<<「米国が取った態度に失望しています」>>
4/12、JD・ヴァンス米副大統領は、「21時間に及ぶ交渉は打開策なく終了した」、「実質的な協議が行われたが、我々は合意に達していません。そしてこれはイランにとって、米国にとってもそれ以上に悪いニュースだと思います」と述べて、パキスタンのイスラマバードからワシントンに向けて出立した。イラン代表団も帰国の途に就いた。
イランのファールス通信(Fars news agency)が交渉チームに近い関係者の話として報じたところによると、「アメリカチームは交渉のテーブルから離れる口実を探していた」とし、「イランには米国と新たな交渉を行う計画はない」と報じている。
イランのアッバス・アラグチ外相によると、「米国が取った態度に失望しています。(イスラエルの)ネタニヤフが会合中にヴァンスに電話をかけたことで、焦点が米国・イラン交渉からイスラエルの利益へと移りました。米国は、戦争で達成できなかったことを交渉のテーブルで達成しようと試みました。私たちは誠意を持ってここに来ましたが、ヴァンスがパキスタンを去る前に開いた記者会見は不要でした。私たちは自国の利益と主権を守るために、決意と準備ができています」、と事態の真相を明らかにしている。
イラン側の代表であるガリバフ国会議長は、記者団に対し、「今後の交渉において、アメリカ側が真の合意を実現し、イラン国民の権利を認める用意があれば、我々からも合意を受け入れる用意がある。」、「我々には善意はあるが、信頼はない」と語っている。
実際に、イラン側は、その代表団の規模と構成からして、「彼らが石を投げつけるために来たわけではない」ことを誠意をもって示しており、初期の様子見のためではなく、3分野に分かれた協議にはそれぞれの専門家も協議に参加、米国との合意に達するために完全な権限と真剣さを持ってそこにいたことが確認されている。
イランのタスニム通信・Tasnim Newsは、以下のように伝えている。
* ボールはアメリカのコートにあり、イランは交渉を急いでいない
* イランは交渉で合理的なイニシアチブと提案を提示した;ボールはアメリカのコートにあり、現実的に問題を検討する必要がある。
* 米国が戦争の計算で失敗したように、交渉の計算でもこれまで誤りを犯してきた。
* イランは急いでおらず、米国が合理的な合意に同意しない限り、ホルムズ海峡の状況に変化はない。
* 現在、次の交渉ラウンドの可能性についての時間や場所は設定されていない。
<<ネタニヤフが、中東に決して平和が訪れない MAIN REASON だ>>
イラン国営テレビは、米国・イラン交渉失敗の理由について、
* 米国は、交渉の場で戦争を通じて達成できなかったことを達成しようとした
* アメリカ側は、イランに濃縮ウランを手渡し、ホルムズ海峡を開放するよう要求したが、イランの主権を認めなかった
* イランは軍事手段によって自国の国家利益を守ることを決定した
と、報じている。
しかし、やはり決定的なのは、イランのアラグチ外相が明かしたように、イスラエルのネタニヤフ首相が米・イラン交渉の最中に、ヴァンスに電話をかけたことで、焦点が米国・イラン交渉からイスラエルの利益へと移ったことにあり、なおかつ、トランプ大統領自身がいまやネタニヤフ氏の代理人としてふるまっている、そこに交渉の「打開策なく終了」した根本原因がある、と言えよう。まさに、ネタニヤフが、中東に決して平和が訪れない MAIN REASON・主たる理由 なのである。
トランプ、ネタニヤフ、両者とも政権維持の危機にさらされ、平和ではなく、戦争が継続されることにこそ彼らの利益を見出しているのである。
そして現実に、ネタニヤフがイランに対する戦争再開のイスラエルの計画を明らかにし、トランプは中東に武器を運び続けている、それが実態なのである。
すでに、米当局者がウォールストリートジャーナル(WSJ)に語ったところによると、米軍ジェット機が続々と中東に到着し、陸軍の精鋭第82空挺師団から1,500~2,000人の兵士が今後数日以内に到着する可能性があり、数千人の海兵隊員と海軍兵士も到着する。USS George H.W. Bush空母打撃群と第11海兵遠征隊が同地域に向かっているが、到着にはおそらく1週間以上かかる見込みだと、WSJが報じている。
しかし、トランプ政権がイランに対する不法・不当な攻撃を再開すれば、これまで以上のさらなる世界市場の「パニック」がより広範に、より鋭く再燃し、トランプ・ネタニヤフ陣営はさらに孤立、追い詰められるリスクが増大するであろう。それは、自滅的でもある。残されているのは、平和的な解決の道しかないのである。
危険で、危惧されるのは、その過程でのエスカレート、そして核リスクの増大である。これは何としても阻止されなければならない。
(生駒 敬)