ASSERT 206号(1995年1月15日)

【投稿】 地方分権と政治改革(2)
【投稿】 社民勢力は生き残れるか
【投稿】 いじめは誰の責任か
【投稿】 政党再編成と日本共産党
年頭にあたって----政局雑感

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(投稿) 社民勢力は生き残れるか
  -----社会党と社民勢力のサバイバルの行方-------

 新民主連合の離党騒ぎに示されている社会党の迷走が政局を流動化させている。1995年は、4月の統一自治体選挙と7月の参議院選挙、そして年内にも予想される小選挙区比例代表並立制による初めての衆議院総選挙と、まさに選挙一色の年になりそうだ。今後の日本の進路を決める大事な時期にさしかかったにもかかわらず、国民の政治への関心は低い。東西冷戦後の新しい世界はどうあるべきか、そして日本の果たすべき役割は、といった大きな問題を国民の一人ひとりが自分の問題として考えなければならないのだが・・・・。
○社会党の内紛劇に党内外からレッドカード
 社会党の御家芸ともいえる左右の対立が急激に厳しくなった。93年の夏に細川連立内閣を成立させた右派、羽田政権の発足と同時に小沢(新生党)・市川(公明党)のいわゆる一・一コンビと絶縁して自民党、新党さきがけと連立政権をつくった立役者は左派。それぞれ政権のうま味を一人占めしてしまったので、内部対立はいっそう深刻化してしまった。しかし、国民の目から見れば社会党の首班をつくりながら何をしているのか。なぜ自分達の代表者の足を引っ張るのかわからない。さらに春の統一自治体選挙の候補者にとってみれば、ある日突然の政策の大転換と消費税引き上げ容認という公約違反とで支持率が下がり続けている上に、内紛によって党のマイナスイメージばかり膨らんでいるため、とても選挙にならないという怒りが渦巻いている。 なぜ、これほどまでに内部対立が深まってしまったのか。やはり背景にあるのは、支持労組の対立である。全逓、全電通、電機連合など反自民の連立政権を指向する組合と新進党よりは自民党と組んだ方がよりましな政府であるとする組合との対立がある。連合800万人の労働者でみると、村山政権支持が200万人、村山政権とは一線を画すが新党結成には慎重なのが100万人、村山政権を支持できないというのが300万人、中立が200万人と一部でささやかれている。どちらにしても、党分裂が決定的になりつつあるときでも労働組合に依存するしかない党の体質が、国民の信頼感をますます損なっているのである。

○優柔不断のリーダー達と国民の政治不信の相関関係
 それにしてもなぜ今頃になって、という声が多いのは事実である。左派主導の村山内閣が左右対立の芽であった主要課題について次々と自ら政策転換に踏み切ったことによって党分裂の政策的な誘因は確かになくなった。しかし、今後の政治方針という対立の火種がますます燃え盛りだしたのは、議員一人ひとりの当選がかかっているからである。政権復帰によって息をふきかえした自民党は、今選挙をすれば単独政権をつくれるぐらいの圧勝をする可能性が大きい。自民党が総選挙で勝つために社会党、さきがけとの選挙協力をする必要がないばかりか、協力すればするほど自民党内の対立が深まってしまう。夏の参議院選挙までに解散・総選挙になった場合、さきがけも必要がないという結果になりかねないが、そこは押すだけしか能がない小沢と違い、社会党とさきがけにも気を配る竹下の妥協の方針でいくつかの選挙区でアメを与える事になりそうだ。
 参議院選挙後まで解散が引き延ばされて初めて新進党の政権奪還のチャンスが生まれてくると予想されている。早期解散では地方議員をあまり抱えていないので選挙態勢を組めないし、寄合所帯でまとまりがないため政権を奪還しないかぎり劣勢を挽回できない。6年前に消費税・リクルート疑惑の追い風で参議院選挙で一人勝ちした社会党が今年の7月の参議院選挙で惨敗することは目に見えており、委員長としての責任問題が発生するため、村山内閣はよくもっても夏までである。社会党が大きく分裂してしまえば、新進党の政権奪還が可能となる。自社さきがけ連立政権が、もし仮に参議院選挙後も村山内閣を延命させたとしても、内閣の求心力は確実に低下するため、新進党につけいる隙を与えることになる。
 このように小選挙区で勝つと不祥事でも無いかぎり当分その議員は落ちないと考えられるため、小選挙区比例代表並立制での最初の総選挙で勝つための死闘が永田町で連日繰り広げられているが、国民の政治に対する関心は低く、朝日新聞社の12月中旬の世論調査によると、今選挙をすると圧勝するはずの自民党でさえ支持率は36パーセント、新進党も21パーセントしかない。社会党は13パーセント、さきがけは7パーセントで、支持政党なしは16パーセントである。このような支持政党なし層は選挙を棄権する場合が多いと思われるので、選挙に民意が反映されにくくなっている。マスコミが政治不信をあおってますます選挙に対して白けた雰囲気をつくり出している。しかし、権力を本来もっているはずの国民が選挙に行かなければますます国民主権の空洞化が進むことになる。政治家は選挙に行く層(地方の農民や組合員や宗教団体の信者)のことだけしか考えなくなるのは当たり前である。日本の政治を変えようと思えば、都市の勤労者など普段政治に関心がない層や白けている層が投票所に足を運ぶようにならないといけない。小林某流にゴーマンかますならば「政治不信の原因は政治家だけとちがう!国民をいいように操る役人を攻撃できないマスコミと選挙に行かずに家でごろ寝してテレビばかり見ている無責任な有権者や!」と拳骨を振り上げて言っておく。

○どんな日本をつくりたい?
 胸のつかえが少し降りたところで、政治を自分の問題としてとらえ、誰でも参加することが当たり前の国にするために何とかしようと思っている人だけ読んでほしい。講釈だけで選挙を手伝わない、あるいは投票にも行かない人はもう「自分で世の中を変える気がなくなった症候群」なので、そんな人達がたくさん住んでいる王権国家(北朝鮮などまだ近いところにもあります)にさっさと亡命してほしい。
 私は、自民党が一人勝ちすると地方分権や役人から国民への大政奉還はこれから数十年間できないと思う。新党さきがけが何を思ってついていくのか知らないが、ここはまず反自民の統一戦線を組んで自民党を過半数以下に留めておかなければならない。その上で、政権を奪還された自民党が大分裂をおこし、新保守主義的な福祉切捨て自由放任国家をめざす小沢=渡辺の極悪同盟対大きな政府による福祉国家型安定成長をめざすリベラル勢力との対決をめざすべきだと思う。ビジョンも何もない学会=公明は勝つほうにつくだけの話である。ビジョンを示せないなら社会党も新民連もいらないという判断を国民が下すのである。「ダメと言ったらダメ」というような単純な政策を出す時代は終わった。(1995年1月13日大阪M)