青年の旗 1988年7月1日 第137号

【主張】 新たなる大衆収奪=消費税導入阻止!

 政府・自民党は六日十四日「シャウプ税制以来の抜本改革」と称して「消費税」という名の大型間接税導入を軸とした「税制抜本改革大綱」を正式に党議決定した。「大綱」によれば、「所得税の累進税率の刻み数を減らし、大半のサラリーマンが最低税率十%の適用ですむ所得税減税を今年分から実施、法人税も基本税率を二段階にわたって引き下けるなどの減税処置を行い一方これらの財源として、一般消費税型(帳簿方式)の付加価値税である税率三%の『消費税』を来年四月から導入する」となっている。
 「大綱」の特徴は、何よりも独占資本と、資産家・高額所得者を優遇し、一方で勤労者への犠牲をより重く押しつける税制改革案だと言うことである。法人税は、租税特別処置などの優遇税制は残されたまま、現行の四二%が最終的に三七、五%に引き下けられる。これは、米国の四〇、三四%、西独の五六、五二%、仏の四二%に比べれば大幅な資本の優遇である。また、今まで課税所得三千万円(夫婦子供二人で年収三五一二万円)を越える高額所得者に適用されていた五〇〜六〇%の税率が、課税所得二千万円(同二四五九万円)以上は一律五〇%へと引き下げられようとしている。株の譲渡利益への課税も高所得者・大企業など大口投資家には有利な内容となっており、土地などの資産課税も「持っているもの」に有利な内容となっている。
 一方、税率を適用する所得区分を拡大して累進度を緩め、消費に課税するとしたため、逆進性が強まり、低所得者、年金生活者、生活保護世帯などでは明かに負担が増加することになった。
 政府・自民党は大平内閣時代の「一般消費税」、昨年の中曽根内閣時代の「売上税」と同じ性格の大型間接税の導入を三度狙う姿勢を明らかにしたのである。
 政府は、六月二八日、自民党の「税制の抜本改革大綱」に基づき、「消費税」導入を柱とした「税制改革要綱」を閣議決定した。そして同日、衆院議員運営委員会理事会では臨時国会を七月十一日に召集し、会期を百二十日とするという提案を政府・自民党は行った。会期百日を越える長期の臨時国会が提案されることはきわめて異例であり、サミット後、「政権の命運を掛ける」と公言した竹下首相の姿勢に明らかなように、自民党は三度めの大型間接税導入に並々ならぬ決意を示している。これに対し、財界は政府・自民党と一体になって、間接税導入を進めようとしている。「自民党の税制改革大綱が決定された。いよいよ臨時国会に向けての論戦にはいっていくが・・・適切な税制改革の誤りない実現を図ってもらいたい。」(日経連タイムス六月二三日、主張)。そればかりか、「法人に対する減税は、・・・いささか小幅に過ぎる。」(同)、などと、一層の独占擁護を要求しているほどである。
 一方、野党各党は、共産党、社会党、公明党が断固反対の姿勢を打ち出している。民社党は、臨時国会での審議に柔軟な姿勢を見せるなど、自民党側からの野党きり崩しに手を貸さんばかりの姿勢を示しているが六月二十日には、社会、公明、社民連の四野党政審会長・政策委員長と共に「税制の抜本的改革への共同見解・・・(拙速をさけ国民合意を)」を発表し、「六十二年度に七兆円以上ものかってない大きな自然増収があり、景気も当面好調である現在、急いでこの秋に成立させる必要性も理由もない」と主張するなど、現時点ではともかくこの枠組みの中には入っている。また労働者の側では、総評は断固反対の姿勢を示しており全民労連(連合)も、六月十六日の中央委員会で「消費税はとうてい容認できない」との方針を確立した。連合内では、金属労協(IMF・JC)の主力単産である、自動車総連が消費税導入に柔軟な姿勢、鉄鋼労連がEC形付加価値税に柔軟な姿勢を示している、その一方、多くの民社党党員を抱えるゼンセン同盟、又全金同盟などは消費税に反対に姿勢を強めており、連合の動きは今後の運動の進展具合いいかんにかかっている。特に、日本繊維産業連盟会長(旭化成会長)などは消費税反対でゼンセン同盟に共闘を呼びかけているほどであり、政府・自民党がこの間すすめてきた産業構造再編の中で政府・自民党の政策に対する不満・反発が、農民層などこれまでにはなかったような部分からも吹き出さぎるを得なくなっており、消費税反対の運動が幅広く拡大する条件は大きい。「大綱」決定を先延しにし、大幅減税を強調した自民党の戦略にも関わらず、六月十二日の埼玉県知事選では、大型間接税に反対した革新陣営が勝利を納めている。また、朝日新聞世論調査(8月22−23日)でも、消費税反対は六割を占めているのである。
 5月に終了した百十二国会では、院外の大衆闘争が弱い中で、自民党の提出法案が極めて高い割合で成立している、この轍をまたもふむことのないよう、消費税反対の大きな闘いを巻き起こそう。

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