【翻訳】「中国はオイルショックに準備が出来ていた。」
The New York Times International Edition、April 7, 2026
“ China was ready for oil shock”
Hong Kong
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Beijing has stockpiled fuel and invested in renewables
since Trump’s first term.
[ 北京はすでに、トランプ政権の一期目より燃料を備蓄しており
代替可能エネルギーに投資してきている。]
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by Alexandra Stevenson and Murphy Zhao
「中国はオイルショックに準備が出来ていた。」
中東の戦争によって引き起こされたエネルギーショックは、世界第一位の石油輸入国である中国にとって驚きをもって捕えられている。 しかし、北京は何年もの間、このような危機に対して備えを行ってきているし、大量の石油備蓄を増やしてきている。 加えて代替可能な資源(“renewable sources”) エネルギー、例えば太陽光、風力等を積極的に追い求めてきているので、精製油、ディーゼル油やガソリンへの需要は低下している。そして外国産の原材料への依存度を減少させることで、自国の技術力を高めて工場の生産力アップに繋げている。
中国の支配政党である共産党は、長らく自国産業を国家の安全保障政策の根幹であると見なしてきた。さらにトランプ政権の第一期目以来、その戦略の追及に磨きをかけて拡大してきている。また、地方での産業育成を倍増し、世界における資源の優位性や供給網を強化してきている。
「あなた方中国国民は、トップダウンの産業政策を体験してきている。さらに、ある戦略部門を活性化させる中央政府からのより強い指導をも見てきている。これらは、Western Power によって統治されない為に、国家が強くなることが必要であると中央政府が信じているからである。」と Mr. Heiwai Tang, director of the Asia Global Institute at the University of Hong Kong は述べている。
[ 訳者:この記事に、広大な乾燥地帯に展開された太陽光パネルの写真が載っていて、下記説明あり。]
A vast array of solar panel in Qinghai Province(青海省), China. Aggressive investment in renewable energy has helped China reduce its demand for refined oil, diesel and gasoline.
エネルギーは要である。
10数年前、中国はエンジン車の世界最大のマーケットであった。それが今日では、電気自動車の Top Marketとなっている。 中国はかって外国の石油化学製品(“petrochemicals”) や原材料の最大の購入者で、これらは、プラスチックや金属、ゴム合成品で中国の工場が作り出す製品の重要な構成成分となる石油から作り出されていた。しかし今日では、その大部分は、自国産の石炭を使って、メタノールや合成アンモニア等の化学製品を作っている。これら躍進の為には、政府の計画と投資が不可欠であった。
The Strait of Hormuz (ホルムズ海峡)— 実質的にアジアに向かう石油の全量の通路—は閉じられたままの状態にあって、中国は、これまでのところ、立ち直りが早く大きな影響を受けていないようである。
今では、石油への依存を大きく減らし、多くの車や列車を電気で動かし走らせている。また、石炭— 石油ではなくて— の利用価値を磨いてきた。 この技術は、— ドイツによって育てられ発展して第二次大戦の期間中にドイツ経済を支え耐えてきたのであるが— 北京に対して、自国工場が必要とする原材料を作る石油に代わる代替品を与えている。
石油や他のエネルギー資源の深刻な不足に直面している Vietnam や Philippines は、先月中国に助力を訴えた。「中国は東南アジア諸国と共に、協調、協力を強める準備は出来ている。そして、共にエネルギーの安全保障に対処する。」と外務省のスポークスマンは述べた。
北京は外国産エネルギーと原材料への依存に対処することに、長らく固執してきた。今世紀への変わり目になって、中央官庁は自国に運ばれる石油のもう一つの狭い海峡— the Strait of Malacca (マラッカ海峡) Indonesiaと Malaysia/ Singaporeを隔てる—について懸念を抱いていた。2004年になって、これら問題に対処するために、緊急に石油備蓄設備を作った。最近数カ月の間に、迅速に備蓄量を増やしていた。
1990年代後半に、世界の工場と言われるまでになっていたころ、中国は国内工場が必要とする化学製品を供給する工場を作り上げるために、Dupont, Shell や BASFのような化学会社を必要としていた。最近になって同国の会社は、化学製品を世界市場にたくさん輸出するようになってきている。 例えば、ポリエステルやナイロンの世界生産量の3/4は、made-in-China である。中国は、すでに石油とGas の最大の buyer である。 そして、石油の 3/4 は輸入に頼っている。 他方で、北京は石油の備蓄量を明らかにしていないが、輸入量は2025年は、前年の 4.4 % 増しであった。また、その消費量は、政府によれば、 3.6 % 増であった。
しかし、何十億ドルの補助金が電気自動車メーカーに、何百億ドルが代替可能エネルギー産業に投入された後、国家の努力は報いられている。 精製石油やガソリン、ディーゼルへの需要は、二年連続で低下している。このことより専門家は、中国の Oil & Gas 消費はピークを越えたと予測している。 同時に、石油消費は supply-chainの安定を強化していることもあり、伸びている。
「貸付金を与え、化学技術の養成を大学に奨励して、政府も大々的に投資を行い、中国の産業界はブームを迎えた。」と Mr. Joerg Wuttke—彼は、27年もの間ドイツの化学メーカー:BASFの中国における代表者であった。— は述べている。これらの努力は、習近平主席の下、Trump 政権の第一期目に強化された。さらに「Trump のすることすべてが、さらなる北京の自立を促した。」と。 彼は、今はコンサルタント会社 DGA-Albright Stonebridge Group のパートナーとなっている。
最初の任期において、Trumpは経済や取引の問題で、貿易戦争を始めテクノロジー対決を行って、中国に立ちはだかった。彼の敵対的アプローチは、警報を発し、これを受けて、中国の指導者たちは動き始めた。2019年当時の首相であった Li Keqiang (李 克強)は、輸入石油への依存を減らす努力の一つとして、発電と化学製品製造への石炭の使用を呼び掛けた。それは、石炭使用を減少させてゆくという、重要政策からの逸脱であった。
コロナウイルスによる Pandemic が吹き荒れ、海上交易の分断を引き起こし、米国との緊張が新段階に入った2020年後半までに中国は、この騒乱をいかに乗り切るかの方策の為に、習 首席の考えに帰すると思われる公式ロードマップが出版され、共産党の主導的雑誌である Qiushi (「求真」)に掲載された。その趣旨は、産業界に対し、身を伏せて難局を乗り切るよう呼び掛けるものであった。海外の競争相手より、より早く自立することとサプライチェーンの断絶からの遮断を達成する方策を発展させることを要請された。
「Trump 1.0 は、中国の地政学の基本戦略を変える明らかなる決裂であった。 そして、それは古い恐怖を復活させた。」と Mr. Lauri Myllyvirta, a co-founder of the Center for Research on Energy and Clean Air, an independent research organization, who has tracked China’s growing use of coal to make petrochemicals.
は述べている。さらに「習首席、彼自身がサプライチェーンの回復力について語りかけた。これらの方策すべてによって、石炭由来の化学製品産業のブームが勢いを増すことになる。」と。
政治のトップよりの指示が、この産業の拡大を認め、石油に代わって石炭を使って石化製品を作るプラント建設を可能とした。 2020年には、中国は化成品(chemicals”)の製造に 1.55 億トンの石炭を使い、2024年までに 2.76 億トンを使っている。 2025年までにその数量は 15 % 増えた。この数量は、米国の全石炭消費量 2.3 億トンを凌駕している
中国の当局者は、石炭の使用は、再生可能エネルギーへの依存を高める過程における、一時的な橋渡しであるとしている。 しかし、昨今の石油とガスの不足は、価格を急騰させてきているので、石油の代替としての石炭の使用は、十分に採算が合っていて、貢献している。
例えば窒素肥料を取り上げてみよう。中国は世界供給の 1/3 を生産していて、その 80 % は石炭から作られている。中東で戦争が始まって以来、主要な化学肥料であり窒素肥料の尿素の国際価格は 40 % 以上に急上昇している。他方、中国国内生産は同量を維持していて、価格はその半分以下にとどまっている。
米国/イスラエルの軍がイランと戦火を交える事態— この混乱は各国に動力源を与える資源の世界で最も重要な地域を危険に曝している — の以前にあっても、中国はすでに世界の政治/経済において、影響力ある地位にあった、と Mrs. Johanna Krebs, an analyst at the Mercator Institute of Chinese Studies, a think tank based in Berlin は述べている。続けて「中国は、恐らくこの事態を自給自足 (“self-sufficiency”) の道への励まし/勇気付け (encouragement”) と見なしていることであろう。」
[ 訳:芋森 ]