青年の旗 1988年1月1日 第129号・130号・131号合併号

【主張】 年頭にあたって

 全般的完全軍縮への歴史的転換を示した1NF条約の締結。
 一方、「ブラックマンデー」 (十月十九日)の株式大暴落は世界資本主義経済の深刻な危機を示した。
 日本国内では、円高・ドル安の進行の中、産業空洞化と大量失業時代が到来し、昨年一目には昭和二十八年以降最悪の失業率・三%台を記録した。
 十一月二十日、全日本民間労組連合合が発足し、労働運動は新たな局面に突入した。
 戦後政治の総決算の中曽根政治は、その完成を目指して竹下新自民党政権に引き継がれた。
 十一月二十五日から五日間、日本共産党第十八回党大会が開催された。闘う主体の解体的状況の中で「前衛党」としての指導性が問われた大会であったが、結果は前十七回大会で確立した反マルクス・レーニン主義と民族主義路線を深化させたものとなった。特に、自画自賛の核兵器廃絶の闘いが日本原水禁運動を分裂させたこと、社会党主敵論、労戦統一問題における赤色労働組合主義の徹底は、「左」からの運動の破壊者ともなり得る危険なものである。
 「売上税」反対の国民的闘いと事実上の廃案。その後の「マル優廃止」を軸とする税制改悪法案の国会通過・成立。国民は政治への参加から益々遠ぎかった。
 それをあおるようにマスコミは退廃文化を流布した。「漠然とした不安のなかで、利殖、グルメ、セックス、温泉情報、そしてプロ野球選手やタレントの私生活の話題に逃げ込み、気をまぎらわせている」(十二日三十日、朝日新聞社説)のである。
 これらの一九八七年を特徴づける諸事実は、我々が政治・経済情勢の激動と歴史的転換点に位置していることを示している。

<INF締結と核兵器のない世界建設への展望>
 一九八七年、人類はINF全廃条約締結という「ついに破滅を避ける道へと向うための大きなチャンス」を手にした。
 向う三年間で合計二六〇〇基余りのミサイルと核弾頭が廃棄される。更に、戦略核兵器五〇%削減条約が具体的日程にのぼっている。
 ペルシャ湾情勢の政治的緊張激化の中で締結されたこの全般的完全軍縮に向けた「良識の勝利、理性の勝利」を決して逆行させてはならない。
 ゴルバチョフソ連書記長は条約締結後の演説で次のように述べた。
 「人間は、兵器に毎日、何百万ドルも使わなくてもすむような世界に生きたいのです。人間は生きる権利、自由と幸福の権利、発達した社会が正常に機能するためにしなくてはならない人間の他の諸権利がみんなに保障されているような世界に生きたいのです」
 1NF条約締結は、こうした新たな社会建設への歴史的第一歩である。
 しかし、当然のことながら帝国主義諸勢力に、その良識を無条件に期待することはできない。
 「大切なのは、ABM制限条約を存続させることを前提とする戦略攻撃兵器の大幅削減条約、化学兵器廃絶条約、通常軍備削減条約を一日も早く結ぶこと」が必要とゴルバチョフ書記長は述べた。
 その実現に向けた全世界平和勢力の一層の闘いの強化が求められているのである。
 すでにゴルバチョフ書記長は「アジア太平洋地域の安全強化と平和協力の道の集団的探求」についての建設的提案を行っている。
 本年五月にはSSDVが開催される。
 INF条約の締結を、NATOと日本などへの軍事的肩代りと軍事分担強化へと転嫁しょうとする帝国主義反動勢力の策動を粉砕しなければならない。
 GNP一%枠を突破し、アジアにおける軍事的肩代りを策動する日本帝国主義の路線を転換させるために平和愛好勢力の共同行動と統一を推進していく闘いに全力を注がねばならない。

<深刻な危機に直面した世界資本主義と竹下新政権の政治路線>
 十月十九日の株式大暴落は、米国経済の「二子の赤字」が解決されない限り「世界経済恐慌」が必至であることを示した。
 その後も円高・ドル安は進行し、十二月二十三日にはG7が開催され「ドル安防止共同声明」が出されたものの、二十八日の外為市場は一時、一ドル一二二円台を記録した。ドル暴落の危機は、いよいよ深まっているのである。
 竹下新自民党政府は、十二月二十八日、「六十三年度政府予算案」を決定した。一般合計=五十六兆六、九九七億円(前年度比四・八%増)で、公共事業費=十九・七%増(総額)と防衛費=五・二%増、政府開発援助=六・五%憎が突出し、社会保障費=二・九%増、教育費=〇・二%増が低くおさえられたのが特徴である。
 また、内外の重要政治課題である、整備新幹線着工問題、日米経済摩擦激化にともなった市場開放策、新型間接税導入等の税制「改正」はすべて先送りした形となった。
 この六十三年度政府予算案に、竹下新政権の政治路線を見ることができる。
 それは一語で言って、「調整型・協調型政治」という看板の下で、中曽根前首相の進めてきた″総決算政治″の完成をめぎす路線であることである。
 第一に、予算実に貫かれているものは、対米配慮と内需刺激(公共・民活事業を通じた独占へのくれてやり)と社会保障関係費の切りすてである。
 第二に、赤字国債発行を一兆八、三〇〇億円減額し六十五年度赤字国債ゼロに一歩近づいたとは言うもののその内実は、NTT株売却収入を当ててのことであり、更に六十三年度税収入を九・五%増と高い伸びを見込むなど、小わば「財テク」頼りの予算となっていることである。
 第三に、防衛費のGNP比一%枠突破が完全に定着しつつあることである。防衛費の増額要求がこれ程すんなり認められた例はない。取得する装備についても、防衛専門家の間にすら疑問視する声のある洋上防空構想がほとんど無批判に、ぼう大な後年度負担を引きずりながら受け入れられているのである。
 「西欧主要国をはじめ多くの国で国防費の伸びが止まっている。軍事費は聖域ではなくなりつつあるのである。日本だけが逆行してよいのか冷静に考えるべきときである」 (十二月二十九日、朝日新聞社説)。
 六十三年度予算案の明示するものは、円高・貿易摩擦を防衛予算増と市場自由化(石炭・農業・林業等)で買い取り、「前川レポート」に示される「弱体産業」のスクラップ化、海外投資・現地生産の促進の産業空洞化と大量失業時代の到来の道である。

<「連合」の発足と労働運動の転換点>
 十一月二十日、全日本民間労組連合会が発足した。三十一年間続いた労働四団体時代は終り、労働運動は新たな転換点を迎えたのである。
 この転換点を闘い取るために何が問われているのか。
 一九八八年は、「前川レポート」にもとづいた具体策が更に実行されるだろう。大量の首切り合理化の嵐がふき荒れ、雇用と賃金の確保が労働者の死活の問題となる。八八春闘は「雇用と賃金を確保できるかどうか」「そのための運動の再構築と統一とはどのようなものなのか」が鋭く問われる春闘である。こうした視点に立って、地域で職場で闘いを組織することが必要である。
 「連合」が「多数」を結集しつつも、政府独占資本の「労働運動丸がかえ」の意図や一部右派幹部の意図、労使協調への転落の危険を持つ政策など、大きな問題をかかえていることは事実である。
 しかし、「左派結集」をはかり別のナショナルセンターを作ろうとする道は「赤色労働組合主義」の選択である。今問われていることは、「連合」の外にいる活動家を結集することではない。「連合」に結集する労働者を「連合」を闘いの舞台として活動家を結集し、その中味を変革する闘いが問われている。特に、基幹産業である電機、情報産業の労働者や、圧倒的多数の未組織労働者の組織化に「左派」は全力を傾注すべきである。
 現実に進行する労働運動の右傾化と労働運動の深刻な危機は、階級的力関係の反映である。オイルショック後の資本の合理化、長時間労働、QCなどの職場管理の攻撃に有効な闘いが組織できず、春闘連敗や労働組合の組織率低下を招いた労働運動の質そのものが問われているのである。

<一九八八年を平和と軍縮・反独占闘争の高揚の年に「労青」全国化の年に>
 平和と軍縮、反独占民主主義、統一戦線の旗をかかげた政治指導部隊の登場が問われている。
 昨年八月、我々は「全国交流合宿」を開催し、労働青年同盟の全国化と正式結成を早期に実現することを決定した。
 一九八八年、達成されたINF条約の成案を打ち固め全般的完全軍縮への輝かしい年とするために、全世界の平和勢力とともに共同の闘いを開始しなければならない。五月に開催されるSSDVに向け闘いを開始しよう!
 一九八八年、新型間接税導入や「前川レポート」による産業空洞化、大量失業の中で、雇用と賃金を確保し国民生活を守る反独占の大衆的統一闘争が求められている。八八春闘に向け、地域で職場で闘いを開始しよう!そして、労働運動の転換をかち取る年にしよう!
 労働青年同盟(準)は、こうした反独占闘争の一翼を担い、全国の労働青年とともに労働青年同盟の全国化・正式結成を達成する決意である。

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