<<トランプ:邪悪な人物の爆殺は「正義である」>>
偽りの「核協議」外交の交渉最中に、2/28、突如先制攻撃を開始した米・イスラエル共同作戦は、のっぴきならないエスカレートの罠に陥っている。
避難していたとされていたイランの最高指導者アヤトラ・アリ・ハメネイ師の、空爆による爆殺は、イラン国内はもちろん、全世界から、その無法性、残忍さが糾弾されている。ハメネイ師は執務室で勤務中に爆殺されていたのである。イラン最高国家安全保障会議のアリ・シャムハニ書記とイラン革命防衛隊(IRGC)のモハンマド・パクプール司令官の死亡も確認されている。
ところが、トランプ氏は、自らのソーシャルメディア・Truth Socialに「歴史上最も邪悪な人物の一人であるハメネイ師は死亡した」、「これはイラン国民だけでなく、偉大なアメリカ国民、そして世界中の多くの国々にとっての正義である。」と開き直り、「この国がたった一日で甚大な被害を受け、壊滅状態に陥ったという事実から、集中的かつ激しい爆撃は、今週中、あるいは中東、そして世界全体の平和という我々の目標達成に必要な限り、途切れることなく続けられます。」と、戦争行為のさらなるエスカレートを宣言している異常さである。
ならば、同じ2/28、イラン南部、ホルモズガーン州ミナブ市のシャジャレ・タイエベ学校へのミサイル攻撃も「正義」なのか。ここでは、出席していた170人の生徒のうち、女子生徒100人以上が空爆で殺害されている。死者の大半は7歳から12歳の女子生徒であった。イランのタスニム通信は、ミナブ司法当局の発表として、死者数は108人に上ったと報じている。
イラン国営テレビは、最高指導者の死去に加え、娘、婿、孫、そして義理の娘の死も確認、公式声明は、「イスラム革命の最高指導者アヤトラ・アリ・ハメネイ師は、犯罪国家アメリカとシオニスト政権による合同攻撃で死亡した」と述べ、イラン政府は40日間の国民服喪を宣言し、政府機関の7日間の閉鎖を明らかにした。
マスード・ペゼシュキアン大統領府は声明で、「この大罪は決して報いを受けずに済むことはなく、世界の歴史に新たな一章を刻むことになるだろう。我々は全力で、この大罪の加害者と指揮官たちに、自らの行為を後悔させるだろう」と述べている。
イランの報道によると、アヤトラ・アリレザ・アラフィー氏が、イラン暫定指導者評議会の法務委員に任命され、正式な後継者を選出するまで、最高指導者としての職務を担うことが明らかにされている。イランの最高国家安全保障会議は、「最高指導者アリー・ハメネイ師の殉教は、世界の暴君に対する大反乱の起点となるだろう」と述べ、イランの政治体制は即時の継承を可能にすると述べ、「指導者の暗殺はこの戦いの進展に全く影響を与えない」と述べている。
<<「戦争と平和は一人の人間に委ねることはできない ― 特にこの男には」>>
イランは、トランプ氏の言う「壊滅状態」どころか、米国とイスラエルに対する「イラン史上最も苛烈な攻撃作戦」が始まると発表している。標的には、地域内の27の米軍基地、イスラエルのテルノフ基地、イスラエル国防軍司令部、テルアビブの防衛施設が含まれている。
イラン外相アラグチ氏は、「我々はペルシャ湾にいる兄弟たちを攻撃しているのではない。隣国を攻撃しているのでもない。」「我々はアメリカの標的を攻撃している。」のだ、と述べている。
イラン軍の将軍、サルダール・ジャバリ氏は、これまでに発射されたミサイルは古いもので、「まもなくあなた方がこれまで見たことのない兵器を公開する」と主張している。
そして現実に、
イランは、ホルムズ海峡付近で米空母エイブラハム・リンカーンを弾道ミサイル4発で攻撃し、タンカースカイライトを攻撃したと発表。イランの革命防衛隊(IRGC)は声明で、「米空母エイブラハム・リンカーンは4発の弾道ミサイルによる攻撃を受けた」、「陸と海はますますテロ攻撃者の墓場となるだろう」と警告している。IRGCは、「占領地域や米軍基地で鳴る警報を黙らせない」、「これまでとは異なる、困難な報復措置」を実行すると述べている。
米国は「リンカーンは被弾していない」としているが、イランが超音速ミサイルを使って米空母を攻撃した場合、米国にはこれらのミサイルを阻止する手段がなく、空母が沈没すれば乗組員約6000人と戦闘機約100機が命を落とすことになる可能性さえ浮上している。
さらに、3/1、IRGCは声明で、「敵の海軍目標への攻撃の継続として、ペルシャ湾とホルムズ海峡で、違反行為を行った米英のタンカー3隻がミサイル攻撃を受け、現在炎上している」と発表、ホルムズ海峡は事実上封鎖される事態へと進展。
ホルムズ海峡は世界の石油供給量の20%が通過する、世界最大の石油の要衝である。このルートを通る石油は1日あたり約2,000万バレルにも達している。このルートが混乱し続けると、影響は急速に広がり、政治的・経済的に最悪の事態を招きかねないのである。列挙すれば、
* 石油価格を1バレルあたり100~120ドルに押し上げる可能性。
航空会社、物流企業、製造業者はすべて燃料費の上昇に直面する。
* Forbes 分析によると、部分的な混乱でさえ、原油価格は100ドルを超える可能性があり、インド、中国、韓国と日本への影響はとりわけ甚大となる。
* 世界最大のLNG輸出国の一つカタールのLNGの輸送が封鎖さ
れれば、欧州とアジアはガス供給の逼迫に直面する。
* 船舶ルートはアフリカ周りに迂回され、配送に10~14日分のしかかり、燃料費の上昇、輸送料金の上昇が必至となる。
* 戦争リスク保険のコストはすでに、約50%上昇、大型船舶の場合、1回の航海あたり数十万ドルの追加コスト負担が必至、エネルギー供給、貿易ルート、インフレ圧力が急速に高まる。
* 波及効果はそれだけにとどまらない。すでに不安定化しているバブ・エル・マンデブ海峡とスエズ運河も、さらなる混乱に直面する可能性があり、これらのルートを毎日880万~920万バレルの原油と41億立方フィートの液化天然ガスが通過している。戦火の拡大によって、これらの運河も同時に封鎖されれば、供給ショックは飛躍的に拡大する可能性が大である。
すでに、原油先物がほぼ10%上昇、先物取引開始時には最大13%上昇している。
3/1付けニューヨーク・タイム紙は、「戦争と平和は一人の人間に委ねることはできない ― 特にこの男には」(War and Peace Cannot Be Left to One Man — Especially Not This Man)と題して、「トランプ大統領が一方的に戦争を開始し、議会の意見を聞こうとしないことで、世界的な大惨事を招いている」と主張し、「彼は議会に訴えることも、国連安全保障理事会の決議を得ることもしなかった。その代わりに、君主制の二期目において、おそらく最も君主的な行動をとった。つまり、アメリカに戦争を命じたのだ。」「我が国は、指導者が議会の過半数を説得して戦争が国益にかなうと認めない限り、戦争に突入することはできない。……トランプ氏が何を考えているにせよ、彼は王ではない。しかし、アメリカを独断で戦争に持ち込むことで、まるで王のように振る舞っているのだ」と糾弾している。
3/2、「対イラン戦争ストップ」を掲げる、草の根組織の連合は、トランプ政権によるイラン攻撃に反対するため、全米の多くの都市で緊急抗議活動を提起、全米各地で抗議行動が展開されている。この連合には、ANSWER連合、全米イラン系アメリカ人評議会、50501、パレスチナのためのアメリカ・ムスリム、ピープルズ・フォーラム、パレスチナ青年運動、そしてCODEPINKなどが結集し、運動の拡大に取り組んでいる。
トランプ政権を徹底的に孤立させ、包囲する闘いの重要性があらためて確認される事態である。
(生駒 敬)
