青年の旗 1987年8月1日 第125・126合併号

【主張】 労戦統一と我々の任務

 今年十一月の全民労連(以下、「連合」)発足を目前に控え、労戦統一の現段階では、日教組・自治労を中心とする官公労の動きが焦点となっており、ここでの闘いの方向いかんが、連合発足後の労戦統一全体の動向に、大きな影響を与えようとしている。
 我々は、傍観者であったり、評論家であってはならない。今回の労戦統一の背景と、それをとりまく、階級的な力関係を具体的に把握する中、日本の労働運動総体として闘う労戦統一に前進できるよう、全力を上げて闘わなければならない。

<労戦統一の背景>
 今回の労戦統一は、七〇年代前半に「挫折」して以降、八〇年九月の「労働戦線統一推進会」結成以来進められてきたものである。
 主体の側の背景はどうか。「企業別労働組合」として企業別に分断された状況が、克服されぬまま推移し、また、今日の円高不況の中で、「企業主義」が強まり差別化・分断化は、更に進行している。平均組合員数約二百名で、労働市場をコントロールするという組合の基本的機能を遂行しうる資格を「欠落」し、厳密な意味での労働組合ではない(その意味で、″半組合”)という状態に手がつけられぬまま推移し、今や、春闘十数連敗、組合組織率二八・二%(八六年)、青年労働者を中心とした「組合ばなれ」の進行等、その矛盾は、もはや眼界にきている。労戦統一は、この状態を克服する一つの条件として登場する「必然性」をもっていたのである。
 政府・独占の側はどうか。比類なき搾取と収奪をくり返し、巨額の貿易黒字を抱え込み、今や世界一の債権国に「成長」した日本資本主義は、そのこと自体のために新たな帝国主義間矛盾----異常な円高「攻撃」貿易戦争等--に直面している。政府・独占は、「新前川レポート」に象徴される「産業構造の転換」「内需拡大」により、「危機乗り切り」をはかろうとしているが、これは、帝国主義間矛盾が新局面をむかえる中で引き続きインフレ防止・独占利潤を保障する社会「改革」を狙ったものであり、勤労諸階層には、増税・倒産・大量失業・軍事大国化をおしつけるものである。そしてこのことは政府・自民党がこれまでとっていた「利益誘導政治の崩壊をもたらすものであり、政界再編、更にその受け皿としての、労働戦線の再編成を不可避とするものである。
 また、これまで、「日本的経営」のよき「パートナー」として、その一翼を「担って」きた右派幹部にとってはどうか。「日本的経営」を支える三本柱--「終身雇用」「年功序列賃金」「企業別組合」−のうち、「終身雇用」と「年功序列賃金」は、「崩壊」しつつある。右派幹部がとってきた労資協調路線の政策面での表現である「経済整合性ある賃上げ」「賃上げより雇用優先」「生産性に見合った賃上げ」等は、こうした中で、破綻が一つ一つ明らかになってきている。まさに、右派幹部にとっても「指導の危機」が現実化しつつある。彼らはこの「危機」を、労働運動の中から左派の影響力を排除し、弧立化させ、労働戦線の圧倒的多数を、「右寄り再編」することにより、「克服」しようとしている。彼らが、そのために、「統一(もちろん本音は再編であるが)」の旗を振らざるをえなくなったという側面もみなければならない。

<全民労連のもつ二面性>
 民間先行による労働戦線統一の「第二段階」として、今年の十一月二〇日、全民労協は、全民労連へ移行する。先述のとおり、連合に対する左派内部の対応は、残念ながらバラバラである。連合への移行は、労戦統一総体からみれば、まだまだ「一里塚」でしかなく、戦う労戦統一に向けて、左派の統一した対応が急務となっている。そのためにも、連合のもつ二つの側面について、具体的に把握していかねばならない。
 第一の側面は、「右寄り再編」としてのそれであり、主に右派幹部の意図としてあらわれている。今回の労戦統一の経過の中では、右派のイニシアチブが先行しており、連合の「進路と役割」の中でも、それが色濃くでている(たとえば、「自由にして民主的な労働運動」の「伝統の継承」(綱領)、その「強化・拡大」(基本目標)とあるが、これは、同盟路線の基本理念であり、階級闘争に対立するものとされてきた。)
 しかし、この右派幹部の意図が全てにわたり貫徹されているわけではない。現実の方向決定は、背景の中でみたように、こうした主観的意図をこえた、複合的意志の帰結として決定される。連合の基調の中でも、少なくとも「産業報国会」のような翼傘組織とはちがう「労働基本権の尊重」「力と政策」等についてふれられており、左派のイニシアチブにより労働組合として発展・強化していくための一つの手がかりはあるといえよう。
 第二の側面は、企業別に分断された日本の労働組合を産業別に再編していく一つの前提条件を内包しているという積極的な側面(労戦統一本来の意義でもあるが)である。連合は、組織人員五三八万人で、その内訳は総評一二二万人、同盟一五二万人、新産別六万人、中立労連一二三万人、その他純中立など一二一万人となっている。数の上では、同盟系が多数を占めているが、産業別にみればいわゆる日本の基幹産業はほとんど組織されている。連合という「舞台」の上で、労働四団体の枠をはずし、労働組合の産業別ならびに全国的な結集を進め、「分裂状態の克服」をはかり、産業別組織へと移行し、日本の労働組合運動総体として戦闘性保持に耐えうる主体を形成していく前提条件を、内包している。
 しかし、このことが、右派幹部のイニシアチブにまかせていて達成できないのは、火を見るよりも明らかである。
 以上、二つの側面についてみてきたが、結論としていえることは、連合を中心とした労戦統一への左派の統一したイニシアチブの発揮が、決定的に重要になってきていることである。

<我々の任務>
 今日、日本の労働者階級は、比類なき搾取と収奪の下におかれながらも、要求をかちとる現実的な展望が示されない中で、個々に分断されている。今回の労戦統一を要求をかちとる力、その現実的展望をきりひらくものにするためにも、闘う路線を、労働運動全体へ拡大する立場から、積極的にイニシアチブを現実の運動の中に発揮していかなければならない。そしてそれは、それぞれのおかれた立場からの、多様でかつ統一した闘いでなければならない。
 @官公労において
 現段階では、「全的統一」に向け、官公労部門の動向が焦点となっている。しかし、現実には労戦統一を巡る意見のちがいから、分裂の危機に直面しているといえる。官公労部門は、民間と異なり、日教組・自治労等、産別組織の形態を一定ととのえている。したがって、我々は、現在進められている「全的統一」の動きは、分裂を前提としたものにならぎるをえず、こうした「統一」には、断固反対していかなければならない。そして、日教組・自治労を中心に、産別組織として、維持強化することを前提にした、統一のため、闘わなければならない。
 A民間労組において
 まず、すでに連合に加盟することが確実でかつ右派幹部主導下の組合においては、彼らが、階級的路線を否定し、労資協調路線を進める「旗じるし」にしている「労働組合主義」を、その本来の意味(労働力の一括販売組織としての労働組合の理論と政策・実践の体系)にとらえ直し、その「確立」「強化」「徹底」のため、組合員の要求を掲げ、下からの大衆的闘いを組織していかなければならない。
 また、すでに階級的路線が、組合運営に具体化されている先進的組合においては、これまでのべてきたように闘う路線を労働運動全体へ拡大する立場から連合に参加し、共同行動を追求していかなければならない。
 右派幹部の「一元支配」とみられているJC大手労組においても、産業構造の転換、「日本的経営の見直し」の中で、「一般組合員」の下からのつき上げは強まりつつある。職場集会での不満の噴出にとどまらず鉄鋼労連傘下組合の「赤旗デモ」 「無期眼スト」、また、電機労連、全電通(総評)の反売上税集会への大量動員等、たとえ一時的とはいえ、組合全体の方針に反映させるケースも生まれている。
 従来、基幹産業部門での組合指導を、右派幹部にうばわれた左派の「弱さ」を総括するとともに、これらにどう応えていくのか、どう組織化し、更に発展させていくのか −まさにこの点での左派の統一したイニシアチブが求められている。「階級的ナショナルセンター」等の別組織をつくり、共同行動の基盤自体を失ない、「たもとをわける」のではなく、たとえ困難であっても、基幹産業労働者の多数を「組織」している連合内部での闘いを強化し、変革していく中でこそ、要求をかちとり、社会を変革する現実的展望が切り開かれていくのである。

<労青全国化と労戦統一>
 今回の労戦統一は、政府独占の狙う政界再編の動きともからみ、きわめて政治的・階級的なものである。したがって、左派のイニシアチブとは、全般的な階級闘争の分析・評価の上にたった指導性として発揮されなければならない。本来、この任務を担うべき日本共産党は、譲合主義とセクト主義のどろ沼にはまりこんだままで、統一労組懇を中心に「赤色労働組合主義」的な誤りをくり返している。
 こうした状況は、左派の統一したイニシアチブの発揮を保障しえる政治指導部隊の登場を急務としている。
 我が労働青年同盟は、今年中に全国的正式結成を実現すべく、全組織的な討議にはいっている。全国化の最大の意義は、まさにこの任務に応えていくための組織建設に向け、重大な一歩をふみ出すことである。
 全ての青年労働者の共同事業として、労青の全国的正式結成をかちとっていこう!

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