<<午後2時の催涙ガス、そして6時には歓喜の渦へ>>
7/25、インドのヒンドゥスタンタイムズ紙(7・26付け)は、「7/25土曜日の午後、首都デリー中心部の多くの場所で電波妨害装置が作動していたため、ゴキブリ人民党の抗議現場にダルメンドラ・プラダン教育相辞任のニュースが届くのが大幅に遅れたが、いざその知らせが伝わると、即座に歓喜の輪が広がりました。」と報じている。
記事はさらに、「若者から高齢者、男女、そして親子連れに至るまで、抗議参加者たちは踊り出しました。国歌を歌う人、涙を流す人、互いに抱き合って飛び跳ねる人、さらには「インキラブ・ジンダバード(革命万歳)」や「バーラト・マータ・キ・ジェイ(母なるインドに勝利あれ)」と叫ぶ人々の姿が見られました。・・・しかし、参加者たちは、ここに至るまでの道のりは決して平坦ではなかったと口々に語っていました。」と、その様子を伝えている。
試験問題の流出をめぐるゴキブリ人民党(CJP)や幅広い学生の抗議活動を放置してきた、与党・インド人民党(BJP)は、社会的・治安上の影響や、CJPと政府との交渉が行き詰まる中、次期州議会選挙への悪影響がますます広がりかねない、との懸念から、決断を迫られ、プラダン教育相が「道義的責任」を取る形で辞任を申し出たのであった。同氏は「反国家的勢力」が「この状況を悪用する」のを防ぐために辞任を決断したと述べている。
この辞任は、CJPの代表者らが政府当局者と会談した翌日のことであった。会談では、プラダン氏の辞任に加え、教育部門や試験制度の広範な改革といった主要な要求事項について協議が行われていた。辞任発表後、抗議活動の指導者らは当初、他の2つの重要な要求――自殺した学生の遺族への補償、および7月20日の騒乱鎮圧における警察の暴力的な対応に対する措置――を引き続き求めていくと表明している。
<<運動の全国化と、共同闘争の拡大>>
6月初旬以降、ゴキブリ人民党の運動は、ムンバイ、ベンガルール、コルカタ、ゴア、グワーハーティー、ティルヴァナンタプラム、ジャンムー、アーメダバード、プネ、ラクナウ、ナーグプルなど、国内の他の主要都市にも広がり、全国へと拡大すると同時に、共同闘争の輪も広がり、最近では、インドの医学部進学のための全国統一入学試験であるNEET(全国資格・入学試験)の問題流出をめぐる論争が、急速に抗議者たちの団結の焦点として浮上。試験は5月3日に行われたが、事前に「予想問題(リークされた試験問題)」が出回っていたという広範な疑惑や、複数の不正行為に関する告発を受け、国立試験庁(NTA)は10日後に試験の中止を決定。この措置は220万人以上の受験者に影響を及ぼし、その後、6月21日に再試験が実施された。しかし、警察の記録や遺族の証言を引用したインドメディアの報道によると、試験の中止から再試験までの間に、少なくとも11人の学生が自殺したとみられている。
議会内でも、野党コングレス党の一部議員は、逮捕された抗議者への連帯の象徴として、手首に結束バンドを巻きつけ、議会内でデモまで行っている。アーム・アードミ党、サマジワディ党、トリナムール会議、シヴ・セーナー(UBT)などの地域政党は、CJPの要求を公然と支持している。
一方、モディ首相は、プラダン氏の辞任に先立ち、学生に向けて何度かメッセージを発信し、試験問題の流出に関与した者に対して厳正に対処すると約束。国会に「試験問題流出防止法案」を新たに提出すると表明し、さらに「政府はまた、最近のNEET試験問題漏洩事件で自殺した犠牲者の家族には適切な補償を行うこと、そして平和的に抗議活動を行った学生や若者に対して訴訟を起こさないこと」を保証している。さらに7/24には、若き支持者たちが「有益な提案」を共有してくれたことに感謝の意を表する動画まで投稿している。しかし、それでも、Z世代の支持を失う懸念と選挙への影響を考慮し、BJPはダプラダン氏の辞任という決断を迫られたのであった。
事態はまだまだ流動的であり、教育大臣の辞任だけで事が収まるはずもないことは言うまでもない。その教育の面でさえ、首都にある二つの主要な公立大学、デリー大学(DU)とジャワハルラール・ネルー大学(JNU)が、新たに、学生と教員に対し、CJP関連の集会に参加しないよう求める公式通知を出し、「違法な集会」への参加や、学生と大学双方に法的トラブルを引き起こし、将来のキャリアに悪影響を及ぼす可能性のある無責任なソーシャルメディア活動への関与を警告している。このような権力へのおもねりがもたらした問題の本質をまったく理解していないのである。
(生駒 敬)
