【投稿】地震動データを改ざんし続けてきた中部電力の原発設置許可の剥奪を         

【投稿】地震動データを改ざんし続けてきた中部電力の原発設置許可の剥奪を

福井 杉本達也

1 中部電力浜岡原発地震動データ改ざんに関する報告書

9月14日、中部電力の浜岡原子力発電所における標準的な地震運動に関するデータ改ざんに関する報告書が発表された。

報告書は「地震動評価における不適切行為及びその後の証跡の作出等に関し、安全性には影響がないこと、技術的には正しいこと、浜岡原子力発電所の再稼働の支障となり得る行為は認めるべきでないこと等の、自分たちの行為を正当化する発言や中部電力内でのやりとりが随所に見受けられた。」、「中部電力社内の一部のグループや集団では、対応方針の策定や実際の対応において、その目的等の重要性と規則やルール等の遵守を『独自の合理性』により天秤に掛ける傾向や中部電力又は自分たちにとって重要性の高いミッション等を阻害する指摘等を『独自の正義感』により強い抵抗を覚えずに排除する傾向が見られた。」「本委員会は、中部電力において、この『独自の正当化理論』が存在していたこと、また、それが広がりつつある状況にあったことが、本事案に通底する原因であると考える。」と指摘した。

 

2 基準地震動とは

原発の地震に対する安全性の検証は、大きく三段階に分けられる。①影響を及ぼす巨大地震をきちんと想定しているのか(地震想定)、②その地震で原発はどれくらい揺すられるのか(基準地震動Ss の策定)、③揺れによって建物や設備・機器・配管などは壊れないのか(耐震評価)とういう段階で評価されるが、この原発の設計の前提となる原発の耐震性を決めるための基礎は「揺れの大きさ」=「基準地震動・Ss」である。原発ごとに、周辺の活断層などで起こりうる大地震を想定して、地盤の状態を加味し、原発直下の最大の揺れを見積もる。これをもとに原子炉、建屋、配管などの構造や強度を決める。揺れの大きさを加速度で表現する(地震の揺れで単位はガルで、1ガルは1秒ごとに1センチずつ加速することであり、地球上で物が落ちる時の加速度(重力加速度)は980ガル=1Gである。)

 

3 原発の安全性の根幹を揺るがす中部電力の不正

基準地震動は耐震設計の根幹である。プレート境界や活断層から発⽣する揺れを数多くのケースでシミュレーションし、評価に⽤いる代表波を選定して基準地震動を確定し、設計と施⼯を⾏う際の基準をつくる。計算条件の異なる20組の地震動を計算し、それらの平均に最も近い波を代表波として選ぶ。中部電力はその代表波のセットを⼀つではなく、多数作成し、その中から⾃社にとって都合の良いセットのみを抽出した。、2016年の規制委審査会合で敷地近傍の褶曲群をA-17断層として評価し直した。また、2018年の審査会合では、震源断層上端の深さを従来の8キロメートルから5キロメートルへ設定し直すよう求められ、地震動の再計算を迫られた。中部電力は断層モデルの追加や震源設定の厳格化を求められるたびに、耐震補強⼯事や設計変更を行うのではなく、計算⼿法やデータ選定の⼯程を不当に操作することで、基準地震動がそれまでより⼤きくなる事態を避けようとした。

なぜなら、基準地震動をクリアするために耐震補強や設計変更を続けていけば、建設費は何倍にもなるし、原発が全く採算のとれないものであることが明らかとなる。これが『独自の正当化理論』の正体である。社長も会長も、当然、認識していたはずである。報告書は基準地震動の問題について、巧妙に避けている。また、経営トップが認識していたかどうかを曖昧にしている。しかし、原発の補強工事が何倍にもなるということを知らないはずはない。もし知らなかったとすれば、経営者として完全に失格である。

 

4 中部電力の原発設置許可を直ちに剥奪せよ

この期に及んでも、中部電力の林社長は電力需要や脱炭素、エネルギー安全保障の課題を解快するうえでの原発の還義に触れ「決して諦めることなく再申請に向げた取り組みを進める」と語る(日経:2026.9.15)。原発はひとたび事故を起こせば日本国全体に甚⼤な被害を及ぼす。その施設の根本中の根本である耐震設計のデータや事実を偽る者は、原発を運転する資格はない。10年以上にわたる嘘と誤魔化しで地震対策の説明を続けてきた企業に、地球規模のリスクを孕む原発を運⽤する資格はない。国は中部電力の原発設置許可を直ちに剥奪しなければならない。

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