青年の旗 1989年11月1日 150号

【講演】 「新しい思考」と日本の政治改革(下)
                 7月9日 鈴木市蔵氏講演より

<体制選択求める自民>
 今、参院選で、街頭を歩いていますと自民党が全力で訴えているのが、体制選択。体制の選択を訴えています。「わが自由民主党は、かくかくの日本をつくった。自由社会の、自由世界の一員としてやってさた。皆さんが共産党やあるいは社会党の言うことを聞いて社会主義日本をつくつて、もしあの北京のような出来事が起きたらどうしますか。どっちの体制を選択しますか」ということを今、自民党は全力をあげて宣伝しています。この体制選択をせまられた時に、先程云った生活設計を持っている国民の気持ちは一体どうなるかですよ。それもそうだと必ず気がつくであろうと思います。
 私は、体制選択が、今度の参議院選挙の中心になると思います。そして、これは本当は政治の闘争としては、一番包括的な題目なんですね。ここへ問題が来たという時に我々が消極的になってはいけません。すすんで、体制選択こそ政治変革の基本だ、と言って立ちあがっていかなければいけない。そうでなければ本当の勝利はでさないであろうと考えます。

<野党連合で何ができるか>
 そこで、そういう参議院選挙で、今言ったような形の体制問題を、その選択を問われながら闘っていく中でどういうことが重要かということについて考えてみます。それは、野党連合が、受け皿をつくるということが非常に大事であります。自民党、どうも頼りがない、と言ったらいやだけれども、そうだからといって、野党に政権を担当する能力があるのか。野党は一体、政権の受け皿足りうるであろうか。この疑問・不信が有権者の中に常識として広がっておることは事実です。この常識派はそれを見ているわけです。この受け皿づくりに失敗したら、政治を変えるために反自民のところへ行った票はまた逆流をします。どうしてもこの受け皿づくりを、成功させるように親切に持っていかなければいけない。そしてこの受け皿づくりは、云うまでもなく全野党共闘です。ただ、全野党共闘と云って、共産党もその中に入ることになりますけれども、共産党が入っては連合政権づくりはできません。共産党が入ったら、民社党も公明党と一緒にやりませんよ。だから受け皿づくりのベストは、全野党共闘であり、全野党の受け皿づくりなんだけれども、このベストが現実に不可能だとすれば、べターの道を選ぶしかない。それは、「すまないけれど、共産党さんよ、一つ御遠慮願います。」ということで、社会党を中心勢力とした民社・公明、そして良心的な無党派の勢力を加えたこの野党の協力による連合政権をつくる以外にない。これが、現実に今我々の目の前に、つきあたっている問題である。今さかんに彼らはやってます。いよいよ連合政権づくりのための話し合いをやっておる。
 この前新潟の選挙で永末委員長と会った。この人と私は、参議院で一緒だったけれども彼はこういうことを言っておった。社会党と一緒にやってもいいんだけれども、安保と自衛隊の問題で政策的な立場がちがうと。これがちがっている中では、連合政権の受け皿づくりはできない。始めにそう言いました。
 そして、首班指名の選挙の時に民社党は社会党の委員長の土井さんに入れない。結局首班指名の選挙で、土井さんが多数をとらなければ連合政権はできませんので、多数をとるためにはやっぱり民社党を中に含まなければいけない。入れないとだめ。そうすると、安保・自衛隊をどうするのか、という問題が起さてきます。私はさっさ言った練馬の勝手連の選挙区でこの問題を出した。
 土井さんが練馬に来ました。千五百名からの聴衆が集まりました。ほとんどその八割は婦人でした。
 それが、開口一番、「私が今、ほうぼうをまわってみて気がつくことは、女性の皆さんの顔が怒っている。目が光っている。なんとか政治を変えなければいけないという願いがこもって、目が光っている。」という言葉だ、こういう演説で口火を切れば、皆な聞きますよ。ところが残念なことに土井さんは、次に言わなければならないことを言わなかった。それは、今世界はこうだ、こうなっている。この世界の情勢の中で、日本の進路はかくあらなければいけないと。一党の首領で、明日は日本の総理になるかもしれない人ですよ。当然千数百人の聴衆に向かって、その政治を展開しなければならなかったけれども、土井さんは、その後の話は全てリクルートと消費税だけだった。受け皿づくりについては一言も言わなかった。今これは、党として決定していないから言えなかったと云えばそうかも知れません。
 しかし私は出した。勝手連で。
 そしたら、「鈴木さん、あんたならどうする。」と。それは私ならば、″民社党の言うこと”を開いて、この際は安保と自衛隊の問題は凍結する。現状を認める。例えば、社会党自身の内閣ができたとします。予算関係、防衛費の予算をどうするんですか。社会党は自衛隊は違憲の存在だから暫時解散すべく、という方針です。現実問題としてそういうことをやったならば大混乱を起こすでしょう。今この大混乱を望んでいない。とすれば、自衛隊の予算を組まざるを得ない。一%の枠内で組み、次の段階ではこの一%を割り、0ポイント9とか、というふうに暫時自衛隊の予算を削減していくというような現実路線とらざを得ない。安保はどうするんですか。先程私は、「新しい思考」が、日本の政治改革とどう結びつくかといったのは、この安保保の問題です。一言でいいますと、安保問題というのは、今の日本の政治にとって、それほどの重要性を今は持たない。もし、核軍縮が進み、米ソの間の対話と協調が進み、そういう時代が目の前にせまってますから、そういった時には、それほど、安保というものが重要性を持たない。一国の運命が変わるという重要性を持つ政治選択という問題ではなくなってきた。
 だから、社会党が政権を握って安保反対ということになったら、これは自衛隊以上の大混乱を引き起こすと思います。
 だって皆さん。アメリカと日本との間の経済関係一つとってみなさい。日本の貿易の30%はアメリカとの間で行われています。正直言って、今アメリカを敵にまわしたらひとたまりもありません。
 やはり、安保が必要がない。という、アメリカ軍が駐留するような必要はないんだ。というそういう、つまり世界的状況をつくりだす。ということと結びついて次第に安保自体の地位協定を、そして非核三原則を法制化していく。確実なものにしていくという努力を積み重ねていくことの方が、現実的な選択です。
 だからこそ、こういうふうな方向に進むでしょうか。だから、この連合政権づくりで問題になるであろう。
 安保と自衛隊については、現実は凍結しかない。現状を認識しなさい。そして、できるようなところから改革をすすめていくようにしていきなさい。これが受け皿づくりができるかできないかの現実的選択だと思います。
 私がそういったところ、皆からたたかれましたよ。「それじゃあ鈴木さん、まるで自民党と同じじゃないですか」と。私はたたかれて非常に結構です。こういう議論が本当にオープンに論議されて、国民の中で一つに統一して、常識として、そういう路線にすすんでいくことが、つまり日本の帝国主義を賢くしていくことが、賢い帝国主義づくりが、今の我々プロレタリアートの基本戦略だということを皆が分かれば、私達は労働者や国民の皆さんにオルグをするであろう。この立場で説得をするであろう。私は、そうしてもらいたい。

<「連合」基軸の闘いを>
 時間がきました。後一つ。問題をかいつまんで言えば、「連合」の持つ役割です。連合政権づくりをする時に、この労働組合の連合を敵にしてはできません。今の労組の勇しいことを言うのが好きな連中は、反連合だの、連合には反対だと盛んに言いますけれども、反連合と野党共闘とは両立しません。野党共闘をして何とか連合政権の受け皿づくりをやっていこうとする諸君達が連合を敵にまわしてできますか。今、連合の組合員、総評をひっくるめると、八九〇万人に近い。この労働者が連合政権づくりに賛成です。連合に反対して反連合でやっていくとしうことは、論理的にも政策的にも矛盾しており、できません。
 最近岩井君が、二回に渡って自分の雑誌、「国際労働運動」の巻頭言で、「連合はベストではないけれどべターだ。野党共闘は是非とも成功させなければいけない。」と盛んに言っている。ところが、彼は別なところで、「反連合」「連合じゃだめだ、けしからん。」とこう言っている。
 野党共闘と反連合とは整合性がない。思想的にも、論理的にも、政策的にも、路線的にも矛盾する。
 だから、私はそれを期に、岩井君に、「本当には反連合ではだめなんだ。反連合で連合政権をつくったってそうはいかないんだ。」ということを言ってきました。これは必ず、数か月後には大問題として上がってくるでしょう。なぜ私がそう言うかというと、反連合ってのは、反統一だということです。労働組合が割れますよ。そしてみんな連合を食わずぎらいですよ。連合を良く知らない。今日はその時間がありませんからたくさんお話しでさませんけれど。
 この連合の八つの約束、これは連合が出している新聞ですけれども連合が今度の参議院の選挙で、共産党を除いた野党連合と一緒になって一人の候補を立てて闘うわけですが。この八つの約束をみてみます。この八つの約束を読んでごらんなさい。けちのつけようがない。正直言って、例えばこう言ってるんです。
 世界の軍縮・平和に貢献する日本、非核三原則を厳守し、軍縮・核兵器廃絶と、人権を守るために全力をあげます。こういっている。まちがっていますか。一つもまちがっちゃいないですよ。
 誠実、公正で分かりやすい政治をつくります。こう言っています。豊かで、ゆとりのある生活を、国民合意の税制改革をやる。公正な社会、子供やお年寄りを大切にする福祉社会、生き生きとした地域社会、地球環境の保全。これは文句のつけようがないですよ。この連合の八つの約束は。
 ただ、連合の幹部というのは確かにおかしいのがいますけどね、連合を構成し、ている労働者というのは我々と同じです。勤労者です。
 連合と一緒になって闘っていく。今、日本の政治を変革していくためには大統一が必要なんです。新しい思考方法に基づいて。賢い帝国主義をつくり出すという、この大統一戦線を形成していくということが、日本の政治を変えるためだと思います。これが革新なんだ。この一つの中核となって、このオルグ集団の一つとなって、皆さんに奮闘してもらいたい。心から私は希望します。        (終わり)

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