青年の旗 1984年10月1日 第92号

【主張】 10月軍縮週間を闘おう

 全世界的な平和のための取り組みである十・二一国際反戦デー、十・二四ー三〇国連軍縮行動週間を前にして、戦争勢力の危険な動きが目立っている。とりわけ日本帝国主義の策動は、レーガンと共に最も危険な動きを進めている。

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 九月六日から八日まで来日した韓国大統領全斗煥は、八日、中曽根との首脳会談を経て「共同声明」を発表した。共同声明は「朝鮮半島に於ける平和と安定の維持が日本を含む東アジアの平和と安定にとって緊要である」「この地域の平和と安定及び繁栄のために今後も互いに努力していくとの決意」を明らかにし、更に「韓国政府の防衛努力が朝鮮半島の平和維持に寄与している」としている。これは、全斗煥が八十一年に発言した「安保面に於いて日本と韓国は同一領土」という運命共同体を再確認し、軍事同盟体制の内実を創出していこうとするものである。その背景には、米帝国主義を軸とした日本・韓国・そしてASEAN・アンザスを加えたアジア版のNATO化構想の戦略を見逃してはならない。そうした意味からも今回の来日は、米国と韓国の「相互防衛条約」、日本と米国の「安全保障条約」そして最も弱いところとなっている、日本と韓国の「基本条約」を軍事的に補完させるためのものであった。それを裏付ける動きとして注目しなければならないのは、今回、全斗煥に同行した李合同参謀議長と渡部自衛隊統合幕僚議長の公式会談が行なわれた点である。韓国と日本との軍事交流については、七十九年十月、現職としては初めて韓国を訪問した当時の山下防衛庁長官と韓国軍首脳との間で人事交流・練習艦隊の相互往来などについて合意がされ、その後、双方の議員連盟内で@朝鮮有事の際の日本の果たすべき役割A朝鮮海峡・日本海の封鎖B防空情報の交換、などについて論議が行なわれてきた。そして、将来的には、米韓合同軍事演習・チームスピリットのような総合的な軍事演習の実施が企図されており、会談では、十月渡部統幕議長の訪韓も決定されており、日本と韓国の軍事同盟体制のレールは既に完成せんとしている。

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 こうした動きと軌を一にする形で九月十四日、十回目の「防衛白書」が発表された。防衛白書は総じて、レーガン政権の軍事政策と軌を合わせることにより、ソ連を明確な仮想敵とした軍事対応が次第に名実ともに整い始めたことを明らかにしているが、その特徴は第一に、国際軍事情勢について「米国は抑止力の維持・強化を図るため、戦力の全般的な近代化と態勢の強化に着手しており、その効果も徐々に現れ始めている」「米国の前方展開戦略を支える不可欠の手段として海空輸送力の強化が図られており、更に、紛争が予想される地域に重装備等を事前に集積する措置もとられている」としている。これは、欧州に配備された中距離核ミサイル、米太平洋艦隊へのトマホーク、三沢基地へのF16配備計画について、積極的に認めると共に更に増強することを求めているものである。第二に、防衛費一%枠に関する記述の変化である。昨年の白書では五六中業に関連して、防衛費のGNP一%枠の閣議決定について「現在のところ変更する必要はない」としていたが、今回は五九中業・五六中業に対してはこの記述はなくなっている。この背景には、十四日栗原防衛庁長官の「これまで一%を守ってきたが、防衛を考える場合、GNP比だけでなく諸外国とも比較する必要がある」と発言、更に、中曽根の私的諮問機関である平和問題研究会は@現行の「一%」枠を「一%程度」などの表現に改めるAさらに、GNP比で防衛費を規定する方法が予算運営の現状にそぐわなくなっているので、これに代わる新たな表現を打ち出す。その内容として、防衛費に対外経済協力、稀少金属備蓄、食糧安全保障などの関係費を合算した「総合安全保障費」枠となっている。又、こうした動きと前後して有事立法制定に向けた動きも急ピッチで進んでいるのである。自民党安保調査会法令整備小委員会は十月に自衛隊法・防衛庁設置法の防衛二法の改正を求める提言を提出する。その内容は、五十六年四月に防衛庁がまとめた有事法制の中間報告を盛り込みながら、奇襲に対処できるようにするため陸海自衛隊の平時における領域警備規定の明確化を打ち出し、制服トップである統幕議長の権威を高めることなどが決定されている。

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 こうした中で日本平和運動の現状はこれと真向から対決する陣形を形成し得ていないばかりか、今原水禁世界大会をめぐる動きに示されるように、支配者達にとって有利な条件をこちらから与えてしまっている。しかし神奈川県議会に於ける「非核宣言」、横須賀市、呉市、佐世保市、舞鶴市の四市長会に於ける「非核アピール」の採択は、保守層自身が現在の緊張激化の中で、危機意識を抱いていることを示している。オランダに於ける中距離核ミサイル配備決定を延期させた力は何だったのだろうか。それはまさしく人民の力であり、平和を求める大衆の声と刀がNATO決定の中で身動きの取れなくなったオランダ政府をして延期の決定をさせたのである。
 日本の平和運動をこうした力強い国際的な闘いに合流させなければならない。十・二一反戦デー、国連軍縮行動週間を全ての平和勢力の統一した力で成功させることがいま要請されている。

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