青年の旗 1985年6月1日 第100号

【主張】 宇宙軍拡阻止!ソ米交渉成功!

 五月三〇日からソ・米軍縮交渉の第二ラウンドが開始された。三月一二日から開始されていたこの交渉の目的は、これに先立つ一月八日のソ・米共同声明で明らかになっている。すなわち、交渉対象は、宇宙兵器・戦略核兵器・中距離核兵器の三分野であり、交渉目的は宇宙での軍拡競争を防止し、地上での軍拡競争を停止させ、核軍備を制眼・削減し戦略的安定を強化させることである。
 そして、ソ・米共同声明は「究極的には全ゆる場所で完全な核兵器廃絶をもたらすものでなければならない」と確認した。ソ・米交渉を成功させ、まさに、この究極的な目標へ一歩づつ核軍縮の歩みを前進させねばならない。

<ソ・米交渉の成功を!>
 ソ・米交渉の帰すうは人類の命運を決定するものであるといっても過言ではない。ソ・米交渉には全人類の死活の命運がかけられている。
 「(核戦争の結果)もし生存者がいたとしても、彼らは自殺行為を犯した文明社会の毒物に汚染された廃虚のなかで、絶望とともに生きることになる」これは、カーター前米国大統領の離任演説である。ソ連とのSALTU調印の際に、「これを批准しないものは人類に対する犯罪者である」と主張しながら、その批准を自らボイコットした核軍拡政策推進者であるカーターをして、このように言わしめるのが、今日、すなわち核時代の現実である。社会体制の相異、政治的宗教的立場の相異、思想・信条:…・ありとあらゆる意見・利害の対立に優先して核戦争を防止することが全人類死活の命題となっているのが核時代の現実なのである。
 「核戦争は間違いなく文化社会の終えんを意味し、全人類の破滅につながる全面的な惨禍である」ソ連が一貫して公式に表明してきたこの現実的見解は今日、研究によって科学的に確認されている。今日、地球上には五万発を越える核弾頭が蓄積されており、その爆発力は四〇年前のあの広島に投下され一瞬にして二〇万人の生命を奪ったものの百万倍を上まわっている。
この核弾頭のわずか一%が使用されただけで「核の冬」がもたらされるという事実と、この核弾頭の九五%がソ米両国によって保有されているという事実こそが、ソ・米交渉の死活的重要性を如実に示しているのである。ソ・米交渉成功へ、世界中の反核・平和の闘いと世論を集中しなければならない。

<レーガンの宇宙軍拡断固阻止!>
 三月一二日から始まったソ・米交渉がその第一ラウンドにおいてなかなか前進しなかった原因は、米帝レーガンの宇宙軍拡、SDI計画推進政策にある。完全な核兵器廃絶を究極の目標とする核軍縮交渉のテーブルにつきながら、同時に新たな核軍拡を開始せんとする米帝レーガンの姿勢は、この交渉の破壊を狙うものである。
 83年三月二三日、レーガンは歴史的な「スターウォーズ演説」を行った。以降、戦略防衛構想(SDI)いわゆる宇宙軍拡がレーガン政権により全力で進められようとしている。
 SDIの目的は「宇宙空間に最新の科学技術を動員したレーザー・ビーム兵器等を配備することにより、包括的なABM(ミサイル防御)システムを完成し、ソ連の大陸間弾道ミサイル(ICBM)に対する鉄壁の防御璧を作ること」とされている。しかしレーガンがいかに言葉巧みに説明しようとも、SDIが米国の上空に対ミサイル防御網を形成し、ソ連・社会主義諸国に対する先制第一撃兵器や宇宙配備の新しい対ソ核戦争戦略の展開を狙うものであることは明らかである。事実、レーガンは今後五年間に二六〇億ドルをSDIにつぎ込み、MXミサイル五〇基配備、B1戦略爆撃機百機配備を進めんとしている。「核兵器の登場は通常兵器を排除しなかったし、核軍備と通常軍備の双方の軍拡競争を招いたにすぎない。それと同様に宇宙兵器の開発も軍拡競争が益々激烈なものになり、新たな領域に広がるといった一つの結果をもたらすにすぎない」とゴルバチョフ・ソ連共産党書記長が正しく指摘する通りレーガンはその核軍拡政策を一層強めようとしている。
 「絶対突破不可能というミサイル防御網の配備は不可能」という結論は米国科学者連盟、米国議会技術鑑定局ですらSDIへの反論として主張している。事実レーガンも「発射されたICBMの六%は防御不可能」としている。米国のSDIに対抗してソ連はSDIより極めて安価にその対抗手段を開発」、更に「六%の可能性」を高める為に、ICBM、SLBM(潜水鑑発射弾道ミサイル)を増強せぎるを得ないであろう。地上に溢れる核弾頭が更に増大する。そして膨大な電子システムを必要とするSDIは現在ですら既に一五〇回も経験されている偶発戦争の危険性を高めずにはおかないであろう。
 SDIの危険な第二点目は、この計画がABM制限条約の破壊を狙っているということである。この条約は、72年にソ・米間で提結された無期限条約であり、ソ・米それぞれ二ケ所(首都とICBM発射基地)に限って弾道ミサイル迎撃ミサイル(ABM)によるABMシステムを構築することを認め、他は禁ずるものである。これは「核戦争には勝利者はなく、また、この現実を回避できると信ずるのは危険きわまる幻想にすぎないという点での意見の一致を反映したもの」英・ハウ外相、85年三月)であり、その後のSALTなど様々な核軍縮の取り決めの土台となっている条約である。すなわち、本年三月の]線レーザー実験などABM条約の公然たる破壊を目論むSDIは、条約の基本認識を踏みにじり「核戦争を闘い、これに勝利する」というまさに危険きわまりない帝国主義の対ソ核戦略なのである。
 ソ・米交渉の前進・成功のために、このSDIを中止させることが今、なによりも必要である。SDIに反対する声と行動は既に世界中から起こっている。欧州では、仏、ノルウェー、デンマーク、ギリシャがSDI不参加を表明した。NATOの主要国である西独と英国ですら、欧州の全産業を米国の巨大な軍産複合体の″下請け業界″に転落させる危険性を持つSDIの参加に危惧し、仏・ミッテランの提唱するユーレカ計画(先端技術の欧州共同開発計画)に急接近している。また、ニュージーランドに続くアイスランドの全面非核政策、米軍基地撤去をかかげるギリシャ社会党の総選挙勝利は、帝国主義の対ソ戦略に大きな打撃を与えている。米国内ですら、下院が国防費伸び率ゼロの来年度予算を可決させるなどの動きが出ている。
 一方、SDIに最も積極的な理解を示し、レーガンを支えているのが、今日の帝国主義陣営の中で大きな位置を占めるにいたり、米国がSDIに必要としている先端技術を最も多く保有している日本である。中曽根はサミットの日・独首脳会談での「SDI研究に正当性」発言に続き日・米首脳会談では、これまでレーガンが欧州諸国を「説得」するために用いていた説明を五点にまとめて逆提案し「SDIへの五原則」として発表した。レーガンが完全に同意することが明らかな内容をわぎわぎ「原則」として発表したことは、中曽根が今後公然とSDIに参加することの布石に他ならない。かかる中曽根自民党政府の政策に反撃を加えていくことはレーガンのSDIを阻止する上で極めて重要であると言える。
 SDI断固阻止!ソ・米交渉成功へ闘いを強化しよう!

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