【投稿】イラン戦争の結果

【投稿】イラン戦争の結果

福井 杉本達也

1 米国の敗北

米中央軍は、7月19日に「イランとの戦闘で18日に米兵1人が死亡したと発表した。米兵の死亡は2日連続となる。米軍が大規模な報復措障に出るリスクが高まっている」と報道している(日経:2026.7.21)。トランプ米大統領は、6月17日にイランと戦闘終結に向けた覚書で合意したが、その後も戦闘が続いている。

イラン戦争は米国にとってどうだったのか。6月20日付けで、マイケル・ハドソンは「アメリカの西アジアにおける存在は私にとって完全に終わるでしょう。…アメリカにとって否定的なことは、世界の他の国の視点から見ると良いことです。実際、アメリカがイランを打ち負かせなかったことは、アメリカ自身だけでなく世界全体を衝撃的に見せています。…イランに負けるとは誰も予想していなかったのですが、20年間準備を続けてきたイラン人だけが、それが彼らを非常に強力な大国にし、世界に『こんな風にならなくてもよい』と示しました」(マイケル・ハドソン「イランはアメリカ帝国を打ち破った。次に何が起こるのか?」The Unz Review」)と述べている。米国は完全に敗北したがトランプは敗北を認めたくないので、攻撃を継続している。

 

2 情報統制下の日本も米国の敗北をようやく認める

西側プロパガンダの強い影響力下にあり、独自で物事を判断できない日本でも、日経新聞すら、「敗者は西側、揺らぐ白由経済」(日経:2026.7.2)と書かざるを得なくなった。同紙はさらに続けて、「米イランの『100日一戦争』は冷戦終結後30年のパクス・アメリカーナの退潮を暗示した。中東だけではない。東アジアの安全保障に空白が生まれ、欧州との軍事同盟にも亀裂が入る。」と書いている。

日本にとって重要なことは、マイケル・ハドソンも述べているように、「アメリカが自国の地域に軍事基地を持つことを許可する必要はありません。軍事基地を持つことは、アメリカが他国に対してイランに対して行ってきたことを他国にしようとする中、世界の他の国々が爆撃を招く招待所のようなものです」(マイケル・ハドソン)同上)ということである。80年間も米軍の占領下にあり、沖縄を始め多数の米軍基地を抱える日本にとって、他人事ではない。「米イランの100日戦争の敗者は誰か。それは米軍という抑止力に依存してきた民主主義陣営と、石油という安価なエネルギーに頼ってきた自由経済体制だろう。日米欧という西側陣営は軍事・経済の両面で安定基盤を損ないつつある」と書くが(日経:同上)、今一歩、切迫さに欠ける。

新聞の全体の論調は、いまだに「対中牽制」であり、「レアアース」であり、「防衛費の増額」であり、「南西諸島へのミサイル配備」である。他国のフィリピンと中国の南シナ海の紛争に干渉すれば、怪しげな「岩礁」である沖ノ鳥“島”を「島」と言いつづけるが、中国から逆に「岩礁」は国際法上、領土としては認められないいわれてしまう(日経:2026.7.23)。

 

3 でも米国は敗北を認めない

トランプは、「ホルムズ海峡の再開には1日20億ドルの費用がかかっている」と述べたが、これに、王毅中国外相は「海峡は戦争前から開かれていました。問題の根本は、あなた方のイランに対する違法な作戦にあります。何もないところから世界的な危機を生み出した」と返答した。

リチャード・ウルフは「ドナルド・トランプは『タコス』というニックネームで呼ばれています。トランプはいつも折れるか、いつも臆病して引き下がる。」と述べている。それに同意して、マイケル・ハドソンは「我々アメリカ合衆国がイランに戦争に敗れたため、合意は決して成立しないと言うことです。そして、どんな合意も私たちの費用を負担することになる。そして、解決不可能な原子爆弾問題を解決するまで合意は成立しないと、合意は延期します。そして、アメリカが戦争に敗れ、今や新しい世界にいるという事実を、何度も先延ばしにしていくという虚構です。」と述べている。トランプは虚構の世界に生きている。そもそも、トランプの生活基盤自体が、なんらの付加価値を生み出さない不動産業であり、金融業である虚業である。

 

 

4 米国の石油備蓄が枯渇する

米国の戦略石油備蓄が枯渇し、ホルムズ海峡が封鎖された状況が続くと、「原油価格は2008年の記録を急激に上回り、1バレルあたり150ドルから200ドルになる可能性がある」。米国は現在、価格を人為的に抑制するため、1日あたり141万バレル(週あたり1,000万バレル近く)という史上最大規模の石油備蓄を放出している。現在ののペースで放出すれば、米国は1億2200万バレルをわずか86日で使い果たしてしまう。その境界線になると、実体経済は即座に需要の崩壊に見舞われる。航空機は運航停止となり、海運網は麻痺し、工業生産は停止する(『耕助のブログ』2026.7.13)。

副大統領J.D.ヴァンスが「米国の石油埋蔵量はあと数週間しか持ちこたない」と述べたことを考えると、ホルムズ海峡とイエメンの紅海封鎖が同時に行われりことは、1930年代以来見られなかった世界的な経済不況を引き起こす可能性がある。

 

5 米軍の不敗神話は完全に打ち砕かれた・米国の犬は日本だけに

紅海からアデン湾に抜けるバブ・エル・マンデブ海峡の海底には17本の光ファイバーケーブルが敷設されている。ヨーロッパとアジア間のインターネットトラフィックの約90%はこれらのケーブルを経由している。銀行業、証券取引所、クラウドサービスなど。このすべての交通は26キロメートルの海峡を通らなければならない。英紙ガーディアンの推計では世界のデータの17%が紅海の海底ケーブルを経由する。カタ—ル通信大手ウーレドゥー の首脳は「世界のデータの30%が中東を経由する」と分析する。中東はエネルギーだけでなくデータ通信の要衝ともいえる。ケーブルが損傷すれば世界経済への影響は大きい(日経:2026.7.18)。

イランは世界最強の軍隊に関するあらゆる神話を完全に打ち砕いた。「結局、かつて強さに見えたものは、ただの安っぽい芝居に過ぎなかった。リーダーシップではなく、ただ派手なパフォーマンスだ。—風刺画だ。―見世物だ」(タッカー・カールソン2026.7.18)。

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