ASSERT 459号 (2015年2月27日発行)

【投稿】 驕り高ぶる安倍政権に、野党統一候補で闘おう!
【投稿】 「福島県県民健康調査」甲状腺がんデータを巡る原発推進派と
                       共産党系学者の奇妙なシンクロ

【投稿】 参院選・野党共闘をめぐって---統一戦線論(21)---
【書評】 古市憲寿『誰も戦争を教えられない』
【投稿】 「慰安婦」問題・日韓合意と共産党

トップページに戻る

【投稿】 驕り高ぶる安倍政権に、野党統一候補で闘おう!

<北朝鮮「ミサイル」に欣喜雀躍>
 2月7日、北朝鮮は国営放送を通じ「地球観測衛星『光明星4号』」を同国東倉里の発射場から打ち上げたと発表した。テレビでは満面の笑みを浮かべる金正恩の姿が映し出されたが、安倍政権の喜びはそれ以上のものがあるだろう。
 今回発射されたとみられる「テポドン2改」は、弾頭部の大気圏再突入能力はなく、大陸間弾道弾としては未完成のものである。さらに打ち上げ後の解析では、発射直後、不随意に部品が脱落し「衛星」は地球周回軌道上に投入されたものの、正常に作動していないことが確認されており、衛星運用技術も未熟であることが改めて明らかとなっている。
 しかし日本政府は発射準備が進む中、これを「事実上の長距離弾道ミサイル」として1月28日自衛隊に破壊措置命令を発し、イージス艦、地対空ミサイルを日本近海、東京、南西諸島に配備、仰々しい迎撃態勢をとった。
 北朝鮮は事前に打ち上げ期間と飛行コースを、関係国際機関に通告しており、日本海や東京方面には落下するはずもないのに、繰り返し市ヶ谷の防衛省に展開するPAC3の映像をマスコミを通じて拡散したのは「安心してください、配備してますよ」というパフォーマンス以外の何ものでもない。
 実際は、当初2月8日からとなっていた打ち上げ期間を、北朝鮮が6日になって7日からとしたため、防衛省幹部は土曜日におっとり刀で休日出勤、翌日の宮古島への配置完了は、発射の数時間前というきわどいタイミングとなり、所管官庁が弛緩した状態だったことが明らかとなった。
 悠長かつ「あけっぴろげ」な「人工衛星」の打ち上げにもかかわらず、1日前倒しされただけで日本政府は翻弄された。これが地下サイロに秘匿され、奇襲が可能な中距離弾道弾「ノドン」であれば迎撃は間に合わなかったであろう。
 こうした失態には素知らぬ顔で政府は発射情報を受け、さも緊急事態の様に国家安全保障会議(NSC)を招集した。マスコミは緊張した面持ちで総理官邸に参集する安倍ら政府首脳を映し出したが、会議の場では笑みを溢していたであろう。
 2月10日には、独自制裁として、北朝鮮への10万円以下、人道目的以外の送金禁止、すべての船舶の日本入港禁止などの措置を発表した。これに対して北朝鮮は拉致被害者の再調査を中止し、「特別調査委員会」も解体することを明らかにしたが、安倍政権は「想定内」と涼しい顔である。
 安倍政権にしてみれば、政権浮揚効果の見込めない拉致問題など、日韓関係の「改善」が期待できる今日、本気で取り組む気などなく放置していたも同然の状況だった。故に今回の制裁強化は北朝鮮がこのような反応を示すのを期待してのことだったわけである。
 北朝鮮の脅威を口実に、軍拡、国内治安強化を図らんとする安倍政権にとって1月の「水爆実験」に続く、今回の「ミサイル発射」は格好の「燃料投下」となったわけである。

<対中軍拡に利用>
 安倍は今回のミサイル騒動を、戦争法の合理化にも利用しようとしている。アメリカを狙うミサイルを、集団的自衛権に基づき迎撃する「日米新ガイドライン」のケーススタディになったというわけである。
 おりしも1月24日からは横田基地などで日米合同指揮所演習「キーンエッジ16」が行われており、実戦さながらになったという。
 しかし、日本政府は北朝鮮の「ミサイル」がどこに向かおうと、個別的自衛権に基づく独自の対応を行っており、集団的自衛権とは無関係である。逆に戦争法施行前の段階で、集団的自衛権を前提とする対処が行われたならそのほうが問題であろう。
 しかし北朝鮮はあくまでダミーであり、安倍政権の本当の狙いが対中軍拡にあることは明らかである。
 1月28日、台湾の馬英九総統がスプラトリ―(南沙)諸島の太平島に上陸、1月30日にはアメリカ海軍が南シナ海のパラセル(西沙)諸島で「航行の自由」作戦を実施した。
 中国政府は、馬総統の行動を支持、米軍の作戦に対しては違法行為として厳しく非難した。これに対しアメリカ政府は馬総統の行動を批判、2月17日には、パラセル諸島の永興島に中国軍の地対空ミサイルが配備されていることを明らかにした。
 台湾総統選挙で大敗した国民党・馬総統の行動は「最後っ屁」のようなものであるが、各国の思惑が錯綜し南シナ海情勢は混沌としている。
 こうした中、海上自衛隊は2月16日〜18日にP3C哨戒機をベトナムに派遣、同国海軍との合同訓練を実施した。P3Cはこの間フィリピンにも派遣されており、南シナ海を挟む形での活動範囲の拡大は、微妙な同海域の状況を複雑化させる露骨な軍事介入につながる。
 今後は海自艦船の越比両国への派遣も恒常化すると思われ、安倍政権はこの地域の緊張激化を一層進めようとしている。
 
<沖縄を愚弄する安倍政権>
 対中国の最前線となる沖縄県への圧力も強まっている。1月24日の宜野湾市長選挙では政府与党が推す現職が圧勝した。安倍政権はこの結果に大喜びし、辺野古新基地建設が沖縄県民の支持を受けたかのような幻想をふりまいている。
 しかし、宜野湾市民の民意はあくまで普天間基地の撤去であり、辺野古新基地建設容認ではないだろう。こうした中、1月29日には福岡高裁那覇支部が政府、沖縄県に対し二つの和解案を提示した。
「根本案」は辺野古新基地を建設したうえで、運用開始から30年以内に返還か、軍民共用化を求めて政府が対米交渉を行う。「暫定案」は政府が移設作業を中断し、代執行訴訟を取り下げ、県の埋め立て承認取り消しの違法性について提訴し県と再協議する。となっている。
 翁長知事は2月15日「暫定案」を念頭に協議を進める姿勢を明らかにしたが、政府は和解に否定的であり、埋め立て―建設強行を示唆している。裁判所は政府敗訴の可能性を示唆し「根本案」の検討を希望しているが、アメリカとの交渉を避けたい安倍政権は難色を示している。
 一方で県民世論の懐柔・分断を画策し、沖縄出身の著名人を参議院比例区に擁立するなど、あくまで強引な政治的決着を目論んでいるのである。
 さらに沖縄・本部町でのテーマパーク建設を計画していたUSJが、撤回を検討していることが明らかとなった。宜野湾市長選挙でも普天間跡地への「ディズニーランド」進出が打ち上げられたが、選挙が終われば用済みということであろう。
 もともと「美ら海水族館」などを擁する沖縄有数の観光地でさえ「採算が取れない」(USJ親会社)のに、宜野湾市ではさらに困難なことは火を見るより明らである。「ディズニーランド」など、選挙目当てで振り撒かれた幻想以外の何ものでもなく、あまりに沖縄県民を愚弄するものであろう。
 参議院選挙で再び沖縄の民意を示すことが望まれる。
 
<改憲勢力伸長阻止を>
 慰安婦問題の「解決」、甘利切り捨てなどで安倍政権の支持率は回復傾向にある。これに胡坐をかく安倍政権は改憲に向け強権的姿勢を強めている。
 安倍は1月21日の参議院決算特別委員会で、憲法のどの条項を改正すべきか検討する段階との考えを示し、2月4日の衆議院予算委員会では、国防軍の設置を盛り込んだ自民党の改憲案について「党として将来有るべき憲法の姿を示した」と評価し、自衛隊への疑いをなくすべきではないかとの考えもあると、9条2項改正の可能性にも言及するなど、改憲への傾斜を強めている。
 とりわけ大規模災害対処を口実とした「緊急事態条項」の設定を、改憲の突破口とせんとして、参議院選挙に於いておおさか維新の会など事実上の与党を含めた3分の2以上の改憲勢力の確保に躍起になっている。
 2月8日衆議院予算委員会で高市総務相は放送局への「電波停止」について言及した。政権に批判的なキャスターを飛ばすだけでは物足らず、放送局そのものを解体するぞという脅しである。
 今年は2,26事件80年での年である。このクーデター未遂事件を契機に陸軍を軸とする軍部の暴走は加速し、日本型ファシズム体制が確立したが、現在は安倍自民党自らが軍部の役割を担っていると言っても過言ではない。
 閣僚が民主主義を否定する言論弾圧を公言してはばからず、それを肯定する安倍政権の姿勢は「緊急事態条項」=戒厳令の真の目的とその危うさを如実に示しており、参議院選挙では改憲勢力を封じ込める必要がある。
 この間野党共闘は難航していたが、2月19日共産党は一人区に関しては、「国民連合政府」に拘らず戦争法廃止を軸とする「統一候補」に協力する方針を示したことで大きく動くこととなった。
 4月24日の北海道5区補欠選挙では、この動きの中で共産党が民主党に歩み寄り野党候補が一本化した。一方急遽行われることとなった京都3区補選については、安倍政権がおおさか維新に議席を譲り渡す可能性があり、民主、共産は何としても阻止すべきであろう。
 さらに参議院大阪選挙区では、最悪の場合おおさか維新2、自民1、公明1と「与党独占」の危険性さえある。民主、共産両党はこの間の流れを踏まえ、野党共倒れを防ぐため最大限の努力を傾注する必要があるだろう。
 世界的な右派勢力伸長の中、アメリカでは民主党の大統領候補選で格差是正を掲げるサンダース候補が大健闘を見せている。これには2011年のOccupy Wall Streetに通底するものがあるだろう。
 日本においても昨年の戦争法案反対行動で示されたエネルギーを、投票行動に結びつける取り組みが求められている。2月20日の社民党大会では5野党党首が共闘姿勢をアピールしたが、これを単なるパフォーマンスに終わらせないようさらなる努力が期待されている。(大阪O)