への協力と弁護のそれでしかない。
 また「基本構想」では、今日の資本主義社会の中で厳しい犠牲と苦痛を強いられている労働者生活の現状には全く触れることなく(大企業の本工しかみないから当然!)国際関係でも社会主義国の労働運動との断絶が宣言されていることも特徴の一つである。
 次に「基本構想」における組織論では@大企業労組中心の民間先行統一、中小企業の労働運動、二重構造問題、下請・パート・臨時工等の問題は全く触れられていない。A官民分断の二段階統一まず民間先行の協議会を発足させこの充実強化の上に連合体に移行し、全的統一を目指すとしているが連合体の性格や官公労との統一については全く触れていない。B全的統一でなく左派の排除・左派のなだれ込みを許さない。その為いかにハードルを高くするかが推進会の論議の中心であり、排除の対象として「例えば統一労組懇」があげられている。このように見てくると「基本構想」は労戦統一ではなく、「財界も大いに期待している」といわれているように、JC路線に基づき、左派を排除する労働戦線の分断・再編成であることは明白である。

<2>
「基本構想」に対し総評は、先の定期大会で富塚事務局長提起の五項目@国民春闘の継承・発展A反自民勢力の結集、全野党との共同行動B選別反対C中小企業労働者・未組織労働者への支持D企業主義の克服・力と政策の強化について、と基本構想を補強・修正するとの対応をもとに秋の臨時大会まで継続審議し、内部の団結を第一義的に優先させつつ、総評包囲の網の突破に今秋の行革闘争を求めるとしている。この対応事態は、いわば総評の外で動いている「労戦統一問題」にクサビを打ち込もうとするギリギリの対応であろう。しかし五項目補強は「五項目全てを受け入れさせる力は総評にはない」(私鉄・田村書記長)、「五項目は論外」(推進会)というように、展望は厳しい。問題は、今日まで「労戦統一問題」に対して単に右からの揺さぶりをハネ返す為の場当たり的対応しかしてこなかった現実にこそあるのであり、労働者階級を統一し資本と闘う力の結集する方針の欠如と、自らの政治主義的引き出しの運動体質の反省こそ求められなくてはならぬ。ところで準備会参加を表明している単産は、今日30単産近く(総評内では鉄・合化・日通等五単産が表明、中立労連内では大部分が参加。新産別は参加で統一対応。同盟は三原別に基づき参加方向を確認(@左右の全体主義反対=左派のナダレ込みを許さないA議会制民主主義堅持=政治スト反対B国際自由労連への加盟--三原則)。

<3>労戦統一の旗、それは本来左派、反独占勢力の旗である。それを右派勢力が掲げている現実にこそ今回の労戦統一の本質と、左翼勢力の弱点が存在する。同時に、労働者の自主的大衆的組織である労働組合に「基本構想」を踏絵に、左派排除を追及する右派勢力の側のセクト主義とその弱点がある。労戦統一は各組合への揺さぶりをかけたり、またそれをハネ返す手段ではない。労働者階級を一つに組織し資本に立ち向かう力を創り上げるという平凡な真理の中にこそある。今日問われているのは何のための誰のための統一かであり、あらゆる労働者相互の分断を許さぬ全的統一こそスローガンでなければならない。しかし、今回の労働戦線再編の動きは資本の側の一定のバック・アップもあり、簡単に御破算になる見通しはない。民間協議会結成にまで進むとみなければならないであろうが、また「基本構想」なるものの特定の綱領の押しつけの統一は、大衆運動の展開の中で大きな矛盾に直面することも避けられないであろう。
 したがって「基本構想」を単に批判し不参加論のみでは「推進会」「同盟」「総連合」の結集を固めさせ、総評左派の孤立化となることは必至である。先の同盟三原則と「基本構想」との矛盾も重視する必要があるだろう。
 いうまでもなく、統一には職場・地域での広範な合意が必要であり、このことが前提とされなければならない。大衆的討議と、その中で「基本構想」の本質の暴露を通じて、労戦統一の前提は、統一した要求に基づく統一行動であり、それぞれの労働組合の闘いを認めあい、妨害や反対行動はとらないことが最低の条件である。それを当面する秋闘の大衆闘争の構築の中で追求することが重要である。
 最後に、今回の労戦再編運動の中で重要なことは、統一のための主体の形成づくりが大きく立ち遅れている現実をいかに打開するかである。全左翼勢力、反独占勢力の結集を促進する為の闘いは焦眉の課題である。その為に「統一労組懇」は、セクト主義を改め、統一の立場にたつことこそ求められている。
 労働者の団結こそ希望の勝利である。

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