青年の旗 1984年11月1日 第93号

【主張】 「人勧値切り閣議決定」糾弾!

<人勧値切りを許さず、早期完全実施を!>
 政府は十月三十日、本年も人事院勧告の実施に対して値切りの閣議決定を行った。先づは政府のこうした暴挙に対して、断固として糾弾しなければならない。
 この数年間、公務員の賃金決定は極めて遺憾な結果となっている。81年は一応完全実施されたものの期末手当等へのペアはね返りなし(中ヌキ実施)、82年は鈴木内閣の「財政非常事態宣言」に基づく凍結(勧告四・五八%)、83年は二・〇三%の値切り(同六・四七%)であり、本年も値切りを許すならば、81年はともかくとしても82年以降、三年連続して、人勧が一方的に政府の思うように取り扱われることになる。
 公務員共闘は、こうした厳しい状況の下、春闘時においてから政府に対し「完全実施」を求めるべく、政労交渉を中軸に従来のお付き合い春闘から自づからの立場で春闘戦列に加わった。四月四日、政府との一定の決着として「人勧については尊重して実施するよう務める。」旨の政府回答を引き出した。
 公務員共闘は、この「四・四政労交渉回答」を基礎に人事院への適正勧告の要請など人事院への闘いと完全実施を求める署名闘争など政府に向けた闘いの両面から大衆的に行なわれた。事実、今年の人勧完全実施の闘いは昨年よりまして、広範に広まっており、従来から言われてきた公務員高給与批判などよりも、民間労働者の中でも蕃闘での低額ペア打破と関連して完全実施を求める声は強まっている。
 しかし政府は、早くも八月段階から、後藤田総務庁長官が「本年も公務員給与については引き続き抑制する。」旨の見解を、労働側を無視してマスコミに発表するなど、一方的に「四・四政労交渉回答」を破棄した。
 公務員共闘は、従来の給与法「改正」国会審議山場にストライキ等、配置して闘ってきた闘争形態から、本年は、あくまでも「政労交渉決着・閣議決定重視」を基本としたストライキ等の配置に戦術変更した。
 そして、十月下句を焦点に闘いが強められ十月二十三日には自治労単独の一時間スト、二十六日には公務員共闘としての二時間のストライキが配置され闘われた。しかし実際には、二十六日には閣議決定はなされず、中曽根の総裁再選が決定された直後の三十一日に閣議決定は行われた。
 その内容は昨年の勧告六・四七%に対し、値切り実施された二・〇三%を差し引いた積み残し分四・四四%を約三年間で解消することとし、本年においては、積み残し解消分一・四%以内に本年ベア改定分二%を加えた約三・四%以内に抑え込もうとするものである。

<「人勧値切り決定」糾弾!>
 今回の人勧値切り決定には、様々な問題がある。一つには公務員給与制度自体の問題である。
 そもそも公務員労働者は民間労働者とは違って、労働基本権であるストライキ権が剥奪されており、自づからの賃金を直接、交渉でもって決定することができず、その代償措置としてある人勧制度を、政府自づから人事院の機能をも熊視し、三年にわたって踏みにじることは、政府自身が創り上げた公務員の賃金決定のメカニズムを破壊してしまい、法律上も明らかな不法行為となることである。これは人事院自身が、三十一日の閣議決定に対し「今回の決定は遺憾であり、公務員の給与改善の唯一の機会である人勧と異なった結論を出すならば人事院無用論につながりかねない。」と抗議していることからも明らかである。さらにILOの「結社の自由委員会」での政府側の言い分が、公務員のストライキ権を剥奪していることに対して「一応、第三者機関である人事院の勧告を尊重している。」との主張が全く通らなくなってしまう。
 もう一つの問題として、この間の抑制の理由に防衛費一%枠突破が言われているが、GNP予測が大蔵省の数値と経企庁との予測とでは異っており、経企庁予測では完全実施されても一%枠は守られること、また今回の第二次中曽根内閣の組閣にあたって、中胃根自身が新自クとの連合を申し入れる際に「防衛費の基準については新たな基準を用意している。」と発言したことからしても、あくまでも抑制のための放弁と言わざるを得ない。
 一方、運動面から見れば一度ならず二度三度と人勧が全く政府の思うままに抑制を許すということになると、いくら「人勧制度を踏みにじることは不法だ。」と言っても、逆に、それが当然の既成事実として積み重ねられ、一層、公務員賃金闘争の大きな後退を余儀なくされてしまうだろう。
 しかし今後において明確に値切りが決定されたわけではなく、まだ国会闘争を中心に完全実施を求める闘いは引き続き重要であろう。
 とりわけ前述したように恩給関係者や商工会などの自民党支持層まで署名運動に加わるなど国民的にも「完全実施」を求める世論は広範に存在するし、防衛政策では夕力派と言われる民社党でさえ「防衛費を削減してでも完全実施すべきだ。」(十・三大内政審会長)と発言しており、労働側にとって有利な条件は依然として存在する。
 また労働側においても、同盟・全民労協も完全実施を主張しており、今後、自治労・公務員共闘などの産別闘争を主軸としながらも一層、広範な各階層を巻き込んだ運動の取り組みによって政府を追い込もう。

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