青年の旗 1985年1月1日 第95号

【講演】 「原水禁運動と日本共産党」 吉田 嘉清

 十二月二日、大阪において、関西労働講座十二月例会が開催された。
 講師には元日本原水協常任理事・吉田嘉清氏が招かれ、84年原水爆禁止世界大会準備委員会・日本平和委員会・日本原水協等に日本共産党から持ち込まれた混乱、そして、それが日本平和運動に与えた影響と今後について講演が行なわれた。
 以下は、講演の要旨と質疑応答の一部であり、本紙の大阪の編集局員の文責、報告によるものである。

 八四年の日本反核・平和運動には、ペンタゴンによる日本周辺へのトマホーク配備が日程にのばる中で、欧州の反核運動を受げ継ぎ被爆四〇年の節目を前に運動の側にも総括と展望を持って、反トマホーク行動を国民的規模で展開することが要請されていた。戦後の反核・平和運動は、ビキニ被災を契機とした全国民的な高揚から、部分核停・社会主義国の核の評価等を巡る分裂を経て、禁・協合意(七七年)により運動体が統一する方向へと前進してきている。七年間に及ぶ統一世界大会開催の中から、対立を克服しながら協調を拡大する議論が活発になってきていた。
 しかしながら、運動の統一と更なる発展を推し進めるべき日本共産党は、反トマホーク行動の前進を阻害し、大衆団体への不当な介入をもたらし、全く不充分な内容の「東京宣言」を絶賛するという誤った「指導」で日本の反核・平和運動を破壊している。
 四月に発表された「論文」では、総評・原水禁を安保・自衛隊肯定の団体と規定し、これとの共闘を分裂固定化に直結するとして拒否した。この「論理」に則って、反トマホーク行動センター結成に際しては@反安保をつけるC呼びかげには党本部も加わる、との全く国際情勢、運動の発展論理を轄視した絶対条件を付したのである。
 更に、日本平和委員会事務局長森賢一氏、日本原水協代表理事吉田嘉清氏に対して@持続共闘問題−総評・原水禁との共闘を継続的に行なうA団体旗問題-平和行進での団体旗自粛要請を承認したB反トマホーク行動の管理統制がとれていない、との三つの″罪状”を理由として辞任を決定し大衆団体の人事、運動論に党自らが介入するのである。最大の問題となった団体旗問題については、市民団体からの「自粛要請」を一旦は受け入れながら、行進出発日当日になって「受け入れていない」と翻したものである。
 混乱の中でもようやく開催された世界大会は、何ら団結・連帯の方向が打ち出されていないことは明白であるが、「戦後の大会で最高のもので特に『東京宣言』は画期的」と絶賛の評価を行っている。しかし、「東京宣言」採択の過程で、太平洋諸国人民が「太平洋が核実験場であり、ウラン鉱採掘の場であることに注目していない」として棄権している。絶賛の根拠である”核兵器禁止緊急課題論においても軍縮と一切結合しておらず、軍拡競争を支える構造を無視した単なる拍象的な″御題目″に終止している等、全く不充分な内容である。
 この現状の下で、今後の展望は、様々なイニシアティブー労働運動、市民団体等−が登場し、独白の展望を持った形で一体化されていくことが重要である。大衆自身が自立的に闘争を展開し、運動の中に敵を作らず、現在の運動の中から新しい運動諭を構築していくことが問われている。

質疑応答
<質問1>一部の人々の中には、日本共産党および日本平和委員会、ニュー原水協は、今回の日ソ両党会談との関連で、ソ連よりないしは世界平和評議会よりになっていくととらえ、それと対立した形で運動や問題を提起していますが、それについてはどうお考えでしょうか。
<質問2> 東京宣言に欠落している、段階的経過的措置の課題の重要性、とりわけ六三〜六四年に問題となった部分核停条約の評価をめぐる問題については、どうお考えでしょうか。
<質問3> トマホークの戦略的位置づけをめぐって、共産党の各個撃破論に対して、ソ連へ奥深く侵略することを目的とした戦略核兵器として位置づけるべきだという論議がありますが、これはどういう問題を内包しているとお考えでしょうか。

<答>
 多くの複雑な問題がからみあっておりまして直接の答えにはないと思いますが、私は一九五〇年の段階で、ソ連が防衛核として核を持つのはやむをえないという見解を持ち、今でも持っています。
 しかし、一九七五年とか、現代の段階においては困難な状況に来ている。防衛核といっても自分の国自体が滅びるという時点にまで至っている。今でも一方的核軍縮をやって、アメリカと世界の人民を信頼して、立ち向かっていくという体系がが成り立たないかという論議があります。これは根本的な問題で意見が別れている。イギリスの友人は非常にはっきりしている。ところが英の核は何の役にも立たない。だから英労働党は一方的核軍縮であり、これは成立するという問題があります。
 日ソ両党会談の問題ともからみますが、今度の世界大会でもっとも日本共産党、ニュー原水協に批判的であったのは、世界平和評議会の友人とソ連の友人なのです。表向きは別として、彼らが独善的であり、お題目主義的であるということです。本当に核兵器を禁止したければ、いろんな部分的措置との結合を含めて、全面的な最終目標を設置し、期限をつけてそれを行うということが必要なのです。
 部分核停条約の問題については、私はやはり歴史的総括を行ない、高い次元での全面禁止条約を含めた方向に課題を設定していった万がいいのではないかと思っています。
 トマホークの問題については、べトナム戦争のときの各個撃破政策の延長として、レーガン政策を考えていたからこそ、「文化評論」その他のトマホークは各個撃破の兵器だという主張が出てきているわけです。ところがレーガン政権になって、ソ連は悪魔の国であるということで、基本的には対ソ戦略兵器であり、もちろん戦域・戦術兵器としても使えるというものとしてレーガン政権の性格と絡めて見るべきだと思います。べトナム戦争のときのケネディ政権と同じように見るのは間違っていると思います。この点は共産党は手直しを始めています。
 日本共産党の最大の欠点は、自分が言うことは良いけれども、人が先に言ったことは間違いだと、後に言っても自分を通過しないのは良いものでも間違いだというところが、独善主義というかセクト主義というか大きな問題ではないかと思っています。

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