【投稿】トランプ氏「妄想」:ホルムズ海峡=「米国の新領土」と宣言

<<米国の新領土❝New territory of the United States❞>>
8/18、トランプ米大統領は、ホルムズ海峡を「米国の新領土」と宣言する、突飛もない行動に打って出た。
自らのソーシャルメディア「Truth Social」への投稿で、ホルムズ海峡とその周辺地域の地図を提示し、その特定のエリアを丸で囲んで「米国の新領土(New territory of the United States)」と書き込んだのである。

大統領執務室でこの宣言について、記者団から問われた際、トランプ氏はその構想を気に入っていると述べ、米国はすでに同海峡を支配下に置いていると主張、「我々は封鎖によってそこを支配している。領土だと宣言するという考えは気に入っている」と強弁したのであった。それが「気に入った」から、「新領土だ」と宣言する、まったく浮世離れした妄想を、何ら恥じることなく披歴する、いよいよ、その精神状態はどん詰まりに来てしまっていることを全世界にさらけ出したものと言えよう。軍事的にも、経済的にも政治的にも後退に後退を重ねて、追い込まれてしまった結果がもたらしたものであろう。

直ちに、イラン側は、トランプ氏の主張を「妄想」だと酷評し、「ホルムズ海峡はイランのものであり、現在もイランのものであり、今後もイランのものであり続ける」と断言。イランのカゼム・ガリババディ外務次官は「この海峡が閉鎖されたり開放されたりするのは、イランの指揮下においてのみ行われる」、さらに、米国が「敗北の現実を受け入れず」、「妄想」にふけっている限り、イランはこの重要な海峡の封鎖を継続することを改めて確認している。

米国とイランの間で最終的な和平協定を交渉するための60日間の猶予期間を定めた6月17日の覚書(MoU)は、すでに8/17に期限切れとなったばかりである。イランの主要交渉担当者であるモハンマド・バーゲル・ガリバフ氏はすでに、米国が受け入れがたい最後通牒を突きつけていると非難し、一連の動きを「茶番の外交(シアター・ディプロマシー)」と断じている。

<<「ディスエンゲージメント(関与の縮小・撤退)」戦略>>
この覚書(MoU)が、実際には 6月に崩壊してもなお、トランプ氏は繰り返し「対話は順調に進んでおり、新たな合意も間近だ」と、現実とは相反する空言を繰り返してきたが、今や、一転して「外交交渉は一切行われていない」と、現実を認め、今度は逆に、もはや対話の再開そのものさえ、全く目指していない、目指さない、新たな「ディスエンゲージメント(関与の縮小・撤退)」戦略だと、合理化しだしている。

しかし、その「関与の縮小・撤退)」戦略には、中東湾岸地域での米軍駐留規模の縮小と恒久化を検討せざるをえない段階にまで追い詰められていることが報じられている。
8/18、ワシントン・ポスト紙は、米国防総省が将来の軍事プレゼンス(駐留態勢)を「評価」する中で進められている事態収拾の動きを報じ、「イランとの戦争が同地域における米国のプレゼンスを一変させる可能性を示す初期の兆候として、米国防総省は中東における軍事プレゼンスのあり方を評価している」と報じている。
同紙はさらに、「国防総省が検討している重要な点の一つは、ペルシャ湾から部隊を撤収させるかどうかだ。同湾では、米国の主要な海外軍事基地が数ヶ月にわたるイランの攻撃によって大きな打撃を受けている」と付け加え、これを国防総省にとって同地域でのプレゼンスを変更する「一世代に一度」の機会だとまで評している。

8/19、「オペレーション・エピック・フューリー(Operation Epic Fury)」を受けたイランの報復と、6ヶ月近く長引く紛争の結果、中東にある米軍基地が甚大な被害を受けたことを受け、米当局はすでにそれらの基地を完全に放棄する可能性をさえ論議せざるを得ない段階に追い詰められていることを示唆している、とまで報じられている。(zerohedge Wednesday, Aug 19, 2026

こうした事態の進行は、トランプ政権が、内外ともに孤立化し、とりわけ、11月の米中間選挙を目前に控え、トランプ政権の支持率は、直近の世論調査においても最低の支持率を更新し続けている。
それを挽回し、巻き返す、あがきの戦略が、ホルムズ海峡=「米国の新領土」宣言であり、対イラン戦「関与の縮小・撤退」戦略だと言えよう。しかし、その戦略に、イランへの謝罪と賠償を含む平和外交が打ち出されない限り、トランプ政権にとって明るい展望は微塵もないのが、現実であろう。

(生駒 敬)

 

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