ASSERT 451号 (2015年6月27日発行)

【投稿】 戦争法案反対の攻勢を
【投稿】 米国の凋落と安保法案
【投稿】 隊員を死地に送る最低指揮官
【書評】 『本当は憲法よりも大切な「日米地位協定入門」』
【コラム】 ひとりごと---「労働者派遣法改悪」の嘆き---

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【投稿】 戦争法案反対の攻勢を

<拡大する戦争法案反対の声>
 安倍政権は今国会での「戦争法案」成立を強行しようと躍起になっている。しかし、国会での審議を重ねるにつけ、法案の矛盾点が次々と明らかになり、反対の声も日増しに強くなっている。
 6月7日には谷垣幹事長が新宿駅頭で街頭演説に立ったが、「法案反対」「帰れ」コールに包囲され「帰れで平和は守れない」と頓珍漢な反論しかできなかった。
 さらに学識経験者、法曹界はもとより、与党内からも批判の声が上がり始めている。5月12日の自民党総務会では、村上元行革相がただ一人反対を明らかにしていたが、ひと月後の6月12日には山崎拓、亀井静香、武村正義、藤井裕久の元自民党重鎮4名が記者会見を開き法案反対を訴えた。
 14日は2万5千人が国会を包囲し怒りの声を上げ、全国各地でも抗議行動は活性化している。こうした動きは同日夕刻の民法報道番組で、取り上げられたがNHKは7時のニュースで黙殺し、「代わりに」香港の民主化デモを長時間報道するという自主規制が行われた。
 しかしこれは逆効果で、批判にさらされたNHKは18日には瀬戸内寂聴師の反戦スピーチを報道することとなった。
 政府は日程の遅れに焦燥感を深め、国会会期の9月までの大幅な延長の検討に入ったが、時間を稼ぐほど、法案に対する批判が増大するという矛盾に苛まれている。こうした状況を打開するため、安倍政権は維新の会を取り込み法案の早期成立を画策している。安倍、菅、橋下、松井の「トップ会談」を踏まえ、菅、松野の「実務者会談」が開かれた。
 維新は対案を法案化して提出する動きを見せているが、与党とすれば野党出席のもと審議が進み、円滑に採決できる環境が整えられればよいだけのことである。
 維新の対応は、対案の内容以前に敵に塩を送ったも同然であるが、この間の「労働者派遣法」を巡る動きを見れば、想定の範囲内である。
 想定外だったのは衆議院憲法審査会における参考人の見解であろう。6月4日の参考人質疑では、出席した与党側の長谷川早大教授も含めた憲法学者3人全員が「安保法案は違憲である」と断言し、安倍政権を慌てさせた。狼狽した菅は「合憲という学者もたくさんいる」と取り繕ったが、具体的な名前、人数は示せず、10日になって西駒大名誉教授、百地日大教授ら3名を挙げたにすぎなかった。
 稲田政調会長らは「違憲か合憲は最高裁が決める」と再び「砂川判決」を合憲の根拠として持ち出してきたが、砂川事件弁護団から厳しく批判され、法案に反対する学者、研究者の署名は3千人を超えている。
 こうした状況に政権は「学者の意見は参考程度」「学者の言うとおりにしていれば大変だった」と開き直った。18日の衆議院予算委員会で安倍は「国際情勢に目をつぶり、従来の憲法解釈に固執するのは、政治家としての責任放棄」と放言した。安倍らにとって憲法学者は「曲学阿世の徒」なのであろう。行き着く先は「焚書坑儒」であろう。国立大への「日の丸」「君が代」要請はその手始めである。

<護憲の国民投票を>
 戦争法案に関しては「国民投票」で信を問うべきとの意見がある。現在法的規定があるのは改憲かかわる国民投票だけであるが、「国民投票」は是非とも必要であろう。
 先の「大阪都構想」を巡る住民投票は、改憲に係わる国民投票の予行演習とも言われたが、その意味で「改憲派」の敗北に終わった。
 今回の「戦争法案」は「都構想」に比べ論旨は明快であろう。「国民投票」が実施されれば、沖縄知事選以上に公明―創価学会の動揺は激しいであろう。さらにこれが改憲ともなれば有権者の判断は明確に示されるであろう。
 安倍政権としては「96条改定」から徐々に進め、「環境権」などとの抱き合わせで「9条改廃」を目論んでいるが、この期に及んで公明党が「環境権」の「加憲」に消極的になるなど足踏み状態になっている。
 安倍は任期中の改憲を最大の目標としているが、功を焦れば失敗するのは橋下と同じある。
 橋下は改憲協力を手土産に安倍政権に接近し、公明党を翻意させ強引に住民投票の実施にこぎつけたが、あまりの拙速さで逆効果となった。最低2期でも市長を務め、その総決算として住民投票に臨んだなら違った結果になったかもしれないが、橋下は待てなかったのである。
 「都構想」否決の要因として高齢者が攻撃をされているが、これを教訓とするなら安倍としては、戦争体験者がいなくなるまで改憲発議は先送りすべきではないか。
 大阪では、橋下の言う「ふわっとした民意」で賛成した20〜30代が多かったが、「戦争法案」や「改憲」ではそのようにはならないだろう。「徴兵」や「戦死」に一番身近な世代が選挙権を持った現在、それがリアルに捉えられれば、世代を超えたうねりになるだろう。
 政府、与党は、国民投票〜改憲のハードルの高さがわかっているから、絶対安定多数を握る議会で違憲法案を押し通そうとするのである。法案への対応とは別に国会での憲法論議は活性化すべきであるが、自民党は憲法審査会の失敗に懲り、責任を船田筆頭幹事に押し付け、「当面審査会開催しない」として論議そのものを封じ込める挙に出た。
 この際平和勢力、野党としては96条を改定せずに、国民を信頼し「憲法9条の是非のみを問う改憲発議なら賛成する」と攻勢をかけることも考慮すべきではないか。(大阪O)