青年の旗 1985年1月1日 第95号

【主張】 1985年--年頭にあたって--

 平和共存と緊張緩和の闘いに特徴づけられる七〇年代に続く八〇年代前半の国際関係は米帝国主義に於けるレーガンの登場によって帝国主義の巻き返しによる緊張激化と、その裏返しである帝国主義間矛盾の先鋭化に特徴づけられる。そして昨年十一月六日決定したレーガンの米大統領選勝利は、国際情勢に於ける緊張を益々激化させる結果をもたらした。腐朽化していく米帝国主義は二兆ドルの国債発行、二千億ドルに達しようとする経常収支赤字、七・三%もの失業率の中で、その抜け道を見い出すことができず、ただ核戦争の道を進んでいる。
 国家予算の二九%を軍事費につぎ込み、世界に於ける矢なわれた政治的・経済的権益を取り戻さんとし、グレナタ、ニカラグア、エルサルバドルなどで戦争挑発策動を行っているが、中南米に於ける紛争は、既に米帝国主義が自由に支配し、搾取することのできる地域を地球上から失ないつつあることを示している。しかし、「ソ連との核戦争に勝利し、生き残る」ことを目的とするレーガン政権は、西ヨーロッパへのパーシソグU配備を強行し、対ソ核包囲を現実のものにしようとしている。
 しかし、欧州における米帝国主義の位置は、既に帝国主義間矛盾の激化と共に低下し、パーシングU配備についてもオランダに続きベルギーも昨十一月三十日、配備決定を延期すると発表した。又、十二月五日NATO国防相会議では、ワルシャワ条約機構から提出されていた「核ミサイル配備凍結提案」の拒否決議に対してデンマーク、ギリシャが賛成投票を放棄している。こうした背景にあるのは、欧州においては仏・オーストリア・スペイン・ポルトガル・ギリシャ・スウェーデンなどの社会主義政権の存在であり、英炭鉱労働者をはじめ各国人民の平和・労働運動の闘いの存在である。
 こうした情況の中で極東の現状は楽観できるものではなく、むしろ核戦争に向けた危険性はより増大しており、帝国主義の対ソ核戦略の中で極東の位置は欧州と共に展も重要な戦略地域としてその陣型を整えてきており、昨九月の全斗煥来日は、米日韓軍事同盟を名実共に確固たるものとした。ソ連極東地域の要所であるウラジオストック、ペトロパフロフスクを先制第一撃で狙うことのできる日本の基地は、核戦場の中心となりつつある。昨六月米第七艦隊へのトマホーク配備に続き十二月核積載原子力空母カールビンソンの寄港、更に三沢基地への核搭載機F16の配備計何など、日本を対ソ核前進基地とする策動が進められている。こうした状況の中で緊張緩和と平和を闘いとる人民の闘いは欧州を先頭に着実に前進しており、英国での「トライデント」反対二万人集会の成功、非核都市宣言の闘いはベルギー…二八一、英…一五七、アイルランド:一一七、ノルウェー:八一、オランダ:・七一、イタリア:五三と拡大している。こうした闘いの中でレーガンをして大統領選では「平和と軍縮」を語らせ、今七日にはソ連との軍縮交渉のテーブルにつかせたのである。しかし、日本に於ける闘いは、昨年夏原水禁世界大会の開催を巡る状況に示されるように、「反トマホーク」という全ての平和勢力が掲げる課題においてさえ、統一した闘いを組むことができ得ていない。カールビンソン寄港反対闘争も神奈川県・横須賀市の反対声明という武器が存在しながらも、社共合わせて二万人の集会だけで終ってしまっているが、非核都市宣言の闘い、逗子・那覇・三宅島での選挙戦の勝利、横須賀・佐世保・厚木・下総などの反基地闘争等全国各地で、分散的にではあるか闘いは展開されている。しかし、情勢はもっと大衆的な、そして統一された闘いを要請しているのである。政府・独占は軍事費の一%枠突破を一つの集中環としながら、非核三原則の空洞化・自衛隊の海外派兵を着々と現実のものとしようとしている。軍事費の拡大を許さず、核基地化阻止を掲げ、三・一ビキニデーの成功へ向け闘いを進めなければならない。

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 政府は十二月二九日、臨時閣議で来年度予算の政府案を正式決定した。一般会計の現僕は大蔵原案と変わらず、五十二兆四千九百九十六億円、前年度当初予算費三・七%増である。その内容では、来年度末に残高が百三十三兆円に達する国債の利払いのため十兆二二四二億円まで国債費が急聴し、社会保障費や文教費が切り捨てられる半面、防衛費は原案より五百十四億円も上乗され六・九%増の三兆一三七一億円となっている。中曽根内閣の性格をストレートに表わしたこの政府案の特徴は第一に、緊縮財政が始まって以来続いている軍事費の突出であり重点配分である。一般歳出に占める割合は九・六%と、前年度(九・〇%)より更に上昇し、GNP比は〇・九七%で前年度当初予算での〇・九九一%を上回り、「一%」まで八十九億になった。この中で後年度負担額は既発注分が九・二%増の一兆七百三十五億円、新規分が六・三%増の一兆二千三百二十八億円、合計で七・三%増の二兆三千五十八億となっている。この中には三百三十億円全額を六十一年度以降の負担で導入する地対空ミサイル「パトリオット」も含まれている。こうした軍事予算に対して独占は「活況につながる内容」(佐々木三菱重工常務)又、「GNP比一%論のごとき無意味な論議にとらわれず、必要な防衛費は最優先に認めるべきだ」(日向関経連会長)と発言、明確に一%枠突破を狙うと共に軍需産業の育成による日本帝国主義の生き残りを目指している。第二に、社会保障、生活関連予算の徹底した切り捨てである。生活保護費、社会福祉施設運営費、失対費など地方への補助率が一〇%引き下げられ、医寮費も三月一日から診原報酬が三・三%引き上げられる。
 この予算案は今月下旬には国会に提出され国会での論議が始まる。反独占勢力の闘いによって、大型間接税導入を阻止し、軍事費の削減を克ち取らなければならない。
 独占内矛盾の激化をはしなくも露呈した自民党総裁選は「中曽根再選」で結着したが、公明、民社を取り込んで行われた「二階堂擁立工作」は、日本資本主義の腐敗を示すとともに、独占の政治的代理人の選定について独占内で対立・分岐があることを表わしており、中曽根が再選されたとしてもその不安定性、政治的分岐は増幅されている。独占資本は、第二次中曽根内閣発足と同時に「新内閣は行革に政治生命をかける中曾根首相の下行革内閣に徹せよ」(日経連タイムス)と主張している。中曽根は既に老人医療の有料化・健保改悪・人勧の三年連続凍結値切り、臨教審設置、専売民営化、年金法改悪、電々民営化まで強行し、今一〇二国会では、警察拘禁二法、男女雇用機会均等法、労働者派遣事業法など行革反動話法案が目白押しとなっている。更に「危機管理」 「スパイ防止」を名目とした有事立法、国家機密法などまでもが具体的スケジュールに上げられている。
 中曽根の「戦後政治の総決算」は、改憲に向けステップの速度を早めており、軍拡・行革・収奪強化路線は、国民を犠牲にしながら一層強化されている。こうした中で、日本労働運動の現状は、公労協、とりわけ国労・自治労・日教組・全逓など、これまで闘いの先頭としてあった組合が政府独占の解体攻撃にさらされ、無防備に近い状態にまでされており、八四春闘は、全民労協が主軸になりつつあることを示した。政府独占の攻撃の中で反撃のエネルギーは益々蓄積されてきているものの、闘いに組織しきれず後退を余儀なくされている。かかる中で昨十一月一日、総評・中連・純中立(一〇二単産、九00万人)が八五国民春闘共闘会議を発足、八五春闘勝利に向け闘いを開始している。更に、総評・同盟・中連・新産別・全民労協は十二月四日賃上げ要求の統一基準を「七%以上」とすることを決定した。この数字白身が現在の労働者の生活実感・実態に即した数字であると認めることは疑問であるが、中曾根反動内閣の軍拡・行革・収奪攻撃の中で八五春闘を全ての労働者の決起によって再構築していくことが重要となっている。しかしそれを指導する部隊のひとつである社会党は十二月十三日八五年度連動方針案を決定したが「道」の実質的廃棄、「新宣言」の策定を打ち出した。この内実は「ニュー社会党」という現実を基準とした「よりまし政策」による「連合政権」への「脱皮」を方針としたものである。又、総評も、十四日全民労協の「基本構想」に対し、総評が「留保条件」としていた″五項目補強見解″の中で野党と労働団体の協力関係について「労働団体問で方針が異っており、全野党との協刀・共同闘争に関する合意形成は無理」であるので「政策・要求で一致する課題について協力する」との見解を明らかにした。これはこれまで「全野党共闘」を条件としていたものを投げ捨て、社公民路線への定着を認めたものである。これに対し、日本共産党(代々木派)は社会党・総評に対して、「右転落」のレッテルをはり、統一労組懇のみが正しいとする独善主義に埋没している。今求められているのは、労働者階級の統一した反行革・軍拡阻止、大衆収奪粉砕の闘いである。そして、その闘いの中から八五春闘勝利と労働運動の再構築の展望が示されるのである。レーガンの核戦争戦略に連動する中曾根内閣の行革・軍拡・反動諸法案を粉砕し、予算国会包囲の闘いから、八五春闘勝利へ前進しよう!

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