アサート 251号(1998年10月24日)
【コラム】 ひとりごと--大阪府の財政危機について思うこと--
、大阪府は火の車。今後、このままの財政危機が続けば、単年度で約5,000億円から6,000億円以上の財源不足が見込まれ、準用再建団体も必至と言われている。府の財政当局は、この財政危機の要因を法人二税をはじめとする府税収入の大幅な落ち込みと人件費をはじめとする義務的経費の増加にあると説明している。そして府は、その財政危機の乗りきり策として財政再建プログラム(素案)を発表し、事務事業の大幅な見直しと30%シーリングを中心とする施策経費削減、さらには7,000人の職員定数の削減、定期昇給の2年ストップなどの大幅人件費削減を打ち出している。○しかし、確かに府の財政危機の構図が基本的には、そのとおりだとしても、いささか疑問な点も感じる。まずは、財政硬直化の要因として人件費の増加を上げているが、その人件費の大半は一定、法律で定数配置が義務づけられている教員と警察職員であり、また一般行政部門においても高度経済成長期における行政ニーズの増大に対応して、職員定数条例の範囲の中で採用されてきたものである。いわば歳出の中で、人件費が多く占めるのは、地方行政を運営する上で必然的なものであり、あたかも「自治体職員の肥満が赤字の原因」とイメージするような吹聴には納得できない。○いずれにしても、こうした構造的な要因とは別に、行政運営上の失政はなかったのだろうか。財政再建プログラムでは「建設事業費については、〜平成8年度以降、抑制に努めてきた」と、さらりと流しているが、果たして本当にそうだったのだろうか。少なくとも筆者の認識する限りでも、バブル崩壊以降の府税収入落ち込みの過程でも、なお公共事業の継続がされていたものがある。また今回、公共施設の管理見直しに示されているものの中には、上方演芸資料館、府立中央図書館、弥生文化博物館、近つ飛鳥博物館等、設置されて間もないものも含まれており、当初のランニングコストの甘さを指摘せざるを得ない。○一方、今後の解決方策においても、職員の人件費削減はもとより、市町村振興補助金、私学助成費、老人等の医療費公費負担事業費等、府民福祉に関る事業についても、大幅な見直しが目白押しである。なお一方、一定「点検・見直しを行う」というものの、なお事業を継続するものとして、あいも変わらす、和泉・岸和田コスモポリスや津田サイエンスヒルズ等が盛り込まれている。また関西国際空港のU期工事についても、なお事業継続となっているが、その膨大な事業経費と言い、採算性と言い疑問を持たざるを得ないし、特にアジア諸外国では急ピッチに大型空港建設ラッシュが続いており、果たして関西国際空港が名実共にアジアのハブ空港としての機能を持ち得るかについては、識者の中でも疑問の声を出す者も多い。○最後に定期昇給2年ストップをはじめとする人件費削減について言えば、真に心の通った行政サービスを提供するには、モノでもなくカネでもなく職員の真心である。その意味で言えば、職員も労働者であり、生活者であり、公務員としての基本的な賃金・労働条件の保障なくして、精神的訓示だけでは優しさをもった公務労働への気概が発揮し難いのも事実である。今、府庁内部には、閉塞かつ萎縮した気分が鬱積しつつあり、こうした状況もまた財政再建にどのように影響するのか、考えてもらいたいものだ。(民) 

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