青年の旗 1986年3月1日 第109号

【主張】 大幅賃上げ、社会福祉・資本の拡充を 
                 86春闘勝利へ前進しよう!


<実質可処分所得六年ぶりマイナスヘ>
 八六国民春闘共闘会議の「八五年家計調査」によると首都圏に住む平均的サラリーマン世帯の実収入は昨年三・五%の伸びを示したが、実収入から非消費支出を差し引いた可処分所得は一・八増にとどまり、物価上昇を考慮した実質可処分所得はマイナス〇・八%となり、六年ぶりのマイナス成長となった。住宅ローン、教育費の高騰に苦しむ労働者の生活実態はますます厳しくなっている。

<日経連報告と拡大する矛盾>
 日経連は、一月二一日臨時総会を開き、労働問題研究委員会報告「生産性基準原理を軸に活力と安定の確保」を承認した。報告は、従来からの生産性基準原理を再認識するよう要請、大槻会長は今春闘の賃上げは三%程度が適当と表明、併せて報告は、労働時間短縮についても賃上げと同様、生産性向上の成果配分でなければならないと批判、また、時短や六〇歳定年制を推進する労働行政にも矛先を向けて「労使の自主交渉の介入は避けるべきだ」と強い調子で批判している。こうして日経連は、今春闘に例年以上に厳しい姿勢で臨む方針を打ち出したが、その一方で、五島日商会頭は「これまであまりにも賃金を抑えすぎてきた」と指摘し、生産性基準原理を真っ向から批判した。また、産業構造審議会は「労働生産性の上昇が貨金に適切に分配されていない」として賃上げとともに一二世紀に向け、労働時間を一九〇〇時間内にするように提言した。この他にも「労働問題にも目配りした経済運営をする」(平泉経企庁長官)「野党が考える一兆円から一兆五千億円という規模の思い切った減税にする」(加藤六月自民党税制調査会長)といった発言、経済審議会の報告「経済成長の成果は賃金や労働時間の短縮に適切に配分すべき」などにみられるように、今春闘を前にして独占内部、政府と独占資本の間に内需拡大をめぐって矛盾が大きくなってきている。

<力量低下のJC>
 こうした、情勢を受けて労働側は、まず総評が、定昇抜き八%を土台に昨春闘を上回る要求を決定、同盟は七%、一万五千円の要求これを受けて、国民春闘共闘会議は、昨年と同様に要求基準を「七%以上」とした。しかし、こうした要求を克ちとっていくための戦線配置という点では、残念ながら目新しいものはない。しかし、低成長期を迎えて以来、春闘相場を形正してきたJCの力にかげりがみえてきたことは間違いない。とりわけ造船重機労連は、当局の合理化攻撃のなかで産別統一闘争に黄信号がともっている。三菱を除く大手六社が一月末までに組合に提示した合理化案は約一万六千人。六社の現有勢力が約八万九千人だから、およそ一八%にあたる。なかでも深刻なのが日立と三井で、日立は一万七千人の現有勢力のうち五千人の削減と年末償与の分割支給などが提案された。鉄鋼労連の千葉副委員長自身が言明しているように日本銀行の主要企業分析で七四年と八四年をくらべるとこの一〇年間で人件費比は八七・六%の増で一方、経常利益は二九七・八%も伸びている。次に一人当たりの人件費と経常利益を@七五−七九年度とA八〇ー八四年度の二つのタームで比較すると@の期間の一人当たり人件費は年度平均で三五〇万円Aの期間は四九八万円で@に比べて四二・一%の伸び。一方、経常利益は@の期間で九四万円Aの期間は一七八万円で九八・三%の伸びと人件費に比べると二倍以上の伸び率である。この間の鉄鋼は@とAの期間比で人件費は四七%、経常利益は五七%とほぼ同水準の伸び率であり、この数字からみても鉄鋼に本来高い賃金相場を形成する力がないことは明白なのである。

<注自される第三次産業共闘の結成>
 こうした状況のなかで、新しい戦線配置が求められており、今春闘で注目されるのは「八六賃金闘争第三次産業等労組連絡会」の結成である。これは、交通・運輸・情報・通信・エネルギー・サービスなど公益産業の労働組合がナショナルセンターの枠を超えて集まったもので、結成総会には二三組織、一七六万人の代表が参加した。新共闘の結成目的は@第三次産業に働く労働者が全雇用労働者の六割を占めつつあるA労働組合の組織率が低下するなかで第三次産業は今後も雇用が伸びると予想される-との判断から第三次産業労働者の結集をはかり、春闘や労働運動の活性化につなげようというもので、新共闘は民間ではJCに次ぐ組織となったのである。今回の新共闘の結成は、八三春闘後、私鉄総連が提唱し、充分には成果をあげられなかったがJC依存から脱却し、鉄鋼回答前の集中決戦方式の確立に向けた第一歩としていくことが要請されている。

<国鉄問題と政策制度要求>
 一月十三日に提案された「労使共同宣言」、そして二月二八日には、分割・民営化法案上程が閣議決定と国鉄の分割・民営化反対闘争は決定的な局面を迎えている。国労の山崎委員長が「分割・民営化」反対署名が三千五百万人にのぼることを強調しながら「分割・民常化」の是非を問う国民投票を政府に提起したい意向を示すなど大胆な方針提起が要請されるている。
 また、減税については、四野党が二兆三千四百億円の所得税・住民減税の実施を要求、今春闘で注目されるのは、総評がパート問題を中心課題に据えたことである。
 八六春闘はすでにスタートしている。八六春闘は、真柄総評事務局長の言葉を借りていえば、今年ほど労働組合の存在価値が問われている春闘はないのである。低額回答を全労働者の団結の力ではね返し、春闘勝利に向けて全力で闘い抜こう。

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