アサート 240号(1997年11月28日)
【投稿】 巨大生協で腐敗疑惑--いずみ市民生協の場合
<副理事長辞任はしたが>
年間売上高約660億円、店舗26店舗、職員800人、組合員97年3月現在29万5千人。大阪府内ではトップの生協、いずみ市民生協で激震が続いている。
施設の私物化、ゴルフ漬け、生協予算の私物化、職員への退職強要など一連の副理事長による腐敗事件の公表とその処理をめぐる問題だ。
97年5月21日読売新聞が「いずみ生協、研修寮めぐり内紛」と、20日に行われた「いずみ市民生協総代会」で幹部研修寮の私物化問題で告発文書が配られ、常勤理事7名の内4人が解任されるなど、お家騒動があった、と報道。以来読売新聞がこの問題を主に報道していく。この告発文書を公表したグループは、生協中枢の良心派と見られるが、以後読売が中心になって、疑惑報道が続くとともに、以下のような展開を見せる。

97年5月25日「生協経費でゴルフ漬け:大阪いずみ生協副理事長」と報道
その後、26日には「ハワイの別荘、副理事長が独り占め」の報道があった。
29日には、大阪府が臨時の指導監査を行う旨の決定。
6月1日「いずみ市民生協理事長:府幹部をゴルフ接待94年から」。
6月2日 いずみ生協副理事長:私物化は否定するも、疑惑の責任を取ると辞任を発表。

<内部告発者を解雇、恐怖経営の実態>
言うまでもなく、生活共同組合は「生協法」に基づく公的団体であり、大きな意味でNPOである。私企業ではなく、組合員から少額の出資金を募り、物資の購入、低廉な価格で販売するという勤労者のための組合である。コーポラティズムという共同購入を通じて、単に安く販売するという原点から発展して、最近では無農薬野菜、産地直販による新鮮さ、さまざまな有害食品との訣別など消費者運動としてその地位を築いてきた。そして、いずみ市民生協は特に大阪南部を基点に全国9位の規模をもつ「巨大生協」に他ならない。
自治体職場でのいずみ市民生協を見れば、明らかに共産党系労組と結びつき、その活動を展開してきた。私にとっては、「共産党生協」だ。
そうした巨大生協でなにが起こったのか。
私の手元に「”いずみ”を組合員にとりもどす会」のパンフレット( 以下パンフと呼ぶ) これが問題の告発文書に他ならない。発行者は3名。内ふたりは、97年6月10日付けでいずみ市民生協から懲戒解雇されたと記載されている。それまでの肩書きは「元開発部長、(現在は総務部次長)」と「役員室長」。残るひとりは「元役員室長(現共同購入部次長) でまだ現役だ。( これ以後の展開でどうなったかは?)

明らかになった疑惑は、すべて辞任した比嘉副理事長とその側近達に絡んだもの。
第1は、大阪狭山市内にある「研修寮」として建設された施設が、事実上副理事長の私邸として利用され、土地は副理事長個人の登記だが、建築物は未登記で建設は生協が幹部研修施設として費用負担。生協は副理事長に借地料を支払っていたが、研修施設目的には一切利用されていなかった、というもの。
第2は、副理事長が96年1月から97年3月までの間に、接待、私的ゴルフに国内だけで84回、約1650万円の生協負担で、ゴルフ漬けになっているもの。その同行者の中に、「行政関係者」や「いずみ労組幹部」の名前も頻繁に出てくる。
第3は、ハワイにコンドミニアムを「組合員・役職員の福利厚生のため」と確保したが、事実上、副理事長の私物化されている。( 福利厚生というのは、後からデッチ上げたらしく、当初から副理事長の私邸扱いだったらしい)
第4は、高額医療機関の、これまた副理事長の私的利用に対して生協が年間500万円を超える負担を行っていること。
さらに職員の労働条件は、実超勤が60〜80時間はあるのに、月8時間しか手当てが支払われていない、など過重な労働と、副理事長のワンマン経営の結果、95年には100名、そして96年には132名の職員が退職していったこと、などである。(以上パンフより)

<9月臨時総代会では、反対が100名も>
副理事長辞任の後も、日本生協連が調査を実施し「前副理事長の行為は生協トップのモラルを逸脱しており、生協の対応も都合の悪いことを隠蔽しようとしている」「これまでの情報や資料から判断して、『事実無根』とは考えられない」「( 内部告発への対応について)組織破壊の陰謀ととらえ、事実関係を究明しようとしない姿勢は生協としてふさわしいものとはいえない。批判や異論も出せる民主的な職場であれば告発に出なくてもよかったはず」と同生協の運営に疑問を投げかけ、調査継続とするなど、内外からの批判が相次ぐことになる。さらに8月には、日本生協連が「一連の問題に対して反省がない」と前副理事長に損失補填要求するとともに、理事会の責任を明らかにするよう、異例の勧告を行う事態となった。
組合員からの要求などを受けて9月16日には、臨時総代会が開かれ、研修施設等の有効利用など改善案が提案された。定数の5分の1近い100名余りの総代が反対の意思を示したという。これまで、ほとんど満場一致で可決されてきた経過とは様替わりとなった。

<国税調査がはじまったが・・.>
一方、解雇された職員らは、すでに前副理事長に対して、業務上横領での告発をおこなっており、私物化の断罪はこれからである。さらに、大阪国税局が9月中旬、「資産私物化」と「不正な会計処理」に対して、税務調査に乗り出すなど、法的な解明も開始されている。
しかし、どうしも、なぜ?と考えざるをえない。この前副理事長は74年の生協設立以来の役員で、いずみ生協を育てた第一人者という実績らしいが、やっていたのは、そこらの俄か成り金企業のワンマン社長と変わらない。さらに、おそらく生協の役員クラスは、おそらく共産党員ないしはシンパと思われるが、こうした「不公正」「乱脈」な生協私物化を阻止できなかったのか、ということである。
パンフの最後のページでは、2名の解雇者が、「告発の報復としての懲戒解雇に抗議する」や「嘘とデッチあげで解雇、これはファシズムだ」と訴えを載せている。いずれも生協中枢にいた人々で、「わたしは比嘉氏や西専務らの関わったサギ、横領、背任の証拠をすべて持っています。すでに地検特捜部にも提出している」と語っている。
9月総代会は、まだまだ「いずみ生協を守れ」みたいな、共産党や生協幹部の息のかかった総代多数で、真相解明が見送られたが、いずれ司直の手が闇を照らすことは明らかだ。

<一番恐れているのは共産党?>
これら告発者もおそらくは共産党に近い人々だと思われる。いわば内紛というわけだ。共産党だろうと自民党だろうと、組織の私物化、横領、背任は組織自らが解明すべきで、検察への告発は最後の手段だ。まさに外部にしか頼れないほど、いずみ生協の腐敗が進み、民主的運営が不可能になっていたのだろう。こうして「いずみ生協の腐敗と内紛」の解明を一番恐れているのは、共産党ではないか。前副理事長が共産党員であった可能性が非常に高いからだ。
告発者達は、疑惑の解明を求めながら、「組合員が主人公になる”いずみ”の再生と、不当解雇撤回は同じもの」として、いずみ生協の活動強化を語っている。複雑な思いのする表現であるが、徹底した解明と責任の明確化が求められている。(97ー11 H・I)  

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