青年の旗 1987年4月1日 第122号

【主張】 売上税事実上廃案に、独占優遇税制にメスを

<売上税事実上 廃案に!>
 四月二三日の原衆議院議長のあっせんによって、国会の混迷にひとまず終止符が打たれた。
 原議長のあっせん案は、売上税関連法案を議長預かりとし、@税制改革をできるだけ早期に実現するよう各党が最大限の努力をする。Aこのため、衆議院に税制改革の協議機関を設置する。B同法案の取り扱いについて、今国会で結論がえられない場合は、各党の合意で措置する、というものである。
 このうちBで、各党合意がえられない場合は、廃案になるとされている。今の形の売上税について、与野党が合意する可能性は、一〇〇%ない。とすれば、審議未了、廃案になることは明らかだ。今回の売上税法案は事実上廃案になる。
 それに対し野党は、「完全勝利」と表明しているが、あっせん案の@でも、将来の財政需要を展望して、無前提的に、直間比率の見直しが唱われ、今後の間接税導入に道を開く礎となる可能性は多分にある。
 共産党だけが、唯一この案に反対し、「マル優廃止は含まれていない」 「大型間接税導入に道を開くもの」と、政府・自民党の論理を先取りしているが大切なことは、このあっせんを引き出した運動を評価し、前向きに次の闘いを進めることにある。四月二九日の中曽根訪米の手みやげとして、六二年度予算の成立は、何が何でも成しとげねばならないものであったとしても政府・自民党に売上税関連法案を棚上げにさせ、六二年度予算を衆院強行採決させずに、廃案にまでおいこんだのは、国民各界各層の反売上税の世論を背景にした、四野党の統一した力であることを、確認しておくことは重要なことである。

<税率一%の「福祉目的税」導入か>
 新型間接税導入の案として、有力なものとして、竹下案があろう。自民党の売上税最終妥協案として作成されたものであるが、その骨子は、@売上税の名称を改め、「福祉税」とし、年金・医療などの社会保障関係費の財源に充てる福祉目的税とする。A非課税品目業種を全廃し、税率は一〜三%に引き下げる。B実施時期は六三年四月以降とするが、国民に公約した所得税法人税減税は、六二年度から先行実施する、というものである。
 この「福祉目的税」については、社会党が一昨年発表した「中期社会経済政策」に、基礎年金の財源を確保する福祉目的税構想を打ち出しているため、福祉目的税としての新型間接税導入について、野党の合意がえられやすいという論評がされている。しかしながら社会党の提案している税は、事業主の支払う賃金、利潤などに一定の税率をかける所得税型付加価値税(直接税)で、逆累進性の強い大衆課税である消費税としての付加価値税である売上税とは、性格が異なる。
 福祉の財源が、逆累進性の強い大衆課税である間接税でまかなわれることは、我々は断じて承認できない

<独占優遇の不公平税制にメスを!>
 三月二六日に、四野党共同の「昭和六二年度税制改革の提案」が発表され、その中の「不公平税制の是正」として、@有価証券譲渡益の課税強化、A土地の譲渡所得課税の強化、B非課税貯蓄の限度管理の徹底、C貸倒引当金繰入限度額の適正化、Dタックス・ヘイブン(軽課税国)対策、外国税額控除制度の強化、E受取配当益金不算入の圧縮、F支払配当軽課制度の廃止G配当課税の改革、H給与所得控除の頭打ち制度の復活、R租税特別措置の見直し、給与所得者と事業所得者との不均衡是正 があげられている。
 その内、Cの貸倒引当金について、富士銀行が、所得申告もれにより、国税当局から重加算税が追徴された。六一年三月期における約一千億円にのぼる貸出金が本来ならば貸倒引当金の対象とならないのに、無税の貸倒引当金の対象として計上し、その分の所得を損金扱いしていたというものである。貸倒引当金の制度は貸出金の焦げ付き、回収不能など万一の事態に備えて損金扱いで積み立てておくもので銀行経営の健全さを確保するために必要不可欠な制度である。ただし、預金を担保とした貸し付けなど、貸倒れリスクの伴わない融資については除外されている。ところが約一千億円の融資が、帳簿の上では貸出金となっているが、実は預金見合いの貸付け、つまり譲渡性預金(CD)などの形で、同行の口座に環流していたわけである。そうなると、その貸付金は、貸倒引当金の対象とならないにもかかわらず、引当金として積み増し、それだけ所得から漏れさせていたのである。もう一つ浮き彫りにした問題は、貸倒引当金の繰り入れ率である。現行税法では繰り入れ率は、貸出金の〇・三%であるが、実際の貸倒発生率は、厳しい審査があり、担保もとっているので非常に少なく貸倒発生率は多く見積もっても、貸出金全体の〇・一%程度と言われている。ということは、現実よりも三倍も多く損金扱いをし、それだけ課税対象となる所得が少なくなっていることを意味している。
 これはもちろん、独占優遇の不公平税制の氷山の一角にすぎず、またそれに加え、不正利用が行なわれているのも明らかである。しかしながら、「マル優」のように、不正利用が行なわれているから、優遇制度そのものを廃止する動きは、政府・財界の方からは、当然のことながら見受けられない。
 不公平な税制をただす会が発行した「昭和六一年度版国民のための税制」で、不公平税制の是正で増える税収として、一三兆円もの数字をはじき出している。独占優遇の現行税制にメスに入れることによって、減税の財源は出てくるのである。

<本格的な税制改革の論維の展開を>
 今後の税制改革の動きについてだが、衆院内に設置が決まった、税制改革のための与野党の協議機関(国会税調)では、「減税の取扱いが焦点」になると言われている。自民党の中では、今まで公約違反かどうかの入口での論議であったが、今後は、野党を本格的な税制改革論議の土俵に引っぱりこむことに成功し、減税先行を人質とした新たな間接税論議に野党もいや応なく入っていかぎるをえなくなるという声もきかれる。
 社公書記長が、「社会労働評論」五月号で提唱した「反売上税共闘を政権構想づくりにまですすめる」ことが、今後、注目すべき動向となってくる。四野党共同の税制改革が、社会党のイニシアのもとでどこまで反独占的な改革がすすめられるかが問われてこよう。
 これから減税の財源論議がまきおこされるわけであるが、それにもまして、労働者の闘いが出遅れている。反独占の立場から、租税特別措置の廃止などでの独占への増税、軍事費の削減こそ我々労働者が掲げねばならない。そうすることによって初めて、四野党に反独占の政権構想を迫ることができるのである。

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