ASSERT 420号 (2012年11月24日発行)

【投稿】 混迷・暴走・自爆解散と対決する
        脱原発・反増税・改憲阻止の包囲網を
【投稿】 大飯原発を至急停止して調査せよ!
          --敷地内に活断層の疑い濃厚--
【投稿】 日中の政権交代と緊張激化
【投稿】 マスコミが煽る「第三極論」の抬頭
【日々雑感】 こんな所にも反中国の影響か?

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【投稿】 混迷・暴走・自爆解散と対決する
           脱原発・反増税・改憲阻止の包囲網を


オバマの再選、野田の投げ出し
 11/6、米大統領選において、オバマ現大統領はかろうじて踏みとどまった。共和党のロムニー候補が勝利していれば、自由競争原理主義の新自由主義が再び猛威をふるい、マネーゲームを野放しにし、金融資本や大独占、富裕層に大幅減税を実施する一方、緊縮財政の旗の下に、社会保障をはじめとするセーフティネット、教育、自治体、社会的公共資本をズタズタにぶち壊し、さらなる景気後退局面に陥りかねない危機的な米経済をさらに破滅に追い込むところであった。こんな候補者を大統領に据えることを阻止したのは、昨年来のウォール街占拠運動に象徴される99%対1%、ごく少数の超富裕層対圧倒的多数の低所得者層、格差のとどめのない拡大と社会保障と教育破壊に反対する、広範な粘り強い闘いの広がりと包囲網であった。そして「米国経済の最優先課題は、雇用ではなく、財政赤字だ」と叫び続けてきた緊縮財政タカ派は偽善者であり、もうこんな連中にはうんざりだ、という圧倒的多数の99%の声がロムニー候補を蹴落としたのだと言えよう。
 11/12付ニューヨークタイムズ紙でクルーグマン米プリンストン大教授は「緊縮財政タカ派は退場せよ」と題して、いわゆる「財政の崖」問題は、「経済を人質に取ろうとする共和党の企てによってもたらされた政治危機なのである」、「景気が深く落ち込んでいる時の財政赤字は良いことである。赤字削減は景気が回復するまで待つべきである」、「財政赤字のうるさ型」連中は「米国の財政を気高く守っているふりをしながら、実際は偽善者であり、支離滅裂でもあることを自ら露呈した」、「さあ、こんな連中には退場願おうではないか」とそのコラムを結んでいる。
 こうした声を反映するもうひとつの結果が、米大統領選と同時に実施されたカリフォルニア州の住民投票の結果に示されている。ブラウン州知事(民主)の「富裕層の所得税率引き上げ、その増収分を教育予算に充てる」提案が賛成53.9%で可決・成立したのである。この結果、年収25万ドル(約1975万円)以上の高額所得者の所得税率を引き上をげ、2012年1月にさかのぼって7年間実施、増収分は全額、公立の小中高等学校、2年制の公立大学に割り当てられることとなった。画期的な転換だといえよう。
 こうしてオバマは再選されたが、片や、日本の野田首相は、今や米共和党の「緊縮財政タカ派」と全く瓜二つとなって、増税・緊縮路線で自民・公明と野合し、「近いうち解散」に追い込まれ、もはや与党多数派も維持できなくなって、ついに政権を投げ出す事態を自ら招くこととなった。


写真は、11・11関電本店1万人大包囲行動への西梅田公園での集会

「さあ、こんな連中には退場願おうではないか」
 野田首相にとっては年内解散以外の選択肢はなかったのであろう。しかしそれは、野田首相個人、あるいはその同類である松下政経塾出の未熟極まりない新自由主義路線と緊縮財政路線、アジア諸国との緊張激化路線に凝り固まった連中にとっての私利私欲に基づく解散路線である。それは、民主党にとっては、あるいは三年前の政権交代に託した有権者にとっては、裏切りにも等しい暴走であり、党の解体と事実上、党そのものが散り散りばらばらになる「流れ解散」への「自爆解散」でしかない。
 野田首相やその同類にとっての私利とは、マニフェストが否定し、そして首相自身が否定していた財務省の増税路線を忠実に実行し、それを成し遂げたことへの達成感、功名心、そしより直接的には、「100人が100人反対」という党所属議員の総意、「民主党の総意と」して解散反対を突きつけられ、解散前の首相交代を迫られ、その圧力に怯えて、これに対抗してどんでん返しで異例なクーデター的ともいえる解散を強行し、たとえわずか一ヶ月でも首相の座にとどまり、ASEAN首脳会議にも出席し、「あとは野となれ山となれ」という私利以外の何物でもない。
 そして私欲とは、たとえ壊滅的な打撃を受けて少数政党に転落し、政権を明け渡したとしても、その増税路線を確実なものとするための民自公3党合意を盾にとった後継政権への擦り寄り、たとえ補佐役でも新与党連合にすがりつき、増税翼賛大連合の一翼を担うことへの期待であろう。なんとも許しがたい私利私欲である。
 共同通信社が11月上旬に実施した世論調査では、野田内閣の支持率は前回10月調査より11・5ポイント減の17・7%と20%台を割り込み、政権発足以来最低を記録している。もはや有権者の信頼を失った野田首相が、解散によって「国民に信を求める」と大見得を切っても今や空々しいほどのうつろさである。そもそも「信を求める」、その「信」が無きに等しいのである。離党者が続出し、民主党内部は、いまや原発、消費税、環太平洋連携協定(TPP)、外交、防衛など主要課題をめぐって賛成と反対が入り乱れ、もはや党機関の決定もままならず、収拾がつかない混迷状態である。一大政治決戦であるにもかかわらず、全て旗色鮮明にできない、候補者個人に任された選挙戦は敗北を前提とした苦戦以外の何ものでもないであろう。
 そしてそもそも首相が成し遂げようとしている消費税増税路線は、すでに既定の路線としてやり過ごそうとしているが、11/12に内閣府が発表した7〜9月期の実質国内総生産(GDP)は前期比マイナス0.9%、年率換算マイナス3.5%と、景気後退が鮮明になっており、9月の鉱工業生産は前月比4.1%低下し、低下幅はリーマンショックと大震災以外では最大の落ち込みである。こんな時に増税路線を提起すること自体が、経済をさらに悪化させ、庶民の暮らしをより一層苦しくさせる以外のなにものでもない。野田首相は、来年に解散を先送りすれば、こうした経済状況では消費税増税に赤信号がともるという財務省の見通しとその圧力にあわてて解散に踏み切ったともいえよう。いずれにしても、こんな景気後退時に増税を提起するなど、クルーグマン氏の言うとおり、「さあ、こんな連中には退場願おうではないか」という声をこそ、有権者の声として結集させるべきであろう。

「民意の実現を図る国民連合」
 こうした声を無視し、踏みにじってきた民主党は、かくして大惨敗を喫せざるを得ないと言えよう。
 しかし、退場を願わなければならないのは、同じ増税路線と緊縮財政路線を歩み、むしろ先鞭をつけ、主導してきた自民・公明連合とて同罪である。自・公・民の間には今や基本的に政策的な違いは無きに等しい状態である。違いは、安倍自民党総裁の再登場によって、憲法改悪と軍事力強化、緊張激化路線でどちらがより先鋭、強硬、右翼的かという、最も危険極まりない競り合いがより激しくなってきたことである。
 そしてさらにこの際、退場願わなければならないのは、この競り合いを叱咤激励するばかりか、東京都が尖閣諸島を買い上げるという対中国挑発行為をあえて実行し、「これで政府に吠え面をかかせてやるんだ」と野田政権にその国有化を迫り、そのその愚劣な発言と挑発行為の結果、長期化する日本側の経済的打撃と景気悪化に何の反省もなく、性懲りもなく国政復帰を目指し、今や第三極、いや第二極のヒーロー然として振舞っている石原慎太郎東京都前知事である。今や「我欲」に凝り固まり、耄碌して「原発をどうするかはささいなこと」と放言するようなこんな人物に国政関与の資格などもはやないし、悪意と差別に満ち満ちたこのような人物に追随し、「石原氏しかできないような判断と行動だ」と絶賛・迎合し、石原氏を表面に立てて、自らはその共同代表として後釜を狙っている橋下徹大阪市長もこの同類であり、より悪質・危険な存在である。この石原・橋本連合に身を寄せ、連携せんとする有象無象もその同類と言えよう。そして総選挙と同日日程で行われる都知事選に立候補し、石原氏の後継者として指名された猪瀬氏も、茶坊主よろしく尖閣諸島買い上げの寄付金集めを提案して高く評価されるような同類である。
 こうした勢力に対抗する真の第三極、あるいはそれこそ第二極こそが結集されなければならないが、いまだ明確で具体的な姿が見えてこない。
 10/22、国民の生活が第一 社会民主党 新党きづな 新党大地・真民主 減税日本 新党日本 改革無所属がようやく「民意の実現を図る国民連合」共同公約(案)を提起し、
1.まだ間に合う、消費税増税法の廃止
2.10年後の3月11日までに原発をゼロにする
3.TPP交渉参加に反対する
を明らかにしたが、より幅広く具体的な結集が図られるべきであろう。
 政権交代の意義を真に継承し、本来の総選挙の争点である、脱原発・反増税・反TPP・セーフティネットの再構築・改憲阻止の包囲網の早急な構築が望まれる。
(生駒 敬)