【投稿】トランプの脅迫:イランを「石器時代に逆戻りさせる」

<<「イランの発電所を一つ残らず攻撃する」>>
4/1の夜9時からの、トランプ大統領の演説を聞き、世界はあきれ返る事態となった。なにしろ前日、政治専門誌ポリティコが、トランプ氏が全国民向けの大統領執務室からの演説で、支持率の悪化を背景に、「イランとの1カ月に及ぶ戦争が終結に向かっている、そしてホルムズ海峡封鎖の解決は他国に委ねられていることを宣言する予定だ」と報じていたのであった。トランプ氏自身も、「戦争はもうすぐ終わる」、「我々はすべての軍事目標の達成に向けて順調に進んでいる」、「イランでの任務完了に非常に近づいている」、「ホルムズ海峡は閉鎖されたままでも構わない、最終的には他国が開放すべきだ」とまで発言していたのである。実際に、ウォール・ストリート・ジャーナルの報道によると、トランプ大統領は側近に対し、「ホルムズ海峡がほぼ閉鎖されたままであっても、イランに対する米軍の作戦を終了する用意がある」と述べていたのである。

ところが、トランプ氏は、演説が始まると、多くの人が予想していたもの、トレーダーたちが明確な結論を期待していた「任務完了」という言葉はついに聞かれず、前日の停戦に関する憶測が一転して逆転、原油価格の降下が、急上昇に転じる事態となったのである。

「石器時代に逆戻りさせる」と脅迫したことを受け、原油価格が急騰。

トランプ氏は、明確な方向性を示さない、実は示せないままに、過去の発言を繰り返し、強気な発言や脅迫を、間近に迫った終戦の見通しと混ぜ合わせ、あれこれのごちゃまぜ発言で終始。「停戦」や「任務完了」といった言葉は一切出てこなかったのである。

あげくの果てに、ホルムズ海峡が再開されなければイランを「石器時代に逆戻りさせる」、「今後2~3週間で極めて厳しい攻撃」を仕掛ける、合意に至らなければ「イランの発電所を一つ残らず攻撃する」とまで脅迫したのであった。

今や、トランプ政権が、イスラエルとともに乗り出した対イラン戦争は、「制御不能」の段階に陥ってしまっている、と言えよう。

<<トランプ氏を「見捨てよう」>>
まさにこうしたトランプ氏の発言によって、一時的な期待で下落していた「ブレント原油とWTI原油価格を押し上げた」、「水路が閉鎖されている日ごとに、約1100万バレルの原油が失われ」、「世界的な原油供給不足が、おそらく4月一杯まで続くであろう」とブルームバーグは報じている。

原油価格は1バレル105ドルを再び上回り、原油先物価格は3月だけで51%上昇し、史上最大の月間上昇率を記録。米国のガソリン価格は、1ガロンあたり4ドル、ディーゼル価格は1バレル5.50ドルを超えていたのであるが、石油業界の幹部らは、現物原油価格は先物価格が示唆するよりもさらに高くなる可能性があると警告している。エネルギー集約型産業すべてを脅かす「世界的な供給ショック」がさらに拡大する懸念を現実のものとする事態である。
石油は「アメリカには十分な量があります」と、トランプ氏は豪語しているが、そのアメリカで、米国経済はディーゼル燃料に依存しており、多くの州でディーゼル燃料価格が過去最高値を更新し、過去最大の月間上昇率を記録している。アリゾナ州:+67%、ネバダ州:+58%、ノースカロライナ州:+58%、テネシー州:+56%、ルイジアナ州:+56%、これが現実なのである。

もちろん、このエネルギーショックは燃料だけでなく、アルミニウム、肥料、ヘリウム、半導体などのサプライチェーンにも即刻波及している。
ロンドン金属取引所(LME)のアルミニウム先物価格は、すでに前年比50%上昇しており、価格はさらに大幅に上昇する可能性が高い。

そして当然、ガソリン、ディーゼル燃料、肥料、輸送費の高騰により、エネルギーと食料品の価格が同時に急騰しており、世界的に高いインフレ率への回帰が現実化しようとしている。

緊急石油備蓄の放出などでは、市場の安定化にはほとんど効果がなく、不安定な状況がさらに長期化する事態である。

3/31に、トランプ氏は、自身のソーシャルメディア・TruthSocialに、「イランの首脳部排除に関与することを拒否したイギリスのような国々に、一つ提案があります。ホルムズ海峡へ行き、とにかく石油を奪い取りましょう。自力で戦う方法を学ばなければなりません。アメリカはもうあなた方を助けてはくれません。あなた方が私たちを助けてくれなかったように。」、「さあ、自力で石油を確保しましょう!」と書き込んでいる。
これは、「石油を奪い取る」ことはできなかった。しかし、「我々は勝利した。あとは誰かに後始末を任せよう」という体裁をとりながら、実際には「あなた方が私たちを助けてくれなかった」がゆえに、「我々は負けた。我々にはできない」という告白に他ならない、とも言えよう。

長年トランプ大統領を強力に支持してきた、そしてトランプ氏からも熱烈な支持を受けてきた、ポッドキャストの司会者、アレックス・ジョーンズ氏が、今やトランプ大統領は職務不適格だと断言し、支持者に彼を見捨てるよう呼びかける事態を招いている。(4/1、naturalnews
ジョーンズ氏は、「去年の彼とは別人だ」と述べ、トランプ氏の話し方は認知機能の低下を示していると主張し、「彼は支離滅裂なことを口走るし、脳の調子が良くないように聞こえる」、「トランプ氏のことは悲しむべきだ。これは笑い事ではない。良いことでもない。彼はもういない。それだけのことだ」とまで断言している。ホワイトハウスは、ただちにこれらを

注目を集めるための捏造だと強く否定しているが、ジョーンズ氏は、トランプ氏の側近でさえも不安を抱えており、義務感から忠誠を保っているだけだと示唆し、ヘグセス国防長官と報道官が「パニック状態」にあるとまで名指ししている。

トランプ氏は、実際にはパニック状態に陥っており、途方に暮れている可能性が高い、というのが現実であろう。すでに、次に何をすべきか全く見当がつかない状態の中で、場当たり的に対応し、軍事的にエスカレートすることだけが先行する危険な状態である。この危険なエスカレートを押しとどめる、闘いこそが要請されている。
(生駒 敬)

 

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