Assert Webの更新情報(2020-07-05)

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7月4日  【投稿】地方分権の本旨を踏まえたふるさと納税最高裁判決
7月1日  【投稿】敗退に直面するトランプ、危機を激化--経済危機論(26)
6月30日 【投稿】新型コロナウイルス対策で失敗し続ける無責任体制国家:日本
6月17日 【投稿】都知事選を目前に控えて--統一戦線論(68)
6月13日 【投稿】危機の激化とトランプ固有の危険性--経済危機論(25)
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5月30日 【投稿】大企業の超過内部留保132兆円を、国民に還元せよ
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5月18日 【要請】原爆の図丸木美術館の緊急募金にご協力を
5月6日  【投稿】果てしなき消耗戦「出口戦略」なき緊急事態宣言の延長
5月2日  【投稿】危うし・米中対立激化に逃げ込む米政権--経済危機論(23)

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「History」・「大阪市立大学ビラコレ1968-1970」に、以下のページを追加   
1970年5月期 米の北爆再開抗議、カンボジア侵略糾弾、外相訪印阻止(6/18)

「MG-archive」「民主主義の旗(第1期)」「民主主義の旗(第2期)」に
「民主主義の旗」23・28・31・32・35・36・37・54・55・56号を追加しました。(5/28)

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【投稿】地方分権の本旨を踏まえたふるさと納税最高裁判決

【投稿】地方分権の本旨を踏まえたふるさと納税最高裁判決
                             福井  杉本達也

1 ふるさと納税で一方的な規制を押しつけた総務省の「全面敗訴」
6月30日、泉佐野市をふるさと納税の対象自治体から除外したことは違法であるとする最高裁判決が出された。2019年3月に地方税法を改正し、ふるさと納税への返礼品の割合を3割以下とするなどの規制基準を定めて対象自治体を指定する新制度を納入したが、過去の泉佐野市らの返礼品の取り扱い状況が不適切だとして、泉佐野市ら4市町をふるさと納税制度から除外した。判決では地方税法に「(新制度)移行前の募集実態も判断材料とする規定はない」として、総務省のルールを 「違法で無効」と判断した。総務省幹部は「国がここまで負ける訴訟は聞いたことがない」と落胆した。総務省の「全面敗訴」である。国の官僚の指示に従わない自治体は制度から外すというのでは地方分権もなにもあったのではない。確かに、泉佐野市の寄付金集めのやり方は派手ではあるが、 あくまでも法律の範囲である。地方分権は制度の具体的運営を自治体に委ねるべきものであり、あれこれと国が上から目線で指示を出すべきものではない。千代松泉佐野市長は判決後「紙切れ一枚で地方自治体の頭を押さえつけてきたやり方は納得いかない」とインタビューで答えた。実にすっきりとした判決である。

2 そもそも「ふるさと納税」とは
納税者が国や自治体・NPOなどに寄付した場合、所得税や住民税が軽減されるが、ふるさと納税ではさらに優遇され、住民税が軽減される。子供のいない夫婦で年収700万円の給与所得者の計算例では、3万円を自治体に寄付した場合、一般の寄付では所得税・住民税の軽減額は8,400円であるが、これに加えて19,600円が住民税からさらに軽減される。計28,000円が控除されるため、実質の負担額は2,000円となる。ところが、喉から手が出るほど一般財源が欲しい自治体としては、寄付金は多ければ多いほどよい。そこで2,000円を上回る金額の特産品を提供し寄付金を募ることとなる。例えば1万円相当の和牛肉や果物を寄付者に送れば、寄付者は10,000円―2,000円で8,000円の得となり、寄付された自治体には30,000円ー10,000円=20,000円の財源が集まることとなり、両者Win-Winとなる。ところが、国と寄付者の住所地の自治体は税収が減ることとなる。個々の自治体にとっては、高額の返礼品を提供してでも寄付金を募ることは合理的な行為である。しかし、他の自治体も同じような高額の返礼品を提供し、自治体間で過度の寄付金争奪競争が起きると全国の自治体の総体としては確実に税収が減少することとなる。本来の制度の理念は、自らがまれ育った故郷、世話になった地域を応援するための寄付だった。ところが納税先はどこでも 良く、高価な返礼品も得られるとなって本質を見失った。自治体は豪華な返礼品競争で寄付金集め、寄付者も返礼品目当てでの寄付が常態化した。 続きを読む

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【投稿】敗退に直面するトランプ、危機を激化--経済危機論(26)

<<トランプ大統領弾劾条項の更新>>
6/29付け米紙ワシントンポストは、オピニオン編集エディターのフレッド・ハイアット(Fred Hiatt)氏が「トランプ弾劾条項の更新」と題して、今年の1月、下院が送付した弾劾判決を上院が否決し、無罪としたが、それ以降、今日に至るまでの新たな弾劾条項の更新がなされるとすれば、として、以下の4項目の追加弾劾条項を上げている。
1.新型コロナウィルスへの対応の過失 : トランプは、利己的で政治的な目的のために、また株式市場が沈滞することを怖れて、故意に危険を認めることを拒否して、多くの人々を死に至らしめた。
2.法執行機関の権限の乱用 : トランプは、ビル・バール司法長官に、大統領と彼の仲間の一部を捜査していたD.C.とニューヨーク南部の米国弁護士を解雇させ、さらには、連邦法執行官に、平和な抗議者の修正第1条の権利を侵害させた。
3.任命権の乱用 : 2月以来、トランプは昨年の秋に下院捜査官に真実を語った誰彼をとわず大量の報復に乗り出し、内部告発者の苦情を議会に転送した諜報機関の検査官であるマイケルK.アトキンソンを解雇し、国防長官ジョン・ルード、国家情報局長代理ジョセフ・マグワイアおよび欧州連合ゴードン・ソンドランド大使を追放、コロナウイルスに対する政府の不十分な対応について報告した、または他の場所での説明責任を確保する立場にあった検査官を解任または置き換えた。
4.外交における権力の乱用 : トランプは、自らの大統領再選を支援するために、中国の習近平国家主席に、イスラム教徒強制収容所に承認を与え、米国の農産物を購入するように頼んでいた。
以上の4項目(要旨)により、トランプ大統領は明らかな弾劾罪を犯していると主張している。

<<同時に直面する5つの危機>>
この論説に先立ち、6/25付けニューヨークタイムズ紙は、「アメリカは同時に5つの巨大な危機に直面している」と題するオピニオンを掲載している。筆者はコラムニストのデヴィッド・ブルックス(David Brooks)氏である。氏は、「現在、アメリカでは5つの大きな変化が起こっている」、として要旨、以下のように述べている。
1. 新型コロナウィルスとの戦いに負けている : アメリカ人は世界中を見渡して、他の国がこのウィルスを打ち負かしていて、そして私たちが失敗している現実を見ている。
2.すべてのアメリカ人、特に白人のアメリカ人は、アフリカ系アメリカ人が毎日負担している負担について急速な教育を受けている : この教育は継続しているが、すでに世論は驚くべきスピードで変化しつつある。
3.アメリカは、政治的再編の真っ只中にある : アメリカの国民はドナルド・トランプの共和党を激しく拒否しつつある。
4.準宗教的な社会的正義が、真実の探求ではなく、権力構造における地位を維持するために支配的なグループが使用する武器となり、言葉が規制されるべき暴力の一形態となり得ることを示している。
5.アメリカは経済不況の危機に瀕しているが、それは長引く可能性がある : 州および家計の予算は落ち込み、企業の多くは危機に瀕し、健康不安への緊急事態が続くと、経済活動を完全に再開できなくなる可能性がある。
ブルックス氏は、「これらの5つの巨大な変化の相互作用が、いくつかのきちんとしたイデオロギーの物語に収まると思うなら、あなたはおそらく間違っている。人種格差に対処し、軍事化した警察を改革し、文化戦争を一段上のものにすることで、現在のコロナ危機と長引く経済不況に対処できると思うなら、あなたは間違っている」と述べ、連合を作り上げ、立法化する「ニューディールの実用的な精神」こそが、今後数年間のより適切なガイドであろうと、主張している。
とりわけ、1で指摘されている現実は深刻である。6/29、ニュース専門放送局のCNBCは、米国疾病予防管理センター(CDC)の主席副局長であるアン・シュチャット博士が「コロナウイルスは急速に広まりすぎており、制御するには広すぎ、米国が他の国々のようにこのパンデミックを制御することができる事態ではありません」、「このところ、1日あたり30,000を超える新しい感染が報告されており、ピークに達していると考えた4月の毎日の感染を上回る事態であり、ウイルスが循環しています」と、半ばさじを投げ、「人々が社会的距離をとり、マスクを着用し、手を洗うことによって感染の拡大を抑えるのを助けることができますが、ワクチンができるまでウイルスを止めるためにどんな種類の救済にも頼るべきではありません」と付け加えた、と報じている。事態の深刻さは、トランプ氏らの根拠のない楽観主義を厳しく弾劾しているとも言えよう。 続きを読む

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【投稿】新型コロナウイルス対策で失敗し続ける無責任体制国家:日本

【投稿】新型コロナウイルス対策で失敗し続ける無責任体制国家:日本
                             福井 杉本達也

1 「日本モデル」とは前例にしがみつき、失敗に目を塞ぎ、過去の経験に全く学ばないこと
安倍首相は日本の新型コロナウイルス対策を、「日本モデルの成功」と自画自賛したが、「日本モデル」が具体的に何を意味するのか全く意味不明である。6月24日の日経のコラム『春秋』も江戸時代の著名随筆家:松浦静山の言葉「勝ちに不思議の勝ちあり、負けに不思議のの負けなし」を引用して、日本における新型コロナウイルスの第1波の感染者数の“少なさ”を評している。また、小林よしのり氏は『エコノミスト』(2020.6.16)において、「新コロは『日本では』そんなに恐れるほどのウイルスではない。…マスコミが『日本では』インフルよりも大したことのないウイルスを 『恐怖の大魔王』のように仕立て上げたのだ。…原因については諸説あるが、清潔感と自然免疫の強靭さが一番の理由だろう」と書いている。そもそも、対策の陣頭指揮を執るべき厚労省すらが「『日本の感染者や死亡者は欧米より桁違いに少ない』技官はコロナ危機での善戦ぶりを強調する」(日経:2020.6.9)というのではあきれるばかりである。
小林よしのり氏は新型コロナウイルスをインフルエンザや風邪と同一視しているが、新型コロナウイルスには、これまでの医学の知識では説明できない不思議な特徴がある。感染しても大部分の人は無症状から軽い上気道炎症状だけで終わるが、一部の人のみが重症化する。感染者の8割は、軽微な上気道炎症状のみで(無症状の人もいる)、通常は抗体が産生されウィルスが駆逐される時期、7日目くらいに終結する。ところが一部の患者において、7~10日目くらいに突然に肺炎が発症する。その一部は急速に進行し、重い呼吸不全を起こしてしばしば死に至る。その他、腎障害、凝固異常なども起こり、死因は肺炎による呼吸不全を中心とした多臓器不全である(徳田均『日経メディカル』:2020.5.14)。また飛沫や飲食物などで口から取り入れ、腸を通じて感染する。したがって冬季ばりか夏場にも感染しやすく、重症化すると回復に時間がかかり病床が埋まった状態が続き、また回復しても肺機能がダメージを受けるなど、やっかいな感染症である。
本庶佑京大名誉教授は「日本は政府はたいしたことはやっていないが幸運なことに感染爆発は起こらなかった。これは世界の共通認識」と「日本モデル」論をズバリと切り捨て、「8割接触削減にしても妥当かどうかすらわからない。検証しようがない。なぜならデータが情報公開されないから」だとし、ワクチンへの淡い期待についても、「フェイズⅢ(多数例での無作為対照試験)で安全性を担保できず失敗した新薬は山ほどある。国が主導するのは無謀」と述べている(2020.6.29:「報道1930」)。
2009年の新型インフルエンザ流行時にも、厚労省は疫学調査を優先したが、いつのまにか国内で感染が広がり、関西の病院では人々が殺到した。厚労省が2010年にまとめた報告書において「死亡率が低い水準にとどまったことに満足することなく、今後の対策に役立てていくことが重要だ」と反省点を記したが、今回も全く顧みられることはなかった。「失敗を認めれば自らに責任が及びかねないという組織としての強烈な防衛本能」が働いている。「前例や既存のルールにしがみつき、目の前の現実に対処しない…20世紀型の官僚機構を引きずったままでは日本は世界から置き去りにされる」と日経は書く(同:2020.6.9)。厚労省医官や感染症“専門家”は、失敗の原因を追究しない、失敗に目を塞ぎ、経験に学ぶことは永遠にない。

2 なぜ専門家会議は廃止させられたのか
6月24日、西村経済再生担当相は(そもそも、「感染症対策を保健(厚労)大臣が指揮しない国など何処にもない。『日本の厚労相は無能な者がなるのか』 と、世界から元厚労相の私まで馬鹿扱いされる。マスコミも大本営発表を垂れ流すのみで、調査能力もなく、政府を批判することもない」(舛添要一:2020.6.30))、コロナ対策をリードしてきた専門家会議を廃止すると突然表明した。同時刻に開かれていた専門家会議の記者会見で、尾身副座長は廃止は知らされていなかったと答えた。表向きは、コロナ特措法と整合性のある分科会に衣替えということになっているが、本音は、専門家会議に頼ったコロナ対策は大失敗だったとの判断である。当初は、PCR検査結果を独占したい感染研と、この間の医療体制を再編・合理化により感染症への対応が脆弱となっている医療体制に負荷をかけられない政府が、PCR検査を極端に絞るということでの同床異夢から出発し、その後も給付を絞りたい政府と、権限を拡大したい感染研らの専門家との間で続き、「自粛」要請にあたっても、西浦北大教授の「人と人の接触を8割減らさないと、日本で42万人が 新型コロナウイルスで死亡する」との見解をフル活用し、「ウイルスの恐怖」をまき散らし国民を恫喝しまくった。しかし、 6月28日夜のBS朝日『日曜スクープ』において岡田晴恵白鴎大教授は、専門家会議の押谷東北大教授が、専門家が「いよいよ政府の決定の主導権を持つようになった」との趣旨の発言を岡田教授にしていた事実を紹介し、これが政府に嫌われたこと暴露した。24日の専門家会議の記者会見での提言の中で「あたかも専門家会識が政策を決定しているような印象を与えた」とこれまでの対応を省みた。同床異夢が続いた政府と専門家会議の関係は、緊急事態宣言の解除後から亀裂が拡大する。西村担当相は専門家会議のメンバーに竹森俊平慶大教授ら経済の専門家を入れる予定でいたが拒まれた。25日、西村担当相は、経団連の中西宏明会長と東京都内で会談し、新型コロナウイルスの影響から冷え込んだ経済活動の再開をめぐって意見交換した。中西氏は段階的な出入国制限の緩和など「国を開く」政策を要請した(時事:2020.6.25)。経済活動を再開するとなれば専門家会議は邪魔となる。政府は専門家会議をあっさりと切り捨てた。「われわれは、この先、誰かにとって都合の悪いすべてのものを隠蔽し、曖昧にし、忘却し、廃棄し、改ざんしながら、寄ってたかって歴史を推敲して行くことになるはずだ。」(小田嶋隆「荒れるアメリカがうらやましい理由」2020,6.5『日経ビジネス』)。のど元過ぎれば全てを忘れる。変わり身の速さ。何事もなかったかのように、“日常”?が戻りつつある。

3 政府は経済再開に前のめり――第2波・3波に向け地方自治体はどう対応すべきか―
迷走を重ねたた無能の安倍内閣に代わり、各自治体のコロナ対策への期待が相対的に高まっている。特に注目を引くのは和歌山県であり、愛知県である。愛知県では、2月末からスポーツジムや高齢者施設を中心に大きなクラスターが見つかった。また、大型クルーズ船の陽性患者を藤田医科大学に受け入れている。感染者の受け入れ病院を探すのに苦労している。しかし、東京や大阪のように感染者数が急増することはなく、第1波を切り抜けた。「論座」(2020.6.21)において、大村愛知県知事と保坂世田谷区長が対談しているが、対談の中で今後、予想される新型コロナウイルスの第2波、第3波への対策を ①PCR検査強化によって患者を早期発見すること ② 医療機関の収容可能人数などを調整し、可能な限り早く適切な医療につなげること ③医療機関内で院内感染を起こさないための対策を徹底すること ④ 軽症患者に対してはホテルなどを用意し、感染拡大と医療崩壊の両面を防ぐこと ⑤情報公開を徹底し、現状を住民に伝えること ⑥コロナ禍で経営難に直面する医療機関を金銭的に支えることをあげている。
一方、東京都の小池知事は、恣意的な「東京アラート」と自警団で都民を威圧し、自己責任論を押し付けて都民を見放している。「夜の町の集団検査の次は、会食による感染だという。濃厚接触者と会食時の感染とは何が違うのか?自粛に対する補償はしたくないが、夜の町や会食は危険なのでやめて欲しいという言葉のすり替えだ。不思議の国のアリスが、欺瞞の国ジャパンになった。正義と正直さ、誠実さはどこに行った?」(中村祐輔:2020.6.16)と。「東京都、感染者24日56名、25日48名、26日54名。小池知事『東京アラート』基準発表した時には新規陽性患者20名未満で緩和目安、50名で再要請目安。今再要請の段階なのに対応無し。『対応無し』を肯定する表現として『ウイルスと共生』=公的対応なし。」(孫崎亨:6.27)。こうした中、6月30日、東京都は新たなモニタリング項目を取りまとめた。新たな項目には、警戒を呼びかける基準となる数値は設けられていない。厚労省の目安では人口10万人あたりの新たな患者数が1週間の平均で2.5人を超えた日を「基準日」とし、自粛要請を行うとしている。東京都の新たな感染者数は、6月29日までの1週間では2.61と、「基準」を超えている。都合の悪い数字が続くから、見直すというのはインチキである。6月29日、埼玉県の大野知事は、この2週間の感染者のうち、半数以上が東京都内で感染した疑いがあるとして、都内での大人数での会食や繁華街に出かけることをできるだけ避けるよう呼びかけた。このままでは東京都から日本列島全体がクルーズ船化する恐れが強い。こうした国民の不安を解消するため、児玉龍彦東大先端研教授は、感染症対策の基本は感染者がどこに集まっているかを把握し、感染集積地と非集積地を分ける。さらに、非感染者の中で感染したら危険な人を選り分けることだとし、検査、診断、陽性者の追跡を精密に行う。包括的かつ網羅的な検査体制をつくり、感染実態を正確に把握することから始める。まず、抗体検査で感染集積地を網羅的に把握し、集積地でPCR検査を徹底する。学校や会社、病院、高齢者施設などで抗体検査を実施してある程度あたりをつけ、症状のある人や抗体陽性者が多いエリアをPCR検査にかける。これを春に予定されていた定期健診に今後組み込んで行っていくという「安全安心のシステム」の構築を提唱している(「デモクラシータイムス」2020.6.24)。

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【投稿】都知事選を目前に控えて--統一戦線論(68)

<<野党共闘の混沌>>
7/5・投開票の東京都知事選は、6/18の告示を直前にしてようやく、選挙の構図・輪郭が見え始めるという、争点、対決軸、勢力配置がきわめて不明瞭、とりわけ野党共闘の一致した対決姿勢が見えてこないという事態の進展である。
6/15になって、れいわ新選組の山本太郎代表が立候補を表明した。山本氏は「東京オリンピック・パラリンピックの中止」や新型コロナウイルスで困窮する都民に向けた総額15兆円の経済政策の実現を掲げ、都知事就任後に「都に必要な8つの緊急政策」を実施すると宣言している。その1つ目には以前から自身が開催反対を訴えてきた東京オリンピック・パラリンピックの「中止」である。2つ目には総額15兆円の「コロナ損失」対策を掲げ、具体的には「全都民への10万円給付」「(高校・大学など)授業料の1年間免除」「中小企業・個人事業主の事業収入のマイナス分保障」などを実施するとした。また、今後のウイルス再拡大にともなう「コロナ自粛」に備え、都民に対してさらに10万円、全事業者に対して迅速に100万円を給付するとしている。さらに、就職氷河期世代(ロストジェネレーション)とコロナ失業者計3000人を都の職員として採用する雇用対策や、空き家や都営住宅の空き部屋を活用しやすい家賃で住めるようにする住宅政策を掲げた。
山本氏の立候補表明によって、他に日本維新の会推薦の小野泰輔・元熊本県副知事らが立候補を表明しているが、野党として現職・小池百合子知事に対決するのは、先に5/25にツイッターで、5/27に記者会見で出馬を表明し、すでに走り出していた宇都宮健児氏と山本太郎氏、この二人の候補者が相争う構図となった。嘆かわしい限りである。野党共闘の混沌である。
こうした事態の中で、宇都宮氏の支援を決定していた立憲民主党所属の須藤元気参院議員が、山本氏出馬表明の数時間後に「立憲としては宇都宮さん支持ですが個人的に山本さんを応援しています!」と山本氏支援の方針をツイートしていたことが明らかになった。6/16、福山哲郎幹事長は須藤氏と話し合いを持ったことを明らかにした上で「今後のことについては、また話し合う機会があるかもしれない」とも説明している。須藤氏は6/16、「都知事選で支持する候補者の違いを党と僕との間で再確認しました。今後どうするかもう一度考えてみます」とツイートしている。
立憲民主党ではさらに、小川淳也衆院議員が「何とか野党候補を一本化できないか」として、「山本太郎さんの気概に心から敬意を表しつつ、しかし早急に宇都宮さんと話し合い、何とか野党候補を一本化できないか。もちろんより勝てる候補に。いつも野党陣営は分断し相手を楽にさせてしまう」とツイートしている。
こうした事態がどこまで進むかは不明であるが、野党候補の一本化は、公示直前という差し迫った事態の中では、到底不可能であろう。
何よりも、宇都宮氏はすでに5/27の記者会見で「私が立候補(表明)するまでに政党との関係はないし、今まで政党に支援要請はしていない」「今回は、どういう候補が出てきても降りるつもりはない」「それ(山本氏が出馬しても立候補を断念しないこと)は、もう当然。(宇都宮氏以外の候補者で)野党共闘ができても、降りないわけだから」と、断言してしまっている。始めから共闘や一本化の意図などまったく持ち合わせてはいないのである。 続きを読む

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【投稿】危機の激化とトランプ固有の危険性--経済危機論(25)

<<「米国は戦場ではない」>>
現在進行中の深刻な経済危機とパンデミック危機が結合したこと、その中で差別と格差拡大の象徴ともいえる米黒人男性ジョージ・フロイド氏殺害事件が発生。これに対する抗議運動「Black Lives Matter」=「黒人の命は大切だ」が、その規模と多様性においてかつて見ないほどの拡がりと深まりを持って全米を席巻し、多民族のデモとして広がり、世界にも波及している。とりわけ米国においては、トランプ政権固有の不安定性と結びついて、パンデミック危機と経済危機が全社会的・政治的危機へと拡大・発展しつつあると言えよう。
問題は、トランプ大統領を頂点とする米政権が、もはやこうした事態に正常に対処する能力を持っていない、建設的な反応を示すことができないことが歴然としてきており、11月の大統領選を待たずに、政治的危機が、それと相呼

応する経済的危機が爆発しかねない段階にさしかかっている兆候がいくつも現れだしていることである。抗議運動は、すでに「トランプはファシストだ!」「辞職せよ!」と、トランプ弾劾に動き出している。
失業と貧困、生活の悪化が拡大する中で、危機の中でこそ、共感と連帯、責任と協力、参加と民主主義が求められているにもかかわらず、トランプ大統領はこれらを片っ端からぶち壊しているのである。「法と秩序」を前面に掲げながら、警察の暴力を公然と礼賛し、ウソを平然と垂れ流し、衝動的で予測不可能な行動に何の責任も負わず、自ら意図的に政治的危機の拡大に乗り出しているとも言えよう。トランプ氏によって解任されたジェームズ・マティス前国防長官は「トランプ氏は私の人生の中でアメリカ人を団結させようとしない最初の大統領です。しようとするふりさえしません。代わりに彼は私たちを分断させようとしています」と厳しく糾弾する事態である(6/3、アトランティック誌への声明)。
その典型が、軍隊をこうした運動弾圧の前面に押し出そうとして、すでに失敗しているにもかかわらず、執拗にその機会を伺っていることである。
首都ワシントンでのデモに対して軍部隊を配置したが、エスパー国防長官が反対の意思を明らかにし、ミリー統合参謀本部議長は「米国は戦場ではない」「連邦軍は戦場にしか投入できないと決まっており、市民に対して連邦軍を動員することなど許されない」と発言し、さらに催涙ガスでデモ隊を排除してホワイトハウス前の教会で意図的なパフォーマンス撮影をするために「トランプ大統領に同行して、あの時、あの状況下で私がいたことは、米軍が国内政治に関与しているとの認識を作り出してしまった。私はそこにいるべきではなかった。誤りであった。」と断言(6/11)するに至り、政権内部の深刻な危機的状況までさらけ出されている。動員された州兵が、抗議運動の人々の要請に従って集団で、盾を降ろす事態まで発生している。(下、テネシー州の州兵が抗議者の要請で盾を降ろす

しかしトランプ氏はあきらめてはいない。最後の州兵部隊がワシントンDCから撤退せざるを得なくなったわずか数時間後、トランプ大統領は、アメリカの主要都市、今度はシアトルに対して、軍事的暴力の新たな脅迫を行っている。6/10夜のツイッターでの声明で、トランプ氏は、ワシントン州知事のジェイ・インスリー氏とシアトル市長のジェニー・ダーカン氏(ともに民主党)に対し、”国内のテロリストがシアトルを占拠した “、”あなたがやらないなら、私がやる “、”これはゲームではない”とツイートし、”LAW & ORDER!”「法と秩序」と付け加えている。デモ隊がシアトル市内のいくつかを「キャピトルヒル自治区」と宣言し、占拠したことに対して、ここぞとばかりに軍事介入の機会を狙い、挑発しているのである。抗議運動が圧倒的に非暴力的であるにもかかわらず、暴力的・軍事的弾圧の機会を虎視眈々と狙っており、機会を逃すまいとしているのである。
さらに機会を待つだけではなく、作り出そうともしている。6/19に予定されているトランプ陣営のコロナ危機後の最初の選挙キャンペーン集会が発表されているが、この日付と場所の選択が、軍の使用を「正当化する」意図的な策謀とみなされているのである。今やトランプ再選がおぼつかなくなってきた政権の永続化を狙った一種のクーデター、軍事政権への歩みでもある。対中国、対中東でも何をしでかすかわからない危険性を全身から発散させているのがトランプ政権である。
共和党議員に動揺が広がってはいるが、多数はトランプ氏に従っており、予断を許さない事態が進行していると言えよう。

<<「恐怖指数」、48%上昇>>
トランプ氏が頼みの綱とする経済危機脱出も今や風前の灯火である。実体経済の悪化とかけ離れていた株価の上昇もついに化けの皮がはがれだしている。
6/11のニューヨーク株式市場は、1861ドル安の痛烈な急落に見舞われたのである。優良株で構成するダウ工業株30種平均は前日終値比1861.82ドル安の2万5128.17ドルで終了。下落幅は今年3/9の2013ドルに次ぐ過去4番目の大きさで、一時1900ドル超安となった。S&P500種株価指数は約6%下落し、時価総額がたった一日で2兆ドル(約213兆円)も吹き飛んでいる。
この日、すべての主要なウォール街の銀行が水没した、とまで表現されている。シティグループは13.37%、バンクオブアメリカ10.04%、最大手JPモルガン・チェースも8.34%の損失を出す事態であった。
ここで全く皮肉なことは、この銀行が水没した同じ日、6/11の午後、FRB・連邦準備制度理事会のジェローム・パウエル議長が記者会見で、米国の銀行制度について述べ、米国の銀行は「非常によく資本化され、非常に強力で、リスクをよりよく認識し、リスクの管理に優れ、より流動性の高い銀行システムを持っています。それは現在の状況における強さの源」であると保証し、請け合ったその日に、マネーゲームに明け暮れる金融資本の弱さを露呈させてしまったことである。共犯者はFRB自身であり、彼らに超低金利のマネーゲーム資本を提供してきたのである。何が「リスクをよりよく認識し」、「リスクの管理に優れ」、「強さの源」であるのか、こうしたウソもトランプ氏と全く同罪と言えよう。実はFRB自身がこうした金融資本の脆弱さを周知しており、だからこそ昨年2019年9月17日、数千億ドルの資金を調達、提供し、共犯関係を維持してきたのである。
以前にも紹介した、投資家の不安感を示す「恐怖指数」として知られる米シカゴ・オプション取引所のVIX指数は、6/11の終値は40.79となり、前日比47.95%の急上昇であった。
あるべき、「恐怖」を克服する、提起されるべきニューディールの政策は、トランプ政権の退陣を迫ると同時に、こうした中央銀行と金融資本の腐れ切った関係を断ち切ることこそが求められていると言えよう。そうでなければ99%の圧倒的多数の人々の切実な願いは実現されないのである。経済危機とパンデミック危機の結合は、そのことを一層切実なものとしている、と言えよう。
(生駒 敬)

 

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【投稿】根拠なき「緊急事態宣言」の解除と今後の新型コロナウイルス対策

【投稿】根拠なき「緊急事態宣言」の解除と今後の新型コロナウイルス対策
                             福井 杉本達也

1 根拠もなく「緊急事態宣言」の解除
政府は5月25日夜、新型 コロナウイルス特別措置法に基づく緊急事態宣言を全面解除した。継続中だった北海道と東京など首都圏4都県も対象から外した。解除理由は①直近1週間の新規患者数が人口10万人あたり0.5人以下、②医療提供体制、③検査体制をあげたが、何の根拠もない。そもそも、PCR検査をしぼり、感染者数を少なく見せてきたのであるから根拠ある数字など出しようがない。政府専門家会議の尾身副座長自身が、「5月11日の参院予算委員会において『症状が軽い、ない人が多くいる。(実際は)10倍か15倍か20倍というのは誰にも分からない。』と述べ、10日現在で約1万6 千人との報告数を大きく上回る可能性があるとの見方を示した」(福井:2020.5.12)と居直り、あまりにも「素直」・かつ「無責任」な証言をしている。哲学者の内山節は「正体不明のウイルスの気持ち悪さ」とともに、「もうひとつ、コロナウイルスの蔓延とともに展開している現代社会の気持ち悪さがある」として、「政府の発表が真実に基づいているとはいえない…私たちは、真実を伝えられないままに、政府の指示に従うという実に気持ちの悪い世界でくらしている」と述べている(『新型コロナ19氏の意見』(農文協ブックレット:2020.5.10)が、全く「気持ちの悪い」解除である。

2 PCR検査をしないことを「日本型モデル」と自画自賛した能天気の首相
安倍首相は緊急事態宣言解除の会見において「我が国では、緊急事態を宣言しても、罰則を伴う強制的な外出規制などを実施することはできません。それでも、そうした日本ならではのやり方で、わずか1か月半で、今回の流行をほぼ収束させることができました。正に、日本モデルの力を示したと思います。」「日本の感染症への対応は、世界において卓越した模範である。」と自画自賛した。
今回の新型コロナウイルス対応の失敗は①新型コロナウイルスを第二種感染症にいきなり指定したことにある。第二種感染症に指定したことで、感染者は軽症者を含め指定病院に隔離しなければならない。ところが軽症者・無症状者が多かったのである。中国などからの多数発表される論文などをチェックしていればこうしたことは把握できたはずであるが、現場を全く知らない厚労省の医官にはそのような能力はなく、感染症法の机上プランをいきなり実施してしまった。そのため、約1800床の指定医療機関の病床はすぐ満床となってしまった。②クルーズ船ダイヤモンド・プリンセス号に多数の乗客・乗員を監禁し感染を広めてしまった。このため、さらにに指定病床に負担がかかった。③病床が著しく逼迫したため極端にPCR検査数をしぼり、患者数が顕在化しないように抑えた。そこで感染者が地下にもぐることとなった。また、発熱後4日間という強い縛りを設けたため、患者が重症化し、また家庭内感染なども多発することとなった。④結核などの感染症が減少したことで、国が感染症対策の第一線から撤退し、2000年前後から国立病院の廃止や自治体への移管を行い(例えば、福井県鯖江市では陸軍病院の流れをくむ国立鯖江病院が公立丹南病院として移管された)、医療費削減の流れの中で、“儲からない”感染症病床の削減を進めた。⑤国が医療の第一線から引いたにもかかわらず、厚労省→感染研→保健所の古い体制を残し、自治体に財源も含めた医療の権限移管を行わずに来た。⑥社会的環境が大きく変化してきているにも関わらず、感染症対策に保健所という公権力を背景として私権を制限し感染者をあぶり出す人海戦術による古いシステムのままで対応しようとした。⑦大都市部においては公権力の行使がうまく進まない中、「ライブハウス」・「歌舞伎町」・「パチンコ」・「8割削減」などというマスコミなどを利用した何の疫学的根拠もない恫喝を多用した。
「マスク2枚も、10万円も何もできない。検査ももちろんできない。」、「 海外と比較するのがいいとは思わないが、それでもここまで無能ぶりをさらけ出してくれると、どうしようもない」、「ここまで研究者、専門家が腐っているとはさすがに想像さえしてなかった」(小野俊一Twitter)。「かつての重要分野が文明の発展で当たり前のことになり、やがて忘れられた分野になって予算が減り、人の質が下がって大トラブルになり、当たり前が崩壊する。とにかくダメな専門家ばかりなので何もかも対応に失敗する。日本はこれを繰り返しながら急速に衰退して行くのだろう」(手塚一佳Twitter)というのが政府に対する一般的な評価であろう。
こうしたあまりにもお粗末な国の体制ではあるが、国の指示を無視してPCR検査を大規模に行った仁坂和歌山県知事や愛知県の大村知事などの一部の知事の行動が、欧米のような危機的状況にまでは至らず、日本を救った。大村知事は5月26日、安倍首相の能天気な自画自賛を無視し、見識ある会見を行った。「病院で受け入れ困難だった感染者数や救急件数などの情報公開、検証が全国で必要との考えを示した。特に首都圏や大阪圏に対して、『大きな課題だ』と強調。『ひと山越えてめでたしではない。検証しないとまた同じことになる』と述べた。大村氏はこれまで東京と大阪で医療崩壊が起きていると繰り返し指摘。11日の記者会見では『病院に入れない、救急を断るのは医療崩壊で東京と大阪で起きた。医療崩壊を起こしたら行政としては負け。何を言いつくろっても結果だ』としていた。」(朝日:2020.5.27)もっともな見解である。今後強力な2波・3波が襲ってきた場合、住民は知事の“能力”によっては殺されかねない。 続きを読む

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【投稿】大企業の超過内部留保132兆円を、国民に還元せよ

【投稿】大企業の超過内部留保132兆円を、国民に還元せよ

             名古屋・高木浩司(愛知県議会議員・立憲民主党)

 「デフレ脱却」を旗印に、安倍政権はこの7年間で赤字国債の大量発行を続け、その大半を日銀に引き受けさせてきた。「財政ファイナンス」そのものであった。そのデフレ脱却も達成できぬうちに、本当の未曽有の危機がやってきた。今回のコロナ禍である。こんな時こそ、国民の命と生活を守るために、百兆円単位の大胆な公的支出の出番なのだが、財政、金融にその余力は極めて厳しい。平時のアベノミクスで、その伝家の宝刀を使い尽くしてきたからだ。
 しかし、こういう危機のために百兆円単位のカネが日本経済内部に貯めこまれていたことを、思い出すべきだ。企業がこの20年間でためにため込んだ「内部留保462兆円」である。問題は、企業会計内部にふ頭にため込まれたこのカネを、どのようにしたら国民に還元できるのか。その論理と手法を、わが友人の水野和夫法政大教授が提起してくれた。
 次に引用するのは5月18日の毎日新聞に、水野教授が寄稿した提起の一部である。教授は、この論稿の前段で、中世に始まる資本主義の「蒐集」という本質がグローバリズムに行きつき、そして招き寄せた結果の一つが今回のコロナ禍だと分析し、その解決のためにこそ、「蒐集されすぎた」内部留保金の国民的活用が必要だという政策を導き出す。ぜひ、全文をじっくり読んでいただき、これが国民的提案となるよう拡散をお願いしたい。

   
内部留保463兆円
 日本の富は21世紀以降、企業に集中するようになった。企業の内部留保は19年3月末時点で463兆円に達している。企業が内部留保を重要視するようになったのは1990年代後半の金融危機や08年のリーマン・ショックで資金繰りに窮したからである。企業経営者はまさかの時に備えて増やすのだと説明していた。現在の危機はそれらを上回るのであって、今が「まさかのとき」に他ならない。
 内部留保が企業の固定資産に比べて急増し始めたのは、未曽有の金融危機に陥った98年の翌年からである。90年代は固定資産に対して内部留保は低下したので、89年までの上昇傾向を現在まで延長すると、内部留保は200兆円となる。企業が緊急事態に備えた内部留保263兆円(=463-200)は、将来の生産力増とならないので、生活水準の向上につながらない。
 
資本家の本質あらわ
 「主権者とは非常事態についての決断者である」(カール・シュミット)。日本の緊急事態宣言は飲食業などに休業を要請するが、補償はしない。その代わり罰則規定を設けていない。だからといって、この緊急事態に国民に布マスク2枚や10万円を支給することが「主権者」の決断ではあるまい。「主権者」である安倍晋三首相が決断すべきは、中西宏明経団連会長に対して首相の職を賭して132兆円の減資を要請することだ。
 経団連会長が拒否する理由はない。本来従業員と預金者に支払うべき賃金と利息を不当に値切った金額が累計で132兆円であり、緊急事態に即返還すべき性格のものであるからである。不当だというのは、労働生産性の上昇にもかかわらず賃金を減少させたり、利子と利潤の源泉は同じであるにもかかわらず、企業利潤率(ROE)に比例させて利子を支払わなかったりして、「救済」の経済理論に違反しているからである。緊急事態に備えた(Save)263兆円のうち132兆円は個々の企業と当該企業の従業員を結びつける必要はない。日本人全員の危機なのだから「日本株式会社」として全就業者と全預金者を含めた1億2596万人に還元すべきものであるからだ。
 減資に対しては株主が所有権の侵害だと訴えることが予想されるが、減資に反対する株主を公表すればいい。休業要請に応じない企業に対して企業名を公表するのは弱いものいじめである。休業要請に応じた企業に対しては、263兆円から132兆円を差し引いた131兆円が補償財源となる。不動産賃貸料は18年度で27兆円、資本金1億円未満の小売業および宿泊・飲食業の売上高は123兆円であるから、おおむね1年の休業に対応できることになる。
 もちろん、企業が早急に内部留保263兆円を減資するのは無理である。20年かけて緊急事態に備えて内部留保を積み増してきたのだから、20年かけて減資をすればいい。国は企業の内部留保を償還原資とする263兆円の新型コロナ国債を発行する。もし、この案に反対するというのであれば、企業はまさかのときに備えて内部留保を蓄積してきたということも、会社は社会的存在で顧客や従業員、仕入れ先などの利害関係者を重視しなければならないと株主に言っていたこともうそだったことになる。
 「例外は原則より興味深い。正常は何物をも証明せず、例外がいっさいを証明する」(シュミット)。まさに企業と株主と主権者が試されているのである。減資に応じないというのであれば、マルクスがいうように地球が太陽に吸い込まれて人類がどうなろうと資本増殖をやめないのが資本家の本質だということになる。
 
「共生」は経済重視
 263兆円の減資が「出口戦略」であるが、同時に「新たな入り口」も必要だ。それではじめて「不正」を「有用」と偽ってきた20世紀に終止符を打ち、我慢した代償としての成果を享受することができる。ケインズは1930年に「自分自身に対しても、どの人に対しても、公平なものは不正であり、不正なものは公平であると偽らなければならない。なぜならば、不正なものは有用であり、公平なものは有用でないからである」と指摘した。資本は人類の救済のためにあるから、不正な資本蓄積も大目に見てきた。内部留保に課税する方法では不正を「有用」だと認めることになるので、減資によって返還すべきだ。
 このケインズの言葉は、シェークスピアの「マクベス」からの引用である。そうであるとすれば、ケインズとシェークスピアは近代を偽りの時代だと見抜いていたことになる。だから、「ベニスの商人」で法学博士に扮(ふん)したポーシャは慈悲をシャイロックに求めるが、契約を重視するシャイロックは拒否し、最終的に財産を没収され喜劇として幕を閉じた。シェークスピアや「利子生活者(資本家)の安楽死」を予言したケインズは資本主義の終わり方を提示していた。
 もし、新型コロナ収束後においてグローバル化(全地球化)は不可逆的であるとの立場をとり続ければ、次々と襲ってくる新しいウイルスに無防備となり、減資は何度も使えない。我慢の先に「ウイルスと共生する社会」と「新しい生活様式」を要請するのは、感染症対策よりも経済を重視する姿勢が透けてみえる。共生すれば、仕事の性格上テレワークができない人の命をウイルスにさらすことになる。26兆円の補正予算はすべて感染症対策など医療体制の充実に回すべきである。

「より近い」秩序へ
 本来あるべき「新しい生活様式」とは「より遠く、より速く」そして「もっと多く」を求めず、「より近く、よりゆっくり」する生活様式に改めることである。そうしなければ、いつ感染するかもしれないと明日を心配して生きていかなければならない。
 新たな入り口にはケインズのいう次の原則が掲げられていなくてはならない。貪欲は悪徳であり、高利の強要は不品行であり、貨幣愛は忌み嫌うべきものであり、そして明日のことなど少しも気にかけないような人こそが徳をもった人であるという原則である。この原則は資本を過剰に保有するゼロ金利社会でないと実現できない。
 資本が過剰であるからゼロ金利となる。能力増強の新規設備投資と純輸出が不要となり、労働時間が節約でき、余暇が増える。そこで初めてケインズのいう人間にとって真に恒久的な問題、すなわち「余暇を賢明で快適で裕福な生活のためにどのように使えばよいのか」という問題に取り組むことができる。そして国際秩序も当然変わる。EU(欧州連合)程度の小さいサイズを単位とした「より近い」単位での地域秩序が形成されていくだろう。日本の近隣外交も問われているのである。

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【投稿】迫る破産の津波--経済危機論(24)

<<ハーツの破産>>
5/22、レンタカー業界・世界最大手のハーツレンタカー(Hertz)が米国の裁判所に対して、約190億ドル(約2兆円)の負債により、日本の民事再生法にあたる連邦破産法11条の適用を申請、破産を申請した。新型コロナ関連倒産では最大規模の倒産が表面化したのである。同社は、生き残りを図るため、売却可能なレンタカーを中古市場で販売し、空港外の営業所を統合し、設備投資を据え置き、すでに3月下旬には12,000人の労働者を削減、4,000人の一時帰休を進めていたが、さら

に雇用労働力の50%削減、20,000人の従業員削減を発表している。アメリカではシェア第1位であり、アメリカ国内で約1,900店、世界で約5,100店、日本では1999年4月からトヨタ自動車、トヨタレンタリース(TRR)と業務提携している。同社の稼ぎ頭は空港でのレンタカー事業であったが(上図)、航空機の運航停止が相次ぎ、需要が❝蒸発❞、同社は4月に車両リース代の支払い不能に陥り、債権者との協議に入っていたが、5/22が支払い猶予期限であった。経済危機の進行が、パンデミックの危機と結合したことによって、ありきたりの対策では追い付かない、予想外の急激な展開が容赦なく押し寄せてきているのである。
そしてこうした投資不適格な破産企業のジャンク債券を購入してきたFRB(米連邦制度準備理事会・中央銀行)が「今や、破産したハーツ債の誇らしき所有者」となったのである。
FRB議長・パウエル氏にとってのさらなる問題は、FRBが保有するこうした投資不適格なジャンク債発行企業が、数週間あるいは数ヶ月以内に破産申請をする企業が、実に数十社、あるいは数百社にも及ぶかもしれないことである。
5/20に公表された、FRBの米連邦公開市場委員会(FOMC)が4/28、29両日に開いた会合の議事録要旨は、「尋常でない不確実性」をとりわけ強調し、金融不安の懸念を重視、「パンデミックによる影響は、中期的に経済活動に対し、尋常でない不確実性と顕著なリスクを生み出している」との見解で当局者が一致した、「幾人かの参加者は金融安定への潜在的リスクについて言及し、市中銀行がより大きなストレスにさらされる可能性を参加者は懸念した」という。米経済で最も打撃を受けた部門の消費支出が「より正常な水準に早急に戻る公算は小さい」とし、多くの中小企業が破綻する、ないし新たな事業モデルにうまく適応できない可能性についての懸念も表明された、という。迫りくる破産のツナミをFRB自身が想定せざるを得ない事態の到来だと言えよう。 続きを読む

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【要請】原爆の図丸木美術館の緊急募金にご協力を

原爆の図丸木美術館の緊急募金にご協力を
                            東京 和田三郎

 「原爆の図丸木美術館」が運営資金難に陥り、緊急募金を求めています
5月5日、開館記念53周年を、丸木美術館は困難の中で迎えました。閉館と巡回など館外活動の中断で、無収入になっています。丸木位里・俊夫妻が苦難を乗り越えながら始めて半世紀の歴史を途絶えさせないために、緊急募金にご協力ください。
この状態は、創世期に苦難を共にした私たちにとっても、見過ごせないことです。愛読者や知り合いの方々のご協力を、心からお願いいたす次第です。急ぎで200万円、年間2500万円があれば乗り越えられるでしょうか。
 美術館のこと、現況のこと、目指すことなどは、HPに詳しく載っています。
HP検索エンジンで『原爆の図丸木美術館』を開き⇒『臨時休館・緊急支援ページ』⇒『寄付をする』で、クレジットカードで支払いができます。
 ゆうちょ振替口座なら、記号番号「00150-3-84303」、加入者名「公益財団法人原爆の図丸木美術館」です。

以下に、HPから抜粋しました。


https://congrant.com/project/marukigallery/1587

原爆の図丸木美術館」という場を残すために

……「原爆の図」をはじめとする丸木位里、丸木俊の絵や、位里の母である丸木スマの絵には、命への深いまなざしがあります。感染の収束後にも、こうした絵を、誰でもいつでも見て、ものを思うことのできる場所は、必要とされ続けるでしょう。芸術や文化における大切な役割のひとつが、この丸木美術館にあると考えます。
……丸木美術館は、行政主導ではなく、「原爆の図」を中心に、市民の力によって50年以上の歳月をかけて築き上げられてきた大切な「場」です。…この小さな灯火を消さないよう、ご協力いただけると幸いです。
……今回のことは、丸木美術館にとってとても大きな「危機」ですが、この緊急募金を通して、丸木美術館についてもっと多くの人に知っていただける「機会」だとも考えています。……

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【投稿】果てしなき消耗戦「出口戦略」なき緊急事態宣言の延長-新型コロナウイルス対応

【投稿】果てしなき消耗戦「出口戦略」なき緊急事態宣言の延長-新型コロナウイルス対応
                               福井 杉本達也
1 「出口戦略」なき緊急事態宣言の延長
5月4日、新型コロナウイルスへの対応を協議する政府対策本部が開かれ、緊急事態宣言の対象地域を全都道府県としたまま、医療提供体制の逼迫などを理由に5月31日まで延長すると決定した。安倍首相は同日夕方の会見で、①感染者が減っているのか具体的数字は示せないが、② 引き続き外出を控えろ、③ 経済は大幅に悪化するが、④生活の補償はしない、というのである。全く説得力のない無責任極まりない居直りであり、客観的データが示せず、今後もだらだらと「出口戦略」なき「自粛」要請が続く空恐ろしい会見である。
そもそも、4月7日の宣言以来何をしてきたのか。PCR検査は極端に少なく、感染者がどれだけいるのかも把握できない。医療用防護具も供給できず各地の病院で院内感染が起きている。学校は3月初めから休校で、5月まで休校なら3か月間も休校となる。「小1」の実態は「園児」のままである。どれだけ学力が低下してきているのか想像もできない。アルバイト先のない大学生・専門学校生の2割が学業を継続できず退学せざるを得ないと回答している。サービス・小売業・旅客運送業を始め日本経済は瀕死である。エコノミストは2020年度通期のGDPはマイナス5.9%になると予測している(日経:2020.5.5)。5月末まで現状の「自粛」が続けば過半数の中小零細企業は持たないと回答している。非正規労働者やフリーランスなどは新型コロナウイルスに感染する前に無能の安倍政権に殺される。国民にいい加減な「消耗戦」を強いることは許されない。「食事では料理に集中、おしゃべりは控えめに」・「筋トレやヨガは自宅で動画を活用」などと余計なお世話の「新しい生活様式」を“提言”する専門家会議にはあきれるしかない(『専門家会議の提言』2020.5.4)。仕方なく、各県はバラバラに解除の議論を始めた。全く統治能力を欠く政権である。 続きを読む

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【投稿】危うし・米中対立激化に逃げ込む米政権--経済危機論(23)

<<焦りから、責任転嫁へ>>
4/30、米トランプ大統領が会見で、「(新型コロナウィルスの)感染拡大は、中国の責任だ」と声を高らめ、「中国はウイルスを封じ込めることができたはずだ。能力の問題でできなかったのか、あえてしなかったのか、そのどちらかで、世界が非常に苦しんでいる」と語り、中国武漢の研究所が新型コロナウイルスの発生源となった可能性を確信していると述べ、ウィルス流出が故意であった可能性をほのめかし、賠償請求を示唆し、報復として、「より直接的な方法もある」と述べるに至った。危険な事態の到来である。
これは、明らかな責任転嫁である。今年の1月から2月、まだパンデミック危機の早い段階で、トランプ氏は中国の習近平国家主席と彼の政府がウイルスの取り扱いについてわざわざ取り上げ、しかも繰り返し褒め称える発言をしてきたことは周知の事実である。2/25には、トランプ氏はツイッターで、「米国では新型コロナウイルスはかなりコントロールできており、各方面や関係国とも連絡を取っている。米疾病予防管理センター(CDC)とWHOは非常に努力しており、非常に賢明だ。自分の目には、株式市場も好調に推移し始めていると映っている」とまで述べていたのである。
それが豹変である。氏の移り気、精神的・情緒的不安定さは今に始まったことではないが、自らのパンデミック対策を真剣に取り組まなかった犯罪的な不作為、油断と怠慢の結果として、新型コロナウイルス感染者は累計100万人を超え、アメリカが最大の感染国となり、死者数は米軍のベトナム戦争中の戦死者数を上回る事態を招いてしまった。11月の米大統領選を控え、トランプ氏の支持率はどんどん低下しだし、焦りだしたのである。挙句の果てにトランプ氏は、4/23の会見では、「体に紫外線や、とても強い光を当てたらどうなるか。あるいは光を体内に持ち込めないか」「消毒薬は1分で(ウイルスを)やっつける。体内に注入して同じことはできないか」などと致命的ともいえる無責任で恥知らずで愚かな発言、グロテスクな提案をまでしでかし、消毒薬メーカーが急遽「どんな状況でも飲んだり注入したりしないように」と声明を発表せざるを得ない事態に追い込まれ、あれは「皮肉のつもりであった」と弁解に追われる始末である。
2019年12月、350人のアメリカのメンタルヘルス専門家が、トランプ大統領の「悪化するメンタルヘルス」が「私たちの国の安全への脅威」を構成すると述べた議会への手紙に共同で署名した、その危険で憂慮すべき事態への警告が現実化しているのである。
ここまで追い込まれたトランプ政権にとって、反撃に必要不可欠となったのが、WHO(世界保健機関)と中国であり、彼らをスケープゴートとして非難と制裁の対象としたわけである。まずはWHOへの拠出金をストップさせた。 続きを読む

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【投稿】マイナス原油価格の警鐘--経済危機論(22)

<<史上初の異常事態>>
4/20、世界の3主要原油市場の一つである米国産WTI(ウエスト・テキサス・インターミディエート)原油市場で、5月物の先物価格が大幅に値下がりし、値下がり幅が300%を超え、1バレル当たりマイナス37.63ドルで引けるという異常事態が発生した。マイナスということは、買い手側から原油代金を受け取るのではなく、売り手側が、1バレル当たり37.63ドルを支払って、買い手側に原油を引き取ってもらうという、前代未聞の取引となったのである。5月物の締め切り直前であったため、マイナスを受け入れざるを得ず、翌日からの5/19に期限が切れる6月物はプラスに転じているが、それでも先物6月限は10.97ドルへの大幅下落であり、今後さらに波乱が待ち構えていると言えよう。金融取引ではなく、実体経済の実物取引で、マイナス取引が実行されるという、史上初めての異常な事態の勃発である。貯蔵スペースと輸送そのものにかかるコストは、需要が減少しても不変である以上、原油の売り手は、買い手にお金を払ってでも買ってもらわなければならない状況に追い込まれたのである。

すでに、米国で最大の原油の荷主の一つであるプレーンズ・オール・アメリカン・パイプラインは「パンデミックに対応して石油生産を削減するための対策を講じるよう、サプライヤーにこの積極的な要請を送っている」ことを明らかにし、同社は別の書簡で、顧客に購入者または出荷する原油を降ろす場所があることを証明することまで求める事態となっている。原油供給が貯蔵タンクとパイプラインをオーバーフローさせているのである。
あわてたトランプ米大統領は、「マイナス価格は金融市場の状況を反映したもので、原油市場の状況の反映ではない。原油価格の下落はごく短期的なもの。今は原油を購入する絶好のチャンス。目下、石油最大7500万バレルを戦略石油備蓄に積み増すことを検討中だ。」と強がってはいる。しかし実態はそんな生易しいものではない。
景気の大幅な後退が新型コロナウィルスのパンデミック危機と結合することによって、原油需要は大幅に後退、減少している。すでにこの4月の世界の石油需要は1日あたり2千万バレル減少し、過去最大の減少幅を記録することが確実視されている。この4月にサウジアラビア、ロシア、およびOPEC +内の他の石油輸出国が、市場から供給過剰の一部を取り除くために、過剰供給は現在、1日あたり約900万バレルと判断し、6月まで1日あたり970万バレルの石油生産を削減することに合意している。しかしそれは現実の減少幅2000万バレルの半分にも満たない。過剰生産で石油がだぶついているのである。減産にもかかわらず、価格は上がるどころか、下がる一方である。4/21の米ニューヨーク原油先物6月限は1バレル=11.57ドルと43%急落し、北海ブレントは21年ぶりの安値、1バレル=16ドルを割り込む事態である。西カナダでは3月末に、5ドル台をつけている。(上図参照)
原油先物市場の主要な買い手は、石油精製工場と航空会社、交通・運輸など実際に石油を大量に使用する実体経済である。しかしこうした企業・機関の石油貯蔵施設はすでに需要減少で満杯で、備蓄する余地もない。そこで現在、貯蔵スペースが不足しているため、1億6千万バレルの石油が出荷港の外の大型タンカーに貯蔵されていると、報じられている。最大200万バレルを保持できるスーパータンカーとも呼ばれる約10の超大型原油運搬船(VLCC)が、従来の石油施設の代わりに海上で石油を貯蔵するためにチャーターされているのである。この数は4月の初めに25から40に増加し、現在60に達している、という。その費用も膨大である。もちろんより小さなタンカーや施設も貯蔵に使用されている。 続きを読む

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【投稿】富裕層は「不作為」・「無責任」で“引きこもり”、低所得層は防備手段なしで最前線に―新型コロナウイルス「緊急事態宣言」

【投稿】富裕層は「不作為」・「無責任」で“引きこもり”、低所得層は防備手段なしで最前線に―新型コロナウイルス「緊急事態宣言」
                            福井 杉本達也

1 新型コロナウイルス「緊急事態宣言」の意味
 政府は、4月7日には国から東京・大阪など7都府県に『緊急事態宣言』を出し、さらに16日にはこれを全国に拡大した。15日、クラスター対策班メンバーの西浦博北海道大学教授は「対策なしなら日本でも死者42万人、接触8割減を」という試算・提言するとともに、「7割減」ではなく「8割減」に拘った。しかし、17日の安倍首相は会見の冒頭は「最低7割、極力8割の接触削減」と控えめだった。最初から8割減などというのは無理筋中の無理と匙を投げている。「クラスター」という“仮想現実”論をお経のように唱えてきた西浦氏は自らに責任が及ばないように早くこの「泥船」から逃げ出したいので“言い訳”を考えたのであろう。接触削減率に対し、ノーベル賞受賞者の本庶佑特別教授は「数字自身にはあまり意味がないと思う。だいたいこういう推計というのは経済の予測でも当たった試しがない。」と切り捨てた(羽鳥モーニングショー:4月16日)。
 院内感染が東京を始め全国で多発し、感染がどこまで広がっているか分からない危機的状況にもかかわらず、いま、専門家会議委員・クラスター対策班は自らの経歴に傷がつかないよう「逃げ」にかかっている。その「総無責任体制」の頂点に立つのが(“立つ”のではなく、振り回され、孤立している)安倍首相である。児玉龍彦東大先端研先端科学技術研究センター教授は4月2日の「デモクラシータイムス」の金子勝立教大特任教授との対話において、現在の状況を「不作為」・「逃げ、逃げ、逃げ」の姿勢であり「誰も責任を問われない」とし、「いまの専門家会議委員は社会的責任はゼロです」と述べた。政府は「外出自粛」を呼びかけるものの、医療や経済補償など社会全体のシステムが守ってくれなければ、「手洗い」や「マスク」などの新自由主義的「自己責任」で自身を守れるはずはない。まして、検査もできず熱があっても家族と「自宅待機」などはもっての外である。
 児玉教授(上記対話:4月13日)によると、文科省は配下の先端のPCR検査機器なども持つ大学や研究所に対し「何もするな」と号令をかけている。理由は今回の新型コロナウイルス感染の案件は厚労省案件であり、「厚労省の表に立つな」、「責任を取るな」、新型コロナウイルス関連では「犠牲者を1人も出さない」ということである。そのため、東大では4月8日にレベル3が発令され、全学閉鎖・緊急以外の研究室への立ち入り制限、新型コロナウイルスに関する必要な研究もできない。5月以降の授業はオンラインでも出来るかもしれないが、基礎研究はオフライン作業でしかできない。レベル4が発動されれば「新型コロナの研究もやめろ」となる。「いままでと異なることをやって非難されるよりも“引きこもり”が安全だ」というのである。こうした、省庁間の「無責任体制」は原発でも見られる。1995年12月の「もんじゅナトリウム漏れ事故」では、当時の旧通産省資源エネルギー庁は「あれは科学技術庁(現文科省)の案件であり、実験炉が事故を起こすのは当たり前だ」とした。
 要するに、富裕層(政府・官僚・大企業・大学)はテレワークや自宅などの安全圏に“引きこもる”ので、食料の供給や社会的インフラを維持するために中小企業やサービス産業・運送業など・その雇用者・非正規職員・貧困層は防備手段なしに「闇雲に」感染の最前線に立って社会サービスを行えということである。 続きを読む

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【投稿】院内感染で医療崩壊・都政崩壊そして政府崩壊-後手後手の新型コロナウイルス対応―

【投稿】院内感染で医療崩壊・都政崩壊そして政府崩壊-後手後手の新型コロナウイルス対応―
                                                                                            福井 杉本達也

1 院内感染の拡大で東京都の医療は危機的状況に
東京都の救急医療体制は新型コロナウイルスの院内感染で危機的状況にある。ジャーナリストの山岡淳一郎氏の取材によれば「4月12日時点では、26カ所の救急センターのうち7カ所で院内に感染者が出て、救急受け入れ停止や、外来初診、入院受け入れの中止、手術の延期など大幅な診療制限が行われていた。3日後の15日、さらに2つの基幹医療施設で職員や患者の感染が判明し、その数は9に増え」、広尾の日本赤十字医療センター(渋谷区)では看護師1人の感染が判明、救急は、小児以外は停止。都区西南部(渋谷・世田谷・目黒)の二次医療圏をカバーし、昼間人口は数百万人にのぼり、首都救急の要が機能不全。都立墨東病院は(墨田区)の患者・職員合わせて7人の感染判明、第一種感染指定医療機関でもあり、新型コロナ対応の主力中の主力。慶應義塾大学病院(新宿区)、東京慈恵会医科大学附属病院(港区)、順天堂大学医学部附属順天堂医院(文京区)、東京医科歯科大学医学部附属病院(文京区)も診療を制限し、都中心部の主要病院が壊滅。さらに杏林大学医学部付属病院(三鷹市)、順天堂大学医学部附属順天堂医院、東京医科歯科大学医学部附属病院(文京区)、公立昭和病院(小平市)、国立がん研究センター中央病院(中央区)でも医師や医療スタッフなどが感染し診療を制限している(山岡:BUSINESS INSIDE:2020.4.17)。また、基幹病院ではないものの、永寿総合病院(台東区)では職員69人、患者94人の163人が感染しうち20人が死亡するという最悪の状況に陥った。また中野江古田病院(中野区)では患者ら92人が感染したが、4月1日に看護師が感染したにもかかわらず「経営判断」で公表せず感染を広げた。永寿総合病院に医師を派遣し、患者を受け入れていた慶応大病院でも院内感染が発生した。まさに医療崩壊ドミノの状況にある。こうした中で、「新型コロナ疑い患者 救急搬送で110か所から受け入れ拒否」実に10時間も受け入れ先が決まらず、自宅のある台東区から40キロも離れた八王子市の救急指定病院まで運んだ例も出てきている(NHK:2020.4.15)。 東京医療従事者の感染を防ぐにはPCR検査の徹底しかない。症状があるなしにかかわらず医療関係者と患者は定期的検査が行わなければならない(上昌弘氏:東京新聞:4月15日)。

2 ウイルスという「見えない敵を捕まえる」にはPCR検査しかない
ところが、NHKが東京23区の保健所に、PCR「検査が必要と判断してから実際に行うまでにどのくらい時間がかかっているか尋ねたところ、長い場合には、『4、5日程度』かかっているという自治体が複数あり、最長で1週間程度かかったという自治体もある」(NHK:2020.4.17)とし、東京都内ではほとんど検査ができていない。安倍首相は1日2万件の検査をできる体制を整えたというが、4月13日はその1/4の5,205件しかできていない。病床が満杯になることを考慮して検査を制限しているのである。それを図らずも裏付けたのは、4月10日の、さいたま市の元厚労省医系技官の西田道弘保健所長の「病院があふれるのが嫌で(検査対象の選定を)厳しめにやっていた」との言葉である。また、東京都のPCR検査の陽性率が56.1%と、10人を検査すれば6人が的中するという異常に高い確率であることからも明らかである。
小池百合子東京都知事は「ロックダウン」などという都民への脅し言葉を使い、自らの無能ぶりを隠している。感染症病床を4,000床確保するといいながら、新宿区では187人の感染者に対し自宅待機が120人という恐ろしい状況が続いており、結果として家族や市中にウイルスをまき散らし、感染を拡大している。何の対策も打たず「外出自粛」「自分の命は自分で守れ」というのは新自由主義の「自己責任」論でしかない。ノーベル賞受賞者の本庶佑教授は「感染予防というのは、ウイルスを撒き散らす側がどこにいるか。それを捕らえないと防御対策ができないわけです。私はまず、忍者との戦いだけど、忍者がどこにいるか分からないのに防備を固めることはできないわけです。まずそれをきちんと捕らえる。 全体の忍者の数が減ってくれば、ターゲットが見えてくる。全包囲の戦いはできない。やはり決まったターゲットに絞るために感染を減らし、そして実態をきちんとマッピング」すべきだと述べている(「羽鳥慎一モーニングショー」:2020.4.16)。

3 小池知事に愛想をつかし、独自に立ち上がる新宿区・東京都医師会など
都が全くあてにならない中、新宿区は15日、独自に区医師会、国立国際医療研究センター病院(同区)などと連携し、区民らがPCR検査を受けられる「区新型コロナ検査スポット」を設けると発表した。感染疑いのある人が検査を受けやすくするとともに、保健所や病院の負担を減らして、重症者への対応に専念しやすい環境を目指す、いわゆる「新宿方式」を始めた。陽性者の入院先の調整は保健所と同センター病院、都が連携・協力してあたる。重症者は区内の大規模病院に、中等症・軽症の感染者は中規模病院に振り分ける。軽症者はホテルや自宅で療養してもらいながら区医師会などが患者のケアにあたり、病状が悪化した場合には病院に搬送する(東京新聞:2020.4.15)。
また、東京都医師会の尾崎治夫は4月17日、記者会見し、新型コロナウイルスの「感染のスピードがこれ収まらないと、いくら病床を用意して、宿泊施設を用意して、我々がいくら軽症者を自宅で診るような事態になって頑張っても追いついていけない」とし、「コロナ(感染者)と思う患者がいても、相談センターに連絡しても電話がつながらないし、新型コロナ外来の病院にお願いしても病床が満杯で、PCRもできないことになっている」「感染している疑いのある人を拾い上げてきちっと交通整理しないと感染の予防もできない。」「ここは我々が立ち上がってPCRセンターをつくって、混とんとした状態を良くしていきたい」、「これ以上東京はもちません」と悲壮な決意を語っている(Yahooニュース:2020.4.17)。

4 「医療の東西格差」-元々首都圏は医療資源が不足している
「医療の東西格差」ということが昔からいわれている。今回の新型コロナウイルスの感染は特に首都圏の元々からの医療資源の不足の弱点をついている。東京都は人口10万人あたり医師数では304人と京都府の302人とほぼ同じであるが、神奈川県は195人、千葉県は170人、埼玉県は最下位で148人しかいない。全国平均は235人である。人口10万人あたりの看護師数では東京都は748人、千葉県は701人、神奈川県は669人、埼玉県は665人と全国平均の953人と比較すると圧倒的に少ない。ちなみに、熊本県は1,458人である。「医師数の『西高東低』は、人口あたりの医学部数と相関関係にある。このことは、医学部卒業生 が出身大学の近郊で就職する傾向を示しており、医師は『地産地消』であることがわかる。つまり、医学部数も『西高東低』である。ではなぜ、西日本に医学部が多いのか。それは、約150年前 の戊辰戦争の影響である。」「明治政府は敵方であった東北・関東周辺諸藩の武装解除を徹底した。」このため「明治期の医学部誘致合戦で、政治力のある西軍雄藩が有利だったことは現在の国立医学部の偏在が証明している」。「首都圏では埼玉県、神奈川県に国立の医学部はない」(上昌弘:2017.9.1)。
救急医療も首都圏の弱点である。東京都の二次救急を支えているのは、全体の約7割にあたる私的病院である。近年救急車出動件数が増えているが、その急患に対応する救急告知病院は減っている。救急医療に対して加算される保険点数が低いことがあげられる。50床以下の病院では、当直医、看護師などの人件費を現状の保険点数から捻出することが難しいこともある(三浦 邦久江東病院副院長:2011)。今回の新型コロナウイルスの感染はこうした首都圏の弱点をついており、問題は構造的であり深刻である。

5 医療装備の不足を始め後手後手に回る安倍政権
4月15日の日経によると不足する医療装備ではサージカルマスクが2億7,000万枚、N95マスクが1,300万枚、防護服が180万枚、ガウンが4500万枚などとなっている。4月15日の朝日の記事によると阪大病院で患者への対応に使う防護服が足りなくてポリ袋を代用品に使い始めたという。ほとんど医療崩壊したイタリア並である。大阪府では急遽、防護服の代わりとするポンチョ型のかっぱ28万枚を購入する方針だとし、大阪市の松井市長は家庭のかっぱの寄付を募るという。日経の4月14日には「加藤勝信厚生労働相と梶山弘志経済産業相は7 日、経済同友会と経団連に、新型コロナの対策物資について緊急の供給体制を整えるよう協力を求めた。」との小さな記事があるが、いったい安倍政権は1月から3か月も何をしてきたのか。この期に及んでも政府が全く機能していないことを改めて確認できる。日本の現状には末恐ろしさを感ぜざるを得ない。

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【投稿】「大恐慌以来最悪の同時不況に直面」--経済危機論(21)

<<世界大恐慌2.0>>
パンデミック危機と結合した経済危機は、今や世界大恐慌として全世界を巻き込み、経済的・社会的危機が史上例を見ない空前のものとなろうとしている。
進行している危機の特徴は、パンデミック危機と結合したことによって、金融危機・経済危機にとどまらず、全世界住民を巻き込んだ社会的危機へと拡大している。なおかつ、その危機の進行は、これまでの経済危機の進行に比べて急速であること、影響範囲が広大であること、しかもその影響が社会生活の根底にまで及んでいること、以上がこれまでの経済恐慌とは異なった最大の特徴であると言えよう。

4/14、国際通貨基金(IMF)は最新の世界経済見通しを発表し、2020年の世界全体の成長率を、1月の予測では前年比3・3%増であったものから、3・0%減へと大幅に引き下げる異例のマイナス予測を公表、新型コロナウイルスの感染拡大で世界経済が縮小の危機にあり、世界経済は1930年代の大恐慌以来最悪の同時不況に直面している、と認めざるを得なくなった。
新型コロナウイルスと経済危機への影響により、世界で新たに5億人近くが新たな貧困状態に陥り、世界の人口78億人の半数以上が貧困に落ち込む恐れがあると、貧困問題に取り組む国際団体オックスファムが警告している(Oxfam 4/9公表)。
4/7に発表された国際労働機関・ILOのレポート「ILO Monitor 2nd edition:COVID-19 and the world of work」によると、新型コロナウイルスのパンデミックによって、世界中で労働時間と収入に壊滅的な影響を及ぼしており、現在、世界全体の33億人の労働力のうち、5人のうち4人以上(81%)が完全または部分的な職場閉鎖の影響を受けている。特に中高所得国(7.0%、1億人のフルタイム労働者)では、さまざまな所得グループ全体で莫大な損失が予測され、先進国と発展途上国の両方で大災害に直面しており、2020年の世界的な失業率の最終的な増加は、「最初のILOの予測である2,500万よりも大幅に高くなるリスクが高い」と報告書は述べる事態である。
今回の経済恐慌は、世界大恐慌2.0(the Great Depression 2.0 )と言われ出し、これまでの経済恐慌で最大のものであった1930年代恐慌(1929/10/24、ニューヨーク証券取引所の株価大暴落をきっかけとして始まった)よりもさらに深刻な事態、最速かつ最も深刻な経済危機に突入しているとも言えよう。

<<何がこのような事態をもたらしたのか>>
何がこのような事態をもたらしたのであろうか。端的に言って、それは、数十年にわたる規制緩和と弱肉強食・格差拡大の市場原理主義、マネーゲームに狂奔する金融資本主義、惨事便乗型資本主義、すなわち総体としての新自由主義が生み出したものである。
この新自由主義の全世界的な横行によって、新自由主義に反するあらゆる社会的セーフティネットが、その社会的基礎資本・インフラが切り縮められ、民営化され、破壊され、安全と福祉、社会保障政策が、環境保護政策が次々と犠牲にされ、汚染と自然破壊が推し進められてきたのである。こうした政策が実に数十年、全世界で大手をふるってきた結果として、医療システムの公共性が失われ、パンデミックへの備えが弱体化され、その反撃を受けたのだと言えよう。
パンデミックは、貧困諸国ばかりか、先進国において社会保障政策を犠牲にする緊縮政策がまかり通ってきた国々にとりわけ深刻な事態をもたらしている。アメリカ、イギリス、イタリア、スペインはその象徴に過ぎない。日本も同列であると言えよう。中国をも含めた各国の新型コロナウィルス発生に対する初期対応の決定的失敗は、こうした社会的セーフティネットを軽視してきた積年の必然的結果でもある。
この点では、中国が独自の異なった形態と対応をしてきたとはいえ、中国の政権自ら、新自由主義の教祖であるミルトン・フリードマンの教えを受けてきたことも忘れられてはならないであろう。
新型コロナウィルスによるパンデミックの危機は、こうした新自由主義の横暴と悪影響が続く限り、パンデミックの反撃はいつでも起こりえるものであることが、あらためて実証されたのだと言えよう。
今回、昨年来明瞭になってきていた新自由主義がもたらしてきた金融独占資本主義主導による経済危機の進行が、パンデミック危機と不可避的に結合したことによって、1930年代大恐慌をも超える、最悪の世界同時不況を招いてしまったのだと言えよう。

<<ウォール街へのヘリコプターマネー>>
こうした危機的な事態の進行を食い止めるためには、新自由主義政策からの根本的転換こそが追求されなければならない。
ところが、この新自由主義をけん引してきたアメリカをはじめ、先進各国の政権はなべて、新自由主義にすがりながら、新自由主義の指針に従って、つまりは圧倒的被害を受けている99%の人々ではなく、1%の金融独占資本・独占的大企業・超富裕層の救済をすべての政策の根本に置きながら事態を乗り切ろうとしているのである。ウォール街への、1%へのヘリコプターマネー、大量の現金バラマキである。決して99%の人々にばらまかれるものではない。99%の人々にははほんの少しばかり、一時的で制限付きでしかない。現代金融理論・MMTを否定しながら、平然と1%の金融独占資本・独占的大企業・超富裕層にはMMTを実践しているのである。
この3月以降だけでも、超低金利・超金融緩和政策の下でFRB(米連邦準備制度)=米中央銀行は1兆7,700億ドルもの資金を提供して、ウォール街金融資本の救済に乗り出している。しかもその手口は、これまでの制限をもかなぐり捨てて、取引不可能とまで言われる企業債務の50%以上がBBBに格付けされた「非投資適格」の「ジャンク債」まで買い上げて、金融資本にくれてやる汚さである。モラルハザードまで犯す典型は、その金融バブル破綻が目いっぱい詰まったジャンク債購入の選択を、今回、世界最大の資産マネージャーである民間の請負業者であるブラックロックに外部委託したことである。ブラックロックは、170を超える年金基金、銀行、財団、保険会社の資産を管理しており、ジャンク債および投資適格社債取引所上場投資信託(ETF)の最大の発行体の1つなのである。好き勝手に利益をウォール街に分配する、完全な利益相反と言えよう。彼らのなすがままにさせるのである。
このパンデミックの最中に、FRBは4/9、さらに最大2兆3,000億ドルのローンを提供する新しいMain Street Lending Programを発表し、資本のニーズを最優先することをあきらかにし、パウエル議長は「これらの力を、力強く、積極的に、回復への道が確実にあると確信するまで引き続き使用する」と開き直っている。
欧州中央銀行が発表したパンデミック緊急購入プログラム(PEPP)も、7,500億ユーロの大部分が金融バブル破綻に瀕する金融資本や大企業債券を購入するために使用されることが明らかにされている。
1930年代大恐慌に際して、当時のルーズベルト米大統領は、「巨大な企業家や資本家の活動を何でも容認してきた時代は去った。…富と生産物を一層均等に分配し、…投機家、相場師、さらには金融業者の活動を制限しなければならない」と明示して、ニューディール政策の基本を明らかにした。
奇しくもその基本は一致しているが、今回の世界大恐慌2.0に対応する、新たなニューディール政策こそが問われている。
(生駒 敬)

 

 

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【投稿】関西電力金品受領問題・原発の深い「闇」を隠す第三者委員会調査報告書

【投稿】関西電力金品受領問題・原発の深い「闇」を隠す第三者委員会調査報告書

                               福井 杉本達也

1 関西電力役員に3億6千万円もの金品が環流・市民らは特別背任罪で告発状提出
2019年9月、関西電力の役員等が、福井県高浜町の元助役森山栄治氏から多額の金品を受領していたことが明らかになった。不正な金品の原資について、工事の発注元として原発 関係の不当高額工事費からの還流であることに疑いの余地はなく、「関電の原発マネー不正還流を告発する会」では、関電役員12人に特別背任罪(会社法960条1項)、背任罪(刑法247条)、贈収賄罪(会社法967条1項)、所得税法違反(238条1項、120条1項)の疑いがあるとして、3,371人が告発状を12月13日に大阪地検に提出した。
関電が設置した第三者委員会(委員長:但木敬一弁護士:元検事総長)は、2020年3月14日に調査報告書を公表し、金品を受領していた役員らは75人、総額3億6千万円相当で、関電の工事発注で森山氏の関連会社に便宜供与を行っていたと認定。森山氏側が金品を提供したのは、その見返りとして、要求したとおりに自分の関係する企業に関西電力から工事を発注させて経済的利益を得るという構造・仕組みを維持することが主たる目的だったとした。

2 「特別背任罪」・「収賄罪」での立件は可能(郷原信郎弁護士)
報告書は刑事告発の可否、犯罪の成否について、但木氏は、「犯罪ととらえることの困難性」を説明し、(1)金品受領についての会社法の収賄罪の成否については「森山さんは長期間に亘って趣旨なくお金を渡して」おり、「主観面を立証するのは すごく難しいように私は思います。」と述べ、(2)森山関連企業への発注についての会社法の特別背任罪・刑法の背任罪の成否については、「本件では価格操作ではなく、受注できればそれで利潤がある程度保証されているものですから、そんなに価格をごまかしたりす る必要がもともとないのです。だから損害の発生というのがないという、不思議な事件になってしまうものがかなり見られる」とし、「発注をしないと会社が原発を止められてしまう、という変な関係に立っていて、利益を供与するのではなく、むしろ会社の原発を止めさせないためにそうした、という意図は図利と言えるのか」と老獪とも言える、巧みな説明を行った。
しかし、会社法の収賄罪の成否について、郷原弁護士は「金品の供与と具体的な工事との関連性が明確でなくても、金品の提供が『森山氏に関連する企業に関電工事発注で便宜を図ることの依頼』によるものであることの認識があれば、「請託」を認めることは十分に可能であろう。」としている。また、「特別背任罪」の成否については、「本来、競争入札によって発注すべきところを、理由もなく特命契約で発注している以上、それ自体が価格の上昇を招くものであることは明らか」であり、「関電からの発注によって森山氏の関連企業に相当な超過利潤が発生しており、その分公正な手続で競争をさせた場合より関電にとって不利な価格であったことは十分に認識できたはずなので、そのような発注によって『損害を加える』ことの立証も可能」としている。「立件できる可能性はかなり高いと考えられる。」としている(郷原信郎:『関電金品受領問題は「戦後最大の経済犯罪」 ~原発事業をめぐる「闇」の解明が不可欠』2020.3.19Yahooニュース)。 続きを読む

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【投稿】パンデミック危機と反恐慌政策--経済危機論(20)

<<「最悪期はこれから」>>
パンデミック危機の拡大が、経済危機の進行と結合して、新たな段階に突入し、すでに「コロナ恐慌」と言われる事態へと進展している。新型コロナウィルスの蔓延は、昨年来、醸成しつつあった世界経済の危機の進行を、急速かつ世界規模に拡大し、経済の縮小・凍結の深刻さは未曽有のものになろうとしている。明らかにこれまでの経済危機とは異なった様相を呈している。
その際立った特徴は、経済恐慌の進展がパンデミック危機と結合したことによって、これまでにない過去最速のペースであること、なおかつ金融システムの崩壊と実体経済の崩壊が、段階的ではなく、同時的に進行し、圧倒的多数の人々の社会的経済的文化的生活の全面にわたる危機をもたらしていることである。なおかつ、この危機に便乗した専制的・独裁的手法が、情報の徹底的公開と透明性をないがしろにし、民主主義的コントロールを棚上げにし、人びとの連帯と協力、同意、参加を求めることなく、幅を利かせていることである。しかもこの危機の進行は、今始まったばかりであり、簡単に収束するどころか、「最悪期はこれから」、まだまだ予期しえぬドミノ的な危機の進行が待ち受けている可能性が極めて大きいことも、その特徴と言えよう。こうした特徴はいずれも、どれ一つとして過小評価できないものであり、危機を克服する、打開する道筋の対策に欠けてはならないものであろう。
すでに3月に入ってからの株式・証券市場での暴落で、時価総額25兆ドルもが蒸発したと言われる(ブルームバーグが86カ国の証券市場の時価総額を集計した結果によると、3/19現在これらの国の証券市場の時価総額は62兆2572億ドルで、2/19現在の87兆8708億ドルより25兆6136億ドル、29.2%減少)。しかもこの間、米国、欧州、日本の全雇用人口の23%に達する1億人以上が新型肺炎発の消費減少により事実上の休職状態に入り、パンデミック危機の直撃を受けたホテル・レジャーと運送、小売り販売の3業種の従事者が占める割合は欧州で27%、日本26%、米国24%で、米・欧・日の国内総生産(GDP)合計に占める割合は13%、5兆5000億ドルに達し

、この3業種の時価総額は昨年末より1兆4400億ドル減少してしまったのである。非常事態宣言が世界各地に波及し、3業種から全経済の縮小にさらに拍車がかけられている事態が進行している。
米シンクタンクの経済政策研究所(EPI)は、米国で新たに失業保険を申請した件数が21日までの1週間で328万3000件と過去最大を記録し、今夏に1400万件に達する公算だと分析している。
ILO(国際労働機関)は3/26、新型コロナウイルスの感染拡大によって世界で失われる雇用が2500万人を「大幅に超える」可能性があるとの見通しを示し、一時的失業やレイオフの規模、失業保険申請件数が当初予想を大幅に超えていると指摘、こうした雇用への下押し要因を今後の見通しに考慮する必要があると強調している。
3/21付けワシントンポスト紙は「8400万人のアメリカ人が家に閉じ込められ、ほとんどの企業がほぼ完全に閉鎖されたため、数日前に予想されていたよりも急速に悪化している。数百万人の労働者を失業ラインに送り込む経済的メルトダウンは、連邦政府の対応努力を上回っています。」と報じる事態である。 続きを読む

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【投稿】コロナ禍に便乗する軍拡策動

「病院船」は感染症対処に有効か

1937年、日中戦争の拡大に際し近衛文麿内閣の杉山陸軍大臣は、昭和天皇に対して「事変は2か月でカタが付く」と大見得を切った。しかし戦況は激化、38年1月に近衛は「(蒋介石の)国民政府を相手にせず」と講和を放棄し戦争は泥沼化、40年の東京オリンピックも中止に追い込まれ、日米戦争へと突き進んだ。

2020年2月26日安倍は「新型コロナの抑え込みには今後1~2週間が極めて重要」と楽観的見通しを示したが、感染は拡大の一途をたどり、一斉休校など効果不明の弥縫策が行われるのみである。

PCR検査や効果的な経済的支援などの対策は放棄され、1億総活躍ならぬ1億総感染=集団免疫戦略=ハイリスク層放置という泥沼へ突き進んでおり、オリンピックの動向を含め、80年前と同じ事態が進行しているのである。 続きを読む

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【投稿】経済恐慌現実化の兆し--経済危機論(19)

<<何が「おめでとう」だ!>>
 3/15、FRB(米連邦準備制度)=米中央銀行が慌ただしく意表を突く形で会合を日曜日に開き、パウエル議長が緊急記者会見を開いた。内容も意表を突くつもりであったのであろう、通常はこれまで一回の会合での利下げ幅は0・25%であったが、一気に1%の利下げに踏み込み、今月3/3の0・5%の緊急利下げと合わせて、政策金利の下げ幅は1・5%という大きさであった。ただし、金利か限りなくゼロに近づいたとはいえ、日本やEUのようなマイナス金利については、「われわれはマイナス金利が適切な政策対応になる可能性は低いとみている」と述べている。ともあれ、パウエル議長は「(新型コロナ危機の)今後の影響は感染がどれだけ広がるかに依存し、どれだけ続くかはわからない」と述べ、ゼロ金利を「(危機を)乗り越えたと確信できるまで続ける」と予告した。合わせて3/17、18両日に予定されていたFOMC(連邦公開 市場委員会)の緊急会合を開き、少なくとも7000億ドルの資産購入という形での量的緩和を発表し、「家計や企業への信用の流れを支えるため、あらゆる範囲の手段を活用し、最大限の雇用と物価安定を促進する用意がある」と表明したのであった。
 トランプ大統領は、今回のFRBの決定を歓迎、「私は非常に満足であり、金融当局におめでとうと言いたい」とした上で、「大きな一歩だ」と称賛したのであった。
 ところが、週明け翌3/16、月曜日のニューヨーク株式市場は、トランプ氏やパウエル氏の期待に反して、ダウ工業株30種平均はほぼ全面安となり、終値は2万0188・52ドル、下落幅は12日に記録した2352ドルを超えて過去最大となった。下落率でも1987年の歴史的株価暴落「ブラックマンデー」以来となる、史上最大の急落となったのである。この日、取引開始直後からすぐさま、相場安定を図る「サーキットブレーカー」が9日と12日に続いて発動し、取引所は15分間の取引停止の事態となった。2/12につけた史上最高値(2万9551ドル)からわずか1カ月あまりで9千ドル超、31・7%も下落したのである。ダウ平均を構成する30銘柄すべてが下落し、航空機ボーイングは20%超の急落、ゴールドマン・サックスなどの金融株やエネルギー株、インテルやマイクロソフトなどのIT銘柄も下落、ハイテク株中心のナスダック市場の総合指数も急落し、12・3%安で終えている。同じ3/16のニューヨーク商業取引所では原油価格も急落し、前週末比3・03ドル安い1バレル=28・70ドルと、ほぼ4年1カ月ぶりの安値に下落している。トランプ大統領には、何が「おめでとう」だ! という事態が突きつけられたのである。
 トランプ大統領はすでに3/13、パンデミック危機に対する初動の甘さに批判が高まってきたことに恐れをなし、国家非常事態を宣言したが、「私には全く責任はない。ルールや規制が遅れを生んだ」と開き直り、今回は「金融危機ではない。乗り越えられる一時的なものだ」と繰り返し強調したが、市場はまったく評価しなかったのである。
 トランプ大統領は記者会見で、甘さと強気一辺倒も消え失せ、「新型コロナウイルスの流行は7月か8月まで続く可能性がある。米国民は今後15日間は10人以上で集まらないのが無難だ。米国経済は衰退へと進んでいるかもしれない」と泣き言を言い出す始末である。 続きを読む

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