青年の旗 1984年6月1日 第88号

【主張】 核トマホーク配備反対闘いの統一こそ重要

<米、核トマホーク太平洋実戦配備へ>
 米レーガン政権は、この六月から核トマホークの太平洋実戦配備を開始する。超低空で飛ぶためレーダーには引っかかりにくく、命中精度は射程二五〇〇キロメートルで誤差が二〇〜五〇メートル、しかも破壊力が二〇〇キロトンで広島型原爆の約一五倍といわれる核トマホークを、米レーガン政権は、既に戦艦ニュージャージーなどでテスト配備し、予定通り攻撃型原潜や一部水上艦艇に実戦配備しようとしており太平洋艦隊も当然その対象となる。
 とりわけ太平洋艦隊への配備は、「太平洋軍の打撃能力の向上にとって画期的なもの」 (ロング米太平洋軍司令官)と米軍当局をして豪語させるほど極東における軍事的緊張緩和を根底から揺らすこととなる。すなわち、今回の実戦配備が完了すれば、これまでウラジオストックまでであったのがパイカル湖まで届くことになり、「戦域核戦争はありうる」とする米レーガン政権からすれば、いつでも核戦争を引きおこすことができるようになる。

<トマホーク配備を容認する中曽根首相>
 核トマホークの太平洋艦隊へ実戦配備により、その寄港問題から非核三原則と大きくかかわってくるが、中曽根首相は、先の衆院予算委員会で「ニュージャージーに配備されるトマホークは核・非核両用があり得る、と報じられている。将来、日本寄港の際は、その辺のところをよく確認して入港を認める」としたが、後日、「米国は核の有無については明らかにしない」と事実上容認する姿勢を示したばかりか、五月一八日衆院外務委では「核トマホーク積載艦との公海上の共同訓練は、非核三原則を侵すものとは思わない」と答弁し、自衛隊の共同作戦参加まで行なおうとしている。

<反トマホーク行動に分裂をもちこむ日共>
 かかる情勢の下全国で反トマホークの運動が展開されているが、米太平洋艦隊の中軸が根拠地とする横須賀基地のある神奈川県では、「非核神奈川県をめぎす県民連絡会や神奈川非核県宣言をめざすシンポジウム実行委員会等八つのグループが独自の運動を展開」「長洲知事へ非核宣言を求める署名だけでも六種類もあり市民が困惑」(朝日)に示されるように、最も寄港の可能性のある神奈川でさえこのような状況であり、全国的にみても当然バラバラで、それぞれが独自に集中点を設定し運動を展開しているのが現状である。
 一九五四年三月一日、第五福竜丸のビキニ被災を契機に、杉並区の主婦に始まり一瞬にして全国的規模へと発展した日本原水爆禁止運動。その輝かしき運動の経験を持ちながら、今白、核トマホーク配備を目前にして反トマホークの闘いにこのような状況を生みださざるを得ない原図は、平和運動という最も広範な大衆運動にセクト主義を持ち込んでいることである。
 すなわち、日本共産党、原水協の指導部は自らが二十年前に引き起こした、原水禁運動の不幸な分裂の誤りを今日において、又引きおこそうとしているのである。一九七七年の原水爆禁止統一世界大会の成功以来原水禁、原水協をはじめ、これまで運動から離れていた市民団体からの合流も克ち取り、具体的共同行動の積み重ねの上に統一をめざす取り組みがなされてきた。
 そして昨秋、市民団体より、継続的な平和運動を取り組む為、「原水禁運動連絡委員会(仮称)」が提唱され、原水禁、原水協も含めて一度合意をみた。しかし又も日本共産党、原水協の指導部は、「組織統一は、既存組織の解体が条件」との、既に七七年の統一世界大会の実現により論破された古めかしい「解体統一論」を持ちだし、「連絡委員会(仮称)」の発足を見送らせたのである。更に、今年三月末、原水禁世界大会準備委員会が発足したが、日本共産党は、四月四、五日付赤旗に「統一の路線と分裂の路線」なる論文を発表、これには、「この大事な時期になぜ運動の統一を妨げるような論文を出すのか」と地婦連田中里子事務局長が共産党へ申し入れをするに至った。結局、世界大会準備委員会としては、反トマホークの具体的方針を出せず、それが今日の運動の現状を生みだす一因となっている。

<草の根から反トマホークの広がりを>
 一方、見落すことができないのが、既存の平和団体が明確な方針をもちえず、「勢力争いの場になっている」(準備委員会代表委員 陸井三郎)ことの裏返しなのだが、市民団体が、広範で様々な運動を展開していることである。このような反トマホークの課題で立ち上った広範なエネルギーを、集中させていくことが今日ほど問われている時はない。
 神戸市では、既に七五年に「核兵器積載艦艇の神戸港入港拒否に関する決議」を上げており、入港の際には外務省の「核兵器を積載していない」との口上書提出を義務づけている。横須賀をはじめ米艦船が入港しそうな都市で、今後非核自治体宣言運動と連動させ、「非核港」の闘いを草の根から広めていく必要がある。
 そうした各地での草の根からの運動が、政府の非核三原則「空洞化」の動きを阻止し、反トマホークの運動の高揚へとつながって行くのである。

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