ASSERT 369号 (2008年8月30日発行)

【投稿】 近づく自・公連立政権の終焉
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【投稿】 近づく自・公連立政権の終焉

<<きしみが目立つ自・公連立政権>>
 臨時国会召集をめぐる与野党間、そして与党内の攻防は、いよいよ年内解散・総選挙の様相を現実化し始めている。福田首相は当初、インド洋での給油活動が非常に大事だとして、新テロ給油特措法延長法案の再可決に必要な日程を確保するため、何よりも給油一時停止という昨年の悪夢を避けるため、なんとしても8月下旬には臨時国会を召集する構えであった。しかしその意図はもろくも崩れ去った。
 その第一の原因は、公明党対策に応じざるを得ない、その意向を無視しては政権維持ができないぎりぎりのところに追い込まれているところから来ていると言えよう。
 昨年と同様、参院野党が否決した新テロ給油法延長を、衆議院において再び強行再可決する自民党に同調すれば、公明党は独自性どころか単なる自民党の付属物と化してしまう、「平和の党」の看板は完全に色あせてしまう。本音では同調することを前提としながらも、抵抗する姿勢を示さざるを得ない公明党は、新テロ特措法の延長に慎重姿勢を示し、再可決を前提とした臨時国会の早期召集に反発し、来年夏の東京都議選に全力を傾けるためにも臨時国会は短期で閉会し、来年1月までに衆議院の解散・総選挙を行うように求めたのである。
 さらに公明党にとって厄介な問題は、創価学会を提訴した公明党の矢野絢也元委員長と前公明党参院議員の福本潤一氏が国会喚問に積極的に応じる姿勢を明らかにし、「(国会)招致が実現すれば、私は政治とカネの問題、矢野氏は(学会による)人権侵害の問題を証言することになります」(福本氏)と述べていることである。参議院多数を握る民主党、野党によって、この問題が臨時国会で徹底追及され、政教一致問題から池田大作名誉会長の国会証人喚問にまで事態が発展すれば、公明党・創価学会にとっては死活的な重大な危機に立たされることは間違いない。なんとしてもそうした事態を阻止するために、公明・学会幹部は、喚問つぶしから連立組み換えのゆさぶり、民主党への接近、個別野党との選挙協力の誘い水まで、さまざまな裏工作に必死である。こんなときに臨時国会の早期召集や再可決を前提にした、「参議院が、衆議院の可決した法律案を受け取った後、国会休会中の期間を除いて六十日以内に、議決しないときは、衆議院は、参議院がその法律案を否決したものとみなすことができる。」という、衆議院可決必要会期 +「60日ルール」適用の長期国会など呑めるものではない。結局は9/12召集、会期は70日という中途半端な妥協で折り合わざるを得なかった。公明党にとって、自民党との軋轢やきしみが目立とうとも、背に腹は代えられないのである。

<<「何も発信しない総理」>>
 公明党の太田代表は9/21のCS・朝日ニュースターの番組収録で、衆院解散・総選挙の時期について「どのあたりが勝ちうる状況を生み出すのかを考えなくてはいけない。(勝てる)状況をつくることからいくと、年末年始というのは一番最初に出てくる選択肢だ」とわざわざ具体的な時期に言及し、福田政権を解散・総選挙に向けた流れに押し出そうとさえしている。「11月23日総選挙説」が急浮上する火元でもあろう。
 さらに公明党としては、福田首相が「安心実現内閣だ」と胸を張った八月初めの大幅な内閣改造にもかかわらず、実態は「追い込まれ改造」内閣、「短命・消費期限付き」内閣、自民幹部からは「ぐず内閣」の声まで出るほど、政権浮上のリーダーシップも期待できない、無為無策、支持率低下も止められない、だとすれば、総選挙向けのバラマキ経済対策を早急に復活させ、補正予算案など生活に密着した法案に絞り、会期は短く、早期解散への圧力を強めていく、出来れば、福田首相早期退陣−麻生内閣による衆院解散というシナリオまでが期待されている。
そしてこれに呼応するかのように、「総理からも指示された」と、麻生幹事長ら自公与党幹部が8/13に打ち出した補正予算の規模は「1兆円超」だという。内閣改造に際して自民党幹事長に就任した麻生氏は、自らの役割を「景気対策を進めると、確実に財務省とぶつかる。その突破を、柄の悪い麻生にやらせるのが一番となったのだろう」と小泉路線からの転換を公言し、これを支援するかのように森元首相は、8/17の民放番組で、「チマチマ出しても役に立たない」と大型の景気対策を打ち出すよう主張、キングメーカー気取りで「ポスト福田」にも言及し、「『次は麻生さんに』という気持ちは自民党に多く、わたしもそう思っている」とまで明言している。さらにこれを念押しするかのように、麻生幹事長の側近とされる甘利明前経産相(山崎派)が8/18、BS放送の番組収録で「(福田内閣の)支持率が20%を切ったら党内から『態勢立て直しを』という声が出てくる。その時に党内合意が図られるのは麻生幹事長だ」と述べ、総選挙前に麻生政権になるとの見通しまで示している。福田首相と麻生幹事長の「政権禅譲密約」説の火元もこのあたりであろう。
 そして自民党の中川昭一元政調会長が8/23、福田首相の直接批判にまで乗り出した。中川氏は、福田内閣の経済政策に触れて「緊急の非常対策をまず発信すべきだ。何もしていないのは政治の無責任と言わざるを得ない。このままでは日本が沈没しかねない。何も発信しない総理では駄目だ」と首相を批判し、「2兆〜3兆円相当の財政出動が必要だ。必要なことは何でもやって難局を乗り切るべきだ」とブチ上げている。

<<「ボロボロと荷崩れ」>>
一方こうした流れに対して、中川秀直・元自民党幹事長は、自らのホームページ上で「首相の明確な経済財政路線に反対する人が執行部にいるとは信じられない」と、麻生幹事長を露骨に批判している。8/24の「中長期ビジョンこそが政党の生命線」という主張では、「いずれにしても、90年代の「失われた10年」となった一時しのぎとなった財政出動によるばらまき政策の繰り返しの愚を犯してはならない。2001年4月からの小泉構造改革によって、足元の景気対策より、中長期の政策として、財政再建の旗を掲げて、不良債権処理を最優先した結果、02年2月からの戦後最長の景気回復が生じたのである。財政出動なしにである。」と主張し、いまだに小泉路線の自由競争原理主義を「構造改革」などと称し、自らのグループの研修会の冒頭でも、「財政再建、改革路線と両立させないといけない」、「改革をあきらめた政党にあすはない」と強調し、自民現執行部や公明党の動きを強く批判している。
しかしこうした小泉路線こそがもたらした膨大な破綻と社会の隅々にまで否定的影響をもたらした自由放任・無責任路線と貧困の蔓延と生活基盤の破壊、格差の拡大、社会保障の破綻について口をぬぐう限りは、 小泉チルドレンと同様、そしてまた福田現政権執行部と同様、政局の動きから取り残された存在と化し、彼ら自身にも「明日はない」と言えよう。
 サンデー毎日(2008年8月24日号)の総選挙予測によると、政党支持率は、自民26.1、民主29.7、公明0.7、共産4.9、社民1.4、国民新1.5、無所属5.4、「まだ決められない」30.3で、すでに民主党の方が自民党より上となっている。「官房長官・町村信孝も元副総裁・山崎拓も津島派会長・津島雄二も現状では当然の見込みがなく、財務相・伊吹文明も楽観できない」、「リードを保つ自民党現職は、広島4区の中川秀直元幹事長やテレビ出演の多い愛知13区の大村秀章氏ぐらい」、「自民党本部内では、『このままいけば8、9割は下野だろう』との不安が消えない。足元の支持組織がボロボロと荷崩れを起こし、次期衆院選に向けた明るい材料が何一つ見当たらないからだ」と指摘されている。「一度も衆院選に負けたことのない小選挙区は95、これを死守した場合、比例代表は60ぐらい。小選挙区、比例代表合計で155議席、ここからどれだけ積み重ねられるか、そういう選挙になる」という。
 週刊朝日(2008年8月22日号)の白鴎大学教授・福岡政行氏の総選挙予測によると、与党の予測獲得議席は、自民189(±13)、公明27(+4、−3)、自公合計216(+17、−15)。野党の予測獲得議席数は、民主226(±17)、共産(+2、−3)、社民7(±2)、国民7(+4、−2)、日本1(+3)、大地1、無所属10(−4)、野党合計264(+15、−17)で、衆院過半数(241議席)を大きく割り込み、自公連立政権は惨敗し、政権を失う、との予測である。
 現在の福田政権の路線の不明確さ、無為無策、他人事のような責任放棄、出しては引っ込める定見のなさ、茫然自失のダッチロール、リーダーシップの不在、こうした福田内閣を特徴付ける事態が続けば、さらに与野党の差は拡大するばかりであろう。自・公連立政権の崩壊と終焉がこれまでにも増して近づいていると言えよう。これは与党側の自壊作用ともいえるが、自壊=政権交代とならない以上、これを確実なものとする野党の対応こそが問われている。
(生駒 敬)