青年の旗 1983年8月1日 第78号

【主張】 参議院選挙の結果と反自民勢力の課題

 今回の参院選の結果は、反独占勢力、反自民勢力の現状をありのままに反映したものになった。自民党が安定多数の六三議席を獲得したのに対し、野党勢力は全体として伸びなやみ、とくに野党第一党である社会党は改選数よりも四議席落ちこんだ。この結果、参議院における自民党の単独安定支配に終止符をうつことに失敗し、中曾根内閣の反動的攻勢を阻止していく好機は、再度くりのべられてしまった。
 今回はじめて導入された比例代表制は、参院選の構造に様々な波紋を投げかけた。当初、支配政党の死票をなくし自民党に有利に働くとの予想がなされていたにもかかわらず、自民党はここで二議席も減らし、逆にミニ政党の進出を可能にし、早くも自民党内で比例代表制の見直しが主張されるという皮肉な結果を生んでいる。
 しかし、比例代表制がはじめて登場したという事情は、野党の闘い方にも混乱ととまどいをもたらした。野党間の選挙協力が足止めされ、分断化に一層の拍車をかけたこと。選挙制度そのものが注視され、政策上の争点が必要以上にぼかされたため、中曾根政権の反動化かくしに寄与したこと。これらは結局、選挙区(地方区)での闘いに著しい悪影響を及ぼしたのである。

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 参院選をつうじて、反自民勢力は一勢に、軍拡と国民生活破壊の中曾根内閣を非難し、平和と生活擁護を全面的に訴えた。しかし、この訴えは実らなかったし、最大の政治焦点として浮彫りにされることすらなかった。
 だが、このことは、生活向上を求めたり戦争への道を拒否する基本的な要求が、国民意識から消えたり薄められたりしていることをけっして意味しない。現実に比例代表区の結果を見ても明らかなように、自民党の得票率は史上最低の三五・三%に落ちこみ、前回にくらベて実に七三三万票、七%を減らすという事態が起っているのである。これは、国民の中に潜在する反自民意識が強固に残っており、むしろ、軍拡・改憲など危険な反動化路線を突っ走ってきた中曾恨政権への明らかな「NON」の姿勢表明にほかならない。危機は、中曾根自民党政権のほうにある。
 では、何故野党の訴えが実らなかったのか。大衆は、たとえわずかであっても自らの要求を実現する可能性が存在するなら、そのための変革を積極的に求める。しかし、これに応える努力はなされてこなかった。少くとも十分ではなかった。平和と生活のための訴えは、抽象的一般的なスローガンにとどまり、各党の宣伝文句に終った。それを可能にするための個々の政策や政治的プロセスが明らかにされることもなかった。
 なによりも、要求を現実のものとするための、野党間の協力体制も共同行動をも見られず、これを後押しする大衆闘争そのものが不在であったことが、政治的変革を求めるべき国民大衆の足を遠のかせてしまったのである。ただ、サラり−マン減税と福祉政策の拡充を明確に求めた一部のミニ政党だけが国民の共感を増幅することに成功したにとどまった。

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参議院選挙における反自民勢力の分断化は、これらの現状をいっそう深刻なものにし、明らかに自民党政権に有利さをもたらしている。選挙区において、社共協力だけでも勝利しえた選挙区は、大阪、兵庫、神奈川をはじめ十二選挙区にも及び、沖縄や大分でみられたように一人区におけるさらに広範な選挙協力がなされていたならば、自民党を追いつめることは完全に可能であった。
 しかし、それはできなかった。大衆的要求の実現よりも党利党略を重視した政党のあり方が、それを阻んだからにほかならない。とりわけ、日本共産党は、今回の選挙で最も露骨なセクト主義を売り物にし、自民党ばかりか、公民はもちろん社会党から、ミニ政党まで切って切って切りまくり、本来味方につけるべき大衆団体すら敵にまわして、自民党政権の安定化に貢献したのである。
 このような選挙のあり方をめぐって党内に疑問と動揺が深まっている事実も当然うなづけよう。
 今日、反自民勢力の分断を克服し、切実な国民的要求の実現のために一致した闘いを繰り返し呼びかけることほど重大な課題はない。
 選挙中、その政策のなかで「景気と減税」をうたった中曾根が、早くも「年内に減税はありえない」と手のひらを返したような言葉をはいているが、この一事だけをとっても共闘の必要性と可能性は大きく拡大している。反軍拡、反行革、国民生活の防衛のために、大衆的闘いの高揚と統一のために全力を傾注しよう。

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