青年の旗 1987年3月1日 第121号

【主張】 歴史的転換点に立つ87春闘

 八七春闘は売上税導入・マル優制度廃止阻止を目指す国民的な闘いの渦の中で闘われようとしている。「今春闘の具体的な課題は賃上げであり、雇用の確保であり、税制改悪反対であり、防衛費のGNP比一%枠突破反対であり、労働時間短縮ならびに労基法改正であるが、それらの根っ子はただ一つ、自民党と財界のとってきた路線に対する闘いである。つまり八七春闘は中曽根内閣と真向から対決し、政治と経済の流れを変える春闘である」(黒川議長、二月五日、総評臨時大会)。八七春闘はこの総評議長あいさつに示される「政治春闘」の色合いを強めつつある。なぜならば、政府自民党の進める政治・経済政策がほんの一握りの独占資本のために独占資本以外の全ての人々に犠牲を押しつけようとしていることが益々鮮明に浮かびあがりつつあるからである。労働者階級はもとより、中小商工業者、百貨店・スーパー店主、農民が続々と売上税反対の闘いに立ち上がり、数々の県議会、市町村議会が反対決議を採択し、自民党内部にすら動謡が表われている。かかる中で、売上税の最終的な、そして最も大きな被害を受ける労働者階級の首切り、賃下げ攻撃と闘う八七春闘の大衆的闘いの高揚と、その闘いの売上税阻止闘争との結合によって、労働者階級が売上税阻止の広範な闘いの軸となって反独占統一闘争を前進させ、この国の政治と経済の流れを根本的に転換させ得る条件が拡大しつつある。八七春闘を職場から大衆的に闘うことの持つ意味は極めて大きい。

<「円高」を口実とし、強まる合理化・賃下げ攻撃>
 八七春闘を前に、「円高」を口実とした雇用合理化・首切り、貨下げ攻撃と労働者階級にはかつてなくきびしい攻撃がかけられている。本年二月の失業率はついに三%を突破し、完全失業者は一八二万人と統計史上最高となった。鉄鋼大手五社が春闘前を狙い打ちしたように提案した合理化案では、五社で四四三00人が削減され、雇用人員は現状の四分の一に減らされようとしている。神戸製鋼では雇用合理化と共に賃金制度の改悪(年功要素の圧縮、能力・業績をより反映した体系への移行)が策動され、三月からは事実上三%の賃金カットが導入されようとしている。「円高」の直撃を受けている製造業・輸出産業では全体の事業所の中の四二%が「残業規制、中途採用の削減・停止、臨時雇用者の再契約停止・解雇」といった雇用「調整」を計画しており、中でも一時休業や希望退職募集・解雇にまで進む事業所が少しつつ増えている。
 更に、この間の労働者派遣法、男女雇用機会均等法に続き、変形労働時間導入を柱とした労基法改悪が目論まれており、資本による搾取強化のための労働諸法改悪攻撃が強められつつある。

<「円高」をバネに超過利潤拡大を狙う独占資本>
 独占資本は「円高」をバネにしてこれまでに蓄積してきた超過利潤を維持・拡大するための国内産業再編と海外への積極的な資本進出、そして一層の強搾取と労働者階級への犠牲転嫁を進めんとしている。円高不況と言われているにもかかわらず独占資本の経常利益はこの十年間で四倍、内部留保は三倍に膨れあがっており、この独占の超過利潤には手をつけないままに、雇用合理化、賃下げが行なわれ、次々に海外へと生産拠点が移されようとしているのである。競争力の弱い産業・業種、中小企業の切り捨てと大量失業を前提とした産業構造調整を打ち出した昨春の「前川レポート」は「円高」を契機とした独占資本の超過利潤拡大のための産業構造再編・海外進出を進める選択を政府・独占が示したものであった。進行しつつある資本主義の全般的危機の深化の下での帝国主義間矛盾の激化、なによりも最大の資本主義国・米国の債務国への転落と急速な国家財政赤字・貿易赤字の拡大、その一方で、国民一人あたりのGNPが米国を抜いて世界一となった日本の経済的影響力の拡大、この日本で生産的投資先を見出せず増大する一方の過剰資本、この日本の遊休資本によって三割が買い支えられる米国の巨額な財政赤字、このような矛盾の危機的拡大の下で日本の政治府・独占が選択したのが「円高」を契機とした産業構造再編・海外資本進出、そして労働者階級をはじめとする独占資本以外の全ての階層に対する犠牲の転嫁である。今春闘の背景で進みつつある軍事費GNP比一%枠徹廃、国家防衛秘密保護法上掟策動はかかる政府・独占の選択に見合う政治路繰、政治支配体制作りに他ならない。

<雇用合理化・貸下げ・売上税と闘う釘春闘を!>
 八七春闘は日本の労働運動にとって戦後の労働運動の中での一つの大きな転換点になろうとしている。独占資本による産業構造再編を伴うこれまでにない深刻な雇用合理化、賃下げ攻撃によって、これまでの日本型労資関係の中で意識形成されてきた年功序列賃金、終身雇用、企業内労働組合の枠そのものが突きくずされようとしている。今春の日経連労問研報告が「近年のわが国の労働・雇用環境に生じつつある変化」への対応の必要性に言及して最後にまとめているのは、独占資本にとっても今日の変化に対応した新しい労資関係の確立し、これまで同様独占利潤には手をつけさせずにおく関係を維持する必要にせまられていることを示すものである。一方、労働者階級の側においては、今秋の全民労連結成へと動きつつあり、これを労資協調路線の方向に進めつつある指導部の意図や、逆に、この結成の動きに対して政治的線引きを行ない、孤立して「階級的」労働運動を「守ろう」とするよう窒息図が存在している。しかし、これらの意図とは独自にこの進みつつある労働者の統一を、敗北し続け、組織率三割を切った日本の労働者階級と資本との力関係を克服せんとする労働者の意識と団結に依拠して、産別統一闘争、産別統一組織へと拡大する条件は拡大している。その条件と闘いの課題は資本の側が自ら与えてきており、労働者階級の今春闘の闘いは進みつつある労働者の統一の方向と内容に極めて大きな影響を与えずにはおかない。その意味で87春闘の持つ歴史的意味は重大である。
 「政治春闘」の色合いが売上税阻止の闘いの拡大や統一地方選をひかえて益々濃くなりつつあるが、このような状況の下で「(売上税反対は)銭を取る手投に使うのではない・・・売上税阻止闘争をやるならば最後まで納得する闘いをやる春闘に」(私鉄総連)という総評臨時大会での主張を確認しておくことは重要である。進行しつつある雇用合理化、賃下げ、労基法改悪と大衆的に闘う中で、売上税阻止の闘いと結合し、その広範な闘いの高揚、反独占統一闘争の前進によって、日本の政治と経済の転換へ進まねばならない。

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