青年の旗 1984年4月1日 第86号

【主張】 八四春闘を反撃の場に

<転換期を迎えた春闘>
 八四春闘がスタートし、ヤマ場を目前にしている。今年の春闘では、資本による徹底したベアゼロ攻撃と二年続きの人勧凍結が厳しい情勢となって労働者の前に立ちはだかっている。例年になく困難な闘いが予測される春闘である。しかし一方で、今年の春闘が昨年までのそれとは異なった新しい試みを取り入れようとしていることも、また事実である。それは、史上最低の賃上げに終わった昨年の春闘や、後退するだけ後退した労働運動に対する新たな反発である。今までの低迷を再び繰り返すか、それとも泥沼から脱する第一歩となるか、八四春闘は重大な選択を労働者に問いかけている。
 新たな試みの中で第一に注目されるのは、″鉄離れ″への合意が急速に形成されたことであり、いわば春闘バターンの変革が意識的に進められようとしている点である。六〇年代から七〇年代をつうじての春闘パターンは、好況産業による先行グループに続いて、鉄鋼を中心とする金属労協、私鉄と公労協を中心とする交運共闘の二大車輪による中心的な相場形成が行われてきた。しかし激しい行革攻撃のなかで公労協が脱落し、鉄冷えといわれる構造不況の鉄鋼賃金相場が「沈め石」としての役割を増すにいたって事態は悪化の一途をたどった。にもかかわらず従来の春闘パターンに固執し、結果的にストライキも打ちえない中で、ずるずると敗北していったのが昨年、一昨年の春闘にほかならない。すなわち、雇用情勢の悪化で労使の力関係が変った以上に、賃上げは低く押さえ込まれてしまったのである。
 こうした反省から、今春闘では四月十一日の金属労協の回答指定日にあわせて、私鉄、全金、合化労連、ゼンセン同盟などの民間労組が指定日を設定し、同日回答という、これまでになかった民間集中決戦が決められた。これは、当初私鉄総連などが企図していた鉄鋼回答前の集中決戦方式から見れば大きく後退したとはいえ、鉄離れ春闘に向けての第一歩としうる可能性を含んでいる。

<労戦統一と官民連帯の重要さ>
 第二に注目しなければならないのは、このような春闘パターンの変革が、労働戦線統一の動きと具体的に結びつくことである。一昨年の暮れに結成された全民労協の活動が、八三春闘=全民労協春闘と呼ばれたにもかかわらず、減税闘争など一部の制度政策要求闘争に眼定されていたのに比べ、八四春闘では一歩前進し、賃上げ闘争でも一定のイニシアチブを発揮しうる状況が生まれつつある。具体的には四月集中決戦の日程調整が全民労協によって行われ、その傘下組合による共闘態勢が春闘相場形成に向けて組まれていることである。
 第三に、このような動きのなかで、総評が四月六日にストライキを含む官民統一行動日を設定し、民間労働者をも巻きこんだ人勧完全実施などの闘いを展望していることが注目される。一方、全民労協も三月七日には政府に対して仲裁裁定・人勧完全実施を要求し、民間労組団体としては初めこの連帯行動を行った。この交渉には、鉄鋼、自動車、電力、私鉄などの単産代表も加わった。政府と資本による官民分断攻撃をはね返すために、このような官民連帯の闘いは極めて重要になってきているのである。

<決め手は大衆闘争の高揚>
 以上にあげたような八四春闘の新しい特徴と試みは、激しい攻撃の中で極めて微弱なものであり、試行の第一段階に過ぎぬものである。鉄鋼回答前の集中決戦戦術は挫折を余儀なくされたし、労戦統一への動きもストなし春闘を克服する決め手とはなりえていない。また、官民分断を許さぬ闘いも、肝心の公労協の足みがそろわないという弱点をかかえている。だがしかし、このような動きを無視したり、軽視したりすることは、闘いの展望を切り拓く足がかりを放棄することになる。これまで徹底的に痛めつけられてきた日本の労働運動が、一年や二年の闘いで直ちに逆転することは非常に困難である。けれども反撃への第一歩を踏み出すことは、八四春闘において初めて現実のものとなったのであり、何としてでもその成功を克ちとることが労働者階級に課せられているのである。この成否はそのような前進を保証する唯一の力、大衆的な運動の構築がどれだけ成し遂げられるかにかかっている。

 八四春闘は、多くの課題と任務を労働者側に要求しながら、今、最大のヤマ揚を迎えようとしている。それは、闘える労働組合運動を創出しうるような春闘でなくてはならない。そして分断されてきた労働者としての絆を再びとり戻せるような春闘でなくてはならない。すでに、鉄鋼の労使交渉は、昨年と同じ六、八〇〇円の攻防に焦点が絞られつつある。低額回答を全労働者の団結の力ではね返し、春闘勝利に向けて全力でい抜くことが要請されている。

トップ アイコン【青年の旗索引簿】へ戻る
直線上に配置