【投稿】ロシアとの経済関係を本格的に復活し、ロシア産原油の輸入再開を

【投稿】ロシアとの経済関係を本格的に復活し、ロシア産原油の輸入再開を

福井 杉本達也

1 不都合な真実に目を向けない高市政権―ナフサ「年度越えて供給可能」と

「3〜5月の世界の輸出量見通しは23%減った。中東最大のUAEは87%減、サウジは27%減だった。」「ナフサを巡っても、25年の輸入量が世界2位の日本は上位5カ国のなかで減少率が最も大きい。」−ナフサの世界輸出量が減少し、輸入量で世界2位の日本の減少率が最も大きい。行き渡らない主因を「供給量の不足」ではなく、「目詰まり」を挙げることに無理があります- 不都合な真実には目を向けない。悪いことは考えない、というのがいまの政権の特徴だとある経済官庁の幹部は指摘した」「-官邸からは、中間業者が売り惜しみしないように何とかしろとか、しらみつぶしに在庫を調べて放出させろとかその場しのぎの指示しかおりてこない」「-担当者は、中小零細業者を直接支援するような対策が必要だと思っているけど、首相官邸が、目先の物価高対策ばかり気にして、原油不足にどう対応するつもりなのか分からない。」

6月5日付けの日経のコラム「春秋」は「ナフサ足りるか足りないか。政権の公式声明と経済の現場で認識のずれが広がる。防水材料が足りずマンション工事が止まり…戦争中、大本営発表は威勢のいい話を繰り返した。最後は燃糾用に松の根を掘るよう子供まで動員した。今の『大丈夫』は本当に大丈夫?」と書く。

 

2 補助金頼みで正面突破を図る

6月5日、2026年度補正予算が可決、成立した。目玉が「生活の足」を守るというガソリン補助の延長である。ガソリン代の補助は2022年1月、ウクライナ危機に伴い原油価格が高騰したことで始まった。2025年ガソリンの暫定税率廃止で一旦終了したものの、2026年2月のイラン戦争による原油高騰で復活した。これまで累計で9兆円が投じられている。補助金により、日本のガソリン価格はG7では最低水準となる。フランスは380円程度、英国は340円程度だ。相対的に低い米国でも200円前後である。一般会計総額は3兆1135億円で、中東情勢党対応の予備費に2兆5000億円を充てるなどした。財源はすべて赤字国債である。

日経の記事によれば、実質賃金のプラスが続いているのは、政府による物価抑制策の効果が大きい。実質賃金の計算に使う4月の消費者物価指数は1・5%上昇した。ガソリン補助などがエネルギー価格を押し下げ、伸び率は4カ月連続で2%を下回っているからである(日経:2026.6.6)と分析している。逆にいえば、ガソリン補助金というアヘンが切れたとたん、政府は苦しい立場に追い込まれるということである。

 

3 『自分を肉屋だと勘違いして肉屋を応援する豚』

ひろゆきこと西村博之氏は自身のXで、中東情勢の緊迫化に伴うナフサ調達の不安定化を受け、政府や世論の動向を独自の視点で鋭く批判している。ひろゆき氏は「『国民が不安になるから『ナフサ不足』を政府は隠すべき』と言う人達は、豚が『豚肉になることを知らないほうが不安を感じずに豚肉になれる』と言ってる構造と同じ」と持論を展開。さらに「『自分を肉屋だと勘違いして肉屋を応援する豚』が増えたけど、おいらは豚肉になりたくないので正しい情報が欲しい派」と皮肉くった。(サンケイスポーツ:2026.6.2)豚でも「補助金が切れる」という屠場の前まで行けばさすがに反乱する。

 

4 日本はロシアとの経済関係を修復する動き

非常に小さな記事であるが、赤沢克正経済産業相は経産省の荒井勝喜通商政策局長と外務省の石川誠己欧州局審議官がロシアを訪問していると語った。「進出している日本企業の資産を守る観点から意思陳通を図る」と説明した。(日経:2026.5.27)。また、木原官房長官は、ロシアを訪問していた日本代表団が帰国した直後の記者会見で、引き続き「G7(主要7カ国)と協調しながら」対ロ制裁を継続する意向を明確にした。経済産業省や外務省は今後のロシアとの経済協力を全力で否定した。

しかし、これほど国民を愚弄する記者会見はない。どうして、局長や審議官が訪ロしても、経済協力を否定するのか。ロシアとの経済協力を復活しようとする動きである。

 

5 サハリン原油は数日で日本へ

この局長・審議官による、日本・ロシア政府間協議が終了してから数日後、今月2隻目となるサハリン産原油を積んだタンカーが日本へ向かっている。ホルムズ海峡での混乱や中東からの輸入減少を受け、東京が代替供給源を確保する中、VOYAGER号は今週日曜日に鹿児島県のENEOSの喜入基地に到着予定。周知のように、サハリン産原油の輸送は引き続きロシア経済制裁の対象外となっており、定期的な輸送となる可能である。大型の石油・天然ガス開発であるサハリン2は日本企業も参画してきた。日本から地理的に近く、輸送日数も数日程度と短い。。日本は原油の95%を中東に頼り、特にホルムズ海峡以西のペルシャ湾内からの調達が6割を占める。中東依存度が高い日本の調達リスクは顕在化している。日本政府はエネルギーの代替調達先を模索してきた。経済産業省幹部は「あちこちからかき集めないといけない局面だ」と訴える。(日経:2026.5.2)

 

6 ロシア原油を本格的に輸入せよ

日経の6月6日付けで、地政学アナリストのイムラン・ハリド氏は、インド太平洋地域では、単一の海上輸送の動脈に依存する貿易モデルが終わりを迎えつつある。マラッカ海峡やスエズ運河といった要衝が封鎖されても経済が機能不全に陥らないよう、供給網に十分な冗長性を持たせる必要がある。単一の海上輸送の動脈に依存し続ける国々は、自国の安全保障を不安定な地域に委ねることになる。真の安全保障とは代替ルートを持つことであると書いている。

石油国家備蓄はいずれなくなる。ガソリン補助金もいつまでも続くものではない。日本は、最も地理的に近いロシアとの経済関係を本格的に復活させなければならない。ロシア産原油の輸入を復活させなければ日本は終わる。厳しい現実から目をそらす高市内閣に日本の将来を任せていてはならない。

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