Assert Webの更新情報(2026-07-27)

【最近の投稿一覧】
7月26日【続報】ゴキブリ人民党:教育大臣の辞任を勝ち取る
7月25日【投稿】「サナエショック」と家父長的国家介入主義への疑念
7月24日【投稿】イラン戦争の結果
7月21日【続報】ゴキブリ人民党:教育大臣の辞任を求め、数万人のデモ
7月13日【投稿】米・イラン:第2段階の武力衝突へのエスカレート
7月8日【続報】米・イラン女子小爆撃:警告無視・便宜上の判断であった
6月29日【投稿】レアアースを巡る邦人拘束と日本産業の崩壊への一歩
6月27日【投稿】いまなぜ原発再評価か?—原発事故は歴史の韻を踏む
6月26日【転載】イスラエルよ、旧体制を焼き尽くしてくれてありがとう
6月25日【転載】168人の子どもたち・1つの秘密報告書・イーロン・マスクのAI
6月23日【投稿】米・イラン交渉:トランプの恐喝一蹴、前進へ
6月19日【投稿】トランプ:イラン女子校・米軍による虐殺の責任を否定
6月16日【転載】「超クソ野郎」の時代:トランプとイーロン・マスク
6月15日【投稿】トランプ:泥沼・迷走から、対イラン「和平合意」へ
6月11日【投稿】トランプ暴走:対イラン「彼らを瓦礫の山まで爆撃する」
6月10日【転載】ゴキブリ・人民党と連帯の政治
6月6日【投稿】ロシアとの経済関係を本格的に復活し、ロシア産原油の輸入再開を
5月26日【転載】「アメリカのタカ派でさえ、イランがアメリカを打ち負かしていることを認めている」
5月16日【投稿】米中首脳会談が提起したもの
5月11日【投稿】トランプ:「巨大な光」=核兵器使用の脅迫
4月28日【翻訳】「中国はオイルショックに準備が出来ていた。」
4月25日【投稿】「ファンド帝国主義」に支配されるイラン戦争の認知戦とバブル崩壊
4月15日【転載】緊急警告:トランプ大統領は精神的に不安定で危険
4月14日【投稿】石油危機の今後の展開と高市政権の無為無策
4月12日【投稿】米・イラン交渉:「打開策なく終了」
4月10日【転載】「イスラエルのテロを止めるために世界は何も動いていないようだ」
4月8日【投稿】米・イラン:2週間の停戦合意
4月5日【投稿】イラン:米軍機・F-15戦闘機撃墜の波紋
4月4日【書評】『証言 原子力規制委員会は何をめざしたか』御厨貴監修
4月2日【投稿】トランプの脅迫:イランを「石器時代に逆戻りさせる」
4月2日【翻訳】「いかにして、スペインは私を愛国者に作り上げたか?」
3月29日【投稿】敗戦し衰退する国家の大統領としてのトランプ
3月29日【投稿】トランプは直ちに辞任せよ!:No Kings Day800万人抗議
3月22日【投稿】核リスクの切迫:米・イスラエル、イラン核施設爆撃
3月20日【投稿】日米首脳会談:高市「世界平和を実現できるのはあなただけ」
3月16日【投稿】「令和のオイルショック」ーホルムズ海峡封鎖で日本の国家石油備蓄はいつまで持つか
3月12日【投稿】イラン女子小爆撃・国防総省調査:トランプの大嘘を暴露
3月10日【投稿】米・イスラエル軍:対イラン戦争・迅速勝利の崩壊
3月8日【投稿】トランプ:「イランが自国小学校を爆撃」と妄言
3月8日【投稿】選挙は「ナラティブ化」され、金融資本のマーケティングの対象に
3月4日【投稿】米イスラエル爆撃・イラン女子小学生171人虐殺抗議の葬儀
3月3日【投稿】米・イスラエルのイラン攻撃と日本のエネルギー危機
3月2日【投稿】対イラン:米・イスラエル、破滅的戦争の拡大
2月28日【投稿】米・イスラエル:対イラン、先制攻撃開始
2月28日【投稿】総選挙の結果に思う事
2月28日【翻訳】「長期にわたる計略は、中国に希土類元素を支配するのを許している。」
2月21日【投稿】トランプ関税:米最高裁で敗北--経済危機論(173)
2月12日【投稿】「推し活」・イメージのみの衆議院選挙で「知性」の時代は終わった
2月7日【投稿】悪質な人種差別画像投稿:トランプ氏、謝罪を拒否
2月5日【転載】「どこが停戦なのか ?」
1月25日【投稿】「トランプ崩壊の到来」:危険なエスカレート
1月21日【投稿】トランプ政権:暴走・制御不能で危険な段階
1月19日【書評】『管理職の戦後史―栄光と受難の80年』濱口桂一郎著
1月5日【投稿】東電の「現金が底をつく」―原発再稼働の論理
1月4日【投稿】無謀・トランプ:対ベネズエラ、資源・領土略奪戦争開始
12月31日【投稿】米・イスラエル:対イラン戦争へのエスカレート
12月31日【投稿】日米安保条約からの潜在的脱退・「戦略的独立」の提起
12月26日【投稿】米国の敗北による焦りー高市政権官邸幹部の核保有発言の支離滅裂
12月19日【投稿】トランプ:対ベネズエラ・帝国主義戦争開始宣言
12月14日【投稿】トランプ政権の新しい国家安全保障戦略と日本
12月3日【投稿】トランプ米大統領:一晩に「陰謀論」投稿、数百回
11月30日【投稿】高市政権の経済政策は円安から物価高騰を招く
11月22日【投稿】トランプ大統領:極まる独裁者・ファシストの叫び
11月19日【投稿】台湾有事で「存立危機事態」との高市答弁は日本に大損害をもたらす
11月15日【投稿】特定食品関税撤廃:トランプ関税の敗北--経済危機論(172)
11月06日【投稿】ニューヨーク市長選:トランプ脅迫路線の敗北
10月31日【投稿】トランプ関税:脅しの敗退--経済危機論(171)
10月31日【投稿】日本の5500億ドルで米国の電力(原発)などインフラを整備
10月19日【投稿】反トランプ・「ノー・キングス」全米大規模抗議デモ
10月18日【投稿】古色蒼然とした「安全保障」と「エネルギー政策」
10月13日【投稿】トランプ政権:対中貿易戦争再開の脅し--経済危機論(170)
10月12日【書評】「西洋の敗北と日本の選択」・エマニュエル・トッド著
10月11日【投稿】「下駄の雪」公明党の連立政権離脱と80年間もの米国支配
10月5日【投稿】「ガザ和平計画」:トランプ・ネタニヤフ政権の岐路

【archive 情報】
2023年5月1日
「MG-archive」に新しい頁を追加しました。
民学同第3次分裂

2023年4月1日
「MG-archive」に以下のページを追加しました。
(<民学同第2次分裂について>のページに、以下の2項目を追加。
(B)「分裂大会強行」 → 統一会議結成へ
(C)再建12回大会開催 → 中央委員会確立

カテゴリー: 更新情報 | Assert Webの更新情報(2026-07-27) はコメントを受け付けていません

【転載】ゴキブリ・人民党と『ジャイ・ビーム』

以下に転載するのは、インドの独立系ジャーナリズム・CounterCurrents 28/Jul/2026 に掲載されたものである。
表題の「『ジャイ・ビーム』がもはや「その他」のように感じられなくなった時」の『ジャイ・ビーム』(Jai Bhim)は、もともとは、インドの政治家、社会改革者、初代法務大臣であり、 反差別・反カースト運動の指導者であったアンベードカル博士( B. R. Ambedkar )の支持者たちの間で交わされるスローガンであり、挨拶言葉として拡がったもので、Ambedkar のファーストネームである Bhim から来ている。ジャイは〝勝利あれ〟の掛け声で、1935年、「ジャイ・ビーム」というスローガンは、インドのヒンドゥー教社会における被差別民ダリットの反差別運動、闘いの中で考案されたとされる。

2021年製作の映画・ジャイ・ビーム は、社会から生来の犯罪者として差別され続けてきたイルラの男性の拷問死を巡る、実話に基づく法廷ドラマの再現である。

筆者のシュルティ・ハリラル(Shruthy Harilal)は、インドのIIITデリーの博士課程に在籍し、カースト、ジェンダー、儀式、ジェンダーとメディア、不平等を専門としている。彼女の博士論文研究は、カースト、ジェンダー、社会変革という視点から、北ケララのテイヤム儀式を考察している。

小見出しは、当方によるものです。(生駒 敬)

抗議活動中、インドの街路には「ジャイ・ビーム」というスローガンが繰り返し響き渡った。人々はアンベードカルの肖像画を誇らしげに掲げていた。

『ジャイ・ビーム』が
もはや「その他」のように感じられなくなった時
シュルティ・ハリラル 2026年7月28日

独身時代、デモの最中に「ジャイ・ビーム」という言葉を耳にした日のことを今でも鮮明に覚えています。それは単なる挨拶やスローガンではありませんでした。人々の心に瞬時に印象づけ、その人のカースト、イデオロギー、政治的立場について憶測を呼ぶ言葉だったのです。「ジャイ・ビーム」と叫ぶ人は「異質な存在」、つまり抑圧されたコミュニティ出身者だという先入観が常にありました。彼らは政治的主張を表明するだけで、常に異質な目で見られていました。中には「ジャイ・ビーム」という言葉を聞くと、眉をひそめたり、不快そうな表情を浮かべたりする人もいました。時には、「ジャイ・ビーム」を口にした人の意図を疑う声さえ耳にしました。

B・R・アンベードカル博士は、憲法の起草者としてのみ認識されていましたが、それ以外のことを語ろうとすると、人々は居心地の悪さを感じました。こうしたことが、アンベードカル博士がインド史において本来あるべき国民的英雄としての地位を得られなかった理由の一つではないかと、私は時々感じます。憲法の起草者としての彼の功績は認められたものの、彼の思想は多くの場で受け入れられなかった。彼の肖像画はある程度受け入れられるものの、彼が掲げた政治思想は受け入れられない。アンベードカルのカースト制度批判、あるいはカースト制度の廃止論は、しばしば単なる学術的な議論とみなされ、私たちの日常生活における政治にまで及ぶものではないと考えられている。

<<ゴキブリ人民党の創設者であり、自身もダリット出身のアビジート・ディプケ氏>>
こうした過去の経験や考えから、ゴキブリ人民党の抗議活動を見た時、私は深く心を動かされた。中でも特に印象深いのは、ゴキブリ人民党の創設者であり、自身もダリット出身のアビジート・ディプケ氏が、アンベードカル博士の自伝を手にアメリカから空港に到着し、空港を出る際にそれを掲げた姿だ。この光景は歴史に刻まれるだろう。それは政治的な表明であり、その後の抗議活動の展開にも反映された。抗議活動中、インドの街路には「ジャイ・ビーム(ジャイ・ビーム)」というスローガンが繰り返し響き渡った。人々はアンベードカルの肖像画を誇らしげに掲げていた。抗議活動の現場には、彼の言葉や写真が至る所に溢れていた。かつて「ジャイ・ビーム」と叫び、アンベードカルについて語ることが、連帯感を育むどころか、疑念や嫌悪感を招くことが多かった時代を生きてきた者にとって、この変化は深い意味を持っていた。それは単なる街頭で叫ばれる政治スローガンではなかった。インド国民の意識の大きな変革を映し出す瞬間のように感じられたのだ。

多くの人にとって、「ジャイ・ビーム」は単なるスローガンに過ぎないかもしれないが、アンベードカル主義者にとって、それは常にそれ以上の意味を持っていた。それは彼らのアイデンティティに不可欠なものであり、尊厳の言葉であり、カースト制度による抑圧への連帯であり、異議申し立ての意思であり、アンベードカルが掲げた自由、平等、友愛の理念の肯定なのだ。誰かが「ジャイ・ビーム」と言うとき、それは単に歴史上の人物を偲んでいるのではなく、平等への政治的、倫理的なコミットメントを表明しているのである。何千人もの人々が一斉にスローガンを叫ぶのを聞いて、これほど深い感動を覚えたのは、まさにそのためです。ある意味、それはアンベードカルの言葉がもはやダリット運動やアンベードカル主義者の集会、大学の場にとどまらず、民主主義のより広い語彙の一部になりつつあることを示唆していました。

おそらく、だからこそこの抗議活動は私にとって特別な意味を持っていたのでしょう。かつて周縁に追いやられた思想も、永遠にそこに留まるわけではないことを、この抗議活動は私に思い出させてくれました。人々が諦めずに努力を続ける限り、思想は徐々に中心へと浸透していくのです。今日私たちが目にしている「ジャイ・ビーム」の存在感は、たった一つの抗議活動や一人の指導者から生まれたものではありません。それは、アンベードカルの思想を学校の教科書の一章に留めておくことを決して許さなかった、全国のアンベードカル主義者たちの数十年にわたる活動の成果なのです。アンベードカル読書会を組織した学生、集会を開いた活動家、既存の主流の言説に疑問を投げかけた学者、アンベードカルの著作を出版し続けた独立系出版社、彼の思想を大衆文化に広めた作家、芸術家、映画監督、そして、たとえ不快感を招くことがあっても「ジャイ・ビーム(アンベードカル万歳)」と唱え続けた一般の人々、これらすべてが、私たちをこの瞬間へと導く上で重要な役割を果たしました。社会運動は一夜にして築かれるものではありません。それは、長年にわたる地道な努力によってゆっくりと築かれ、その努力はしばしば人知れず、ある日突然、誰もがその存在に気づくようになるのです。

この運動を通して私の心に深く刻まれたもう一つの点は、アビジート・ディプケ氏がインド国外でどれほど注目を集めていたかということです。国際的なメディアは、彼を抗議運動の重要な人物の一人としていち早く認識しました。彼らはディプケ氏にインタビューを行い、記事を書き、彼の言葉を通してこの運動の意味を理解しようと努めました。同時に、私たちの多くは、特に抗議運動の初期段階において、インドの主要メディアにおける彼の存在感がはるかに限られていたことにも気づきました。この対比は私に考えさせられました。なぜダリットの指導者は、自国で認められる前に国外で認められることが多いのでしょうか?なぜある声は運動の顔となる一方で、他の声は運動を主導しているにもかかわらず、周縁に追いやられ続けるのでしょうか?これは特定のメディア組織に向けられた問いではありません。私たちは誰の声に耳を傾けようとするのか、誰の経験を重要視するのか、そして誰が国家的な議論を形成するのか、という問いです。排除は必ずしも声高に行われるとは限りません。時には沈黙によって、不在によって、そして誰を発言に招き、誰を招かないかという決定によって、排除は起こるのです。

<<もはや無視できない、単なるスローガンの人気以上の意味>>
したがって、「ジャイ・ビーム」の認知度が高まっていることは、単なるスローガンの人気以上の意味を持ちます。私たちが使う言葉は、政治や民主主義に対する考え方を形作ります。私たちが掲げるスローガン、記憶にとどめる指導者、そして称賛する歴史は、徐々に私たちの集合的な想像力の一部となっていきます。長い間、「ジャイ・ビーム」はアンベードカル主義者の領域にのみ属するものとして扱われてきました。今日、様々な背景を持つ人々がこのスローガンを唱えるのを聞くことは、アンベードカルの思想がより広い公共の議論に徐々に浸透しつつあることを示しています。これは、誰もが突然カースト制度に反対するようになったという意味ではありません。単に、かつてはアイデンティティ政治として片付けられていた思想が、もはや無視できないものになっているということです。

もちろん、これはカースト制度が消滅したという意味ではありません。差別、暴力、排除は様々な形で依然として存在しています。しかし、変化したのは、アンベードカルの思想が以前よりも注目され、重要性を増しているということです。より多くの人が彼の著作を読み、より多くの人が彼の言葉を引用し、より多くの人が、民主主義についての議論はカースト制度と社会正義についての議論なしには成り立たないことを認識しています。多くの点で、「ジャイ・ビーム」は、平等は憲法上の約束にとどまるべきではないということを改めて私たちに気づかせてくれました。平等は日常生活の一部にならなければならないのです。

だからこそ、この瞬間は私の心に長く深く刻まれるでしょう。私自身の歩みを振り返るきっかけにもなりました。かつて「ジャイ・ビーム」と口にするだけで、自分が何者で、どこから来たのか、どんな政治的立場なのかといった憶測を招いていた時代がありました。今日、私は何千人もの人々が街頭で同じスローガンを誇らしげに唱えているのを目にしました。この変化は一夜にして起こったものではありません。何世代にもわたるアンベードカル主義者たちが、ババサヘブの思想が消え去ることを拒み続けたからこそ実現したのです。彼らは教室、図書館、大学、抗議活動、家庭、そして日々の会話を通して、その思想を継承し、ついに無視できない存在へと変えていきました。この抗議活動で私たちが目にしたのは、アンベードカルの思想が再び重要になった始まりではありません。それは、何十年にもわたって積み重ねられてきた活動が、ようやく可視化された瞬間だったのです。

私にとって、この瞬間の最も希望に満ちた部分はまさにそこにあります。闘いが終わったからではなく、かつては疑いの目で見られていた考えが、今や自信を持って声に出して語られるようになったからだ。それは、たとえ何年もかかったとしても、変化は可能だということを私たちに思い出させてくれる。そして、おそらくそれこそが、ジャイ・ビームが常に体現してきたものなのだろう。ババサヘブを記憶するだけでなく、より平等でより公正な社会のために闘う価値があると信じているのだ。

ジャイ・ビーム。

 

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【続報】ゴキブリ人民党:教育大臣の辞任を勝ち取る

<<午後2時の催涙ガス、そして6時には歓喜の渦へ>>

7/25、インドのヒンドゥスタンタイムズ紙(7・26付け)は、「7/25土曜日の午後、首都デリー中心部の多くの場所で電波妨害装置が作動していたため、ゴキブリ人民党の抗議現場にダルメンドラ・プラダン教育相辞任のニュースが届くのが大幅に遅れたが、いざその知らせが伝わると、即座に歓喜の輪が広がりました。」と報じている。
記事はさらに、「若者から高齢者、男女、そして親子連れに至るまで、抗議参加者たちは踊り出しました。国歌を歌う人、涙を流す人、互いに抱き合って飛び跳ねる人、さらには「インキラブ・ジンダバード(革命万歳)」や「バーラト・マータ・キ・ジェイ(母なるインドに勝利あれ)」と叫ぶ人々の姿が見られました。・・・しかし、参加者たちは、ここに至るまでの道のりは決して平坦ではなかったと口々に語っていました。」と、その様子を伝えている。

試験問題の流出をめぐるゴキブリ人民党(CJP)や幅広い学生の抗議活動を放置してきた、与党・インド人民党(BJP)は、社会的・治安上の影響や、CJPと政府との交渉が行き詰まる中、次期州議会選挙への悪影響がますます広がりかねない、との懸念から、決断を迫られ、プラダン教育相が「道義的責任」を取る形で辞任を申し出たのであった。同氏は「反国家的勢力」が「この状況を悪用する」のを防ぐために辞任を決断したと述べている。

この辞任は、CJPの代表者らが政府当局者と会談した翌日のことであった。会談では、プラダン氏の辞任に加え、教育部門や試験制度の広範な改革といった主要な要求事項について協議が行われていた。辞任発表後、抗議活動の指導者らは当初、他の2つの重要な要求――自殺した学生の遺族への補償、および7月20日の騒乱鎮圧における警察の暴力的な対応に対する措置――を引き続き求めていくと表明している。

<<運動の全国化と、共同闘争の拡大>>
6月初旬以降、ゴキブリ人民党の運動は、ムンバイ、ベンガルール、コルカタ、ゴア、グワーハーティー、ティルヴァナンタプラム、ジャンムー、アーメダバード、プネ、ラクナウ、ナーグプルなど、国内の他の主要都市にも広がり、全国へと拡大すると同時に、共同闘争の輪も広がり、最近では、インドの医学部進学のための全国統一入学試験であるNEET(全国資格・入学試験)の問題流出をめぐる論争が、急速に抗議者たちの団結の焦点として浮上。試験は5月3日に行われたが、事前に「予想問題(リークされた試験問題)」が出回っていたという広範な疑惑や、複数の不正行為に関する告発を受け、国立試験庁(NTA)は10日後に試験の中止を決定。この措置は220万人以上の受験者に影響を及ぼし、その後、6月21日に再試験が実施された。しかし、警察の記録や遺族の証言を引用したインドメディアの報道によると、試験の中止から再試験までの間に、少なくとも11人の学生が自殺したとみられている。「全インド学生協会」の全国会長ネハ・ボラ氏は、教育大臣の辞任を要求し、7月20日まで23日間のハンガーストライキを行っている。
議会内でも、野党コングレス党の一部議員は、逮捕された抗議者への連帯の象徴として、手首に結束バンドを巻きつけ、議会内でデモまで行っている。アーム・アードミ党、サマジワディ党、トリナムール会議、シヴ・セーナー(UBT)などの地域政党は、CJPの要求を公然と支持している。

一方、モディ首相は、プラダン氏の辞任に先立ち、学生に向けて何度かメッセージを発信し、試験問題の流出に関与した者に対して厳正に対処すると約束。国会に「試験問題流出防止法案」を新たに提出すると表明し、さらに「政府はまた、最近のNEET試験問題漏洩事件で自殺した犠牲者の家族には適切な補償を行うこと、そして平和的に抗議活動を行った学生や若者に対して訴訟を起こさないこと」を保証している。さらに7/24には、若き支持者たちが「有益な提案」を共有してくれたことに感謝の意を表する動画まで投稿している。しかし、それでも、Z世代の支持を失う懸念と選挙への影響を考慮し、BJPはダプラダン氏の辞任という決断を迫られたのであった。

事態はまだまだ流動的であり、教育大臣の辞任だけで事が収まるはずもないことは言うまでもない。その教育の面でさえ、首都にある二つの主要な公立大学、デリー大学(DU)とジャワハルラール・ネルー大学(JNU)が、新たに、学生と教員に対し、CJP関連の集会に参加しないよう求める公式通知を出し、「違法な集会」への参加や、学生と大学双方に法的トラブルを引き起こし、将来のキャリアに悪影響を及ぼす可能性のある無責任なソーシャルメディア活動への関与を警告し、抗議活動への連帯を示すインスタグラムの投稿を削除するよう求めたという。このような権力へのおもねり、追従がもたらした問題の本質をまったく理解していないのである。

(生駒 敬)

カテゴリー: 人権, 分権, 労働, 政治, 教育, 生駒 敬, 統一戦線論 | コメントする

【投稿】「サナエショック」と家父長的国家介入主義への疑念

【投稿】「サナエショック」と家父長的国家介入主義への疑念

                           福井 杉本達也

1 円安が加速・40年ぶり164円

高市早苗政権が「経済財政運営と改革の基本方針(骨太の方針)」をまとめた。その目玉は2040年度までに総額370兆円にのぼる官民投資を促す成長戦略である。6月末、政府が骨太の原案を発表した際に市場に衝撃が走った。これまで必ず記していた「財政健全化」という言葉が消えた。さらに日銀に政府との緊密な連携を求めた。。この2点から高市政権は財政健全化には熱心ではないとの見方が浮上し、長期金利の上昇と円安が進んだ。円安が加速している。

長短の金利差であるが、長い目でみた経済や物価がどうなるかを反映する超長期の30年債利回りから、2年債利回りを差し引いた値がほぼ一貫して拡大基調にある。日銀の利上げが遅れ、インフレが加速するというサインである。特に高市政権の物価認識には根本的な問題がある。インフレへの転換を認めず。いまだにデフレの恐怖と戦っている。現状は「デフレではない状況」であり、日銀に求めるのは「物価安定」ではなく、あくまで「安定的な物価上昇」だ。物価安定という言葉を使う際は直前に「デフレに後戻りすることのない」と添える念の入れようである(日経:2026.7.25)

2 「サナエショック」と「トラスショック」

高市政権は「サナエショック」という言葉を忌み嫌うらしく、新聞等の見出しは全て「骨太ショック」で統制されている。「サナエショック」と書かれると、わずか49日で崩壊した英国のリズ・トラス政権を連想させるためである。彼女は「減税による経済成長」を強く掲げ、マーガレット・サッチャー元首相のような「鉄の女」を目指す自由主義的な経済思想の持ち主であった。「トラスショック」は、2022年9月から10月にかけてイギリスで発生した、一連の金融・経済市場の混乱のことである。財源の裏付けが不十分なまま大規模な減税策(ミニ・バジェット)を発表したことが発端であり、これにより、「イギリスの財政は破綻するのではないか」「インフレがさらに悪化するのではないか」という不安が市場に広がり、投資家が一斉にイギリス資産(通貨ポンドや国債)を売り浴びせた。日本でも、積極財政を掲げる高市政権の政策が「第二のトラスショック」を招くのではないかという懸念の声が囁かれている。

3 GPIF(年金積立金)を投入しPKO(公的資金による国債買い支え)

7月16日、片山さつき財務相は「年金基金により日本の金融資産にさらなる投資をしていただくという方向で後押ししたい」と発言した。GPIFは、約300兆円の運用資産を持つ巨大な「クジラ」と呼ばれ、これが国債買いに走れば、当然に高騰していた国債の金利は低下する。しかし、これはPKO(Price Keeping Operation)=公的資金による国債の買い支えである。なぜ、この時期にPKOかといえば、米財務省が、為替介入しないか警戒を怠らないと日本を牽制しているからであり、手段が限られてきたからである。我々の年金の積立金は「専ら被保険者の利益のために運用する」こととなっている。年金資産を増やすため、政治からの独立性を保ち運用成績の向上に徹することが、管理運用独立行政法人の義務である。高市政権は我々の虎の子の年金資金をも米国金融資本に差し出すつもりである。

4 日銀審議委員にもリフレ派

高市政権は、日銀の審議委員にリフレ派の中大の浅田統一郎氏と青山学院大教授の佐藤綾野氏を充てることとした。過去にに金融緩和や財政出動に積極的な見解を示してきた2人の人選について、市場では緩和志向の強い高市早苗首相の意向が反映されたと見ている(日経:2026.2.26)。高市氏は「利上げをするのはアホや」という意固地さで日銀審議委員を安倍政権時代に戻そうとしている。佐藤氏は就任記者会見で、原油高が経済・物価に与える影響について、いまの日本経済がインフレの状態にあるかを問われると「まだノルム(社会通念)としてはそれほど強くない」とインフレ状態ではないと否定的である(日経:2026.7.1)。

5 ロイター社の「骨太の方針」への厳しい評価

ロイター社は高市政権の「骨太の方針」に完全に否定的である。それは● 具体的な実施措置や詳細が全く欠けている。● 「並外れた主張には並外れた証拠が必要」と言われているが、証拠は一切提示されていない。● 「財政再建」目標を廃止し、成長優先にシフトすることで、無秩序な支出や債務依存を引き起こし、債券価格の下落や円の下落を加速させるリスクがあります● 強制的な企業投資はガバナンス改革を妨げる可能性があり、実際に資金を投入する十分な実行可能なプロジェクトが存在するかどうかも不明です(前政権の米国投資計画の遅延を例に挙げると)● 大規模な支出目標を廃止し、米国インフレ抑制法のようなインセンティブ重視のアプローチを採用すべきです。公的資金をレバレッジとして活用し、民間投資を誘致し生産的な支出を促進することは、より効果的で柔軟です と厳しい評価をしている(ロイター:2026.7.22)。

島澤諭氏は高市政権の「骨太の方針」について、「高市早苗政権の『責任ある積極財政元年』は、企業の投資不安を国家が引き受けることで、産業政策国家の拡張を正当化する契機となりかねない。…もちろん、安全保障や基礎研究のように、市場だけでは十分な投資が行われにくい分野が存在することは否定できない。国家が一定の役割を担うべき領域はある。問題は、その例外を一般原則へと拡張し、政府が恒常的な投資主体となっていくことである。市場の失敗を補うはずの国家介入が、いつの間にか市場の判断そのものを代替するようになれば、企業はリスクを取る主体ではなく、政府の政策に乗る主体へと変質していく。…政府が戦略分野を選び、『官民投資ロードマップ』と呼ばれる工程表を描き、通常歳出とは別に「『強く豊かな日本』投資枠」を設け、予算要求の上限を外し、複数年度で支援するとなれば、企業の投資判断は市場ではなく政府の政策メニューに引き寄せられる。民間企業はリスクを取る主体から、政府の選んだ重点分野に適応する主体へと変わる。…問題は、国家が基盤を整える役割を超えて、企業の投資判断そのものを肩代わりすることである。国家が強くなるほど、市民や企業が強くなるとは限らない。むしろ、国家が不安を引き受けすぎるほど、市民は自立を失い、企業はリスクを取らなくなる。企業が市場でリスクを取るのではなく、国家に保護を求め、その見返りとして国家の政策目的に従属していく、保護要求型の家父長的国家介入主義である。」(Wedge ONLINE 2026.7.9 島澤諭「責任ある積極財政が企業を弱くする?『福祉元年』から『積極財政元年』へ、国が市場の自立をなくす懸念」と一刀両断している。

 

カテゴリー: 杉本執筆, 経済 | コメントする

【投稿】イラン戦争の結果

【投稿】イラン戦争の結果

                        福井 杉本達也

1 米国の敗北

米中央軍は、7月19日に「イランとの戦闘で18日に米兵1人が死亡したと発表した。米兵の死亡は2日連続となる。米軍が大規模な報復措障に出るリスクが高まっている」と報道している(日経:2026.7.21)。トランプ米大統領は、6月17日にイランと戦闘終結に向けた覚書で合意したが、その後も戦闘が続いている。

イラン戦争は米国にとってどうだったのか。6月20日付けで、マイケル・ハドソンは「アメリカの西アジアにおける存在は私にとって完全に終わるでしょう。…アメリカにとって否定的なことは、世界の他の国の視点から見ると良いことです。実際、アメリカがイランを打ち負かせなかったことは、アメリカ自身だけでなく世界全体を衝撃的に見せています。…イランに負けるとは誰も予想していなかったのですが、20年間準備を続けてきたイラン人だけが、それが彼らを非常に強力な大国にし、世界に『こんな風にならなくてもよい』と示しました」(マイケル・ハドソン「イランはアメリカ帝国を打ち破った。次に何が起こるのか?」The Unz Review」)と述べている。米国は完全に敗北したがトランプは敗北を認めたくないので、攻撃を継続している。

2 情報統制下の日本も米国の敗北をようやく認める

西側プロパガンダの強い影響力下にあり、独自で物事を判断できない日本でも、日経新聞すら、「敗者は西側、揺らぐ白由経済」(日経:2026.7.2)と書かざるを得なくなった。同紙はさらに続けて、「米イランの『100日一戦争』は冷戦終結後30年のパクス・アメリカーナの退潮を暗示した。中東だけではない。東アジアの安全保障に空白が生まれ、欧州との軍事同盟にも亀裂が入る。」と書いている。

日本にとって重要なことは、マイケル・ハドソンも述べているように、「アメリカが自国の地域に軍事基地を持つことを許可する必要はありません。軍事基地を持つことは、アメリカが他国に対してイランに対して行ってきたことを他国にしようとする中、世界の他の国々が爆撃を招く招待所のようなものです」(マイケル・ハドソン)同上)ということである。80年間も米軍の占領下にあり、沖縄を始め多数の米軍基地を抱える日本にとって、他人事ではない。「米イランの100日戦争の敗者は誰か。それは米軍という抑止力に依存してきた民主主義陣営と、石油という安価なエネルギーに頼ってきた自由経済体制だろう。日米欧という西側陣営は軍事・経済の両面で安定基盤を損ないつつある」と書くが(日経:同上)、今一歩、切迫さに欠ける。

新聞の全体の論調は、いまだに「対中牽制」であり、「レアアース」であり、「防衛費の増額」であり、「南西諸島へのミサイル配備」である。他国のフィリピンと中国の南シナ海の紛争に干渉すれば、怪しげな「岩礁」である沖ノ鳥“島”を「島」と言いつづけるが、中国から逆に「岩礁」は国際法上、領土としては認められないいわれてしまう(日経:2026.7.23)。

 

3 でも米国は敗北を認めない

トランプは、「ホルムズ海峡の再開には1日20億ドルの費用がかかっている」と述べたが、これに、王毅中国外相は「海峡は戦争前から開かれていました。問題の根本は、あなた方のイランに対する違法な作戦にあります。何もないところから世界的な危機を生み出した」と返答した。

リチャード・ウルフは「ドナルド・トランプは『タコス』というニックネームで呼ばれています。トランプはいつも折れるか、いつも臆病して引き下がる。」と述べている。それに同意して、マイケル・ハドソンは「我々アメリカ合衆国がイランに戦争に敗れたため、合意は決して成立しないと言うことです。そして、どんな合意も私たちの費用を負担することになる。そして、解決不可能な原子爆弾問題を解決するまで合意は成立しないと、合意は延期します。そして、アメリカが戦争に敗れ、今や新しい世界にいるという事実を、何度も先延ばしにしていくという虚構です。」と述べている。トランプは虚構の世界に生きている。そもそも、トランプの生活基盤自体が、なんらの付加価値を生み出さない不動産業であり、金融業である虚業である。

 

4 米国の石油備蓄が枯渇する

米国の戦略石油備蓄が枯渇し、ホルムズ海峡が封鎖された状況が続くと、「原油価格は2008年の記録を急激に上回り、1バレルあたり150ドルから200ドルになる可能性がある」。米国は現在、価格を人為的に抑制するため、1日あたり141万バレル(週あたり1,000万バレル近く)という史上最大規模の石油備蓄を放出している。現在ののペースで放出すれば、米国は1億2200万バレルをわずか86日で使い果たしてしまう。その境界線になると、実体経済は即座に需要の崩壊に見舞われる。航空機は運航停止となり、海運網は麻痺し、工業生産は停止する(『耕助のブログ』2026.7.13)。

副大統領J.D.ヴァンスが「米国の石油埋蔵量はあと数週間しか持ちこたない」と述べたことを考えると、ホルムズ海峡とイエメンの紅海封鎖が同時に行われりことは、1930年代以来見られなかった世界的な経済不況を引き起こす可能性がある。

 

5 米軍の不敗神話は完全に打ち砕かれた・米国の犬は日本だけに

紅海からアデン湾に抜けるバブ・エル・マンデブ海峡の海底には17本の光ファイバーケーブルが敷設されている。ヨーロッパとアジア間のインターネットトラフィックの約90%はこれらのケーブルを経由している。銀行業、証券取引所、クラウドサービスなど。このすべての交通は26キロメートルの海峡を通らなければならない。英紙ガーディアンの推計では世界のデータの17%が紅海の海底ケーブルを経由する。カタ—ル通信大手ウーレドゥー の首脳は「世界のデータの30%が中東を経由する」と分析する。中東はエネルギーだけでなくデータ通信の要衝ともいえる。ケーブルが損傷すれば世界経済への影響は大きい(日経:2026.7.18)。

イランは世界最強の軍隊に関するあらゆる神話を完全に打ち砕いた。「結局、かつて強さに見えたものは、ただの安っぽい芝居に過ぎなかった。リーダーシップではなく、ただ派手なパフォーマンスだ。—風刺画だ。―見世物だ」(タッカー・カールソン2026.7.18)。

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【続報】ゴキブリ人民党:教育大臣の辞任を求め、数万人のデモ

先月(6/10)に紹介したインドのゴキブリ人民党(Cockroach Janata Party、CJP)は、活動を活発化させており、この7/20には、インドの首都・ニューデリーでモディ政権のダルメンドラ・プラダン教育相の辞任を求めて、大規模な抗議行動を組織、数万人以上のデモ隊が国会議事堂に向かって行進。この平和的で非暴力のデモ行進に対して、デリー警察の警棒による鎮圧や催涙ガスの使用によって、数千人が警察によって負傷し、中には重傷者もいると報じられている。
以下は、7/20の CommonDreams (2026年7月20日、インドの教育大臣の辞任を求める抗議デモがニューデリーで行われ、デリー警察官がゴキブリ人民党のデモ参加者を殴打した。)と
同じく7/20のThe Wire紙(デモ参加者への警棒による鎮圧や催涙ガスの使用を捉えた映像が浮上――デリー警察は「散発的な暴力行使」はなかったと主張) からの詳報である。
(生駒 敬)

<<「民主主義にとって暗黒の日」>>

「民主主義にとって暗黒の日」:インド警察、若者主導の「ゴキブリ」デモ隊を殴打、催涙ガスを使用

7/20の月曜日、ニューデリーで若者主導の「ゴキブリ人民党」の旗の下、デモ隊が国会議事堂に向かって行進した際、警察から激しい攻撃を受けた。デモ隊は教育大臣の辞任を求め、ナレンドラ・モディ首相率いる右派政権を非難していた。

警察の規制、バリケード、インターネット遮断、厳重な警備にもかかわらず、数万人のデモ参加者がインドの首都の街頭に繰り出した。私服警官を含む警察官は、圧倒的に平和的なデモ参加者に対し、警棒による攻撃と催涙ガスを使用した。デリー警察は、インド人民党(BJP)が政権を握る中央政府の管轄下にある。

ザ・ワイヤー紙は、数千人が警察によって負傷し、中には重傷者もいると報じた。警察官の残虐行為を示す映像や写真が存在するにもかかわらず、デリー警察はデモ参加者に対する「散発的な暴力行為」を否定している。

デモ参加者たちは、国家資格入学試験(NEET)の問題用紙が繰り返し漏洩したことを受け、ダルメンドラ・プラダン教育相の辞任を求めている。この問題により、何百万人もの学生が過酷な試験の再受験を強いられ、大学入学が遅れるなど、生活が一変した。デモ主催者によると、この問題で20人以上の学生が自殺したという。

先月末、プラダン教育相はデモ参加者たちを「テロリストの二軍」と一蹴した。

「すでに20人以上の学生が自殺しているが、この政権はまだ終わっていない」と、ゴキブリ人民党(CJP)創設者のアビジート・ディプケ氏はソーシャルメディアで述べた。 「この政府は今や暴力行為に訴えている。」

<<「挑発にもかかわらず、若者たちが平和を守り抜いた>>

抗議活動参加者のリズム・カトチ氏は月曜日、ガーディアン紙に対し、「彼らはこの抗議活動を違法だと非難し、私たちを反国家主義者と呼んでいます。しかし、私は22歳で、教育制度、若者の権利、そして民主主義のためにここに立っているのです。政府に私たちの声に耳を傾けてもらうことは、そんなに無理な要求でしょうか?」と語った。

CJP(市民正義党)をはじめとする学生団体は、抗議活動の拠点として指定されている18世紀の天文台、ジャンタル・マン​​タルでハンガーストライキを主導している。左派系学生団体「全インド学生協会」の学生3人は月曜日に断食を終えたが、6月28日からハンガーストライキを続けていた環境活動家のソナム・ワンチュク氏は、土曜日に当局によってサフダルジュン病院に搬送され、そこで断食を続けている。

ワンチュク氏は月曜日、「挑発にもかかわらず、若者たちが平和を守り抜いたことに感動し、心を打たれた」と述べた。

この運動は、インド最高裁判所長官のスーリヤ・カント氏が失業中の若者を「ゴキブリ」に例えたとされる発言をきっかけに、5月に始まった。抗議者たちはこの侮辱的な言葉を皮肉を込めて、モディ首相の権威主義的なヒンドゥー民族主義政権に対するより広範な挑戦の象徴として利用した。モディ政権下では、抗議活動や異議申し立てに対する弾圧が強まり、ジャーナリストや活動家への規制、批判者を標的とした法的措置の行使などが行われている。

7/20、抗議者たちは「行け、首相、行け、モディも連れて行け!」と叫び、ペットボトルを地面に叩きつけてリズムを刻んだ。

「私たちが選んだ人たちが、若者の死を無能さのせいで見て見ぬ​​ふりをしているなんて、本当にショックです」と、22歳の法学生サジャルさんはストレーツ・タイムズ紙に語った。

別の抗議参加者であるヨガインストラクターのジョティ・ラージプート氏は、AP通信に対し、「この腐敗した体制が行動を起こそうとしないから」デモに参加したと語った。

「彼らは学生たちの苦しみを理解しようとしない。だからこそ、これほど多くの人々がこの運動に参加しているのだ」と彼女は付け加えた。

月曜日のデモの最中、CJPの指導者たちはデリーにあるJP・ナッダ連邦大臣の自宅で面会した。

「大臣は適切なレベルでこの件について話し合うと約束してくれた」とCJPのスポークスマン、サウラヴ・ダス氏はソーシャルメディアで述べた。「しかし、今のところ具体的な約束は何もされていない」。

残忍な弾圧に対し、アムネスティ・インターナショナル・インドの理事長、アーカー・パテル氏は声明で、「ジャンタル・マン​​タルでの抗議活動から得られた映像や報告は、インドでいかに平和的な異議申し立てが抑圧されているかを示している」と述べた。

「当局の役割は、平和的な抗議活動を保護し、促進することであり、抑圧することではない」と彼は続けた。「平和的な集会の自由は、国際人権法とインド憲法で認められている」。

「デリー警察の行動は、国際人権基準における合法性、必要性、比例性の要件を満たしていたかどうかについて、深刻な疑問を投げかけるものだ」とパテル氏は付け加えた。「我々はデリー警察に対し、自制心を発揮し、平和的な抗議者に対する違法な武力行使を直ちに停止するよう求める。当局は、警察官による警棒、催涙ガス、投石の過剰使用の報告を含む、違法行為に関するすべての申し立てを迅速に処理しなければならない。」

デモ隊への警棒攻撃や催涙ガス使用の映像が浮上する中、デリー警察は「暴力行為はなかった」と主張(The Wire編集部 2026年7月20日

ニューデリー:国会議事堂へのデモ行進の出発点となる予定だった抗議活動の拠点「ジャンタル・マン​​タル」付近で、治安部隊が平和的に座り込みを行っていたデモ隊に対し警棒で攻撃(ラティチャージ)を加える様子を捉えた映像や報道がなされる中、デリー警察は同日早い段階で、そのような暴力行為はなかったと主張していた。催涙ガスは「コンスティチューション・クラブ」周辺で発射され、その影響は地下鉄セントラル・シークレタリアット駅を利用する乗客にまで及んだ。

「ゴキブリ・ジャナタ党(CJP)」の創設者アビジート・ディプケ氏は、「男性警察官が女性のデモ参加者を警棒で攻撃した」と述べた。

「すでに20人以上の学生が自殺に追い込まれているにもかかわらず、この政府はまだ飽き足らないようだ。今や政府は暴力的な無法行為にまで及んでいる」

The Wireの記者アトゥル・ホワレ氏も、デリー警察による催涙ガス使用で負傷した一人である。

警察による警棒攻撃で数千人が負傷し、中には重傷を負った者もいる。その過程で多くの未成年者も負傷した。

しかし、デリー警察のX(旧Twitter)アカウントは、「ジャンタル・マン​​タルにおいてデリー警察による暴力行為や拘束は行われていない」と主張した。

CJPはいくつかの学生団体と共に、インドの教育制度や公的試験のあり方をめぐり、ダルメンドラ・プラダン教育大臣の辞任を求めて同地でハンガーストライキ(断食抗議)を主導してきた。学生団体AISAの学生3人が本日、断食を終了した。当局によってサフダルジャン病院へ搬送された環境活動家のソナム・ワンチュク氏は、断食を継続している。

国会議事堂へのデモ行進が実施されるかどうかは不透明だが、現地からの推計によると、ジャンタル・マン​​タル周辺には5万人以上の人々が集まっている。

武力行使に関する映像や報道に対し、デリー警察は「そのような事案は発生していない」と主張している。午前10時43分のツイートでは、「一部のメディアが、ジャンタル・マン​​タルにおいてデリー警察による散発的な暴力行使や拘束があったと報じている」点に言及しました。

同ツイートは、「そのような事実はなく、抗議活動への対応は適切かつ専門的に行われている」と説明し、「噂や疑念に惑わされることなく、現場および周辺での治安維持に取り組むデリー警察に協力してほしい」と呼びかけました。

これに対し、「ゴキブリ・ジャナタ党(Cockroach Janata Party)」は、治安当局者から暴行を受けている人物の動画を投稿し、「目を開けて周囲をよく見てみろ!!!恥を知れ!!!」と書き込みました。

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【投稿】米・イラン:第2段階の武力衝突へのエスカレート

<<イスラエルに踊らされ、妄想に取り憑かれたトランプ>>
7/9、ウォール・ストリート・ジャーナル紙は、「事情に詳しい関係者によると、イスラエルはトランプ大統領の殺害を狙うイランの新たな計画を示すとする新情報を米国と共有しました。この情報は、ワシントンとイランの間の対立が激化することを示唆するものです。」と報じている。
それはまさに、米・イラン間の第二段階の武力衝突を引き起こすための嘘であり、米・イスラエル先制攻撃で殺害されたイランの最高指導者ハメネイ師の葬儀に乗じて、イランによるトランプ大統領殺害計画の偽情報であった。イスラエルのネタニヤフ首相が望み、夢見ているもの、米・イラン武力衝突の劇的な拡大への橋渡しであった。イスラエル指導部が米・イラン間の停戦協議に関する14項目の覚書(MoU)の合意に強い不満を抱いていることを隠そうともしていないことから、イスラエルはこの偽情報の流布を、エスカレーションさせる好機として、捉え、トランプ氏を焚きつけたのであろう。

冷静な判断能力を持っていれば、イスラエルから発せられる情報はすべて意図的・政治的なものであり、トランプ氏を落とし込む嘘、偽情報だと認識すべきであった。トランプ氏は暗殺説を無視し、そこで発言を止めるべきであった。そして現に、「報復」を叫ぶイラン民衆の声は別として、イラン当局者が、トランプ氏の命を狙うような脅しを公には一切行っていないことは周知の現実である。。
しかし、トランプ氏は、まんまとはまってしまった。トランプ氏は、イスラエルの情報源に基づく「諜報」を根拠に、イランが自分を暗殺しようとしていると激しく非難し、イラン指導部を「クズ」(scum)とまで罵倒する事態となった。

7/10、トランプ氏は、自らのソーシャルメディア・TruthSocial に「1000発のミサイルがロックオンされ、装填済みでイスラム共和国イランに向けられている。イラン政府が、世界中の多くの場所で発した脅威を実行に移し、アメリカ合衆国の現職大統領、つまりこの場合の私を暗殺、または暗殺を試みる場合には、数千発の追加ミサイルがただちに追撃される。命令はすでに下されており、米軍は準備万端で、喜んで、実行可能であり、1年間の期間(延長の可能性あり)で、イランの全領域を完全に壊滅させ、破壊する用意がある – アッラーが万能であらんことを! ドナルド・J・トランプ大統領」と書き込んだ。
まさに、偽情報に踊らされ、「妄想に取り憑かれたトランプ」(A Delusional Trump)である。( Israel feeds misinformation that Iran wants to kill him

<<トランプ「彼らを徹底的に叩きのめした」>>
すでに米軍は、7/7までに、イラン南部全域で80以上の標的を攻撃し、7/8には、米国はさらに内陸部の都市、イランシャフル、チャバハール、バンダルアッバス、そして北東部の鉄道橋を攻撃。何百万人ものイラン国民が故最高指導者の葬儀を行っている最中にもかかわらず攻撃。7/9には、イラン南東部と南西部の多数の標的が戦闘機によって攻撃されている。
7/10、トランプ氏は、米国が7/8、7/9にイランへの攻撃を行ったことを受け、イランとの停戦は「終わった」とみなしているとも述べている。

7/13早朝にかけて、米軍は4夜連続のイランへの爆撃を続行。クウェートやバーレーンの基地から「全面的な」攻撃を開始し、その攻撃はイランの首都テヘランにまで及んでいる、と報じられている。ここに、事態は、6月に締結された覚書(MoU)は事実上停止状態に追いやられ、米軍は過去3夜にわたり300以上の軍事目標を攻撃。今回の攻撃のエスカレートは、名目上の停戦中のどの爆撃よりもはるかに激しく、戦争の再開に等しいエスカレートであり、米軍の対イラン地上作戦の準備とみなされる事態である。トランプ政権がエスカレーションの口実を用意していることが明らかな事態である。

7/13、トランプ氏はNBCの番組『ミート・ザ・プレス』に出演し、7/11土曜日に行われた米軍によるイラン軍への攻撃について、「我々は彼らを徹底的に叩きのめした(bombed the hell out of them)」とうそぶき、「彼らは極めて邪悪で常軌を逸した連中だ」、とまで、それこそ興奮して喚いている。

対してイランは冷静である。7/12、イランは米軍爆撃への報復として、米軍基地を受け入れている5つの湾岸アラブ諸国に向けてミサイルを発射すると同時に、イラン外務省は、メディア「ISNA」を通じて声明を発表し、米国の「野蛮な」攻撃を非難するとともに、湾岸の君主国が自国を「イラン国民に対する違法かつ犯罪的な戦争の舞台」にしていると批判し、警告。
イラン外務省のエスマイル・バガエイ報道官は、イランの行動は正当なものであると主張し、「イランは『攻撃』を行っているわけではない。ペルシャ湾南部に駐留する米軍基地や資産に対するイランの攻撃は、国際法に基づく固有の自衛権の正当かつ合法的な行使にあたる」と述べ、イラクと国境を接する沿岸州であるフーゼスタン州で、少なくとも8つの町が攻撃を受けたことについて、イラン外務省はこれらの攻撃を「戦争犯罪」と非難している。
国営IRIB通信によると、イスラム革命防衛隊はホルムズ閉鎖を発表し、外国の干渉が終わるまでいかなる船舶の通行も許可しないと発表している。

イランは、停戦なしでも和平交渉は継続できるとするトランプ米大統領の主張を拒否し、米国はホルムズ海峡の通過問題の解決と石油輸出の正常化というテヘランの条件を満たさなければならないことを改めて強調している。イラン国会議長のガリバフ氏は、「一方的な合意の時代は終わった」と述べ、米国に対し「約束を守るか、代償を払う」よう促している。

IRGCは、イランの沿岸基地や通信塔への攻撃に対する即時の対応として、同地域内の米国関連施設への報復攻撃を発表。
* ヨルダン:弾道ミサイルがプリンス・ハッサン空軍基地に着弾し、MQ-9ドローン格納庫や指揮統制センターが標的となった
* カタール:アル・ウデイド空軍基地の戦闘機整備拠点および指揮司令部に弾道ミサイルが着弾した
* オマーン:ドゥクム港にある米空母向けの兵站支援センターや給油施設が攻撃された(施設は破壊されたと報告されている)
* クウェート:パトリオット・ミサイル・システム、弾薬庫、レーダー施設がドローンによる攻撃を受けた
* バーレーン:通信システムやレーダー施設がドローンによる攻撃を受けた
* ホルムズ海峡:米国の別の船舶が攻撃を受け、航行不能になったと報じられた

こうした新たな事態の展開は、トランプ氏の言う「彼らを徹底的に叩きのめした」どころか、逆にイランは米国に対して、アメリカのエスカレーションに屈しないことを証明しており、しかも前回よりもはるかに大規模な攻撃・反撃を加えることで、「徹底的に叩きのめされた」はずのイランが、米側のエスカレーションに対応できるばかりか、米軍側が窮地に追いやられる戦況の転換さえ予知させるものである。

今や、軽率で妄想に取りつかれたトランプ政権の終焉こそが、平和的解決への最速・最短の道であること、そしてホルムズ海峡の閉鎖によってあからさまになった、差し迫った世界経済危機の打開にとって、紛争の平和的解決以外に道は残されてはいないことが、全世界に示されていると言えよう。

(生駒 敬)

 

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【続報】米・イラン女子小爆撃:警告無視・便宜上の判断であった

<<指揮官らが「警告を無視」し、古い標的情報を採用>>
米・イスラエル両軍の違法で無謀な対イラン先制攻撃の初日の2/28、イランの女子小学校への米軍の爆撃は、指揮官らが「警告を無視」し、10年以上も前の古い標的情報を採用していたことが原因であったことが暴露されている。

情報筋がCNNに語ったところによると、警告が無視された理由は「便宜上の判断」だったという。Jul 07, 2026 Common Dreams

7/7のCNNの報道によると、意思決定の経緯を知る3人の情報筋は、米軍の上級指揮官らは、イラン国内の潜在的な標的に関する情報が著しく古くなっていることを示す重要データベース上の警告を無視し、一部の攻撃を承認しました。その中には、学校を直撃し、子供や大人合わせて200人近くが死亡した攻撃も含まれています。

【CNN独自】イランの学校を標的とした攻撃の直前、米軍指揮官らは時代遅れの情報をめぐる警告を無視していたと、複数の関係者が明らかにした。

7/7、CNNが報じたところによると、イランのミナブ市にある小学校への死者を出す攻撃を行う直前、米軍の指揮官らは、イラン国内の攻撃目標に関するデータベースが著しく古くなっていることを示す警告を「無視」していた。

3人の情報筋がCNNに語ったところによれば、軍の上層部は、標的リストの根拠となる情報が数年前に収集されたものであり、「再検証が必要である」との報告を受けていた。

情報筋によれば、標的選定に使用されるシステムには、当該情報が再検証を必要とする数年前のものであることを示すメッセージが組み込まれており、攻撃リストに拠点を追加するには上級将校の承認が必要とされていた。

情報筋のうち2人が語ったところによると、上級指揮官らが警告を無視したのは「便宜上の理由」からであり、開戦時に標的を急いで提示する必要があったためで、それが学校への誤爆に直接つながったとも情報筋は付け加えた。

それにもかかわらず、トランプ氏が米議会の承認なしに2月に違法に開始した戦争の初期段階において、標的リストの提示を大幅に遅らせたくないという「便宜上の判断」から、上級指揮官らは警告を無視し、イランの「シャジャレ・タイイベ(Shajareh Tayyebeh)」小学校を攻撃リストに加えた。この攻撃により、150人以上の児童と十数人の教師が死亡した。

CNNの情報筋2人によると、上級指揮官らが警告を無視したのは、戦争開始時に標的リストの提供を大幅に遅らせることを避けたかったためだという。

ピート・ヘグセス国防長官は数ヶ月にわたり、国防総省による調査が進行中であることを理由にコメントを避け、この学校への攻撃に関する質問をかわし続けてきた。

<<米軍当局は「数日内に、ミスがどのようにして起きたのかを把握していた」>>
しかし、CNNの情報筋の1人は、学校が「明らかに古い情報」に基づいて標的とされたため、米軍当局者は「数日のうちに、そのミスがどのようにして起きたのかを把握していた」と述べている。

イラン国営メディアによると、この攻撃で少なくとも168人の子供と14人の教師が死亡。この死者数は、近年の米軍の歴史において、民間人の犠牲者が出た最悪の事態の一つと言えるものであり、米軍は攻撃から数日以内に調査を開始。米軍当局者は「(学校への攻撃から)数日以内に、そのミスがどのようにして起きたのかを把握していた」と述べ、「明らかに古い情報だった」ことを明らかにしている。

CNNは、古い衛星画像ではその学校がかつてイスラム革命防衛隊の施設と同じ敷地内にあったことが示されていたと指摘。しかし、2016年の時点ですでに、「学校を基地の他の部分から隔てるフェンスが設置され、学校への独立した入り口が建設されていた」ことが画像で確認されていた。

ラトガース大学ロースクールのアーディル・ハック教授は、多くの標的に関する情報が10年以上前のものだったことを指摘し、攻撃を強行した米国の決定を「許しがたい」「弁解の余地がない」と批判している。

米国防総省は、この爆撃に関する調査結果をいまだに公表していない。これに対し、パレスチナ系アメリカ人の政策アナリスト、ユセフ・ムナイヤー氏はCNNの報道を受けて、米軍について「爆撃は早いが、調査は遅い」と批判した。

調査の進展が遅いことに対し、下院軍事委員会の筆頭委員であるアダム・スミス議員(民主党、ワシントン州選出)からも批判の声が上がっている。

5月に開かれた議会公聴会で、スミス議員はブラッド・クーパー海軍大将に対し、米軍の過失を示す明白な証拠があるにもかかわらず、なぜ学校への攻撃について責任を認めていないのかと厳しく追及。

スミス議員は、「過去にこうした過ちが起きた際は、再発防止策を講じるための詳細な調査が必要な場合であっても、迅速に事実が認められてきました」と指摘。また同議員は、ヘグセス氏が国防長官在任中、「交戦規定や民間人の生命の保護といったあらゆるルールを冷酷なまでに軽視していた」とも批判している。

米国とイラン間の停戦協議は、イラン・ハメネイ氏の葬儀を挟んで、表面上は概ね沈静化しているが、トランプ大統領はあいもかわらず、「大規模な爆撃作戦を再開する」と繰り返し威嚇し、相応した米軍やイスラエル軍の危険な動静が報じられている。ますます世界から孤立化を進行させているトランプ政権は、その行き詰りをいかに打開するするか、全世界から問われている。

(生駒 敬)

 

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【投稿】レアアースを巡る邦人拘束と日本産業の崩壊への一歩

【投稿】レアアースを巡る邦人拘束と日本産業の崩壊への一歩

                              福井 杉本達也

1 中国・レアアース密輸で邦人2人が拘束

6月25日付けの日経新聞は、日本政府は、中国遼寧省大連で日本人2人が中国当局に拘束されたと明らかにしたと報道した。重電大手・富士電機の社員で、レアア―ス製品の輸出に関して法令違反の疑いをかけられたとみられる。

26日付けの日経新聞社説では、「今回の2人が具体的にどんな不正を犯したのかを明らかに」していない、「中国側にはあえて拘束の理由をあいまいなままにし、日本企業を萎縮させる狙い」があるとし、「経済を武器にして、意に沿わない相手を威圧する中国のやり方は許しがたい」と主張する。

しかし、中国商務部の2025年第18号公告によれば、軍事転用可能なデュアルユース品目の輸出は商務主管部門に申請が必要とされ、規制対象品を無許可輸出、加工・分解で部品化して許可を回避する輸出、第三国を迂回する輸出する行為は「禁止貨物密輸罪」で違反となる。「ダミーアセンブリ」に加工した後、「規制外の深度加工品」と見せかけて輸出し、海外で分解するような行為は、当局トレーサビリティを事実上掻い潜る行動で、軍事用途に転用される可能性もあるため、悪質度が高いとされる(X-ZHWさん投稿:2026.6.25)。

「ダミーアセンブリ」による密輸とするならば悪質であり、日本の産業界は死ぬか生きるかの瀬戸際で、どうやって事業を継続するかというサバイバルモードに差し掛かっていることになる。日経社説を始め、政治の世界では中国への抗議が叫ばれているが、現場の産業界はすでに物理的に崩壊し始めている。

 

2 米国の属国として軍事膨張を続けるか、中国からの圧力に屈し日本経済を救うか

戦後日本の外交戦略の本質は「曖昧戦略」であり、安全保障を米国に依存しつつ、経済は中国の成長に乗るという、二股をかけた現実主義だった。日米同盟を基軸にしつつも、台湾問題や中国への関与については明言を避けることで、米中双方に敵対しない姿勢を示す日本など東アジア諸国にとって、中国は最大の貿易相手国であり、雇用と産業サプライチェーンを支える成長のモーターである。RCEPなどを通じた地域の経済統合こそが、リアルな富を生み出すインフラになっている。しかし、この戦略は、2010年代後半からの米中対立の激化に伴い、どちらかに付くことを迫られる時代に突入した。高市政権は、「台湾有事は日本の存亡の危機」と明言し、明確に米国との一体化を選択した(X-Dr.Fager 投稿 2026.6.26)。

経済的には融和的な統合へ向かう重力が働きながら、軍事的にはそれと逆行して衝突の最前線へ送り出されている。「中国との地域統合によって発展を追求している社会が、同時に、その最大の貿易相手国と軍事衝突するための前進基地として機能することなど不可能だ」。

日本はアメリカの要請に応えて軍事拡張を続けるか、中国の圧力に屈して経済を救うかという、究極の二者択一に直面している。このジレンマは、日本が自立した国家としての戦略を持たず、米中の狭間で振り回されてきたことの代償に他ならない。

中国が提示する条件は極めて厳しく、事実上の安全保障政策の敗北宣言を意味する。もし日本の生存を最優先するのであれば、屈辱を受け入れ、産業基盤を守るために中国の要求を呑むことが、現実的な唯一の合理的な解である。(X-Dr.Fager 投稿 Vijay Prashad『東アジアの二重の拘束:新冷戦における矛盾と可能性』Tricontinental:Institute for Social Research2026.6.24)。

 

3 高市首相が台湾発言を撤回するだけでは収束しない

すでに状況は更に悪化しており、高市氏が発言を撤回するだけでは収束しない段階になっている。「東京が軍事的・外交的に北京に反対すればするほど、希土類の規制は厳しくなるだろう。2026年1月から4月にかけて、中国の7つの規制希土類製品の日本向け輸出は前年比で34%減少しました。3月の1か月間での減少率は88%に達し、4月は82%の減少となりました。電気自動車の磁石に使われるジスプロジウムやテルビウムなどの重希土類の日本への輸出は1月からゼロとなり、同時期にイットランドの輸出量は90%以上減少しました。」「日本は2026年後半に希土類の備蓄を使い果たす見込みです。2027年前半には、関連産業の製造コストが「肉眼で」(目に見える形で)上昇します。もし来年後半までに状況が緩和されなければ、日本の自動車産業の電動化は大きく妨げられるでしょう。他のセクターへの波及効果と合わせると、これは日本のGDP成長に対する全体のマイナス影響の35%以上を占める可能性があります。」(イエン・モー:日本は「存続を脅かす危機」からどれくらい離れているのか? MODERN DIPLOMACY 2026.6.26)。

中国商務部(省)が25日に開催した定例記者会見で、記者の「日本経済界の関係者が相次いで中国を訪問している。中国は日本経済界の訪中交流に対する姿勢を調整したのか。中国は日本企業に何を期待するか」という質問対し、何報道官は「日本の高市早苗首相による台湾問題に関する誤った発言は、中日関係の政治的基礎を深刻に損ない、両国の経済貿易協力に深刻なマイナス影響を与えた。日本経済界が自身の利益から出発し、日本政府に反省して過ちを正すよう促し、両国の経済貿易協力が健全な発展の軌道に立ち戻るための環境作りをすることを願う。」と述べた(『人民網日本語版』 2026.6.26)。

「円安が続き、内需も力強さを欠く今、日本経済の回復はもともと容易ではない。これは高市政権が認識すべき一つの基本的事実だ。中国という巨大市場を失い続ければ、日本の製造業や観光業など多くの基幹産業にとって、事態はさらに深刻化するだけだ。日本側が本当に自国企業のために安定した発展空間を確保したいのであれば、自らを省みて、対中政策や台湾問題に関する誤った発言を直ちに撤回し、『経済安全保障』の名の下での保護貿易をやめ、対中世論戦の場での悪意ある扇動を停止すべきだ。日本の経済界はより強い決意をもって、『張本人』である高市政権に声を上げるべきだ。在中国日系企業の切実な利益のため、そして中日経済・貿易協力の大局のために、一連の誤った対中政策を直ちに修正し、対立思考を捨て去るよう求めるべきだ。日本側が率先して誠意を示し、中国への誤った言行を停止してこそ、中日関係は真に現在の困難を脱することができる」(「中国網日本語版(チャイナネット)」2026.6.15)と、日本経済界の再三の懇願に対しても突き放した対応を示している。

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【投稿】いまなぜ原発再評価か?—原発事故は歴史の韻を踏む

【投稿】いまなぜ原発再評価か?—原発事故は歴史の韻を踏む

                            福井 杉本達也

1 原子力で日仏連携

1972年に日仏原子力協定が締結されてから50年以上が経過した。使用済みプルトニウム・ウラン混合酸化物燃料(MOX)の再処理技術の確立に向けた実証研究の一環として、関電の工程表では高浜原発の計400トンを27年度から29年度にかけてフランスに搬出する(福井:2025.2.13)など、日本とフランスの関係は非常に危うい状況下で深まっている。6月24日付けの日経新聞は「脱炭素の動きに中東混迷が重なり、世界で原子力が再評価されている。」とし、続けて、「日仏は核融合や高速炉といった次世代技術で市場開拓を狙う。フランスにある核融合の実験炉の早期稼働が新たな産業の成否を左右する」と書く。さらに早大の遠藤典子氏の言葉を引用して、「『経済安全保障上重要な人工知能(AI )やデータセンター向けの電力を確保するには原子力発電が有望だとの認識が各国政府間で広がっている』」、とし、「長引く中東混乱も、石油など化石燃料に頼らない電源整備を促す。」と述べている。

2 実態は恐ろしい老朽原発の再稼働

しかし、実態は「原子力が再評価されている」どころか、古い耐用年数をとっくに過ぎた原発の再稼働であり、あちこちで事故や書類の偽装が頻発している。2026年5月8日、福井県美浜町の美浜原発3号機で高圧タービンカバーから蒸気が噴出し、関西電力は原子炉を手動停止した。破損したのは高圧タービンを覆うカバーの一部。縦約1センチ、横約8センチにわたって亀裂が生じ、本来約20ミリあるはずの厚みが、最も薄い部分では、(計測可能な範囲で)わずか約1ミリにまで減っていた。設計厚の95%が失われていたことになる。 原因は高温高圧の蒸気による内側からの腐食。そしてこの部材は、1976年の運転開始以来、およそ50年にわたって一度も交換も補修もされていない。

 

 

3 美浜3号機の2004年8月の死傷事故

美浜3号機には、決して忘れてはならない事故がある。2004年8月9日、タービン建屋で、二次系の復水配管が破断、約140度の熱水と蒸気が噴出、点検作業の準備をしていた作業員のうち、5人が死亡、6人が重傷を負った。今回の事故も、同じプラントの高圧タービン・カバーという別の二次系設備で、2004年と同じ構図で安全管理の失敗が繰り返された。ようするに、関電は安全管理に金を投資する気は全くないということである。規制官庁の目の厳しい、一次系だけはまだしも、全くゆるゆるの二次系については、点検も保守も蔑にしている。しかも50年に亘り何も安全管理をしていないという事実である。この会社は安全管理などカネのかかることには一切投資しない。老朽設備でも動かせる間は動かすという姿勢である。

 

4 美浜3号機はトラブル続きで、昔もいまも関電の問題児

美浜3号機は1976年12月1日に営業運転を開始し、福井県内では関電美浜1・2号機や日本原電敦賀1号機など既に廃炉を決めたものを除いた原発の中では高浜1、2号機に次いで古い。60年までの運転に向けた50年超運転の新計画では、原子炉容器など安全上重要な約4干の機器・構造物について、運転開始70年時点での劣化状況を想定した健全性評価を行い、安全性に問題がないことを確認したこととなっている(福井・2025.12.25)。

しかし、現実には、2024年10月、美浜3号機の原子炉格納容器内にある一次冷却水ポンプなどの機器を冷やす水を熱交換器を通じて海水で冷却する系統で、配管に減肉や微少な穴が見つかった。関電は、配管を取り換えた。規制委は、関電が配管内側の保護シートを補修する際に、耐久性が低い樹脂の塗布を採用したことが原因と指摘した。しかし、規制委は一次系の機器などの冷却に必要な海水の流量は確保されていたことなどから、安全は保たれているとして問題を無視した。(福井:2025.2.20)。

また、2026年2月6日には、非常用ディーゼル発電機1台が自動停止したが、燃料油タンク内に水が入り込んでいたことが原因であるとし、燃料油を取り換え正常に動くことを確認したので問題はないと、これもスルーしている(福井:2026.2.7)。

5 原発事故は歴史の韻を踏む

2026年6月27日付けの日経新聞コラム『大機小機』は「崩壊するまでバブルかどうかは分からない」。先日亡くなったグリーンスパン元米連邦準備理事会(FRB)議長は、バブルの本質をこう表現した。米著名投資家ジョン・テンプルトンがいみじくも言ったように「今回は違う」というフレーズほど高くつく言葉はない。そう皆が思ったとたんに株価はうなぎ登りに上昇していき、最後は制御不能となる。株価が人間の心理に左右される限り、バブルは歴史の韻を踏むと書いている。

原発の巨大事故も起こるまでは安全か危険かはわからない。いま、3・11後16年目の日本では原発の再稼働がどんどん進められている。「今回は違う」と政府も規制委も電力会社も立地市町村も皆が安全だと思って進められている。しかし、そのフレーズは非常に高くつくことになる。人類の存立基盤さえ脅かしかねない。

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【転載】イスラエルよ、旧体制を焼き尽くしてくれてありがとう

下に転載するのは、インドの独立系ジャーナリズム・CounterCurrents 25/06/2026 に掲載された、ジュナイド・S・アフマド教授( Junaid S Ahmad )による「Thank You, Israel, for Burning the Old Order」(6/25付け)と題する論説である。

アフマド氏は、イスラエルがたきつけたと言われる、米・イスラエルの共同先制攻撃がもたらした対イラン戦争について、皮肉たっぷりと鋭い現実分析を行っている。イスラエルという「放火魔が偶然にも消防隊を発明した」として、「歴史は皮肉なユーモアの持ち主だ。西側諸国の不可欠な要塞として自らを売り込んだ国家が、西側諸国のこの地域における軍事的プレゼンスを不要にする勢力になるかもしれない。スンニ派とシーア派の分裂を利用した政権が、地政学的宗派主義の葬儀屋になるかもしれない。」と指摘している。

アフマド教授は、法学、宗教学、国際政治学を教えており、パキスタンのイスラマバードにあるイスラムと脱植民地化研究センター(CSID – https://csidpk.org)の所長を務めている。彼は、公正な世界のための国際運動(JUST – https://just-international.org/)、ナクバからの解放運動(MLN – https://nakbaliberation.com/)、人類と地球の救済(SHAPE – https://www.theshapeproject.com/)のメンバーでもある。

小見出しは、当方によるものです。
(生駒 敬)

<<Thank You, Israel, for Burning the Old Order>>

<<根本的な矛盾は宗派対立ではないことを思い知らせた>>
称賛に値するものは称賛すべきだ。イスラエルは、温室に大槌を振り下ろすような繊細さで戦略を推し進め、外交官、聖職者、君主、将軍、そしてシンクタンクの曲芸師たちが何十年もかけて成し遂げられなかったことを達成した。西アジア政治の組織原理であったスンニ派とシーア派の古いメロドラマを葬り去り、アメリカの「安全保障の傘」を傘というより、高価な避雷針のように見せかけたのだ。

これは決して小さな功績ではない。長年、この地域は宗派主義的な文法を通して自らを理解するように教え込まれてきた。リヤドとテヘランは単なるライバル関係にある首都ではなく、形而上学的な対立、文明の敵対者、神学的闘争を繰り広げる永遠の敵として描かれてきた。あらゆる戦場が宗派主義的な散文に翻訳されたのだ。イエメン、シリア、レバノン、イラク――いずれもスンニ派対シーア派という安易な言葉で片付けられ、まるで歴史そのものがケーブルニュースのインターンや諜報機関の末端職員に丸投げされたかのようだった。

そして、最も無礼な客である現実がやってきた。

中国は2023年、イラクとオマーンによる静かな地ならしに支えられ、サウジアラビアとイランの和解を仲介することで、この状況の是正に着手した。ロシアもまた、地域のアクターがワシントンの帝国主義的な受付に許可を求めることなく、陣営を超えて対話できるという考え方を定着させることに貢献した。しかし、あらゆる戦術的勝利を戦略的な潰瘍に変えるという特異な才能を持つイスラエルが、このプロセスを完成させた。ガザ、レバノン、シリア、イエメン、そしてイランの勢力圏におけるイスラエルの猛威は、この地域に根本的な矛盾は宗派対立ではないことを改めて思い知らせた。それは帝国主義的な構造であり、シオニストの暴力なのだ。アメリカの安全保障体制は、両者を保護しつつ、危険にさらされる特権に対して高額な料金を請求している。

サウジアラビア、イラン、カタール、パキスタン、トルコ、エジプト、あるいは現在西アジアの勢力図を塗り替えている他の政権について、どのような見解を持っていようとも、現時点ではほとんど重要ではない。彼らは道徳会議を開く聖人ではない。突如として明確になった環境の中で生き残りをかけて戦う国家、政権、軍隊、君主制、官僚機構なのだ。重要なのは彼らの美徳ではなく、彼らが自らの立場を認識したことにある。イスラエルは彼らに、旧来の宗派主義的な駆け引きが戦略的に時代遅れであることを突きつけた。家が燃えている時、消防隊が別の神学派を好むかどうかを問う余裕はない。

<<パキスタンの事例は特に示唆に富む>>
パキスタンの事例は特に示唆に富む。素人目には、イスラマバードがテヘランとの関係を深めていることは矛盾しているように見えるかもしれない。パキスタンは長年サウジアラビアと緊密な関係を築いており、湾岸諸国の資金に依存し、労働力、軍事協力、そしてイデオロギー的な支援を通じて結びついてきた。また、パキスタンは核兵器を保有する唯一のイスラム教徒多数派国家であり、この事実はサウジアラビアとパキスタンの握手の一つ一つに、いかなる共同声明でも完全に覆い隠すことのできない重みを与えている。では、パキスタンはどのようにしてリヤドの親密なパートナーであり続けながら、イランへの信頼できる窓口となったのだろうか?

答えは、ほとんど侮辱的とも言えるほど単純だ。リヤドがそれを容認し、おそらく今や必要としているからである。イスラマバードのテヘランに対する友好的な姿勢は、単なる気まぐれな冒険ではない。それは、より大きなサウジアラビアの再調整の一環である。その動きの演出は重要である。イラン当局者がイスラマバードに滞在し、パキスタンの指導者たちがリヤドへと向かい、湾岸諸国の資金が政治的可能性を静かに支え、そしてかつてのアメリカの仲介独占は植民地時代の遺物のように見え始めている。パキスタンは湾岸諸国に取って代わろうとしているわけではない。湾岸諸国の一部は、イスラエルによる影響が少なく、ワシントンよりも疲弊しておらず、テヘランにとってより説得力のある安全保障手段として、この制度を利用している。

<<アメリカの保護は、請求書付きの人質管理だ>>
ここでイスラエルは、できればエンボス加工を施した、真顔で誠実な感謝状を受け取るに値する。アメリカの保護が明らかに機能不全に陥っていることを露呈させたことで、イスラエルは代替案の模索を加速させた。アメリカは依然として爆撃、制裁、脅迫、拒否権行使、賄賂、説教を行うことができる。空母打撃群を帝国のチェスの駒のように操ることもできる。「安定」という神聖な言葉、つまり多くの瓦礫を生み出してきたあの聖なる言葉を、今もなお振りかざすことができる。しかし、この地域は、ある厄介なことに気づき始めている。アメリカの保護は、しばしばアメリカとイスラエルの優先事項のために標的となることを意味するのだ。

湾岸の君主国は、何十年もの間、アメリカの安全保障の傘の下で暮らしてきた。しかし今や、その傘からはミサイル、ドローン、石油ショック、評判の失墜、そして戦略的依存が漏れ出している。ワシントンは同盟国に防衛を約束しておきながら、イスラエルの戦争の爆心地に引きずり込む。武器を売りつけておきながら、政治的な服従を要求する。安定を約束しておきながら、地域で最も不安定化を招く勢力を正当化する。これは安全保障ではない。請求書付きの人質管理だ。

だからこそ、パキスタンへの傾倒が見られるのだ。パキスタンが純粋で、民主的で、安定していて、帝国主​​義的な操作に無敵だからというわけではない。むしろ正反対だ。パキスタンの支配層は、主権を公の場では着るが私的な場では売り渡す衣装のように扱ってきた。しかし、地政学は道徳的な完璧さを待ってはくれない。パキスタンは地理的に恵まれ、大規模な軍事力、サウジアラビアとの緊密な関係、イランとの協力ルート、中国との戦略的関係、そして残酷な世界において依然として人々の関心を惹きつける唯一の強み、すなわち核能力を持っている。これは必ずしも正式な核の傘を意味するわけではない。しかし、リヤドをはじめとする国々が、ワシントンだけが頼りではない安全保障体制を構想できることを意味する。

<<UAEは、興味深い例外的な存在だ>>
アラブ首長国連邦(UAE)は依然として興味深い例外的な存在だ。機敏で、裕福で、高度なネットワークを持ち、イスラエルとの国交正常化に深く関わっている。しかし、アブダビでさえ、この地域のあらゆる宮殿を悩ませる問いに、いずれ向き合わなければならないだろう。つまり、その行動が地域に恒常的な火種を生み出す国と連携することで、いつまで利益を得られるのか、という問いだ。アラブ首長国連邦のモデルは、物流、港湾、金融、監視、そして曖昧さを基盤として成り立っている。しかし、ガザが灰燼に帰し、レバノンが炎上し、イランが動員され、アラブ諸国の人々が正常化を近代化ではなくシオニストによる大量虐殺への協力と捉えている状況では、曖昧さを収益化するのは困難だ。

イスラエルは抑止力を回復したと考えていた。しかし実際には、旧秩序を支えていた神話を崩壊させたのだ。リヤドとテヘランに対し、両国の対立は、イスラエルの免責に永久に服従させられる地域の危険性に比べれば、贅沢なものに過ぎないことを示した。湾岸諸国に対し、米軍基地は盾ではなく磁石であることを示した。パキスタンに対し、その戦略的重要性はワシントンに奉仕することよりも、ポスト・アメリカ時代の地域バランスの構築に貢献することにあることを示した。そして、宗派主義はテレビ討論や代理戦争には役立つかもしれないが、生き残るための指針としては不十分であることを、皆に示したのだ。

<<イスラエル・傲慢さでやり過ぎたことに、冷ややかな拍手で感謝>>
だから、イスラエル、ありがとう。オペラのような傲慢さでやり過ぎたことを、感謝します。口に出せないことを、あからさまに明らかにしてくれてありがとう。西アジアに、地域秩序の敵は宗派の異なる言葉遣いをする隣国ではなく、周囲の国々を共犯者、戦場、あるいは将来の標的へと変える入植者植民地主義の戦争機械であることを、改めて思い知らせてくれてありがとう。

歴史は皮肉なユーモアの持ち主だ。西側諸国の不可欠な要塞として自らを売り込んだ国家が、西側諸国のこの地域における軍事的プレゼンスを不要にする勢力になるかもしれない。スンニ派とシーア派の分裂を利用した政権が、地政学的宗派主義の葬儀屋になるかもしれない。放火魔が偶然にも消防隊を発明したのだ。

少なくともその点においては、イスラエルに感謝すべきだろう――賞賛ではなく、勝利と勘違いして自らの戦略を破滅させる死の崇拝者たちに捧げる冷ややかな拍手で。

カテゴリー: 中東情勢, 人権, 平和, 政治, 生駒 敬 | コメントする

【転載】168人の子どもたち・1つの秘密報告書・イーロン・マスクのAI

以下に転載するのは、トム・ハートマン氏の ハートマン・レポート(The Hartmann Report)(6/23付け)「168人の子どもたち。1つの秘密報告書。そして、イーロン・マスクのAI」(168 Dead Children. One Secret Report. And Elon Musk’s AI.)からの転載である。
イランに対する、米・イスラエルの無謀で違法な先制攻撃の初日、今年の2/28、イラン南部ミナブのシャジャレ・タイエベ女子小学校への米軍の攻撃については、すでに投稿してきているが、今回転載するハートマン氏のレポートは、「ペンタゴン(米国防総省)の調査は終了した。しかし、議会はまだその結果を見ていない。ミナブの遺族は真相を知る権利がある。そして、私たちも同様だ。」として、ペンタゴンのミナブ報告書の全文公開、イランでの標的選定を支援していたイーロン・マスクのAIチャットボット、Grokの果たした役割、その営利目的の民間AIの利用に関する公開公聴会の開催、イーロン・マスク氏の宣誓と証言を行わせる必要性を明らかにしている。
ハートマン氏は、ヒトラーを崇拝するイーロン・マスクのAIが、「我々の名の下に、褐色の肌をした幼い少女たちでいっぱいの学校を殺害するのに加担したかどうかを知る権利が我々にはあり、国家安全保障を理由にその答えを隠蔽することは許されるべきではない。」と強調している。
カット、小見出しは、当方によるものです。
(生駒 敬)

<<168人の子どもたち。1つの秘密報告書。
        そして、イーロン・マスクのAI。>>

ペンタゴンの調査は終了した。しかし、議会はまだその結果を見ていない。ミナブの遺族は真相を知る権利がある。そして、私たちも同様だ。 トム・ハートマン 2026年6月23日

<<学校は意図的に攻撃されたのか>>
ドナルド・トランプによるイランへの戦争が始まった2月28日の朝、イラン南部ミナブにあるシャジャレ・タイエベ小学校の子どもたちは、午前10時過ぎに机に向かっていたところ、ミサイルが着弾した。学校の名前は「良い木」という意味だ。

騒ぎが収まるまでに、175人もの人々が死亡し、そのほとんどが7歳から12歳までの少女だった。イランが確認した死者数は約155人で、国営放送が発表したリストには、数十人の幼い男の子、数十人の幼い女の子、20人以上の教師、数人の親、スクールバスの運転手、そして隣の診療所の薬剤師助手などが記載されている。

教師たちは攻撃が始まると同時に保護者に電話をかけ、子どもたちを迎えに来てくれるよう懇願し始めた。しかし、時間は足りなかった。一部の保護者は、瓦礫の中から娘を探し出すのがやっとの状態で学校にたどり着き、救助隊員やロイター通信の特派員によると、建物は二度目の攻撃を受け、いわゆる「ダブルタップ」(戦争犯罪)によって、生存者や救助隊員は二度目の爆発に巻き込まれ、粉々に吹き飛ばされたという。

アムネスティ・インターナショナルヒューマン・ライツ・ウォッチはともに調査を開始した。タイム誌などの記者は、使用された兵器がアメリカ製のトマホーク巡航ミサイルであることを突き止めた。このミサイルは、その戦争でアメリカ軍のみが発射した種類のミサイルである。予備的な軍事調査では、子供たちの最初の殺害と、消防士、救助隊員、そしてその両親を殺害した二発の銃撃の両方について、アメリカ軍がほぼ間違いなく責任を負っていると結論付けられた。

先週フランスのエビアン・レ・バンで開催されたG7サミットで、記者がトランプ大統領にこの件について質問したところ、彼は亡くなった子どもたちのことをまるで何でもないかのように軽くあしらった。「誰も故意にやったわけではない」と彼は言い、「間違いは起こるものだ。

アルジャジーラの調査:イランの女子校への標的攻撃は「意図的」である可能性が高い

戦争は残酷なものだ」と続けた。そして質問をピート・ヘグセス国防長官に引き継ぎ、話題を変えた。
彼の肩をすくめる仕草は、証拠と向き合うと消え失せた。

アルジャジーラの調査によると、10年以上前の衛星画像を追跡した結果、その学校は2016年以降、隣接する軍事基地とは壁で隔てられ、独自の門を備えた、明確に区画された民間施設であったことが判明した。

ストライキのわずか1年前に同じ複合施設内に開設された診療所は無傷だった一方、子どもたちでいっぱいの学校は攻撃を受けた。

<<国防総省は先月調査を終えた>>
標的設定が新設の診療所を無事に残すほど正確だった一方で、築10年の学校を全壊させるほど不注意だったのか、それとも学校は意図的に攻撃されたのか。何しろ、子どもたちはイラン軍関係者の子供たちだったのだから。どちらの答えも、二重攻撃の証拠と相まって、決定的な証拠となる。そして、どちらが真実かを教えてくれる文書はただ一つしかない。

その文書は確かに存在する。国防総省は先月調査を終えたが、議会関係者はまだ閲覧を許可されていない。そのため、超党派の上院議員グループは、残された唯一の手段に訴え、ヘグセス議員が修正されていない民間人被害調査報告書(ミナブ氏に関するものも含む)を提出するまで、国防権限法案を通じて同議員の旅費予算の75%を凍結する動きに出た。

同じ条項では、 200人以上が死亡したベネズエラ沖での船舶攻撃の未編集映像の公開も要求しているが、トランプ氏とウィスキー・ピート氏はこれも公開を拒否している。自分の潔白を証明する報告書を隠蔽するべきではない。

こうした反応はこれまでにも見てきた。1991年のバグダッドのアミリヤ避難所では、アメリカ製の精密誘導爆弾が400人以上の民間人を殺害したが、国防総省は軍事目標だと主張した。2015年のクンドゥーズの国境なき医師団病院では、公式発表が3度も変更された後、最終的に米軍司令官が決定は完全にアメリカ側のものだったと認めた。ベトナムのソンミ村虐殺事件も忘れてはならない。毎回、否定し、責任転嫁し、隠蔽するのだ。

<<標的選定を支援していたのは、イーロン・マスクのAIだった>>
しかし、今回の隠蔽工作が過去のものより必死になっているのには理由があり、それは誰もが何度も耳にしたことがある名前だ。イランでの標的選定を支援していたのは、イーロン・マスクのAIチャットボット、Grokだったのだ。

米国防総省、イラン攻撃にイーロン・マスクの「評判の悪い」AI「Grok」を使用 。なぜ国防総省は、イランとの紛争においてイーロン・マスクの「ひどい」AIツールに頼ったのか?

ペンタゴンの最高デジタル・人工知能責任者であるキャメロン・スタンレー氏が宣誓供述書の中で、マスク氏の「Grok Govモデル」によって米軍は作戦中に「96時間以内に2,000の異なる標的に2,000発以上の弾薬を配備できた」と述べていることから、この事実が明らかになっている。つまり、3分に1つの標的を攻撃したことになる。

マスク氏の会社が国防総省と契約を結んだのは2月23日。戦争が始まったのは2月28日。そして、私たちがこれらの事実を知ったのは、全米黒人地位向上協会(NAACP)が、ガスタービンの排ガスでメンフィス近郊の黒人居住区を汚染したとしてマスク氏のデータセンターを訴えた訴訟の中で、この事実が漏洩したからに過ぎない。

これは、2025年の夏にアドルフ・ヒトラーを称賛し、「メカヒトラー」と名乗り、ユダヤ系の姓を持つ人々が問題であり、ホロコーストがその解決策だとユーザーに言い聞かせ、自分たちとは全く関係のない会話に白人至上主義者の「白人虐殺」の論点を持ち込んだ、まさにそのグロックである。

それは、ナチス式敬礼をするアパルトヘイト時代の南アフリカの大富豪が、我々がイランの学童を殺害し始める5日前に、我々の標的システムに接続したAIだ。

グロックがミナブの学校を選んだかどうかは、私には分かりませんし、他の誰にも分かりません。なぜなら、その疑問に答える報告書を彼らは公開することを拒否しているからです。それが問題なのです。

大量虐殺を行ったヒトラーを公然と称賛していたAIが、おそらく、3分に1回のペースで有色人種を標的としたアメリカのミサイル発射を支援していた。それは、戦争全体を通して民間人にとって最も多くの犠牲者を出した日だった。この出来事は、そのAIが本格的に稼働し始めた最初の日に起こった。そして、そのAIが何をしたのかを説明できる人々は、真実を明かす前に私たちの関心が薄れるだろうと踏んでいる。

<<知る権利が我々にはあり、隠蔽することは許されない>>
ルイーズと私は1980年代にしばらくドイツに住んでいたのですが、そこの年配の人たちが骨の髄まで理解していたのは、道徳的な選択をシステムに委ね、自分はただそのシステムの結果に従っているだけだと自分に言い聞かせると、残虐行為の仕組みがいかに当たり前のものになってしまうかということでした。

私たちは今、地球上で最も裕福な男の支配下で、利益のために意図的にそれを行っている。『アメリカ寡頭制の隠された歴史』の中で、私は支配階級がいかにして自治権を持つ国民に属するはずの機能を静かに掌握していくかについて書いたが、誰が生き、誰が死ぬかを決めるのに、私的なチャットボットが使われるような事態は決して起こらないことを願っていた。

その道徳的な大惨事に加えて、その週の無謀な行為は、その学校だけにとどまらず、我が国を弱体化させる結果となった。

戦略国際問題研究所はAP通信に対し、今回の戦争でかけがえのないトマホークミサイルや迎撃ミサイルが多数失われたため、台湾を巡って中国に対して「脆弱性の窓」が開いてしまったと述べ、一部の備蓄は2029年まで補充されない可能性が高いと付け加えた。

海軍で戦闘任務に就いていたマーク・ケリー上院議員は、我々が弾薬庫をここまで深く使い果たしてしまったのは衝撃的だと述べ、トランプ大統領は「戦略目標も、計画も、期限もなしに」これを始めたと批判した。

我々は500億ドル以上もの資金と、一世代分の兵器を費やして、ヒトラーを称賛するチャットボットに犠牲者を増やさせた。そして、どうやら最初にその代償を払ったのは、ミナブの褐色の肌の子どもたちだったようだ。

イラン対ニュージーランドのサッカー・ワールドカップの試合で、観客席には、米軍によるイランの小学校への空爆で犠牲となった168人の子どもたちを追悼する横断幕が掲げられた。また、イランサッカー連盟のマフディ・タジ会長は、「我々の使命はミナブ168の名の下に戦うことだ」と語った。

ロサンゼルスで開催されたワールドカップでイラン代表チームがピッチに立った時、スタンドのファンは168人の子どもたちのために横断幕を広げた。私たちも、あのスタジアムにいた見知らぬ人たちと同じように、彼らのことを忘れてはならない。
イランのワールドカップの試合で、観客が学校への致命的な攻撃を追悼する横断幕を掲げた。

議会にはこれらすべてを白日の下に晒す力があり、その力を最大限に活用すべきです。国会議事堂の交換台(202-224-3121)に電話して、上院議員と下院議員に次の2つのことを伝えてください。

まず、ミナブの報告書が全文公開されるまで、ヘグセス氏の渡航資金を凍結する条項については保留すべきだ。

第二に、アメリカの標的選定における営利目的の民間AIの利用に関する公開公聴会を開催し、キャメロン・スタンレー氏とイーロン・マスク氏が宣誓証言を行う。

ヒトラーを崇拝する機械が、我々の名の下に、褐色の肌をした幼い少女たちでいっぱいの学校を殺害するのに加担したかどうかを知る権利が我々にはあり、国家安全保障を理由にその答えを隠蔽することは許されるべきではない。

もしこれが私と同じくらいあなたを憤慨させるなら、黙って見過ごしてはいけません。この記事を共有し、戦争におけるAIはSFだと思っている身近な人たちに送り、電話を手に取って議会に訴えることができる人なら誰にでも転送してください。

ハートマン・レポートを購読し、支援することで、このような報道がそれを必要とする人々に届き続け、そしてその怒りを、権力者が無視できない唯一のもの、つまり目を背けることを拒む有権者へと変えていきましょう。

「グッドツリー」という名の学校には名前があった。その屋根の下にいる子どもたち一人ひとりにも名前があった。せめてものことは、数人の腐敗した億万長者によって、彼らの存在が抹消されるのを許さないことだ。

 

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【投稿】米・イラン交渉:トランプの恐喝一蹴、前進へ

<<トランプの恐喝:「必要なら徹底的に叩きのめしてやる」
             「クソったれな国に生きて帰ることさえできなくなるぞ」>>
6/21、トランプ大統領は、米・イラン交渉開始の最中に、イランの交渉担当者らに対して、「もしホルムズ海峡が封鎖されたままだとしたら、お前らはクソったれな自国に生きて帰ることさえできないだろう」”You won’t even make it back to your fu*king country.”と伝えたと、米FOXニュースに語っている。
トランプ氏は6/20の夜にイランの交渉担当者らに対して、ホルムズ海峡を封鎖しないよう警告、一方的に激高したあげく、「封鎖すれば、お前たちの国はなくなるぞ」と威嚇、「クソったれな自国に生きて帰ることさえできなくなるだろう」と続けたと、FOXニュースのチーフ Trey Yingst 氏が明らかにしている。
トランプ氏は、「和平合意」について、「うまくいけば、手柄は俺のものだ。うまくいかなければ、JD(ヴァンス副大統領)のせいにするつもりだ」と、半分冗談めかして語った、という。露骨な本音がスケスケである。

また、イランのペゼシュキアン大統領が、イランは「ウラン濃縮の権利」を放棄せず、米国は「それを受け入れざるを得なくなるだろう」と述べたことに対し、トランプ大統領はペゼシュキアン大統領に対し「口を慎み」「態度を改めろ」と警告したと報じられている。さもなければ、米国は「イランの残りの地域を占領する」とこれまた恫喝したと報じられている。

イランの「ヌール・ニュース(Nour News)」によると、スイスに派遣されたイラン代表団は、トランプ氏の威嚇を受けて、一旦は協議の中断を決定し、トランプ大統領の発言が交渉を規定する覚書に違反すると主張し、正式に抗議している。たが、首席交渉官であるモハンマド・ガリバフ氏は、「米国は威嚇的な言動を慎むべきだ」とたしなめ、軍事的威嚇に対しては「イラン軍には応戦の用意がある」と明言すると同時に、米・イラン「和平合意」14項目に関して、「彼らがどれほど言葉を弄しようとも、実際に動くのは我々なのだ」と表明。「彼らは立ち止まって考えないのだろうか。もし彼らの威嚇が効果を上げていたなら、今日のような絶望的な状況には陥っていなかったはずだ、と。我々はアメリカの威嚇など全く意に介さない」と、トランプ氏の恐喝を一蹴している。

そして現実に、トランプ氏の脅しにもかかわらず、イラン外相が和平交渉での「大きな進展」を表明している。アッバス・アラグチ氏によると、「レバノンでの軍事作戦の終結を確実にする」ことを目的とした「紛争回避(デコンフリクション)チーム」の設置の確約を取り付けたことについて、パキスタンとカタールによる「絶え間ない仲裁」の功績を挙げている。
アラグチ外相は以下の点を発表している。
* 石油および石油化学製品の輸出制限が解除された。
* 凍結されていた資産の一部が解放された。
* イランの大規模な復興・開発計画が開始された。

<<イスラエル:裏切者・トランプ>>
当然、イスラエルは激怒している。そもそも、「和平合意」14項目の第1項目は
レバノンでのイスラエルの軍事作戦を念頭に、「あらゆる戦線における軍事作戦の即時かつ恒久的な停止」を宣言しており、それをさらに補強するために、「紛争回避チーム」設置を確約したのである。
その紛争回避委員会の要請に応じることをイスラエルは拒否しており、カッツ国防相は「イスラエルはレバノンの安全保障地帯から撤退しない」、「1インチたりとも」撤退しないと宣言し、現実にレバノン南部への爆撃を続行している。

「和平合意」の覚書はさらに、イランが備蓄する濃縮核物質の処遇を後の交渉に委ねるほか、米海軍による海上封鎖の解除、凍結されたイラン資産の解放、そしてイラン産原油の販売を許可する制裁免除措置、イランへの3,000億ドル規模の「復興・開発基金」の設立、イラン周辺地域からの米軍撤退、そしてあらゆる国際的・一方的な制裁の解除をを盛り込んでいる。

この「和平合意」の覚書(MoU)は、イスラエルの関与なしにまとめられたとされており、今やイスラエルにとって、トランプ政権そのものが攻撃対象となってきている段階である。
トランプ氏の特使であり、臆面もなくシオニストの利益を代弁するスティーブ・ウィトコフ氏と義理の息子ジャレッド・クシュナー氏は、イスラエルのネタニヤフ首相の側近から、「二人のちっぽけなユダヤ人」と酷評され、トランプ氏は「敗北者」と呼ばれ、J.D.ヴァンス副大統領は「クズ」呼ばわりまでされている。トランプ氏の最大の資金提供者の一人である億万長者ミリアム・アデルソン氏が所有するイスラエルの新聞『イスラエル・ハヨム』は、論説記事の中でトランプ氏を「イスラエルを裏切った」と非難している。

こうしたイスラエル側の言動に対して、、ヴァンス氏は「もし私がイスラエル政府の閣僚だったなら、世界中で唯一残された強力な同盟国を攻撃するようなことはしないだろう」と言い返している。しかし、今やイスラエルは、「唯一残された同盟国」にさえ牙をむこうとしているのである。

しかし、問題は、トランプ氏の、イランに対する恐喝発言は、戦争初期にイランの「文明全体」を抹殺し、国全体を「爆破する」と脅迫した、あのジェノサイド発言を彷彿とさせるものであり、まだイスラエルに未練たっぷりの、イスラエルへの同調発言とも言えるものであり、イスラエルとともに、イランを「徹底的に叩きのめしてやる」路線に戻りかねない危険性を明示したことも事実であろう。

(生駒 敬)

 

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【投稿】トランプ:イラン女子校・米軍による虐殺の責任を否定

<<「ずいぶん前のことだ」「故意にやったわけではない」>>
6/17、フランスで開催されたG7サミットで、ある記者からイラン南部ミナブの女子校で生徒と教職員が虐殺された爆撃の責任を問われたトランプ大統領は、「今さらそんな質問をされるのは奇妙だ。ずいぶん前のことだから」と答えた。
「間違いは誰にでもある」、「戦争は残酷だ」と答え、自らの戦争開始責任はもちろん、米軍の間違ったAIによる標的行為、その複数回にわたる残虐行為を意図的に軽視する姿勢を鮮明に表明した。

2026年2月28日にイランのミナブにある女子校が米国の巡航ミサイル攻撃を受けた際の犠牲者の棺が、2026年3月3日にミナブで行われた葬儀で弔問客に囲まれている。

イランに対する、米・イスラエルの違法な先制攻撃の初日の2/28、ミナブのシャジャレ・タイエベ女子小学校への米軍の攻撃、この残虐行為は、衛星画像分析により、目撃者の証言が裏付けられ、この攻撃は「トリプルタップ」と呼ばれる空爆であったことが確認され、最初の爆撃に続いて、生存者や救助隊員を殺害することを目的とした2回の追加攻撃が行われたことが明らかにされている。

トランプ大統領自身は当初、「イランが学校を爆撃した」とまで主張していたのであるが、この攻撃にトマホークミサイルが使用されたことが明らかになると、滑稽にも「イランがそのような極めて制限された米国製ミサイルを保有している」とまで主張していたのであった。
しかし、その小学校で発見されたトマホーク巡航ミサイルの破片には、米国の兵器会社名、国防総省の契約番号、そして「Made in USA」の刻印があり、米軍使用が明々白々としており、トランプ氏の主張は崩壊。多くの専門家が戦争犯罪の可能性が高いと指摘していることからも、この事件の犯人が米国であることが、もはや覆しがたいのが現実である。

<<「調査が行われていることは承知している」>>
それにもかかわらず、責任を回避し、「しかし、調査が行われていることは承知している」と逃げを打ち、「ピート・ヘグセス(国防長官)に聞いてみたい」と大統領は付け加えた。自らが調査の先頭に立つことなど、頭の片隅にもない発言である。
しかしそれこそ、「ずいぶん前」にもかかわらず、調査結果は一向に明らかにされず、肝心のヘグセス国防長官自身は開戦当初から、米軍は「愚かな交戦規則」に縛られることなく、「殺傷力」を優先すると述べているのである。

一部明らかにされたその国防総省の「予備調査」では、ヘグセス氏の意図に反して、ミナブ校虐殺事件の責任は米国にあるとされ、建物は意図的に攻撃されたことが示唆され、その原因として、標的選定に人工知能が使用された可能性について疑問を投げかけている。

すでに、ベリングキャット、ニューヨーク・タイムズ、スカイニュース、NPR、AP通信、BBC、ロイター通信、アルジャジーラ、CNN、アムネスティ・インターナショナルなど、多数の調査報道機関や人権団体もこの米軍の小学校攻撃を調査し、米国に責任があると結論付けている。

この期に及んでも、トランプ氏は、自らの在任中に犯した戦争犯罪、残虐行為の責任を回避し、あるいはさらに悪いことに、正当化しようとあがいているのである。
(生駒 敬)

 

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【転載】「超クソ野郎」の時代:トランプとイーロン・マスク

以下に転載するのは、ロバート・ライヒ氏の robertreich.substack.com/ 投稿(6/15付け)「超クソ野郎」の時代 (The Age of the Super A*sholes): 「トランプとマスクが経済と政治を支配している。これは、私たちが生きている時代について多くを物語っている。」からの転載である。
A*sholes とは、asshole 「嫌なやつ」「最低なやつ」を意味するスラングである。
ロバート・ライヒ氏は、周知のとおり、アメリカの経済学者で、カリフォルニア大学バークレー校公共政策大学院教授、ハーバード大学ケネディスクール教授、ブランダイス大学社会政策大学院教授、アメリカ合衆国労働長官を歴任している。
この投稿でライヒ氏は、トランプ氏とマスク氏が両者ともに、自身の富、権力、支配力を増大させることに異常なほどに執着し、両者とも、税金をほとんど、あるいは全く払っていないことを誇りにしており、さらにその根底に徹底した人種差別主義、白人至上主義、そして女性蔑視・男尊女卑・性差別主義が横たわっていること、民主主義、基本的人権、平等とは対極の、極め付きの差別主義者であり、それは、「同じ社会の一員として互いに負うべき義務についての広い理解、つまり公共の道徳の崩壊です。トランプとマスクはその崩壊を象徴しています。」と結論付けている。ゴシック強調は、当方によるものです。  (生駒 敬)

超クソ野郎の時代
トランプとマスクが経済と政治を支配している。これは、私たちが生きている時代について多くを物語っている。
ロバート・ライヒ 2026年6月15日

イーロン・マスクは世界初の兆万長者(トリリオネア trillionaire)になった。ドナルド・トランプはアメリカ初の独裁者だ。しかし、彼らには経済的・政治的支配力以外にも共通点がある。

両者を利己的なナルシストと表現するのは、控えめすぎる表現だろう。両者とも、自身の富、権力、支配力を増大させることに異常なほど執着している。

両者とも、これらの目標を追求するために、法律、規範、その他の社会的制約を平気で破ってきた。両者とも、支配権を得るために、操作、賄賂、詐欺、強奪、そしていじめといった手段を用いてきた。

トランプは2020年の大統領選挙の結果を覆そうとし、2度弾劾され、企業の帳簿操作で刑事責任を問われ、性的虐待で民事責任を問われた。

マスク氏はトランプ氏の大統領選出に2億5000万ドルを投じ、その後、トランプ氏が所有する違法かつ極めて破壊的な仮想通貨DOGEを運営した。マスク氏のSpaceXは、内部関係者が利益を独占し、後から参加した者を窮地に陥れる巨大なポンジスキームの特徴をすべて備えている。

両者とも、税金をほとんど、あるいは全く払っていないことを誇りにしている。トランプ氏は、連邦所得税を払わないことが「私の賢さの証だ」と発言したことで有名だ。マスク氏は2018年に税金を一切払っていない。

両者とも共感力に著しく欠けており、あらゆる人間関係を取引としか見ていない。トランプ氏は国家的な悲劇において「慰め役」を担うことを拒否し、政敵の遺族が亡くなった場合でも、公然と同情を示さない。 (ロブ・ライナーとその妻が殺害された際、トランプは「ライナーが『トランプ錯乱症候群』という、精神を蝕む重篤で頑固な、そして不治の病によって他者に引き起こした怒りが原因だ」と主張した。)

マスクは「西洋文明の根本的な弱点は共感力だ」と述べ、社会が幅広い共感力を実践できるのは、組織的な強さを基盤として行動する場合に限られると主張している。

両者とも、自らを全能で無敵だと考えている。そして、自分に逆らう者には言葉や暴力で激しく攻撃し、しばしば激しい口論や喧嘩に発展する。

彼らが自らの全能感以外に何らかの信念を持っているとすれば、それは白人男性ナショナリズムである。 「白人は急速に消滅しつつある少数派だ」と、マスク氏は1月に自身のSNS「X」に投稿し、2億4000万人のフォロワーに向けてこう綴った。2月の投稿では、「過去10年以上、西側諸国では白人、異性愛者、男性を問わず、あらゆる人に対する容赦ない憎悪と有害なプロパガンダが蔓延している」と断言し、「もう罪悪感を植え付けるのはやめろ。もう十分だ」と付け加えた。

マスク氏は、人種が採用において不利な役割を果たしていると示唆してきた。また、奴隷制度廃止における白人の役割を称賛し、著名人が白人やアジア人に対して人種差別を行っていると非難してきた。

ここ数ヶ月、マスク氏は白人に対する脅威、あるいは彼が白人に対する「ジェノサイド」の呼びかけとみなすものについて、オンラインでの投稿を増やしている。過去7ヶ月間で、人種に関する投稿は850回に達し、ほぼ毎日投稿しており、過去2年間の3倍の頻度となっている。

トランプ氏には、白人至上主義的な言動の記録が数多く残されている。例えば、1973年にトランプ・マネジメント社が黒人賃借人に対する差別を行ったとして訴訟を起こしたこと、1989年にセントラルパークのジョギング女性射殺事件で最終的に無罪となった黒人とラテン系の少年5人に対する死刑を求める全面広告を出したこと、バラク・オバマ氏が米国生まれではないという、後に否定された人種差別的な陰謀論を主導したこと、2016年にメキシコ移民を犯罪者や「強姦犯」と非難したこと、2017年に「イスラム教徒入国禁止令」を出したこと、シャーロッツビルでの白人至上主義者による暴力的な集会で「双方に立派な人々がいた」と発言したこと、ハイチ、エルサルバドル、アフリカ諸国を「汚い国」と見なしたこと、アメリカの学校教育から黒人史を抹消しようとしたこと、そして多様性、公平性、包摂性に反対する運動を展開したことなどが挙げられる。

マスク氏とトランプ氏は共に、民主党が不法移民を流入させ、米国政府を永久に掌握しようとしているという陰謀論を広めてきた。

両者とも海外で白人至上主義を煽動している。トランプ氏は、ヨーロッパへのイスラム系移民によって西洋文明が脅かされていると考えるヴィクトル・オルバン氏の熱烈な支持者だった。トランプ氏の側近の多くは、今もなおヨーロッパの極右指導者たちを支持・奨励している。

マスク氏もまた、海外で白人至上主義を煽動している。最近、英国、特にベルファストとロンドンで起きた反移民デモと暴動の際、マスク氏は「内戦は避けられない」と投稿し、英国のデモ参加者に対し「反撃するか、死ぬか」と呼びかけた(これに対し、キア・スターマー英首相はマスク氏の発言を「危険」だと非難した)。ベルファストで起きた殺人事件を受けて、マスク氏は「故郷で罪のない人々を斬首する殺人移民」の仕業だと非難した。彼は黒人である刺傷事件の容疑者の画像を共有し、「何百万人もの黒人が出て行かなければならない」というキャプションを添えた。また、スターマー氏が「白人を憎んでいる」と主張するメッセージを再投稿した。

非営利監視団体「デジタルヘイト対策センター」の研究者らは、マスク氏が何億人ものフォロワーに向けて反移民的な言説を「増幅させた」ことが、ベルファストでの暴力行為を誘発する上で「決定的な役割を果たした」と報告している。「X(ソーシャルメディア)上で(憎悪に満ちた)コンテンツを拡散する上で、マスク氏以上に大きな役割を果たした人物はいない」としている。

トランプ氏とマスク氏には、いずれも長年にわたる女性蔑視の経歴がある。

トランプ氏は、ビジネスと政治のキャリアを通じて、女性を頻繁に中傷し、女性の反対者やジャーナリストを「不快」「だらしない」「豚」などと表現してきた。性的暴行の経歴は広く知られている。連邦陪審は、作家E・ジーン・キャロル氏に対する性的虐待と名誉毀損でトランプ氏に有罪判決を下し、数百万ドルの損害賠償を命じた。また、トランプ氏は、長年の生殖権を覆す判決に重要な役割を果たした保守派判事を任命してきた。

マスク氏もまた、女性蔑視や性差別の疑いで頻繁に非難されている。スペースXの元エンジニア8人が、蔓延する「アニマルハウス」のような企業文化を詳細に記した訴訟を起こした。訴状では、マスク氏が敵対的な環境を作り出し、女性従業員を性的対象として扱い、従業員が彼の性差別的な言動に異議を唱えると報復したと訴えている。また、マスク氏が従業員に対して不適切な関係を持ち、執拗に言い寄っていたという別の報告も出ており、中には自分の子供を産んでほしいと頼んだケースもあった。

マスク氏には複数の女性との間に14人の子供がおり、彼らをローマ軍の部隊になぞらえて「レギオン」と呼んでいる。「世界の終末が来る前にレギオンレベルに達するには、代理母が必要になるだろう」と、彼はパートナーの一人に語った。彼は「男尊女卑的な文化」を助長し、女性らしさを嘲笑することで、しばしば非難を浴びてきた。「インスタグラムは女の子のためのものだ」と発言し、ネット上で大きな議論を巻き起こしたほか、伝統的な性別役割に関する性差別的な理論や過激なコンテンツを繰り返し共有・拡散している。

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では、なぜこれほど忌まわしい二人の男が、この歴史的な時期にアメリカ、そして世界の多くの地域を支配するに至ったのでしょうか? 21世紀のアメリカ資本主義、あるいはアメリカ文化には、彼らにこれほどまでに並外れた権力をもたらした何かがあるのでしょうか?

その答えの一つは、公共の利益という感覚の喪失つまり公的な名誉と恥の役割の低下、そして公共道徳の崩壊にあるように思われます。こうした状況が、この二人の危険な男が、これほどまでに際限のない富と権力を手に入れることを許し、むしろ助長してきたのです。

「公共の利益」という概念は、かつてアメリカでは広く理解され、受け入れられていました。そもそも、アメリカ合衆国憲法は、「我々人民」が「公共の福祉を促進する」ために制定されたのであって、「私という利己的な人間が、できる限り多くの富と権力を追求する」ために制定されたのではありません。

確かに、1880年代後半から1910年代にかけての金ぴか時代は、社会規範を無視し経済を独占したごく少数の超富裕層によって支配されていました。ニューヨーク・セントラル鉄道の社長、ウィリアム・ヘンリー・ヴァンダービルトは「国民などどうでもいい」と豪語しました。

しかし、こうした「強欲な実業家」たちの支配は、富と権力の乱用に対するアメリカ国民の憤りが高まり、改革と公共の利益への回帰を求める声が上がったことで終焉を迎えました。

その後、1930年代の世界恐慌と第二次世界大戦において、アメリカ国民は共通の危機に直面し、公共の利益のために協力する必要に迫られました。1960年代には、白人も黒人も含め、多くの人々が公民権と参政権を求めて闘いました。また、公共の利益への意識は、多くの人々をベトナム戦争の不正義に立ち向かわせ、また多くの人々をあの狂乱の戦場へと勇敢に送り出しました。

しかし、公共の利益という概念はもはや流行りのものではなくなりました。今日ではこの言葉はほとんど耳にしません。時代遅れとは言わないまでも、やや陳腐で古臭く感じられます。もはや、攻撃的な男たち(ほとんどが男性です)が、金ぴか時代をも凌駕する規模で莫大な富と権力を蓄積するために、あらゆる手段を講じることに何の制約もありません。

この道徳的崩壊は、個人的な、私的な、宗教的な道徳の崩壊ではありません。それは、同じ社会の一員として互いに負うべき義務についての広い理解、つまり公共の道徳の崩壊です。トランプとマスクはその崩壊を象徴しています。この二人の深く欠陥のある男たちが蓄積した富と権力は、私たちがどれほど堕落してしまったのか、そしてそれを正すために私たちが直面する課題の大きさを物語っています。

 

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【投稿】トランプ:泥沼・迷走から、対イラン「和平合意」へ

<<ぶち壊しのイスラエルによるベイルート爆撃>>
6/15、米・イラン間の「和平合意」仲介役を果たしてきたパキスタンのシャリフ首相(Shehbaz Sharif)は、「和平合意完了」を宣言し、署名式は来週金曜日(6/19)にスイスで行われることを明らかにした。
シャリフ氏は、「激しい協議の末、私たちは喜ばしくも発表いたします。アメリカ合衆国とイラン・イスラム共和国との間の平和協定が締結されました。双方は、レバノンを含むすべての戦線における軍事作戦の即時かつ永久的な終了を宣言しました。公式な署名式は、6月19日金曜日にスイスで行われます。
この紛争に対する外交的解決策を見つけるための取り組みに対し、アメリカ合衆国とイラン・イスラム共和国に感謝の意を表します。また、この調停努力における私たちの兄弟、カタール国の偉大な指導部に対し、この合意達成への支援に対して心からの感謝を申し上げます。私はまた、サウジアラビア王国およびトルコ共和国の先見の明ある指導部に対し、この点における多大な貢献に対して特別に感謝いたします。」と表明している。

ところが、である。「双方は、レバノンを含むすべての戦線における軍事作戦の即時かつ永久的な終了を宣言」したにもかかわらず、その合意を台無しにすべく、直前の6/14未明、イスラエル軍は、レバノンのベイルート南部ダヒヤを2回にわたって、再び攻撃し、ゴベイリー地区の集合住宅の2つのアパートを直撃したという。少なくとも3人が死亡し、負傷者を多数出している。イスラエル国防軍(IDF)は、「ネタニヤフ首相とカッツ国防相の指示に基づき、IDFは現在、ベイルートのダヒエ地区にあるヒズボラの標的を攻撃している」と声明で述べている。
イスラエルは、「トランプの屈服・イランの勝利」という「和平合意」を拒否する姿勢を明確に示したのであろう。

あわてたトランプ大統領は、「今朝のベイルート攻撃はあってはならないことだった」とTruth Socialに投稿している。「我々はレバノンを含む地域に平和をもたらす合意に非常に近づいており、すべての当事者は攻撃を停止すべきだ。イスラエルはレバノン国内のいかなる場所においても攻撃をしてはならない。また、ヒズボラを含む他のいかなる勢力もイスラエルに対する攻撃をしてはならない」と述べているが、今回の攻撃は「非常に小規模で無意味な」攻撃への報復であり、負傷者は出なかったと付け加えている通り、トランプ政権は詳細な情報さえ確認できていないのが実態である。

こうした事態に対して、イランの首席交渉官モハマド・バゲル・ガリバフ氏は、レバノンへの死傷者を出した攻撃の直後、イスラエルによる攻撃を容認しながら外交を進めている米・イスラエルの戦略を厳しく批判し、「イスラエルによるレバノン爆撃は米国の偽りの約束を露呈した」、「シオニストによるダヒヤ侵攻は、アメリカが約束を果たす意思も能力も欠如していることを改めて示した」と述べている。イラン外務省は、今回の攻撃はレバノンの主権と、「停戦合意」の両方に違反するとして非難し、イスラエルの行動に対する「直接的な責任」は米国にあると主張し、今回の攻撃は地域の平和と安全に深刻な影響を及ぼす可能性があると警告している。

<<「和平合意」14項目と核問題>>
肝心の「和平合意」とは、いかなるものか、イランのメフル通信は、米国との和平合意草案の詳細を以下のように報じている。
もちろん、草案の14項目には、レバノンを含む「あらゆる戦線」での即時かつ恒久的な停戦が含まれている。それが第一項目に挙げられている。

その主な内容は以下のとおりである。
1. レバノンを含む全戦線における戦争の即時かつ恒久的な停止
2. 米国によるイランの内政不干渉と主権尊重の約束
3. 30日以内の海上封鎖の完全解除
4. イラン周辺地域からの米軍撤退
5. イランの取り決めに基づき、30日以内にホルムズ海峡を再開通させること
6. イラン産原油、石油化学製品、および派生製品に対する制裁措置の停止、および関連資金への完全なアクセス
7. 米国とその同盟国による、少なくとも3,000億ドル相当の復興計画の提供
8. 核問題、制裁緩和、および関連する国連安全保障理事会決議とIAEA理事会決議の撤廃に関する最終合意に達するための60日間の交渉期間
9. 核不拡散条約(NPT)に基づくイランの核兵器不生産の新たな約束
10. 米国の増税の停止地域における軍事力の維持と、協議期間中の新たな制裁措置の回避
11. 凍結されているイランの資金240億ドルの解放(交渉開始前に半額を解放)
12. 履行を確実にするための監視メカニズムの創設
13. 国連安全保障理事会決議による最終合意の承認
14. 最終協議は、イランの凍結資金の半額が解放され、石油制裁が停止され、海上封鎖が解除された後にのみ開始される。

最終合意は、濃縮物、制裁緩和、経済復興に焦点を当てる一方、イランのミサイル計画と抵抗勢力への支援は議題から除外されると報じられている。

確かにこれでは、イランの全面的勝利、と言えよう。
これからの交渉議題とはいえ、とりわけ、トランプ氏がこれまで強引に主張してきた、「核施設の破壊・濃縮ウランの米への引き渡し」要求は、「イランの核兵器不生産の新たな約束」という、従来からイラン側が一貫して明確にしてきた公約の追認に取って代わられているのである。

米ABCニュースが指摘している通り、「同じ約束は10年以上前にオバマ大統領の核合意の最初の段落にすでに登場していました。最初にオバマ氏の合意がありました。次にトランプ氏はそれを破棄しました。今、トランプ氏は同じ核心的な約束を基盤とした合意を祝っています。」

ところが、トランプ大統領は6/12、「イランがフェイクニュースにリークした条件は、書面で合意された条件とは全く関係ありません。彼らが言ったこと、合意があったという弱々しく情けない声明も含めて、真実とは何の関係もありません。非常に不名誉な相手です。彼らと取引するにあたって、誠意ある取引などありえません。」と自らのメディア TruthSocialで表明している。

過去2ヶ月間、トランプ大統領は合意が目前に迫っており、署名間近だと38回も宣言してきた。わずか3日間で、彼は想像の中で4回も「副大統領をパキスタンに派遣した」とまで述べている。

そして米国内においても、支持率が激減し、CNNは、「インフレ大好き」とうそぶいたトランプ氏は、「トランプは歴史上、インフレに対する支持率がマイナス50ポイントに達した唯一の大統領だ。彼の経済的失敗は前例がない!」と指摘されている。

こうした、トランプのタコス(「Trump Always Chickens Out」 – トランプはいつも尻込みして退く)またもやかと言われるほど、いつ逆転するかも含めて、危なっかしい事態の進展は、それほどに、トランプ氏は追い詰められてきたという、証左でもあろう。

(生駒 敬)

 

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【投稿】トランプ暴走:対イラン「彼らを瓦礫の山まで爆撃する」

<<「昨日は徹底的に攻撃したが、今日もまた徹底的に攻撃する」>>
6/10(水)、トランプ大統領は、「米国は本日、イランに厳しい打撃を与える」と発言、ホワイトハウスの大統領執務室で記者団に対し、「昨日は徹底的に攻撃したが、今日もまた徹底的に攻撃するつもりだ…テレビをつけないなら、その様子を見ておくといい」と語り、さらにイスラエルのテレビ局チャンネル13に対し、「イランに対するさらなる攻撃が間もなく予想される。昨夜見たものよりもさらに大規模なものになるだろう! さらに、イランの発電施設を攻撃するという現実的な選択肢も存在するだろう」などととまくしたてている。合意に至らなければ、明日の夜も「彼らを瓦礫の山まで爆撃する」と宣言したのであった。
 そして、イスラエルもイランへの攻撃を開始したと、イスラエルメディアが報じている。

トランプ氏は、「合意がなければ徹底的に爆撃する」と述べているが、「合意」の大前提である停戦を自らぶち壊し、大規模な爆撃に暴走をして、何をか言わんやである。まったくあきれ返った暴君そのものを露呈している。

イラン外務省のエスマイル・バガイ報道官は、米国が「矛盾したメッセージ、頻繁な立場と要求の変更、そして度重なる停戦違反」によって外交プロセスを「阻害している」と改めて非難、現時点では「外交を効果的に遂行するために必要な最低限の良好な条件」すら整っていないと指摘したのは当然だと言えよう。。

米中央軍司令部CENTCOMによると、「米軍は本日午後5時15分(東部時間)、最高司令官の指示に基づき、イラン国内の複数標的に対し追加の自衛攻撃を開始した。」と発表、米軍は、ホルムズ海峡付近のイランの防空システム、地上管制所、レーダー施設を戦闘機が攻撃する作戦を完了したと発表。さらに米軍の空爆は、イラン中部のイスファハンと北東部のゴルガン港にまで拡大、イラン南部のバンダルアッバス、シリク、ミナブ、ゲシュム島への攻撃も継続され、イラン南部のカルガン海軍基地も3~5回爆撃、米当局者によると、イラン南部への攻撃は数百カ所を標的とし、数時間にわたって続く見込みだという。
米軍の空爆は、世界最大の天然ガス田であるブーシェフル州アサルイェのサウスパルスガス複合施設を爆撃。

イラン南部への攻撃は数百カ所を標的とし、数時間にわたって続く見込みだという。

米軍の爆撃は、イランのシリクにある淡水貯蔵タンク2基までをも攻撃し、近隣の村々では、2万戸から3万戸が飲料水不足に陥っていると報じられている。これが事実だとすれば、米国はイランに対し、米軍基地が設置されている国々に対して全く同じことをする許可を与えたということになろう。

<<世界経済は深刻な事態に直面する>>
こうした事態の悪化に対して、イランのペゼシュキアン大統領は、「空爆や爆撃によって国家を降伏させることは不可能である。ガザは規模こそ小さいものの、3年経っても降伏を強いられてはいない。彼らはイランを降伏させることもできないだろうし、我々は決して降伏しない」と述べ、 「重要インフラは国民の生命線である。交通網から電力・水道産業に至るまで、それらを標的とする脅威は、力の誇示ではなく、国家の意志を前にした絶望の現われである。イランは、専門家の知識と能力、国民の団結と連帯を頼りに、いかなる圧力や脅威にも断固として立ち向かうものである」と、改めて「断固として立ち向かう」決意を再確認している。

今回の米軍の攻撃を受け、イランは再びホルムズ海峡を「あらゆる種類の船舶」に対して閉鎖すると宣言。「この瞬間から、地域の治安悪化のため、ホルムズ海峡は石油タンカーや商船を含むあらゆる種類の船舶の航行が禁止され、あらゆる航行が標的となる。」と声明。イランは、ホルムズ海峡で「閉じ込められている」米国の船舶に対する攻撃を開始したと発表、イラン海軍の高速攻撃艇がホルムズ海峡全域に機雷を投下し、海峡を封鎖しているとの報告が入っている。

さらにイランは、「正当防衛の固有の権利」を行使するとして、周辺諸国に対し、米国とイスラエルがイランへの攻撃拠点として自国領土を利用することを許さないよう警告。イラン国営放送IRIBは、イラン革命防衛隊がヨルダンのアル・アズラク空軍基地にあるF-35戦闘機格納庫や米軍司令部など、米国の標的4カ所にミサイルを発射したことを明らかにした。

イランは、米軍の攻撃への報復として、湾岸地域にある21以上の米軍基地を攻撃し、3200万ドル相当のMQ-9無人偵察機を撃墜したと発表している。
1) クウェートのアリ・アル・サレム
2) バーレーンの第5艦隊海軍司令部
3) バーレーンのイサ空軍基地
4) カタールのアル・ウデイド空軍基地(CENTCOMの前線司令部であり、F-16戦闘機、F-15戦闘機、大型輸送機が駐機)
5) アラブ首長国連邦のアル・ミンハド
6) アラブ首長国連邦のアル・ダフラ基地のTHAADレーダー
さらに、イスラエルメディア Ynetヘブライ語版の報道によると、ホルムズ海峡でイランのミサイルがアメリカ海軍の駆逐艦に命中したとの報告が多数寄せられている。

さらに、米軍による飲料水貯蔵タンクへの攻撃は、イラン国営放送IRIBによって確認され、イランは湾岸地域のすべてのエネルギーインフラを直ちにミサイル攻撃下に置くと警告している。湾岸地域が90%以上を依存している海水淡水化インフラが特に主要な標的となり、これらの湾岸諸国の海水淡水化プラントのいずれかが攻撃を受けた瞬間、それらの国は事実上、機能する国家としての存在を失うことになる事態が現実のものになろうとしているのである。海水淡水化プラントかエネルギーインフラが標的となれば、もはやホルムズ海峡再開に向けた合意の望みは全く無意味となるであろう。この基幹インフラが攻撃対象となれば、中東からの石油供給は 何年も途絶えることになる。原油相場の急騰では済まない、当然、世界経済は数ヶ月以内に完全に深刻な事態に直面するであろう。

今回の米軍による無謀な戦闘の拡大は、4月に停戦合意が成立して以来、最大の激化となり、その影響の深刻さは計り知れないものとなる可能性が大である。

(生駒 敬)

 

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【転載】ゴキブリ・人民党と連帯の政治

「帰ってきたゴキブリ(Cockroach is Back)」 – 数時間で15万人
ゴキブリ人民党(Cockroach Janata Party、CJP)は、2026年5月に、インド出身、シカゴ在住のアビジート・ディプケ氏(Abhijeet Dipke 30)によって結成された。5月15日にインド最高裁判所スリア・カント長官が、国内の失業者を「ゴキブリ」と表現し、「職に就かないゴキブリのような若者がいる」と発言。これに反発する形で5/16、SNSネットを通じて設立された。 名称はインド政権の与党であるインド人民党(Bharatiya Janata Party)をもじったものである。
ディプケ氏は、以前はインドの野党「アーム・アードミ党(AAP)」で働いていた政治コミュニケーション・ストラテジストで、「若者の、若者による、若者のための政治戦線」というスローガンを掲げる、このゴキブリ人民党の人気は急上昇。ゴキブリ人民党のインスタグラムアカウントのフォロワー数では、ゴキブリ人民党がたった1週間で約2200万人を結集、BJPが900万人、主要野党・国民会議派が1300万人と、突出している。
インド政府はSNSコンテンツを厳しく規制しており、プラットフォームに対してアカウントの凍結や「問題のある」コンテンツの削除を要請。同党のXアカウントも、法的要請に伴ってインド国内からアクセス不能となった。 これに対抗して、「帰ってきたゴキブリ(Cockroach is Back)」と題された新しいXアカウントは、わずか数時間で15万人近くのフォロワーを集め、複数の「支部」アカウントもある。ディプケ氏は、「抑圧しようとすればするほど、われわれは強くなって立ち上がる」と投稿している。インドの若者は「多くの人々が考えているよりも、はるかに成熟し、物事に精通し、政治意識が高い」、「彼らは自身が有する憲法上の権利を理解しており、平和的かつ民主的な手段を通じて反対意見を表明するだろう」と述べている。
インドの大手紙タイムズ・オブ・インディアは5/22、社説でゴキブリ人民党に言及。「ゴキブリは、どんな隙間にも恐れることなく入り込み、どれほど大きな努力を払おうと駆除するのはほぼ不可能だ」「あえて言えば、ゴキブリ人民党は既存政党にとって手ごわい競争相手になり得るだろう」と評している。
インド政府統計によると、2025年の15歳以上の失業率は3.1%であったが、15ー29歳に限ると9.9%に上り、都市部では13.6%と、農村部の8.3%を上回っている。南部の都市ベンガルール(旧名バンガロール)にあるアジム・プレムジ大学が最近発表した報告書によると、大学を卒業した25歳以下の若者の40%近くが失業していることが明らかになっている。
6/6にディプケ氏はインドに帰国し、インドの首都ニューデリーで同日、「ゴキブリ人民党」初の集会・デモを開催、全国から集まった数千人規模の若者らが声を上げている。

以下に転載するのは、インドの独立系ジャーナリズム・CounterCurrents の創設者・編集長であるBinu Mathew氏による、CounterCurrents 09/Jun/2026 「ゴキブリ・ジャナタ党と連帯の政治の模索」と題する論説(6/9付け)である。  Binu Mathew氏は、「こうした若者主導の取り組みに必要なのは、嘲笑や苛立ちではなく、連帯である。」と強調している。 (生駒 敬)

<<ゴキブリ・ジャナタ党と連帯の政治の模索>>

政治はしばしば奇妙な瞬間を生み出す。歴史は、綿密に練られた計画ではなく、皮肉や風刺、そして一般の人々の思いがけない創造性によって前進することがある。ソーシャルメディア上で最近出現した「ゴキブリ人民党」(CJP)は、まさにそうした瞬間の一つと言えるだろう。

事の発端は、ビハール州の選挙人名簿の特別集中改訂(SIR)に関する審理中に、インド最高裁判所長官が発した発言だった。行政手続きを何とか回避しようとする人々の粘り強さと執念について、長官は彼らを「ゴキブリのようだ」と表現した。この発言は物議を醸し、批判を浴びた。しかし、インドのZ世代の間では、予想外の反応が見られた。若者たちは、ただ憤慨するだけでなく、この侮辱そのものを逆手に取ったのだ。

ミーム、動画、ポスター、そして風刺的なスローガンが瞬く間にソーシャルメディアに溢れかえった。「ゴキブリ人民党」は、正式な政党としてではなく、デジタル現象として誕生したのである。生存と適応の象徴とされるゴキブリは、多くの若者が現代インドへの不満と、黙って消え去ることを拒否する意思を表明するシンボルとなった。

一見すると、こうした動きは些細なものに見えるかもしれない。ソーシャルメディアのトレンドは、しばしば一過性の娯楽として片付けられがちだ。しかし、歴史は、政治意識がユーモア、皮肉、そして嘲笑を通して生まれることが多いことを教えている。ゴキブリ人民党は、単なるミームとしてではなく、より深い歴史的プロセスの兆候として理解されるべきである。

<<歴史的背景>>

ゴキブリ人民党の台頭は、過去10年間のインド政治の広範な変革と切り離して考えることはできない。

インド人民党(BJP)と民族義勇団(RSS)は、前例のない政治的、イデオロギー的、そして制度的な権力を固めることに成功した。選挙での勝利は、中央集権化の進行を伴ってきた。一方、野党は弱体化し、分裂し、しばしば一貫性のある代替案を提示することができない状況にある。

この分裂は必ずしも偶然によるものではありません。離反、買収、そして政治的策略によって、多くの野党勢力が弱体化してきました。マハラシュトラ州では、シヴ・セーナーと国民会議党の分裂が見られました。同様のプロセスは他の地域でも繰り返し起こっています。西ベンガル州における最近の動向は、離反を促し、トリナムール会議を弱体化させようとする試みを示しています。権力と物質的報酬のために忠誠心を捨てる日和見主義的な政治家が、政治情勢を特徴づける存在となっています。

同時に、多数派政治は社会的分断を深めています。イスラム教徒、キリスト教徒、その他の少数派は、ますます疑念と敵意にさらされています。選挙人名簿の特別集中改訂のようなプロセスは、脆弱な立場にある人々の間で選挙権剥奪への不安を生み出しています。移民、難民、そして少数派は、繰り返し都合の良い政治的標的とされています。

経済格差は急激に拡大しています。インドの富裕層は前例のない速さで富を蓄積する一方で、何百万人もの人々が不安に苦しんでいます。オックスファムは、富がごく少数のエリート層に集中している現状を繰り返し指摘してきた。億万長者と一般市民との格差は拡大の一途を辿っている。

こうした矛盾を最も強く感じているのは若者たちだ。公式統計によると、15歳から29歳までの失業率は約9.9%で、都市部の若年失業率は13.6%に達している。しかし、独立した評価や月次調査では、特に高学歴の若者の間で、はるかに高いレベルの苦悩が指摘されている。ロイター通信は、2025年のある時期には都市部の若年失業率が19%近くに達したと報じた。

何百万人ものインドの若者にとって、教育はもはや雇用を保証するものではない。学位はますます不確実性と共存するようになっている。

試験をめぐる度重なる論争は、信頼をさらに損なってきた。NEET(全国共通入学試験)の試験問題漏洩スキャンダルや、競争試験における不正疑惑は、広範な怒りを引き起こした。2024年の試験問題漏洩事件は、組織的な漏洩ネットワークの存在を露呈させ、捜査と逮捕につながった。その後数年間にも同様の論争が再燃し、学生たちの不安を再び高めている。

無限の機会を約束されて育った世代は、不安定な雇用、社会移動の縮小、生活費の高騰にますます直面している。当然のことながら、制度や政治エリートに対する不信感は高まっている。

<<グローバルな文脈:多重危機の時代>>

ゴキブリ・ジャナタ党の台頭は、より大きなグローバルな文脈の中で理解されなければならない。

現代社会は、多くの学者が多重危機の時代と呼ぶ時代、すなわち複数の危機が相互に作用し、増幅し合う時代に生きている。

<<気候変動>>

気候変動はもはや未来の脅威ではない。気温上昇、壊滅的な洪水、長期にわたる干ばつ、異常気象はますます頻繁に発生している。科学者たちは、世界が危険な転換点に近づいていると警告している。インド自身も、熱波、モンスーンの変化、氷河の融解、海面上昇によって深刻な脆弱性に直面している。農業システムと水資源の安全保障は、ますます大きな圧力にさらされている。

<<資源危機>>

世界経済は、不可欠な資源に対する圧力の高まりに直面している。淡水不足は数十億人に影響を与えている。エネルギー、鉱物、レアアースをめぐる競争は地政学的対立を激化させている。土壌劣化と生物多様性の減少は食料システムを脅かしている。人類は生態系の再生速度を上回る速さで天然資源を消費している。

<<拡大する格差>>

経済的不平等は現代資本主義の決定的な特徴となっている。ごく少数の人々が莫大な富を独占する一方で、多くの人々は不安と負債に苦しんでいる。富の集中は政治的影響力につながり、民主主義的な説明責任と社会の結束を損なっている。

<<生態系と環境の崩壊>>

種の絶滅速度は加速している。森林は消失し、河川は汚染されている。プラスチック汚染は今や海洋、そして人体にも影響を及ぼしている。環境破壊は野生生物だけでなく、文明の基盤そのものを脅かしている。

しかし、政治エリートたちはこうした構造的な危機への対処をしばしば避けている。その代わりに、憎悪が都合の良い目くらましとなる。

​​移民が非難される。

少数派が非難される。

貧困層が非難される。

外部の敵が非難される。

政治は、気候変動、不平等、生態系の崩壊に立ち向かうのではなく、恐怖と憤りを煽ることにますます傾倒している。

こうした歴史的状況の中で、ゴキブリ人民党(CJP)は出現した。

<<なぜCJPが重要なのか>>

インドは危険な岐路に立たされている。

不平等の深刻化、失業、宗教的対立の激化、生態系へのストレスといった現状の傾向が続けば、将来、暴動、宗教的暴力、言語紛争、社会崩壊が繰り返される可能性がある。憎悪には独自の論理がある。一度解き放たれると、社会全体を食い尽くしてしまう。

しかし、歴史は決して予め定められているわけではない。

別の可能性も存在する。

若者たちが政治的に組織化し、直面する危機の構造的根源を理解すれば、憎悪の政治を見抜くことができるかもしれない。労働者、学生、農民、少数派、そして社会的に疎外された人々が共通の利益を共有していることに気づくかもしれない。こうした認識から、連帯の政治が生まれる可能性がある。

ゴキブリ人民党(CJP)の最大の意義は、まさにここにあるのかもしれない。

インドのZ世代は、しばしば政治的に無関心、あるいは過度に個人主義的だと評されてきた。CJPの出現は、表面下で不満と疑問が高まっていることを示唆している。たとえこの現象が、本来政治に無関心な世代の一部を政治化することにしか成功しなかったとしても、それ自体が重要な歴史的展開となるだろう。

本格的な運動は、最初から完成された形で現れることはない。

若者は経験が浅い。

彼らは間違いを犯す。

彼らは立場を変える。

彼らは学ぶ。

雇用、教育、環境、ジェンダー平等、労働者の権利、民主的自由をめぐる闘争を通して、新たなリーダーが生まれる可能性がある。政治的成熟は、参加と集団的な経験を通して育まれる。

歴史は一夜にして起こるものではない。

歴史はプロセスである。

インド独立運動自体も、数十年の歳月をかけて発展してきた。労働運動、反植民地闘争、公民権運動、フェミニズム運動はいずれも、明確さと力強さを獲得する前に、不確実な時期を経た。

ゴキブリ・ジャナタ党は、いずれ消滅するかもしれない。

あるいは、全く別のものへと進化するかもしれない。

誰にも予測はできない。

しかし、確かなことは、若者たちの尊厳、正義、そして連帯への切望は、決して完全に抑え込むことはできないということだ。

だからこそ、独立した政治意識への小さな一歩一つ一つが、励まされるべきなのだ。

こうした若者主導の取り組みに必要なのは、嘲笑や苛立ちではなく、連帯である。

失業、不平等、そして環境不安の中で育った世代が、憎しみを選ぶのか、それとも連帯を選ぶのか、インドの未来はまさにそのいずれかにかかっていると言えるだろう。

歴史はまだその答えを出していない。

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【投稿】ロシアとの経済関係を本格的に復活し、ロシア産原油の輸入再開を

【投稿】ロシアとの経済関係を本格的に復活し、ロシア産原油の輸入再開を

                            福井 杉本達也

1 不都合な真実に目を向けない高市政権―ナフサ「年度越えて供給可能」と

「3〜5月の世界の輸出量見通しは23%減った。中東最大のUAEは87%減、サウジは27%減だった。」「ナフサを巡っても、25年の輸入量が世界2位の日本は上位5カ国のなかで減少率が最も大きい。」−ナフサの世界輸出量が減少し、輸入量で世界2位の日本の減少率が最も大きい。行き渡らない主因を「供給量の不足」ではなく、「目詰まり」を挙げることに無理があります- 不都合な真実には目を向けない。悪いことは考えない、というのがいまの政権の特徴だとある経済官庁の幹部は指摘した」「-官邸からは、中間業者が売り惜しみしないように何とかしろとか、しらみつぶしに在庫を調べて放出させろとかその場しのぎの指示しかおりてこない」「-担当者は、中小零細業者を直接支援するような対策が必要だと思っているけど、首相官邸が、目先の物価高対策ばかり気にして、原油不足にどう対応するつもりなのか分からない。」

6月5日付けの日経のコラム「春秋」は「ナフサ足りるか足りないか。政権の公式声明と経済の現場で認識のずれが広がる。防水材料が足りずマンション工事が止まり…戦争中、大本営発表は威勢のいい話を繰り返した。最後は燃糾用に松の根を掘るよう子供まで動員した。今の『大丈夫』は本当に大丈夫?」と書く。

 

2 補助金頼みで正面突破を図る

6月5日、2026年度補正予算が可決、成立した。目玉が「生活の足」を守るというガソリン補助の延長である。ガソリン代の補助は2022年1月、ウクライナ危機に伴い原油価格が高騰したことで始まった。2025年ガソリンの暫定税率廃止で一旦終了したものの、2026年2月のイラン戦争による原油高騰で復活した。これまで累計で9兆円が投じられている。補助金により、日本のガソリン価格はG7では最低水準となる。フランスは380円程度、英国は340円程度だ。相対的に低い米国でも200円前後である。一般会計総額は3兆1135億円で、中東情勢党対応の予備費に2兆5000億円を充てるなどした。財源はすべて赤字国債である。

日経の記事によれば、実質賃金のプラスが続いているのは、政府による物価抑制策の効果が大きい。実質賃金の計算に使う4月の消費者物価指数は1・5%上昇した。ガソリン補助などがエネルギー価格を押し下げ、伸び率は4カ月連続で2%を下回っているからである(日経:2026.6.6)と分析している。逆にいえば、ガソリン補助金というアヘンが切れたとたん、政府は苦しい立場に追い込まれるということである。

3 『自分を肉屋だと勘違いして肉屋を応援する豚』

ひろゆきこと西村博之氏は自身のXで、中東情勢の緊迫化に伴うナフサ調達の不安定化を受け、政府や世論の動向を独自の視点で鋭く批判している。ひろゆき氏は「『国民が不安になるから『ナフサ不足』を政府は隠すべき』と言う人達は、豚が『豚肉になることを知らないほうが不安を感じずに豚肉になれる』と言ってる構造と同じ」と持論を展開。さらに「『自分を肉屋だと勘違いして肉屋を応援する豚』が増えたけど、おいらは豚肉になりたくないので正しい情報が欲しい派」と皮肉くった。(サンケイスポーツ:2026.6.2)豚でも「補助金が切れる」という屠場の前まで行けばさすがに反乱する。

4 日本はロシアとの経済関係を修復する動き

非常に小さな記事であるが、赤沢克正経済産業相は経産省の荒井勝喜通商政策局長と外務省の石川誠己欧州局審議官がロシアを訪問していると語った。「進出している日本企業の資産を守る観点から意思陳通を図る」と説明した。(日経:2026.5.27)。また、木原官房長官は、ロシアを訪問していた日本代表団が帰国した直後の記者会見で、引き続き「G7(主要7カ国)と協調しながら」対ロ制裁を継続する意向を明確にした。経済産業省や外務省は今後のロシアとの経済協力を全力で否定した。

しかし、これほど国民を愚弄する記者会見はない。どうして、局長や審議官が訪ロしても、経済協力を否定するのか。ロシアとの経済協力を復活しようとする動きである。

5 サハリン原油は数日で日本へ

この局長・審議官による、日本・ロシア政府間協議が終了してから数日後、今月2隻目となるサハリン産原油を積んだタンカーが日本へ向かっている。ホルムズ海峡での混乱や中東からの輸入減少を受け、東京が代替供給源を確保する中、VOYAGER号は今週日曜日に鹿児島県のENEOSの喜入基地に到着予定。周知のように、サハリン産原油の輸送は引き続きロシア経済制裁の対象外となっており、定期的な輸送となる可能である。大型の石油・天然ガス開発であるサハリン2は日本企業も参画してきた。日本から地理的に近く、輸送日数も数日程度と短い。。日本は原油の95%を中東に頼り、特にホルムズ海峡以西のペルシャ湾内からの調達が6割を占める。中東依存度が高い日本の調達リスクは顕在化している。日本政府はエネルギーの代替調達先を模索してきた。経済産業省幹部は「あちこちからかき集めないといけない局面だ」と訴える。(日経:2026.5.2)

6 ロシア原油を本格的に輸入せよ

日経の6月6日付けで、地政学アナリストのイムラン・ハリド氏は、インド太平洋地域では、単一の海上輸送の動脈に依存する貿易モデルが終わりを迎えつつある。マラッカ海峡やスエズ運河といった要衝が封鎖されても経済が機能不全に陥らないよう、供給網に十分な冗長性を持たせる必要がある。単一の海上輸送の動脈に依存し続ける国々は、自国の安全保障を不安定な地域に委ねることになる。真の安全保障とは代替ルートを持つことであると書いている。

石油国家備蓄はいずれなくなる。ガソリン補助金もいつまでも続くものではない。日本は、最も地理的に近いロシアとの経済関係を本格的に復活させなければならない。ロシア産原油の輸入を復活させなければ日本は終わる。厳しい現実から目をそらす高市内閣に日本の将来を任せていてはならない。

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【転載】「アメリカのタカ派でさえ、イランがアメリカを打ち負かしていることを認めている」

「戦争終結に向けた協議」の現状
米・トランプ政権の、イランに対する「戦争終結に向けた協議」の報道は、「合意の署名が間近である」と何度も何度も繰り返されてきたが、いずれも覆されてきた。その前後、自身はもちろん、親族、投機筋が内部情報でぼろ儲けの金融投機の手段として利用してきたことも暴露されてきている。
トランプ大統領は、5/24時点においても、イランとの和平合意が「ほぼ合意に達した」、「間もなく」発表すると述べながら、同時に、「良い」合意を結べるか、あるいは「徹底的に叩き潰す」かは「五分五分」だと述べている。
こうしたトランプ氏の右往左往は、とどまるところを知らず、5/25には「素晴らしい合意か、さもなくば合意なしかのどちらかだ。戦線に戻り、戦闘開始だ」と宣言。そして実際に、同日深夜、米イスラエル両軍機がホルムズ海峡でイランの船舶を標的としたとの報道が出ている。イラン革命防衛隊(IRGC)のチャンネルは、戦闘機がバンダルアッバス港で船舶2隻を攻撃し、4人が死亡した、と伝えている。

実際には、トランプ政権の対イラン戦争は、すでに敗北している、あるいは事実上終わったと言える可能性が大であろう。アメリカはすでに敗北している、何とかして逃げ出そうとしているのだとすれば、逃げるのが今や正しい選択だと言えよう。果たしてそれがトランプ氏にできるのであろうか?

以下に転載するのは、Popular Resistance Report (生駒 敬)

アメリカのタカ派でさえ、イランがアメリカを打ち負かしていることを認めている。そしてそれは世界を変えるだろう。

アメリカが戦争に負けつつあることは広く認識されており、今やネオコンのタカ派でさえそれを認めている。彼らは、イランの勝利はアメリカの覇権の衰退と多極化の台頭を反映していると嘆いている。

現在では、米国がイランとの戦争に敗北しつつあることは広く認識されている。この戦争は、ワシントン自身が始めたものだ。

イラク、リビア、シリアでの戦争を立案し、長年にわたりイランへの攻撃を主張してきた一部のネオコン強硬派でさえ、テヘランがこの戦争に勝利しつつあり、ワシントンの敗北が地政学的に甚大な影響を及ぼすことを、しぶしぶ認めている。

「現状回復はあり得ない。アメリカが最終的に勝利を収め、これまでの損害を覆したり克服したりすることは不可能だ」と、著名なネオコンであるロバート・ケーガンはアトランティック誌に寄稿した。「ホルムズ海峡を掌握したイランは、この地域における主要プレーヤー、そして世界における主要プレーヤーの1つとして台頭する。イランの同盟国である中国とロシアの役割は強化され、アメリカの役割は大幅に縮小するだろう」。

欧米メディアは、米国がイランとの戦争に負けつつあると報じている。

米国とイスラエルが2月28日にこの侵略戦争を開始してからわずか数週間後、英国の新聞「インディペンデント」はイランが明らかに勝者であり、トランプ大統領の必死の和平への試みは、彼が戦争から抜け出したいと考えていることを示している」と認めた。

その後まもなく、アメリカの大手メディアも同様の見解を示し始めた。

4月中旬、ウォール・ストリート・ジャーナル紙は「イラン戦争は失敗に終わっているようだ」と指摘する論説を掲載した。この記事を書いたのは、同紙の元編集長で保守派のジェラード・ベイカー氏であり、かつてはトランプ支持者だった。

 

一方、米国の情報機関は米国のメディア各社に情報を流し、戦争が非常に不利な状況にあることを明らかにしている。

ニューヨーク・タイムズ紙は5月、米国の情報筋の話として、イランは依然としてミサイル能力の大部分を保有していると報じた。

イランは、世界で最も重要な石油輸送の要衝であるホルムズ海峡にある33か所のミサイル基地のうち、30か所を依然として使用できる。戦前は、世界の原油取引量の約20%が毎日この海峡を通過していた。

トランプ大統領は、イランの石油輸出を阻止しようと、ホルムズ海峡の米海軍による海上封鎖を宣言した。

しかし、米国の情報当局者はワシントン・ポスト紙の記事で、イランは数ヶ月間、この米国の軍事封鎖に耐えることができると認めた。

 

 

 

 

さらに、米国の情報当局者は、 CNNNBCニュースニューヨーク・タイムズワシントン・ポストなど多数のメディアに対し、イランが西アジアにある米軍基地やその他の資産の大部分を破壊するか、少なくとも甚大な損害を与えることに成功したと語った。

同時に、フォーチュン誌は、米軍がミサイルの備蓄を急速に使い果たしていると報じた。

フォーチュン誌は、ハーバード大学ケネディ・スクールの講師リンダ・ビルメス氏の発言を引用し、米国によるイランへの戦争には1兆ドル以上の費用がかかる可能性が高いと推定した。

トランプ氏はこれらすべてを公に否定し、代わりに断固として勝利を主張している。

「彼らは軍事的に敗北している。彼ら自身は、おそらくそのことに気づいていないのだろう」とトランプ氏はイランについて述べた。

しかしながら、米情報機関関係者による多数のメディアへの度重なる情報漏洩は、全く異なる事実を物語っている。それは、この戦争が非常に劣勢に陥っていることを示している。

ネオコンのタカ派がイランが戦争に勝利していることを認める

実際、戦争の状況は非常に悪く、アメリカで最も著名な新保守主義のイデオロギー家の中には、イランが勝利しつつあることを公然と認める者もいる。

これは、大西洋主義の親戦的な機関紙である『アトランティック』に掲載された記事の結論だった。記事のタイトルは「イランにおけるチェックメイト」で、副題は「ワシントンはこの戦争に敗れた結果を覆したり、制御したりすることはできない」だった。

このエッセイの著者は、他ならぬロバート・ケーガンであり、おそらく最も影響力のある新保守主義の知識人である。

ケーガンは、アメリカによるイラク侵攻を当初から主張していた人物の一人であり、イランに対しても同様の戦争を起こすべきだと長年主張していた。

ケーガンは、新保守主義の教会とも言える存在だった影響力のあるシンクタンク、新アメリカ世紀プロジェクト(PNAC)を共同設立した。

PNACは極めて攻撃的な外交政策を推進した。そのネオコン支持者たちは、アメリカ合衆国が世界帝国を築いていることを誇りとしていた。彼らは、ワシントンの覇権に抵抗する独立政府を打倒するために、アメリカ軍はあらゆる場所で戦争を起こすべきだと信じていた。

PNACの創設メンバーには、ディック・チェイニー(副大統領)やポール・ウォルフォウィッツ(国防副長官、元世界銀行総裁)など、ジョージ・W・ブッシュ政権の複数の高官が含まれていた。

PNACの原則声明のもう一人の創設署名者は、ブッシュ政権で要職を務めた強硬派のジョン・ボルトンだった。彼はドナルド・トランプの最初の政権で国家安全保障担当補佐官として復帰し、(ベネズエラでのワシントンのクーデター未遂を監督した)。

2016年の選挙では、PNACのネオコン勢力の当初の同盟は分裂した。約半数がトランプを支持し、残りの半数はヒラリー・クリントンを支持した

ケーガンは、著名なネオコンの一人で、「トランプ反対」の共和党員となった人物の一人だった。

ケーガンは、同じく影響力のあるネオコンであるビクトリア・ヌーランドと結婚している。ヌーランドはジョージ・W・ブッシュ政権下で駐NATO米国大使を務め、その後、バラク・オバマ政権とジョー・バイデン政権下で国務省の要職を歴任した。

ヌーランド氏は2014年のウクライナでのクーデターに深く関与しており、このクーデターは10年以上続く代理戦争の引き金となった。

こうした背景を踏まえると、イランがアメリカを打ち負かしつつあると認めるケーガン氏の『アトランティック』誌の記事を読むのは、いかに信じがたいことかが分かるだろう。それはまるでローマ教皇が自らの間違いを認め、イスラム教に改宗すると宣言するようなものだ。

ケーガンは、アメリカ政界において最も強硬な戦争支持派の一人である。だからこそ、彼が書いた以下の文章は特に重要な意味を持つ(強調は筆者による)。

今回のイランとの対立における敗北は、(ベトナム戦争やアフガニスタン戦争における米国の敗北とは)全く異なる性質のものとなるだろう。それは修復することも、無視することもできない。 現状回復はあり得ず、米国が最終的に勝利を収めて、これまでの損害を帳消しにしたり克服したりすることもできない。ホルムズ海峡はかつてのように「開かれた」状態には戻らない。海峡を支配することで、イランはこの地域における主要プレーヤー、そして世界における主要プレーヤーの一人として台頭するイランの同盟国である中国とロシアの役割は強化され米国の役割は大幅に縮小する。戦争支持者が繰り返し主張してきたように、この紛争は米国の力量を示すどころか、むしろ、米国が信頼できず、始めたことを完遂できない国であることを露呈した。米国の失敗に友邦も敵国も対応を迫られる中で、世界中で連鎖反応が起こるだろう。

さらに、この結論に至った著名なネオコンはケーガン氏だけではない。

新アメリカ世紀プロジェクトのもう一人の共同創設者であるビル・クリストルも、しぶしぶながらも同様のことを認めている。

クリストルはネオコン系ウェブサイト「ザ・ブルワーク」の編集者であり、同サイトでトランプのイランに対する戦争の失敗によって米国が「屈辱を受けた」と嘆いている。

米国によるイランへの戦争は、アメリカ国民の間で極めて不人気である。

長年にわたりイランへの戦争を主張してきた、悪名高いネオコンのタカ派たちが、なぜ突然反対に転じたのか、その理由は一体何だろうか?

彼らは事態の深刻さを悟っているようだ。戦争は悲惨な結果に終わり、国内では極めて不人気となっている。

NPR、PBSニュース、マリスト世論調査が5月に発表した調査によると、アメリカ人の60%がトランプ大統領の対イラン戦争への対応に反対しており、支持しているのはわずか33%にとどまっている。
同様に、 5月に行われたYouGovの世論調査では、米国がイランとの戦争に勝利していると考えているアメリカ人はわずか13%で、39%は勝利しておらず、今後も勝利することはないと考えていることが分かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

著名なネオコンたちは、沈みゆく船から飛び降りている。彼らは、トランプと共和党が極めて不人気であり、この戦いが猛烈な反撃を受けていることを認識しているのだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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