【投稿】米・イラン:第2段階の武力衝突へのエスカレート

<<イスラエルに踊らされ、妄想に取り憑かれたトランプ>>
7/9、ウォール・ストリート・ジャーナル紙は、「事情に詳しい関係者によると、イスラエルはトランプ大統領の殺害を狙うイランの新たな計画を示すとする新情報を米国と共有しました。この情報は、ワシントンとイランの間の対立が激化することを示唆するものです。」と報じている。
それはまさに、米・イラン間の第二段階の武力衝突を引き起こすための嘘であり、米・イスラエル先制攻撃で殺害されたイランの最高指導者ハメネイ師の葬儀に乗じて、イランによるトランプ大統領殺害計画の偽情報であった。イスラエルのネタニヤフ首相が望み、夢見ているもの、米・イラン武力衝突の劇的な拡大への橋渡しであった。イスラエル指導部が米・イラン間の停戦協議に関する14項目の覚書(MoU)の合意に強い不満を抱いていることを隠そうともしていないことから、イスラエルはこの偽情報の流布を、エスカレーションさせる好機として、捉え、トランプ氏を焚きつけたのであろう。

冷静な判断能力を持っていれば、イスラエルから発せられる情報はすべて意図的・政治的なものであり、トランプ氏を落とし込む嘘、偽情報だと認識すべきであった。トランプ氏は暗殺説を無視し、そこで発言を止めるべきであった。そして現に、「報復」を叫ぶイラン民衆の声は別として、イラン当局者が、トランプ氏の命を狙うような脅しを公には一切行っていないことは周知の現実である。。
しかし、トランプ氏は、まんまとはまってしまった。トランプ氏は、イスラエルの情報源に基づく「諜報」を根拠に、イランが自分を暗殺しようとしていると激しく非難し、イラン指導部を「クズ」(scum)とまで罵倒する事態となった。

7/10、トランプ氏は、自らのソーシャルメディア・TruthSocial に「1000発のミサイルがロックオンされ、装填済みでイスラム共和国イランに向けられている。イラン政府が、世界中の多くの場所で発した脅威を実行に移し、アメリカ合衆国の現職大統領、つまりこの場合の私を暗殺、または暗殺を試みる場合には、数千発の追加ミサイルがただちに追撃される。命令はすでに下されており、米軍は準備万端で、喜んで、実行可能であり、1年間の期間(延長の可能性あり)で、イランの全領域を完全に壊滅させ、破壊する用意がある – アッラーが万能であらんことを! ドナルド・J・トランプ大統領」と書き込んだ。
まさに、偽情報に踊らされ、「妄想に取り憑かれたトランプ」(A Delusional Trump)である。( Israel feeds misinformation that Iran wants to kill him

<<トランプ「彼らを徹底的に叩きのめした」>>
すでに米軍は、7/7までに、イラン南部全域で80以上の標的を攻撃し、7/8には、米国はさらに内陸部の都市、イランシャフル、チャバハール、バンダルアッバス、そして北東部の鉄道橋を攻撃。何百万人ものイラン国民が故最高指導者の葬儀を行っている最中にもかかわらず攻撃。7/9には、イラン南東部と南西部の多数の標的が戦闘機によって攻撃されている。
7/10、トランプ氏は、米国が7/8、7/9にイランへの攻撃を行ったことを受け、イランとの停戦は「終わった」とみなしているとも述べている。

7/13早朝にかけて、米軍は4夜連続のイランへの爆撃を続行。クウェートやバーレーンの基地から「全面的な」攻撃を開始し、その攻撃はイランの首都テヘランにまで及んでいる、と報じられている。ここに、事態は、6月に締結された覚書(MoU)は事実上停止状態に追いやられ、米軍は過去3夜にわたり300以上の軍事目標を攻撃。今回の攻撃のエスカレートは、名目上の停戦中のどの爆撃よりもはるかに激しく、戦争の再開に等しいエスカレートであり、米軍の対イラン地上作戦の準備とみなされる事態である。トランプ政権がエスカレーションの口実を用意していることが明らかな事態である。

7/13、トランプ氏はNBCの番組『ミート・ザ・プレス』に出演し、7/11土曜日に行われた米軍によるイラン軍への攻撃について、「我々は彼らを徹底的に叩きのめした(bombed the hell out of them)」とうそぶき、「彼らは極めて邪悪で常軌を逸した連中だ」、とまで、それこそ興奮して喚いている。

対してイランは冷静である。7/12、イランは米軍爆撃への報復として、米軍基地を受け入れている5つの湾岸アラブ諸国に向けてミサイルを発射すると同時に、イラン外務省は、メディア「ISNA」を通じて声明を発表し、米国の「野蛮な」攻撃を非難するとともに、湾岸の君主国が自国を「イラン国民に対する違法かつ犯罪的な戦争の舞台」にしていると批判し、警告。
イラン外務省のエスマイル・バガエイ報道官は、イランの行動は正当なものであると主張し、「イランは『攻撃』を行っているわけではない。ペルシャ湾南部に駐留する米軍基地や資産に対するイランの攻撃は、国際法に基づく固有の自衛権の正当かつ合法的な行使にあたる」と述べ、イラクと国境を接する沿岸州であるフーゼスタン州で、少なくとも8つの町が攻撃を受けたことについて、イラン外務省はこれらの攻撃を「戦争犯罪」と非難している。
国営IRIB通信によると、イスラム革命防衛隊はホルムズ閉鎖を発表し、外国の干渉が終わるまでいかなる船舶の通行も許可しないと発表している。

イランは、停戦なしでも和平交渉は継続できるとするトランプ米大統領の主張を拒否し、米国はホルムズ海峡の通過問題の解決と石油輸出の正常化というテヘランの条件を満たさなければならないことを改めて強調している。イラン国会議長のガリバフ氏は、「一方的な合意の時代は終わった」と述べ、米国に対し「約束を守るか、代償を払う」よう促している。

IRGCは、イランの沿岸基地や通信塔への攻撃に対する即時の対応として、同地域内の米国関連施設への報復攻撃を発表。
* ヨルダン:弾道ミサイルがプリンス・ハッサン空軍基地に着弾し、MQ-9ドローン格納庫や指揮統制センターが標的となった
* カタール:アル・ウデイド空軍基地の戦闘機整備拠点および指揮司令部に弾道ミサイルが着弾した
* オマーン:ドゥクム港にある米空母向けの兵站支援センターや給油施設が攻撃された(施設は破壊されたと報告されている)
* クウェート:パトリオット・ミサイル・システム、弾薬庫、レーダー施設がドローンによる攻撃を受けた
* バーレーン:通信システムやレーダー施設がドローンによる攻撃を受けた
* ホルムズ海峡:米国の別の船舶が攻撃を受け、航行不能になったと報じられた

こうした新たな事態の展開は、トランプ氏の言う「彼らを徹底的に叩きのめした」どころか、逆にイランは米国に対して、アメリカのエスカレーションに屈しないことを証明しており、しかも前回よりもはるかに大規模な攻撃・反撃を加えることで、「徹底的に叩きのめされた」はずのイランが、米側のエスカレーションに対応できるばかりか、米軍側が窮地に追いやられる戦況の転換さえ予知させるものである。

今や、軽率で妄想に取りつかれたトランプ政権の終焉こそが、平和的解決への最速・最短の道であること、そしてホルムズ海峡の閉鎖によってあからさまになった、差し迫った世界経済危機の打開にとって、紛争の平和的解決以外に道は残されてはいないことが、全世界に示されていると言えよう。

(生駒 敬)

 

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