青年の旗 1984年12月1日 第94号

【主張】 予算国会--軍拡・行革・収奪路線と対決を


<中曽根再選と第102予算国会>
 自民党の総裁選挙は、一〇月二八日、″自民党五役ー実力者会談″を経て、中曽根再選となった。四選、七年八ケ月の佐藤栄作に次いで、七二年に政権についた田中角栄以来の歴代自民党政権の中で、中曽根はともかく二期目に突入することになった。この一二年間自民党総裁がいづれも一期(二年)で終ったことは、日本資本主義の危機の深化と、それに照応した自民党政権の不安定性の激化の反映であった。中曽根第二次内閣の誕生は、この不安定性に終始符が打たれ、独占資本の人民支配が強固になったことを意味するものではない。「自民党政治初まって以来」と言われた今回の混乱−「二階堂擁立工作」は、事態がその逆であることを如実に示している。
 独占資本は、第二次中曽根内閣発足と同時に、「新内閣は行革に政治生命をかける中曽根首相の下、行革内閣に徹せよ」(一一月八日、日経連タイムス主張)との檄を飛ばしている。すでにかげりを濃くする米国経済、到来する赤字国債償還期限を前に独占資本は、軍拡、行革、収奪強化の路線をさらに強化せんとしている。自民党党則での総裁三選禁止という規定の下で、中曽根にとって、その「戦後政治の総決算路線」を実践する場は、あと二年。タカ派の中曽根に色付けされたこの二年間の軍拡-行革−収奪政策強化路線が一層強まることは必至である。
 すでに第二期中曽根内閣は、一〇月三一日の三年連続人勧値切り閣議決定を皮切りに、「行革は五合目、政府は、大胆な行革姿勢堅持を!」(一〇月二三日、行革審意見書)を受けて、電電民営化、年金改悪強行から八五予算案提示へと進まんとしている。一二月一日開催された今第一〇二通常予算国会は、政府・独占資本の軍拡−行革−収奪路線の一層の強化、具体化の場として開催されたのである。

 政府・自民党が第一〇二国会の冒頭で成立をなしきろうとしているのが、前国会からの継続案件である年金制度改革(改悪)法案である。
 年金改悪法案は、現行の年金制度を根本的に再編成し、二一世紀にいたる数十年先の給付水準や保険料まで方向づけるもので、現在のみならず将来の世代の勤労諸階層にまで影響を及ばすという意味で極めて重大なものである。しかも、その内容たるや、給付水準の大幅引き下げと負担の大幅な引き上げを行ない、老後の生活保障に対する国の負担を徴底的に削らんとする公的年金制度への臨調「行革」路線の全面具体化に他ならない。
 政府・独占は、この年金改悪を正当化するため、「現行のままでは、高齢人口の増大と制度の成熟化のため、年金給付額が急増し、年金財政が破たんする」と宣伝している。しかし、これは国民所得の伸び率を今後三〇年間にわたってゼロと見なしての非現実的な想定や、企業の負担割合が少ないなどの国際的に見ても不合理が目立つ現行年金財源負担制度をそのまま維持することを前提とした全く御都合主義的・意図的な「長期財政見通し」を根拠としたものである。
 年金改悪がまかり通れば、現行の全ての制度にわたって年金水準が三割以上と切り下げられるばかりか、保険料は二〜三倍となる。年金改悪法の成立を許してはならない。

<軍事費超突出と対GNP一%枠問題>
 概算要求基準で、厳しく抑制された一般歳出の中で軍事費ば今や″聖域″扱いされるまでになった。ゼロシーリング実施以前の八一年度と比べ防衛費のみがその後の三年間で二二・三%増と突出し、八五年度概算要求でも七%増という超突出ぶりである。
 こうした中、まがりなりにも日本の軍事大国化を防ぐ「歯止め」となってきた「防衛費を対GNPl%以内に抑える」という七六年度閣議決定を反故にしてしまおうという動きが活発化してきた。その中心を担っているのは、この五月、二年ぶりに活動を再開した自民党安全保障調査会防衛力整備小委員会である。同小委は、対前年度比七%増という概算要求に八四年度国家公務員ベア(閣議決定の三・四%)を加えた三兆一八五二億円を獲得しようと対GNP一%枠見直しを叫んでいる。こうした立場は自民党藤尾政調会長も同様で、日米経済摩襟問題に配慮し防衛費の更なる増額を図るべき、という党としての立場を主張している。今の所、中曽根は一%枠を守る旨述べているが、それは八五年度当初予算段階では守るという問題の先送りにすぎない。新型地対空ミサイル・パトリオットや新鋭戦闘機F15などの調達についても、八五年度予算での歳出計上分は頭金程度のごくわずかで、大部分は後年度支払いであり、八五年度公務員給与ペア分があるからである。新規調達をやめ、概算要求の七%を大幅に削り込むことなしに、八四年度予算ですでにGNP比〇・九九一%にまで達している防衛費を一%枠内に留める事は不可能である。

<行革−収奪と対決し中曽根内閣打倒を!>
 防衛費とともに例外として増額要求が認められ、一一・五%増の要求が出ているのが政府開発援助費である。それ以外は補助金の一割カットなど軒並みマイナスかゼロ。とりわけ厚生省・文部省関係の文教・福祉予算へのしわ寄せは、自然増分すら認めないという無茶苦茶なものである。補助率二分の一をこえる地方自治体への補助金を一割カットし、その分を自治体へおしつける政府方針は、一律カットの対象が生活保護費や社会福祉施設措置費、公立学校補助金などが主であることから、まさに「弱者切り捨て」と言わねばならない。
 そればかりではない。ここにきて「増税なき財政再建は不可能」とばかり、八五年度税制改正に伴なう各種増税ばかりか、近い将来の課題として一般消費税の導入さえ準備されてきている。すでに大蔵省・自治省は、国税で三〇〇〇億円、地方税で一〇〇〇億円の増税方針を固めているのである。
 こうした背景に、八四年度末国債発行残高が一二二兆円という未曽有の国家財政破たんの危機がある事は言うまでもない。中曽根内閣は、鈴木前内閣からひきついできた「八四年度赤字国債ゼロ」の目標が達成不能となるや、「九〇年度ゼロ」に目標を先送りしたが、その目標達成のための毎年一兆七〇〇億円ずつ減額計画は、初年度から二年連続して挫折、後年度へ更に先送りすることが確実になっている。しかも、この計画が順調に進んだとしても国債発行残高は雪だるま式に増え、八七年度には一五〇兆円、九五年度には二〇〇兆円にもなる事が大蔵省試算で明らかになっている。さらに、八五年度は、七五年度から発行し始めた赤字国債の大半を占める期間一〇年の長期国債の満期に当たる事から、国債の本格的な償還期に入る。中曽根内閣は、八四年度予算国会で赤字国債の借り替えを認める財源確保特例法を成立させ、借金を新たな借金で返済するというサラ金なみの苦肉の策で対応しているが、これが破たんする事は誰の目にも明らかである。
 中曽根は、行革審の再三の叱佗をうけ、「増税なき」を貫抜くとしているものの公共事業費の圧縮によって自らの政治基盤を揺さぶられている自民党建設族(ほとんどがこれであるが)の「我慢も限界」との声は、もはや自民党全体を履いつくそうとしており、矛盾の激化は避けられない様相である。
 財界は、「一切の企業増税反対」、「増税なき財政再建の堅持」を掲げ、三〇日経済五団体が「増税反対の集い」を開くなど、支配層内部の亀裂は拡大しつつある。
 軍拡・行革・収奪路線の一層の強化は、勤労諸階層にとどまらず、反独占の広範な統一闘争を構築する条件を逆に増々拡大するであろう事は明らかである。全ゆる所で軍拡-行革-収奪路線粉砕の闘いを構築し、八五予算国会包囲、中曽根自民党内閣打倒へ前進しよう。

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