青年の旗 1989年9月1日 第149号

【主張】 臨時国会を消費税廃止の出発点に!

<九十年代日本の政治を左右する臨時国会>
 消費税廃止に向けた本格的論戦の場となる臨時国会が、九月二八日から開会されることがほぼ確定した。
 野党は今臨時国会を、先の参議院選挙で示された国民の自民党政治への根強い不信と消費税への強い怒りを、院内外の大衆的統一闘争の力で、早期衆議院解散・総選挙へと自民党を追い込み消費税を廃止する出発点としなければならない。
 消費税の財源問題や連合政権をめぐる政策論議で、野党の統一が乱れることになれば、自民党への逆風は社会党を中心とする野党への失望・逆風となり、消費税廃止はおろか自民党一党政治支配の終息も遠い将来へと追いやってしまう。
 今臨時国会を、野党が最後まで統一し早期衆議院解散・総選挙実施、消費税廃止を実現する第一歩とすることができれば、日本の政治の流れを財界主導ら反独占諸階層の政治へと大きく変えていく展望が生じるのである。

<「消費税廃止二法案」と自民党の対応>
 八月二三日、野党四党と連合参議院は税制協議会を開催し、消費税を今年度限りとし来年四月一日をもって廃止することを目的とした「消費税廃止法案」、今後の税制再改革案作成のために「国民税制改革協議会」(仮称)を設置するための税制再改革基本法案」の要綱を決定した。
 これに対し自民党は、消費税「見直し」のための本格的検討に着手した。自民免税制調査会は、九月一四日三塚政調会長の税制調査会会長兼務を軸とする新体制を決め、十一月末までに「消費税見直しの要綱」を作成する予定である。見直しの内容として、税額表示方式・福祉目的税化・食料品の非課税化・免税点簡易課税制度など業者への優遇措置をあげている。
 自民党はこのように、消費税見直しを国民に対して強くアピールする一方で、「消費税廃止後の代替財源は」「減税はどうするのか」など野党の「消費税廃止法案」への攻撃をエスカレートさせている。

<「連合政権政策論譲」に潜む危険>
 朝日新聞社が実施した消費税に関する世論詞査(九月六・七日実施)では、消費税「見直し」が五一%、「廃止」四一%で、「見直し」が「廃止」を上回った。また、減税と消費税分を比べた生活実感では、「苦しくなった」四九%、「あまり変わらない」四二%、「楽になった」一%という結果である。
 この調査結果は、参議院選挙後の野党の対応が参議院選挙での国民の選択に十分応えきれていないことを示している。
 それは、消費税廃止のために国民的統一闘争を築くことが最も問われているときに、連合政権をめぐる基本政策の対立がことさら強調されていることである。
 社会党は「新しい政治への挑戦=私達の抱負と責任」(土井ビジョン)を発表した。内容は、「社会党よ現実的になれ」という声に対して、安保・原発・自衛隊の危険性を強調しつつ国民的討議を呼びかけ、「緩やかな、しかし確実な改革を進めていく」として軍拡の政治から軍縮の政治へと大きな政治の流れを作る中長期的目標を明らかにした。また、連合政権論議の焦点となっている、安保・自衛隊・原子力・朝鮮半島問題については、前政権との継承性を踏まえ「現実的」対応を取ることを明らかにした。
 これに対して、民社党・永末委員長は、@西側の一員としての国際的立場、A自衛隊は合憲、B日米安保の維持と適切な運営、C原子力発電を含めたエネルギー確保、以上が連合政権協議の基本だとして社会党に政策変更を要求した。公明党・市川書記長は、「安全保障政策における安保・自衛隊の位置付けをはっきりせずに、両者の存続・維持を言っているのは十分理解できない」と批判した。
 参議院選挙での国民の選択は、消費税廃止と自民党政治にストップをかけるための投票行動であった。日本の政治を変えたいという国民の意識は、決して一過性のものではない。しかし、日本の政治をどのように変革していくのかという政策について、参議院選挙で国民は審判を下したわけではないのである。
 にもかかわらず、最近の野党の「連合政権政策」をめぐる議論は、消費税廃止のハードルが連合政権をめぐる基本政策の一致にあると錯覚させる程、国民の意識からかけ離れたものとなつている。来るべき時にそなえ、中長期の基本政策を国民に提示し判断をあおぐことは必要なことであり、これまでの野党に欠けていたことでもある。しかし、そのことが国民の最も求めている消費税廃止の実現にマイナスとなる事態は絶対に避けなければならない。
 日経連は第一二回トップセミナー「平成日本の進路を問う」での宣言において、参議員選挙結果をふまえ「最も重要なことは、自由主義社会を守ることが前提であり、社会党が社会主義革命を目指す政党であることは規約に明白であり、社会党が真に国民政党としての立場を明確にしない限り安易な二大政党論にはくみし得ない」「「自民党が安定した政治状況を作るために、一部野党に協力を求める場合もあろう。しかし、その際に安易な妥協を絶対にするべきではない。とくに、重要な財政問題については中長期的判断を優先させるべきだ。」と述べた。
 つまり、財界の意向としては、「社会党の現実路線を信用するな。消費税を残すことが出来れば、一部野党との連立も可能だ」ということである。
 既に自民党の一部野党への抱き込み工作も始まっている。こうした中で、社会党は「消費税廃止の国民的統一闘争」をどう構築するのかという方針を全面に掲け、野党への分断政策を阻止し得る世論を築くことにこそ全力を傾注すべきである。
 毎日新聞社が実施した「連合政権問題世論調査」は、自民党単独=十二%、野党連合政権=一七%、自民・中道=二七%、保守・革新(自民・社会の一部)=二七%となっている。具体的運動のない政権パズルだけは絶対に避けなければならない。

< 消費税廃止の一点で国民大闘争を築こう>
 消費税の廃止は、参議院の与野党逆転を背景にした院内の政治的かけひきでできるものでは決してない。
 第一に、自民党の消費税強行の背景には、来年度予算の一六兆四百億円(前年比三七%増)という異常突出の赤字国債がある。それは、政府・独占資本の財界主導と軍事費突出、福祉切捨ての政策がもたらしたものであるが、消費税の廃止は当然それに替わる財源問題に至ることから、日本の安全保障政策や福祉政策、経済政策全般にまで大きな影響を及ぼさぎるを得ない。
 「徴税のあり方は、その使途を決定するのである。」従って、権力者(政府自民党・財界)は必死の抵抗を試みる。それを、打ち破る闘いを野党が築き得るかどうかが焦点となるのである。
 第二に、かつて反独占諸階層の利益を代弁し闘ってきた「総評」が、解散する。一方、「連合」が大衆的動員力を背景にした政治変革を求めていないという、中央での「話し合い」を中軸としたゆるやかな政治変革指向が明らかとなった。
 こうした中で、政治変革の求心力を形造ることが緊急の課題となっている。その意味で、連合を中軸とした地域での取組みが重要となっている。
 第三に、以上の取り組みを行うにあたって、今の政治状況が自民党政治のなにによってもたらされたかという認識を再確認することである。「少しも豊かにならない国民生活」、「切り捨てられたのは福祉と働く者」、「一方での、永田町と国民生活の乖離。政治への著しい不信」「自らの要求を体現する大衆運動の不在」などの事を、もう一度反省の立場で検討することが必要である。
 この臨時国会が、九〇年代の日本の政治のあり方を左右するものとなることは、間違いない。
 以上の観点で、あらゆる政治勢力が統一的闘争を組織しうるかどうか、そのために全力を尽くすべき熱い政治の秋が到来した。

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