青年の旗 1983年11月1日 第81号

【主張】 田中判決と民主勢カの課題
        --田中追放から中曾根内閣打倒へ--


 十月十二日、事件発覚以来裁判だけでも七年の歳月を費したロッキード事件「丸紅ルート」の第一審判決公判で、東京地裁刑事第一部は、受託収賄罪・外為法違犯の罪に問われた田中角栄(元内閣総理大臣)に懲役四年、追徴金五億円、外為法違犯の榎本敏夫(元内閣総理大臣秘書官)に徴役一年、贈賄罪、外為法違犯、議院証言法違反、議院証言法違反(偽証)の檜山広(丸紅元社長)に懲役二年六ケ円、伊藤宏(丸紅元専務)に徴役二年、大久保利春(元丸紅専務)に懲役二年(執行猶予四年)の判決を下した。検察求刑の五年が四年、一年減刑とされたのは、田中角栄が長らく国会議員を務め、何回もの閣僚、更に、総理大臣を経て国政に貢献したとの理由による″情状酌量とのことであった。一方、田中本人は判決後即座に控訴、三億円也の保釈金で直ちに保釈、「国会議員としての職責を遂行するため、不退転の決意で闘い抜く」との所感を発表、二十八日の田中・中曽根会談後もその態度を変えてない。

<軍事疑獄としてのロッキード事件>
 そもそもロッキード事件は国独資下における国家と独占体のゆ着から生じた政治的腐敗であり、あまりに典型的な犯罪として露呈した事件である。また、この事件は、日米安保条約のもとで押し進められた軍事力増強の必然的帰結、産物である。
 事件勃発当初の七六年二目、各商業新聞は「P3Cが疑惑の核心」、「献金″本命″はPXL(次期対潜哨戒機)?うまみ少ないエアバスで布石」(七六年二月八日、朝日)と、ロッキード事件が単なる民間航空機エア・バスの導入に伴う、汚職でなく、P3C(ロッキード社製・対潜哨戒機)の売り込みに絡む政・財・官・軍のゆ着による構造汚職であったことを指摘している。全日空がロ社製作のエアバス購入を決定するに際しての便宜をはかった賄路事件とは、あくまで表面のことであり、内部においては、このことと並行して四次防におけるPXL国産化計画を白紙撤回させ、ロッキード社製作P3Cの輸入決定を導いた工作と、それに対する報酬(賄路)、これが事件の全貌であり、まさに軍事疑獄である。ロッキード社の対日売り込みの主目標は、ポスト四次防の目玉商品としての、対ソ軍事戦略の強化を目標とする次期ジェット戦闘機FX、対潜哨戒機の売り込みにあり、全日空へのトライスター機の売り込みは、その前哨戦にすぎなかった。この事件の背後では、日・米の対立する軍需独占体の抗争が自民党・官僚を巻き込んで展開され、田中角栄はもとより、支配層全体にまたがる犯罪が進行した。
 事件当時、田中内閣の通商大臣が中曽根首相であり、官房副長官が後藤田官房長官である。この二人は、いずれも七二年当時、PXL国産化方針の白紙撤州、P3C輸入への転換に深くかかわっている。また、佐藤内閣時、PXL国産化計画を盛り込んだ四次防大綱を決定したのは当時防衛庁長官であった中曽根首相であり、PXLの国産化か輸入かの自民党内部抗争の調停役として、田中・二階堂・相沢との密議によってPXL国産化の白紙撤回を決定させたのが、当時官房副長官であった後藤田である。この二人が中枢を占める現内閣のもとで、まさしくP3Cの本格配備が始まり、″シーレーン防衛″ の名による日米共同の対ソ戦略の態勢が固められつつある。

<職場・生産点からの大衆行動が問われている>
 田中判決に村し、商業新聞、マスコミは「司法の健在」をアピールした。この最高裁を頂点とする司法は、現在反動化の拠点として存在している。この司法の反動性が田中を有罪にしたことによって免罪されることはありえない。総理大臣が五億円の賄烙を受け取った犯罪が懲役四年で、議員に居直り続ける一方、東京の一国鉄労働者は三〇〇円の失敬事件で即日首切り、三〇年勤続の退職金はゼロである。まさに、ここに司法の反動性が如実に示されている。しかし、その反動の拠点がキングメーカーであり、現政治力の頂点に存在し、立法府と、行政府を押えている田中を有罪とせぎるをえなかったのか。それは、あまりに収賄の事実が明白であり、罰しないことのマイナスを計算すれば、田中をスケープゴー卜にすることによって、裁判所と検察は、ロッキード事件の核心であるP3C導入問題を故意に陰ペいし、自民党全体と官僚及び独占資本の支配層上層にわたる犯罪を清算することを選択したのである。
 したがって、田中の政治責任を追求し、政界、政治生活からの追放はむろんのこと、軍事疑獄として自民党全体の政治責任を追及し、軍事力強化、軍国主義強化に対する闘いと結ひつけて闘うことが問われている。今求められているのは、大衆行動である。国会、田中邸を二重三重に包囲する連日の大衆行動が事態を打開していく重要なポイントとなっている。こうした大衆行動の創出に向け、職場から決起しよう!

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