青年の旗 1986年5月1日 第111号

【主張】 中曽根政治に終止符を!--東京サミットが示したもの--

<「臆面なくかつ冷血な国際テロリストおよびその共犯者」のサミット>
 東京サミットが採択した「国際テロリズムに関する声明」ほど、今回のサミットの厚顔無恥な帝国主義の立場をさらけだしたものはない。声明の中にある「国際テロリズムを主唱し、政府の政策の具として臆面なくかつ冷血に利用」しているのは、リビアの首都トリポリの目と鼻の先で大規模な挑発的軍事演習を行い、サミットを直前に控えてあえて危険きわまりない爆撃を行ったアメリカ帝国主義およびこれに同調するサミット参加諸国以外のなにものでもない。
 リビアを名指しにしたこの反テロ東京声明についてレーガン政権は手離しの喜びを表現しているのであるが、事態はそれほど単純ではない。アメリカが最も期待した対リビア経済制裁については合意をまったく得られず、レーガンの親友中曽根までもが「声明であげた措置は各政府の判断で行うとされており、われわれは独自の判断でやる。日本の中東政策は変わっていない」と記者会見で発表する始末である。
 これでは何のために共同声明をまとめあげたのか、「一部協議、一部儀式、大方は儀式」 (タイム誌)とまで表現される単なる大袈裟な政治ショーとしてのサミットの実態を象徴している。

<ソ連・核軍縮提案に一切応えられず>
 「政治宣言」にかんしては、空虚な言葉の羅列に終始し、内容の貧困さは目を覆いがたいものである。それにもかかわらず、何とか表面を取り繕うことができたのは、ふってわいたようなソ連・チェルノブイリ原子力発電所の事故であった。しかし、大々的な反ソ・キャンペーン、反ソ政治ショーにも眼界があった。西暦二〇〇〇年までに核兵器を地球上から全廃しょうというソ連・ゴルバチョフ書記長の核軍縮提案には何らの対案も持ち合わせていないし、反論することさえできなかったのである。
 サミットの全体を通して核戦争を宇宙にまで拡大する最も危険きわまりないSDlにかんしては一言も触れることができず、核実験の全面禁止・核兵器の削減廃絶にかんしては表面的な言葉さえ登場しなかったのである。こうしたサミットからは、軍備増強論が大手をふってまかり通っても、平和と軍縮へのイニシアティブは一切出てくるものではないことを改めて示すものであった。

<中曽根の孤立>
 日・米・欧帝国主義ブロックの解決しがたい矛盾と対立を際立たせたのは「経済宣言」をめぐる論議に噴出したといえよう。とりわけ中曽根の孤立は、米欧帝国主義ブロックの共同戦略でもあった。
 中曽根はレーガンとの会談で「為替相場は安定が大事だ」と訴えて、頼みの綱のレーガンから協力を取りつけようという淡い期待を寄せたのであるが、「大局的にいえば、為替相場の調整、変化は対外バランスの調整に役立つのも事実である」というまったくつれない返事で、ロン・ヤス関係を生かした思惑は見事に外れたのであった。そして、ローソン・英蔵相にいたっては「日本を除くすへての主要先進工業国は円相場がさらに上昇することを期待している。もしそうならばいいとすれば驚きである」と断言したのである。

<「政策転換のコンセンサスなし」>
 「経済宣言」はさらに、「国際政策協調構想」なるものに基づいて、GNP成長率、インフレ率、金利失業率、財政赤字比率、経常収支及び貿易収支、貨幣供給量の伸び、外貨準備、為替レート等の指標による「多角的経済運営監視」を行うことを確認したのである。これはそれぞれの帝国主義諸国間の先鋭化する矛盾と対立に基づいた「相互監視」であると同時に、明らかに何よりも日本に向けられた監視である。
 中曽根は、わずかに「経済宣言」のなかに「有益なら市場介入」という言葉が挿入されたことをもって「成功」であったと強弁しているのであるが、ヤイター米通商代表は「中曽根首相は四月の訪米時に、内需拡大を国民的目標としたにもかかわらず、帰国するやいなやこの約束を忘れており、これは日本政府に政策転換のコンセンサスがない証拠である」と語気強く批判を展開している。
 かくしてサミットは、多角的自由貿易交渉にかんする新ラウンドの開始時期の決定も出来ず、中曽根はあらめる面で思惑が外れてしまった。独占資本を代表して石原・経済同友会代表幹事は「為替問題では不満足だ。機動的な協調介入の必要性をもっと強調してほしかった」と不満を表明した。
 今回のサミットは、レーガン、中曽根、サッチャーの時代が確実に終焉しつつあるにもかかわらず、政策転換のコンセンサスをつかみえない帝国主義諸国の実態、矛盾と対立をさらけだしたものといえよう。逆に言えばこうしたなかでこそ、平和と民主主義勢力に有利な力関係に逆転できる、そのような政策転換のイニシアチブをとることのできる情勢が到来してきていることを強調すべきであろう。レーガン、中曽根のような政治を許さない、支配階級の矛盾にくさびを打ち込む、裾野が広く広範で強力な統一戦線を形成するために総力を結集するヱとこそが平和・民主・進歩・労働の勢力の基本的な任務でなければならないのである。

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