アサート 198号(1994年5月15日)
【投稿】  南アフリカに祝福あれ!
        ---南アフリカ制憲議会選挙でANC勝利---
<世界の人権闘争の画期的成果>
 国連をはじめとした国際社会の長年の目標がやっと達成された。
 この4月実施された南アフリカ制憲議会選挙の結果、これまで反アパルトヘイト闘争を中心的に担ってきた最大の黒人政党アフリカ民族会議(ANC)が62.6%の得票を獲得。5月9日にはANCの闘士マンデラが大統領に就任し、オランダ人の入植以来340年にわたる白人の支配、南アフリカのアパルトヘイト体制に終止符が打たれた。人類最大の恥と言われたアパルトヘイト(人種隔離政策)に対するANCを中心とした黒人たちの長く苦しい闘いの中から、私たちはおおいに学ぶところがあると思う。
 何よりも感動的なのは、平等を求めて生命をも賭して闘い続けた黒人たちの熱い情熱である。マンデラが終身刑を受けた法廷で述べた「肌の色にとらわれない南アを築く理想のためには、一命をささげる覚悟がある」と言った言葉が、子どもたちにいたるまで南アの黒人の根っこに燃え続けていたからこそ、シャープビルの虐殺やソウェト蜂起という過酷な弾圧にも耐えて、今日の勝利を獲得することができたのだ。
 そしてもう一つ重要なのは、アパルトヘイト廃止のためになされた、経済制裁をはじめとする国際的な包囲網である。この国際協力がなければアパルトヘイト廃止はもっと時間がかかったであろう。しかし、これも一朝一夕で各国政府が動いたわけではない。各国の人権団体の国内での激しい突き上げで、各国政府は初めてやっと重い腰を上げたのだ。反アパルトヘイトの国際的な運動は、真に大切な国際協力とは何かを示している。世界が南アへの経済制裁を行っている中で、日本が南アとの貿易取引高1位になるという醜態は、政府や企業に対する私たちの運動の弱さをも示しているだろう。
 さらに、マンデラ釈放以後ANCが示した、現実的で忍耐強い政策と運動は新生南アの結実を確実なものにしたと言ってよいと思う。白人の進歩派や黒人右派のインカタ自由党を今回の制憲議会選挙に巻きこむことなしに、選挙勝利によるANC政治的権威を確立することはできなかっただろう。4年にわたる制憲交渉の粘り強い交渉には敬意を表したい。今回の選挙でANCの得票が、他党の合意なしに正式憲法を採択できる三分の二に達しなかったことはかえって良かったのかもしれないとも思う。今後連立政権の手綱を握るマンデラ大統領の手腕に期待したい。

<南アフリカ黒人の真の解放はこれから>
 アパルトヘイト体制が廃止され、黒人大統領が誕生しても、南アの黒人のおかれている悲惨な状態は変らない。人口の約四分の三を占める黒人の平均月収は304$で白人の五分の一以下、16才から30才までの年齢層の失業率は、白人4%に対し、黒人は57%にも及ぶ。プールつきの高電圧を通した塀をめぐらした大邸宅に住む白人と、バラックが並ぶタウンシップに住む黒人という図式はまだ変わっていないのだ。マンデラ大統領も少数白人支配の間に、多数派の黒人が貧困、飢餓、失業、低識字率にあえぐ現状の打開が政治、経済的安定のため最大の急務だという認識を示している。また、黒人に対する差別は制度がなくなっても根強く残っていくだろう。黒人の真の解放にはまだまだ多大な努力が必要であり、国際的な協力もぜひ必要である。

<問われる日本政府・日本人の姿勢>
 アメリカのクリントン大統領は5月3日、今後3年間で南ア向け援助を従来の計画のほぼ2倍の6億$(約606億円)に増額することを声明した。10日にはオーストラリア政府が今後3年間で約22億円の援助を発表した。また、イギリスは今回の制憲議会選挙のために約400万ポンド(約6億4千万円)の緊急援助をおこなった。今こそ各国政府は南アに対する積極的な援助をすべきである。日本政府も人権確立のため大きな役割を果たせるはずである。「人権赤字国」の汚名を返上し、真の国際貢献を行ってほしいものである。また、NGO等民間の運動体の果たす役割も大きい。今回の選挙でも国連の選挙監視ボランティアとして多くの日本人が参加している。私たちも平等な新生南ア建設のため今まで以上に運動を盛り上げ、日本の真の国際化を実現したい。
 6月11日(土)午後2時から大阪市弁天町のYMCAヴェクセルで全人種参加選挙に立ち会った人々による南アフリカ報告会が催される。関心のある方はぜひ参加してください。できるところから南アの民主化を支援していきましょう。
 アフリカに祝福あれ! コシシケレリアフリカ! 

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