アサート No.312(2003年11月22日)

【投稿】  総選挙を終えて--若干の感想--

 11月9日行われた総選挙の結果について、いくつか指摘しておきたい。

<本格的な小選挙区選挙になった>
 まず、小選挙区比例代表併用制という選挙制度になって3回目の総選挙であったが、私が思うに今回選挙の最大の特徴こそ小選挙区制度の特徴が如実に現れた選挙となった点である。 
 96年の総選挙では選挙直前に結成された旧々民主党は全国300小選挙区に半数に満たない143名しか立候補できなかった。近畿では2府4県47選挙区に21名が民主党から立候補したが、小選挙区での当選は0、比例区でやっと5名当選したのみであり、全体でも52議席であった。
 2000年の総選挙で民主党は近畿のほぼ全部の小選挙区で立候補者を確保し、全国で小選挙区80(+32)、比例区で47(±0)となった。この時、小選挙区で躍進しながら比例区では、まだまだ自民党に水を空けられていた。(自民対民主の比例区得票率は、96年32.8対16.1、2000年28.3対25.2、今回は、35.0対37.2で逆転している)
 今回の総選挙では、小選挙区で267名が立候補し、小選挙区105、比例区で72が当選、いずれも躍進した。但し明らかに11のブロック比例区で違いが見られ、北海道と都市部と言われる東京、南関東、東海、近畿で自民党を越え、北関東、北陸で自民と互角。その他では自民に負けている。比例区の全国集計では、自民を逆転し自民69に対して72議席を確保した。
 社民党候補を推薦した選挙区も加えるとほぼ300選挙区に民主党が立候補させたことにより、この制度の本来の舞台が出来上がった。その上で政権選択選挙となったわけである。民主党が「マニュフェスト」と言う形で、政権公約を突きつけたことも自民党内の不一致を際立たせて国民の支持を得たようだ。
 さらに、小選挙区で100を越える当選者を確保できると比例区でも連動して多くの当選者を出すことができたのである。次の総選挙はいつのことかわからないが、政権の内紛や政治責任などで早まることも予想される。しかし自民党の弱体化が続いている現状では、3年ぐらい先だろう。そうなると小選挙区で破れたが、比例区で当選した議員の場合、選挙区にあっては国会議員として支持を広げる活動ができるので、次回は小選挙区での当選する確率も一層高まる。次回は政権選択選挙の性格が一層強まるのである。
 
<小政党(?)の不振>
 小選挙区選挙は、大きい政党に有利であり、小さい政党でも議席を確保できるように比例代表制を併用するというのがこの制度の趣旨であった。
 しかし、今回の総選挙の特徴としての、共産党、社民党の大幅な後退があった。これに関連して、「さざなみ通信」の掲示板には、面白い投稿を見つけた。
「T.(当選した自民党候補の得票)≦(次点の民主党候補の得票)+(落選した共産党候補の得票)となった小選挙区が北海道や東京や大阪などを中心になんと42区、
U.(当選した自民党候補の得票)≦(次点の社民党候補の得票)+(落選した共産党候補の得票)となった小選挙区が兵庫と沖縄の2区、
V.(当選した公明党候補の得票)≦(次点の民主党候補の得票)+(落選した共産党候補の得票)となった小選挙区が神奈川や大阪を中心に8区、
W.(当選した保守新党候補の得票)≦(次点の民主党候補の得票)+(落選した共産党候補の得票)となった小選挙区が愛知県に2区、それぞれあったようです」
 これらを合計すると54区となり、与党3党の獲得した議席から差し引くと「与党」は、221議席となり、「野党」に転落する。300選挙区すべてに立候補させる共産党の選挙方針を批判する内容です。
「公明党が自民党とやっているように、小選挙区は民主党に票を回すから、比例選では共産党に民主党支持者の票を回せよ…。これぐらいの柔軟性とずる賢さを持ち合わせ、人間的魅力のある指導者、たとえば、ユーロ・コミュニズムを提唱した旧イタリア共産党のベルリングエル氏のような指導者が党幹部に登場したら、共産党は甦るでしょう。」と「オリーブの木」さんは結んでいます。私も賛成です。
 政治に「もしも」はないにしても、かつて全電通が社会主義協会系の社会党候補を推薦しなかった選別方式の逆で、元社会党出身の民主党候補や護憲や平和に軸足を置いた候補を選択して支持するというような「介入」の仕方はあったはずです。
 社民党や共産党は、「二大政党の間で埋没した」との言い訳をしているが、とんでもないことだ。そもそも政党連合を組むことなく、二大グループの両方を批判して独立して闘うことを選択している以上、「第3極」として信頼を集め、支持を拡大できなければ「埋没する」のは必然である。これとよく似た内容の投稿が目に付きますが、残念ながら「さざなみ通信」の皆さんは、むしろ共産党をもっと「左」に導く傾向にあり、あまり耳を貸す気はないようですが。
 
 紙面の都合でここまでにしますが、さらに議論するべき「総選挙分析」としては、「自民・公明連立政権の分析」「世襲議員批判の強まりと自民党の候補者不足」「無党派層の政治行動の評価」「低投票率でも民主が躍進したこと」「組織政党共産党が低投票率でも勝てなかった理由」「社民党のこれから」「民主躍進、社民後退が労組に及ぼす影響」などがあるように思う。
 大阪では、12月初旬に恒例の意見交換会を開催して議論する予定なので、紙面に反映していく予定です。(佐野秀夫)

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