アサート 220号(1996年3月23日)
【投稿】 「ゴルバチョフ 大統領選挙 出馬か?」
          モスクワニュース1996年17(2月25日)より
          ゴルバチョフ元大統領へのインタビュー
訳 首藤留美
−−あなたが出馬宣言に慎重なのは、支持署名を始めたあなたの発起人グループを完全に信頼していないからではないのですか。有名な人物がいないチームにとっては100万人署名は簡単ではないでしょう。
「私が知る限りにおいては署名集めはまあまあ上手くいっているようだ。発起人グループは32の地域の年齢が25〜40才の人達から成っている。幾つかの地域では発起人グループ結成後すでに新しい支持者が現われ、彼らも行動を起こしてくれている。このことは希望を呼び起こしてくれる。私が慎重なのは、ロシアのような国を治めるということがどのようなことを意味するのかを私自身が身をもって知っているので、出馬するかどうかを決めかねているからである。」
−−あなたは、自分が大統領選に出馬するのは、民主的な勢力が結集した時であると再三言っておられたが、今でもその立場に変化はないか。   
「私は今でも、民主的な勢力の結集が必要であると確信している。」
−−しかし、そのようなものはないのに、あなたは大統領選に出馬するほうに傾いている。
「このような民主派の結集が創られるのを期待している。」
−−結集のためにあなた自身はどのような行動をとるのか。
「もう行動し始めている。つい最近自らを中道あるいは中道左派と見なしている全政治リーダーを話し合いに招いた。」
−−具体的には誰ですか
「非常に広い範囲のリーダーである。」
−−リーダー達はあなたの招待を受け入れましたか
「会談は、リーダーが集まることは時間の無駄ではないと思っている人達のみで行われた。全体的な会談は今のところ実現していない。」
−−あまりにも範囲が広すぎることに問題があるのでは。例えばヤブリンスキーとルイシコフとでは何について話せというのですか。
「話の対象が重要ではないと思う。あらゆる政党間の相違を克服するために集まるのではない、そのように考えるのはあまりにもナイーブである。だれも相手に政党の立場を放棄させることを要求するために集まるのではない。会談の課題は別のところにある。つまり、全民族的な政治綱領にのっとって大統領選にのぞむと言うことに賛成することにある。」
−−ガイダールとロシアの民主選択運動との連合は排除しているのですね。
「正直に言えば、ガイダールとの連合は考えもしなかった。しかし、中道右派の支持者との連合は恐らく不可能であろう。」
−−どうして民主勢力の結集にみんな消極的であると思うか。
「克服するのが困難な政党間の矛盾が原因であろう。」
−−しかし、原因はそうではなく、あなたが大統領選の候補として自分自身を考えているからではないのか。
「私は、民主勢力の唯一の可能な候補であると言ったこともないし、今後も言わない。これは合意の問題である。事は単に大統領だけではない。話し合いで私は私のシャドウキャビネット、つまりチームを組閣できると思っている。私は、首相、そして幾つかの閣僚について提案がある。」
−−あなたは今チームと言う言葉を使ったが、あなたは自分の経験から政治においてチームプレーは不可能であると言うことをよく知っているのではないか。あなたは自分の昨日の同盟者を引き渡し、あなたの同盟者はあなたを裏切った…。
「チームは不可欠である。今もすでにそのことを考えているところである。しかし、事を個人的な裏切りのせいにしたくはない。同盟者は立場を考慮に入れて選ばなければならない。私は例えば扱いにくい人間が好きである。私はいつも自分の補佐官をはじめ、政府の人間、人民代議員と話し合う用意がある。」
−−あなたは若い世代の政治家を観察しているか。
「彼らの中には面白く、際立った者もいる。しかし、彼らの大半は、まだ大統領という重い責任ある任務につくには早すぎると思う。彼らは、チームの中で活動し、経験を積むことが必要である。彼らは国を治めるということの意味を分っていないのではないかとさえ思う。従って彼らを大統領選を競う相手ではなく、チームのパートナーとして見たい。」−−公式的な会談はまだ始まっていないようだが、非公式はどうか。あるいはあなたはそのような会談を避けているのでは。
「避けてはいない。最近、例えばヤブリンスキーと会った。しかし、彼だけと会ったのではない。」
−−いつごろまで中道派結集を続けるのか。
「私はどんなことがあっても絶望しない。選挙選のある段階までただ進んで行かなければならない可能性もある。例えば、スビャトラフ・フェドーロフのような人物も自分たちの現実の可能性を判断した後に、話し合いに参加するということも起こりうる。候補者は一人々署名集めを行い、国を回り言葉で人々と話し合い、自分の目で有権者を見なければならない。そうすることによっては野心は取り除ぞかれ、同盟者探しを行うようになる。私は待つ用意がある。」
−−時期を逃してしまうのでは。
「しかし、このような戦術は意図的に使われる可能性がある。選挙選には何人かが参加するが、その中には、一人の候補者を擁立するために自分の出馬を取り消す者もいる。その時は、相手から守るために主要な候補者の名前を前もって公表しなことには道理がある。」
−−大統領候補者の順番を見れば、ジュガーノフ、ジリノフスキー、マブロージとなっているが、あなたはどう思うか。
「ただ感情的に、このようになって欲しくないと思う。しかし、質問を『このような状態でこのことを傍観している権利があるか』とすれば、どうなるであろうか。そうなるとことは国の運命についてになる。もし、偶然に大統領のイスに冒険的なあるいは偶然の人間が座ることになったらどうなると思うか。そうなるとその後どのようなことが起こると思うか。もちろんことは候補者のレベルのみではない。今回のロシアの大統領選は極普通の出来事ではないのである。」
−−どの国にもある普通のことでは?
「賛成しかねる。ロシアのケースはまったく特殊である。今日、私たちは再び非常に重要な岐路に立っている。つまりペレストロイカの時代に始められた改革を継続するかあるいは後に戻るかである。政治的復讐に巻き込もうとする勢力が政権につくという実際的な恐れがある。そのような勢力は、我々がやっとのことで抜け出した閉鎖的な社会、指令経済、民主的な自由が欠如した社会へと引き戻そうとしている。また、他の危険性もある。それは今後、今日のロシア政府が行っている方向を継続するならば、それは民衆を貧困へとそして国を破滅へとおいやることを意味している。」
−−あなたの発起人グループは特に、田舎で活動しているようだが、首都での活動はどうなっているのか。
「指令部が地域にあるというのはもっともなアプローチであると思う。地域には、今日ロシアの生活のあらゆる中心的な問題が集中している。私は、遊説によって、地域の人達と話をすることによってそのことを感じている。政府の命令を遂行している地域の幹部は、ゴルバチョフには会わないが、自分たちの意見を私に伝える手段をもっているという興味深いことがある。もし、政治家が地域のリーダー、ビジネスマン、インテリと共通の理解に達することができず、ロシアの田舎にすんでいる人々の支持を得られなければ、その政治家は成功することはできないであろう。首都に関しては、私は始終彼らと会っているし、彼らの支持を感じている。」
−−自らの政党をもたずに選挙選を闘えるか。
「私は、広い立場でアプローチする。大統領選に出るものは、その指令の中に真面目で組織だった方法を用いなければならない。それは決してボリス・ニコラエビッチのようなものではあってはいけない。このことについて詳しく話す意味は今はない。もし私が出馬を決めたら、その時は蓄えの中から何かを。」
−−それでは選挙公約も同じであるか。
「詳しくはそうである。しかし、今このこのだけははっき言明することができる。私の綱領にはエカテリンブルグで最近聞いたような実現不可能な約束は含まれてはいない。全国民的な幸せのために全てを根本的に作り直すというような約束はそこにはない。」(訳 首藤留美) 

No.220のTOPへ トップページに戻る