ASSERT 435号 (2014年2月22日発行)

【投稿】 地域から脱原発、平和構築、反レイイシズムの声を!
        重要さ増す自治体選挙
【投稿】 国民は原発事故の「異常」の中での「正気」を取り戻せ
【投稿】 橋下・維新、崩壊へ
【書評】 『アイスランドからの警鐘──国家破綻の現実』
【本の紹介】  吉村昭著 『生麦事件』

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【投稿】 地域から脱原発、平和構築、反レイイシズムの声を!
            --重要さ増す自治体選挙--


<沖縄の一撃>
 1月19日、沖縄県名護市長選挙の投開票が行われ、普天間基地の辺野古移設に反対する現職の稲嶺進市長が、自民党が一本化した対立候補に大差をつけて勝利した。
 昨年末以降、沖縄選出自民党国会議員や仲井間県知事の辺野古移設容認姿勢への転換が相次ぐ中、「最後の砦」は堅持された形となった。
 自民党候補苦戦が伝えられる選挙戦のさなか、現地入りした石破自民党幹事長は「500億円の振興基金」という露骨な利益誘導をもって、逆転勝利をもくろんだが名護市民の意思に跳ね返された。
 安倍政権は「選挙結果は関係ない」と冷静を装っているが、沖縄においては昨年末以来、仲井間知事の辺野古埋め立て承認に対する反発が相次ぎ、これに抗議する意見書や決議を9自治体議会が可決した。さらに県議会などからは辞職要求が出され、知事は窮地に立たされている。
 こうした状況に危機感を抱いた菅官房長官は2月10日、仲井真知事と首相官邸で会談し、改めて普天間基地の5年以内の運用停止など、基地負担の軽減に取り組む姿勢を明らかにした。
 この場には、普天間基地を抱える佐喜真宜野湾市長らも同席し、官房長官ら関係閣僚と知事・宜野湾市長による協議会の設置や、その作業部会で実務的な作業を進めるよう要望した。
 さらに知事らは浦添市の米軍牧港補給地区を、7年以内に全面返還することや、オスプレイの県外配備に関しても、政府が取り組みを強化するよう要求。
 これに対し菅官房長官は「要望はしっかり受け止め、できることはすべてやる。協議会は早急に設置して政府としてしっかり対応する」と応えた。
 これを受け防衛省は、知事が求める辺野古埋め立て予定地の環境監視の有識者委員会の設置を進め、また外務省は、沖縄県内自治体の米軍基地への立ち入り環境調査に関する特別協定の締結に向けての、日米両政府の実務者会合を2月11日にワシントンで初めて開催した。
しかし肝心の「普天間の5年以内の運用停止」について、アメリカ政府は「辺野古の施設が完成し運用を開始してからの話だ」とけんもほろろであり、沖縄を訪問したケネディ駐日大使は、2月12日には稲嶺市長とも会談するなど、日本政府の対応に不信感を強めていることがうかがえる。
 稲嶺市長が反対姿勢をますます強固なものとしつつある現在、どんなに急いでも10年はかかるといわれている移設事業は、さらなる遅延が確実視されている。
 したがって、辺野古施設建設とリンクした普天間基地閉鎖など現段階では画餅に過ぎない。さらに一連の融和姿勢の一方で政府、文科省は、中学公民教科書選定で、地域の実情に応じた採択を行った竹富町に対し、直接指導に乗り出すという恫喝を行っている。
 このような「アメとムチ」ともいうべき対応に沖縄は不信を拡大させており、政府は、昨年4月28日に華々しく開催した「主権回復の日式典」を今年は見送らざるを得なくなった。
 昨年の式典に対しては、沖縄からの反発に加え、「天皇陛下万歳」三唱などあまりに時代錯誤的な内容に顰蹙が相次いだ。こうしたことから、現下の情勢においての式典実施は、火に油を注ぐだけのものであり、中止に追い込まれたのである。
 また2月14日の「琉球新報」では、沖縄防衛局職員が訪問した岩国市議会議員の質問に対し、辺野古の新基地において、これまで想定されていなかったF35B戦闘機運用の可能性について言及したと報道された。F35Bはオスプレイと同じく垂直離着陸が可能なステルス戦闘機である。
 これが事実であるなら埋め立て承認とリンクする環境影響評価の前提が崩れることとなり、重大な背信行為となる。
 同日開会された2月県議会において、埋め立て承認問題を追及するための「百条委員会」が設置された。今後、仲井間知事の答弁次第では進退問題に発展する可能性を含んでいる。
 予定では、知事選挙は今年末であるが、県内移設反対派の統一候補擁立が急務となっている。

<東京の悲劇>
 東京では「百条委員会」での追及に恐怖し辞職した、猪瀬前知事の後任を決める都知事選挙が、名護とは違った様相を呈した。宇都宮、細川両候補による票の分散が舛添候補の圧勝を準備した結果となった。
 日共、宇都宮陣営は「小泉に勝った」と、新執行部体制においても、主敵を取り違えた相変わらずのセクト主義むき出しの醜態をさらけ出しているが、看過できないのが田母神候補の60万票である。
 選挙戦に於いて田母神本人の主張のみならず、応援演説も目を覆うものがあった。百田尚樹NHK経営委員は「南京大虐殺は蒋介石のでっち上げ」「東京裁判は、アメリカの東京大空襲と原爆投下という虐殺行為を隠ぺいするもの」「ほかの候補には人間のクズのようなやつがいる」と在特会顔負けの「ヘイトスピーチ」まがいの街頭演説を繰り広げた。「永遠の0」ではなく「知性は0」であろう。
 今回の都知事選において、当初安倍総理は、自民党の「憲法案」に対し「右翼的すぎる」などと批判をしていた舛添の擁立に乗り気ではなく、心情的には思想・信条を共有する田母神候補を応援したかったのだろう。そこで安倍総理の肝いりでNHK経営委員となった百田が「代弁者」として登場したのである。
 百田発言に対してはアメリカ大使館が早速「非常識である」との見解を明らかにするなど、困惑が広がっているが、田母神は選挙結果にご満悦で、今後の政治活動の継続をにおわせている。
 ただ、自民党には自衛隊代表として佐藤参議院議員がいるので、極右新党結成もあるのではないかと言われている。安倍総理にしてみれば、崩壊寸前の「日本維新の会」に代わる友軍として渡りに船、といったところだろう。
 田母神善戦に上機嫌の安倍総理は、国会で「私は『人間のクズ』と言われても気にしない」などと開き直り、選挙中は「原発問題は都知事選の争点ではない」と言いながら、早速、原発再稼働に向けて動きだすなど、暴走を加速させている。
 選挙中「原発が無ければオリンピックができない」などと迷言を呈していた森喜朗元総理は、東京オリンピック組織委員長として訪問したソチで、記者団から英語能力を問われ「敵性語だからしゃべれない」と発言、失笑を買った。
 今後、世界中から東京への厳しい目が注がれるだろう。

<大阪は喜劇か>
 大阪では、橋下徹大阪市長が大阪都構想に向けたロードマップが破綻したため、市長を辞職した。
 橋下前市長は当初、1月末の法定協議会に於いて特別区の4再編案を1案に絞り込んで、住民投票に臨み、2015年春に大阪都成立を目論んでいたが、公明党が反対に回ったため頓挫したのである。
 昨年の橋下「慰安婦発言」以降、「維新の会」への支持は凋落し、東京都議会選、参議院選、そして堺市長選挙で相次いで敗退した。
 追い詰められた感がある橋下であるが、籾井勝人NHK会長の「慰安婦発言」に関し、わが意を得たりとばかりに擁護姿勢を見せるなど、一向に反省していないことが明らかとなった。
 3月に予定されている「選挙戦」では東京と同じく百田が応援演説をするのだろう。選挙は主要政党が無視する中、橋下の一人芝居となるが、投票率、投票数の如何によっては、 今後の野党再編にも影響を及ぼす可能性がある。
 このようにこの間の自治体選挙は国政の動きとも密接に関連しており、自治体レベルでの極右、排外主義勢力の封じ込めが求められている。あと一年あまりに迫った統一自治体選挙はより重要なものとなるだろう。(大阪O)