【投稿】米・イラン交渉:トランプの恐喝一蹴、前進へ

<<トランプの恐喝:「必要なら徹底的に叩きのめしてやる」
             「クソったれな国に生きて帰ることさえできなくなるぞ」>>
6/21、トランプ大統領は、米・イラン交渉開始の最中に、イランの交渉担当者らに対して、「もしホルムズ海峡が封鎖されたままだとしたら、お前らはクソったれな自国に生きて帰ることさえできないだろう」”You won’t even make it back to your fu*king country.”と伝えたと、米FOXニュースに語っている。
トランプ氏は6/20の夜にイランの交渉担当者らに対して、ホルムズ海峡を封鎖しないよう警告、一方的に激高したあげく、「封鎖すれば、お前たちの国はなくなるぞ」と威嚇、「クソったれな自国に生きて帰ることさえできなくなるだろう」と続けたと、FOXニュースのチーフ Trey Yingst 氏が明らかにしている。
トランプ氏は、「和平合意」について、「うまくいけば、手柄は俺のものだ。うまくいかなければ、JD(ヴァンス副大統領)のせいにするつもりだ」と、半分冗談めかして語った、という。露骨な本音がスケスケである。

また、イランのペゼシュキアン大統領が、イランは「ウラン濃縮の権利」を放棄せず、米国は「それを受け入れざるを得なくなるだろう」と述べたことに対し、トランプ大統領はペゼシュキアン大統領に対し「口を慎み」「態度を改めろ」と警告したと報じられている。さもなければ、米国は「イランの残りの地域を占領する」とこれまた恫喝したと報じられている。

イランの「ヌール・ニュース(Nour News)」によると、スイスに派遣されたイラン代表団は、トランプ氏の威嚇を受けて、一旦は協議の中断を決定し、トランプ大統領の発言が交渉を規定する覚書に違反すると主張し、正式に抗議している。たが、首席交渉官であるモハンマド・ガリバフ氏は、「米国は威嚇的な言動を慎むべきだ」とたしなめ、軍事的威嚇に対しては「イラン軍には応戦の用意がある」と明言すると同時に、米・イラン「和平合意」14項目に関して、「彼らがどれほど言葉を弄しようとも、実際に動くのは我々なのだ」と表明。「彼らは立ち止まって考えないのだろうか。もし彼らの威嚇が効果を上げていたなら、今日のような絶望的な状況には陥っていなかったはずだ、と。我々はアメリカの威嚇など全く意に介さない」と、トランプ氏の恐喝を一蹴している。

そして現実に、トランプ氏の脅しにもかかわらず、イラン外相が和平交渉での「大きな進展」を表明している。アッバス・アラグチ氏によると、「レバノンでの軍事作戦の終結を確実にする」ことを目的とした「紛争回避(デコンフリクション)チーム」の設置の確約を取り付けたことについて、パキスタンとカタールによる「絶え間ない仲裁」の功績を挙げている。
アラグチ外相は以下の点を発表している。
* 石油および石油化学製品の輸出制限が解除された。
* 凍結されていた資産の一部が解放された。
* イランの大規模な復興・開発計画が開始された。

<<イスラエル:裏切者・トランプ>>
当然、イスラエルは激怒している。そもそも、「和平合意」14項目の第1項目は
レバノンでのイスラエルの軍事作戦を念頭に、「あらゆる戦線における軍事作戦の即時かつ恒久的な停止」を宣言しており、それをさらに補強するために、「紛争回避チーム」設置を確約したのである。
その紛争回避委員会の要請に応じることをイスラエルは拒否しており、カッツ国防相は「イスラエルはレバノンの安全保障地帯から撤退しない」、「1インチたりとも」撤退しないと宣言し、現実にレバノン南部への爆撃を続行している。

「和平合意」の覚書はさらに、イランが備蓄する濃縮核物質の処遇を後の交渉に委ねるほか、米海軍による海上封鎖の解除、凍結されたイラン資産の解放、そしてイラン産原油の販売を許可する制裁免除措置、イランへの3,000億ドル規模の「復興・開発基金」の設立、イラン周辺地域からの米軍撤退、そしてあらゆる国際的・一方的な制裁の解除をを盛り込んでいる。

この「和平合意」の覚書(MoU)は、イスラエルの関与なしにまとめられたとされており、今やイスラエルにとって、トランプ政権そのものが攻撃対象となってきている段階である。
トランプ氏の特使であり、臆面もなくシオニストの利益を代弁するスティーブ・ウィトコフ氏と義理の息子ジャレッド・クシュナー氏は、イスラエルのネタニヤフ首相の側近から、「二人のちっぽけなユダヤ人」と酷評され、トランプ氏は「敗北者」と呼ばれ、J.D.ヴァンス副大統領は「クズ」呼ばわりまでされている。トランプ氏の最大の資金提供者の一人である億万長者ミリアム・アデルソン氏が所有するイスラエルの新聞『イスラエル・ハヨム』は、論説記事の中でトランプ氏を「イスラエルを裏切った」と非難している。

こうしたイスラエル側の言動に対して、、ヴァンス氏は「もし私がイスラエル政府の閣僚だったなら、世界中で唯一残された強力な同盟国を攻撃するようなことはしないだろう」と言い返している。しかし、今やイスラエルは、「唯一残された同盟国」にさえ牙をむこうとしているのである。

しかし、問題は、トランプ氏の、イランに対する恐喝発言は、戦争初期にイランの「文明全体」を抹殺し、国全体を「爆破する」と脅迫した、あのジェノサイド発言を彷彿とさせるものであり、まだイスラエルに未練たっぷりの、イスラエルへの同調発言とも言えるものであり、イスラエルとともに、イランを「徹底的に叩きのめしてやる」路線に戻りかねない危険性を明示したことも事実であろう。

(生駒 敬)

 

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