ASSERT 489号 (2018年8月25日発行)

【投稿】 消費期限偽装の安倍三選を許すな
【投稿】 米国の巨大資本権力に支配されるマスコミ
【投稿】 沖縄県知事選・翁長知事急逝をめぐって---統一戦線論(51)---
【書評】 『チェルノブイリという経験──フクシマに何を問うのか』 

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【投稿】 消費期限偽装の安倍三選を許すな
             ―沖縄県知事選勝利に全力を―

総裁選へ地方巡業
 7月上旬の西日本大水害以降、異常な猛暑が続くなか、安部が汗を流すのは、国内外の課題解決ではなく、己の自民党総裁三選に向けての工作のみという、より異常な状態が続いている。
 7月24日、安倍の対抗馬とみなされていた岸田文雄が、不出馬と安倍支持を表明した。岸田の「撤退」は、2021年での禅譲を期待してとの観測もあるが、菅は同日「将来の総裁候補」として、河野太郎、小泉進次郎の名をあげ、岸田など眼中にないと言わんばかりであった。
 また岸田は前日に安倍と談判して決めたと強気の姿勢を見せたが、官邸は即座にこれを否定、「無条件降伏」であった可能性が高まった。
 さらに7月下旬野田聖子に、朝日新聞の情報公開請求内容を金融庁から漏洩させた事件が発覚した。野田は出馬に意欲を見せているものの、このスキャンダルで事実上総裁選から脱落した。
 一挙に2名の有力候補が消える中、8月10日に石破茂が正式に出馬の意向を明らかにした。しかし現職総理相手に勝利はもちろん、党員票では安倍を倍近く上回った2012年総裁選の再現は望むべくもない状況となっている。
 一方安倍は国会議員の7割を固めつつ、党員票でも雪辱を果たし、石破を完膚無きまでに圧倒する「完全勝利」をめざしている。
 そのため安倍は「陣笠」「どぶ板」さながらに地方行脚や地方議員との懇談を繰り返し、その合間に被災地訪問などの日程を消化すると言う、一国の宰相とは思えない動きを見せている。「赤坂自民亭」問題への反省など微塵もなく、赤提灯をぶら下げた屋台で全国を商っていると言ってもよいだろう。
 それ端的に表れたのが8月6日であった。平和祈念式典後、被爆者代表の要望を聞く会に出席した安倍は、面倒くさそうに被爆者の話を聞いた後、核兵器禁止条約への不参加を明言、参加者の怒りを買った。
 そそくさと会場を後にした安倍は、被爆者擁護施設に立ち寄ったあと、午後2時には帰京、埼玉の地方議員との懇談を行い、夜はアベトモとの会食と、眼中にあるのは総裁選のみであることを憚らなかった。
 さらに親しい俳優の死去には心から哀悼の意を表し、「サマータイム導入」や「新天皇即位後の新元号公表」など市民生活に混乱をもたらす、常軌を逸した議員の要望にも、「三選の為なら何でもあり」と言わんばかりの対応を、恥じることなく繰り返している。
 そもそも三選を可能にした党の規約改定など、食品の消費期限のラベルを張り替えるに等しい行為である。一部には安倍四選を期待する向きもあるが、今後も国民を欺き続けることを公言しているようなものであろう。
 
「護憲天皇」VS「改憲安倍」
 広島、長崎で改めて核軍縮に消極的な姿勢を見せた安倍であるが、改憲への積極姿勢はますます露骨になっている。
 8月12日、下関市で開かれた「正論懇話会」で安倍は「自民党の改憲案を次の国会に提出する」と明言、森友、加計事件で窮地に立たされていた時期の慎重姿勢を覆し、スケジュールありきの姿勢を露わにした。
 自民党は3月に、9条への自衛隊の明記、緊急事態条項の創設、参院の合区解消、教育の拡充という4項目の改憲案をまとめているが、国会はおろか党内の論議も深まっていない。
 それどころか西日本大水害では緊急事態条項以前の醜態を晒し、合区解消を待たずして参議院定数増を党利党略で成立させるなど、自ら改憲の根拠を崩壊させているのが実態である。
 さらに国民投票法の改正も見通しが立たない中での強硬姿勢には、与党である公明、準与党の維新はおろか、自民党内でも疑問の声が上がっている。
 こうしたなかでも、安倍の現憲法軽視は止まらない。8月15日、全国戦没者追悼式で安倍は、アジアへの加害責任や謝罪については今回も言及せず、不戦を誓うこともなかった。改憲と次なる戦争へのフリーハンドを確保しようとする魂胆が透かし見えている。
 これに対して天皇は挨拶で、「深い反省」に加え今回初めて「戦後の長きにわたる平和な歳月に思いを致しつつ」との文言を加えた。「長きにわたる平和な歳月」を支えたバックボーンは憲法9条に他ならず、それを踏まえ「今後、戦争の惨禍が再び繰り返されぬことを切に願い」とすれば、安倍も天皇が何を言わんとしたか分かったであろう。
 この様な天皇の姿勢が新天皇に引き継がれれば、安部としてもやりにくいであろうし、常識的には来年11月の大嘗祭までは「世情を静謐に保つ必要」があり、国会の条件が整ったとしても改憲案の発議は難しいだろう。
 これを無視して改憲を強引に進めようとすれば、安倍の「尊皇」など明治の元勲や昭和の軍部と同様の、方便に過ぎないことが明らかとなるだろう。
 安倍の暴走の背景にはこうした状況への焦りと、経済政策の行き詰まりがある。8月1日、日銀は2%の物価上昇目標の達成は困難としながら、長期金利の上昇を容認するという金融緩和政策の修正を行わざるを得なくなった。
 8月10日には4〜6月期のGDPが年率1,9%増(速報値)となり、NHKはニュース速報を流す等、政権浮揚を図ったが、同日以降トルコリラの暴落が引き金となり、日経平均株価は乱高下を繰り返した。2四半期ぶりのプラスと言っても、個人消費の伸びも賃上げによるものではない以上、再びマイナスに転じる可能性も高い。
 さらに10、11日ワシントンで行われた日米新貿易協議(FFR)は、具体的な合意なく終了した。貿易「世界大戦」を進めるトランプにとって、日本も2国間の自由貿易協定(FTA)の対象であり、早期の妥結は難しくなっている。
 さらに様々な人材活用や技術開発構想も頓挫し、活路をカジノに見出そうとするなど、まともな経済政策が打ち出せない中、今後安倍政権が改憲に純化していく危険性はますます大きくなっている。

軍拡に抗する沖縄知事選
 とりわけ改憲を前提としたかのような、自衛隊の任務拡大の既成事実化が進められている。去る5月下旬自民党は政調会名で、新防衛大綱と中期防衛力整備計画策定に向けた提言を行った。
 この内容は軍事費の対GDP比2%への拡大を視野に入れた、通常兵力および、宇宙、サイバー空間の軍事化も含めた全般的軍拡を提言するものとなっている。GDP比2%など、現下、中長期の財政状況では荒唐無稽もいいところであるが、この中でも提言されているイージス・アショアについては経費を度外視した形で配備計画が進められている。
 これに厳しい懸念を示しているのがロシアである。7月31日モスクワで開かれた日露外務、国防相協議(2+2)でロシア側は、日本が導入予定のイージス・アショアはアメリカのミサイルシステムの一部と批判した。これに対して日本側は、純粋な防衛システムだと反論し平行線に終わったが、ロシアの懸念を払拭することは難しいだろう。
 一方ロシアも7月以降軍事的緊張を高めており、択捉島にスホイ35戦闘機、スホイ25攻撃機を配備した。8月上旬現在、衛星写真で確認されているのは戦闘機3、攻撃機2のみであるが、今後増強されていくものと考えられ、2016年の択捉、国後両島への新型対艦ミサイル配備に続き、北方領土の軍事化が進行している。
 さらに9月には極東地域で4年ぶりとなる大規模演習「ヴォストーク2018」が予定されており、先の「2+2」では日本側は一連の動きに対し「冷静な対応」を求め、8月3日には在露大使館経由でロシア外務省に抗議を行った。
 しかし9日、ロシア外務省は「(戦闘機配備について)ロ日関係を悪化させる意図はない」との極めて形式的なアナウンスを行っただけで、撤収の考えはないことを明らかにした。
 8月18日には、北方領土での日露合同経済活動に向けた現地調査が「悪天候」のため中止となり、国後島沖で待機していた日本側調査団は虚しく根室港に引き返した。
 こうしたなか9月中旬には、ウラジオストックで日露首脳会談が予定されているが、形式的なもので終わるだろう。日露関係の停滞―悪化は、安倍の無定見な軍拡の帰結であり、自業自得というものである。
 日露関係に展望が見いだせない中、安倍は対中関係改善にシフトをし、10月に単独訪中を計画し、来年はG20での習近平訪日を望んでいると言う。この間米中貿易紛争が激化する中、安倍は「一帯一路」構想への協力を匂わせるなど、盛んに中国に秋波を送り、関係改善を進めようとしているかに見える。
 しかし、実際は着々と対中軍拡を進めており先の「自民政調会提言」でも、中国を事実上「仮想敵筆頭」にあげ、「島嶼防衛」を重要項目としている。この間陸自は沖縄県内への補給拠点設置と輸送艦の新造、さらには水陸機動団の配備計画が明らかになるなど、南西諸島の軍事化が進められている。
 また海自は沖縄補給拠点強化のためタンカー取得を計画し、9月には昨年の「いずも」に続き、「かが」を南シナ海方面に派遣する計画であり、この地域での軍事的プレゼンスを強化しようとしている。
 このため海自は6月、シンガポールでの艦船整備体制構築に向け、同国の造船所を調査する企業の募集を開始した。太平洋戦争で日本はシンガポールを占領し海軍の拠点としたが、アジアへの加害に対する「反省」など眼中にないこととの証左であろう。
 対露、対中の軍拡は、まさに笑中に刃を研ぐ行為で、両国のみならず近隣諸国との緊張関係を増大させる以外の何ものでもない。
 こうしたなか「最前線」となる沖縄では、翁長知事の急逝に伴い9月30日に知事選が行われることとなった。安倍は「総裁選圧勝」の勢いをもって県知事奪還を目論んでおり、辺野古基地建設のみならず、南西諸島要塞化をも合理化しようとしている。
 政府は新基地予定地への土砂投入を「悪天候」を理由に延期するなど慎重姿勢を見せているが、野党、平和勢力は警戒を緩めることなく「オール沖縄」体制を強化し、知事選勝利に全力を傾注しなければならない。(大阪O)