【コラム】ひとりごと—民進党代表選挙に思う—

【コラム】ひとりごと—民進党代表選挙に思う—  

 9月15日民進党代表選挙が行われた。代表選挙には、蓮舫参議院議員、前原衆議院議員、、玉木衆議院議員の3候補が立候補し選挙戦となった。事前予想通り蓮舫氏が第1回投票で過半数を獲得し臨時党大会で代表に選出された。党員・サポーター票では過半数票を獲得、地方議員枠・国会議員枠でも過半数を獲得している。唯一、次期選挙に立候補予定の「公認予定候補者」枠では、前原候補が蓮舫候補に肉薄することとなった。
 初めての女性代表であり人気も高い蓮舫代表が誕生したので「民進党の前途は明るいか」というとそんな簡単な話ではない。
 今回の代表選挙における党員・サポーターの投票率は40.89%。23万人とカウントされている総数に対して、9万6千人が投票したに過ぎない。かつては50万人はいたと記憶しているサポーターが減少し、さらにこの低投票率が示しているのは、蓮舫優勢の情勢があったにせよ党内の関心の低さであり、代表が変わっても変わらない民進党の現状・体質を表していると言える。
 さらに、私も含めて失望感を強くしたのが、野田幹事長の就任であろう。もともと野田と蓮舫代表は、同じグループである。野田は消費税増税路線を「堅持」しているし、蓮舫代表も民主党政権時代の「事業仕分け」で有名となった。消費増税を前提に行政改革を徹底して行政の無駄をなくす、という路線で共通している。代表・幹事長ともに、この緊縮・増税路線で、果たして安倍政権とどう対決していくというのだろうか。
 蓮舫代表は、代表就任挨拶で「巨大与党に対しては、批判ではなく私たちの提案力、創造、国のあり方を持って、しっかりと戦って、選択していただける政党に」していくと、新世代の民進党をアピールした。「批判ではなく提案」は聞えは良いが、対決姿勢という意味では、少々力に欠ける。「増税と行政改革」のイメージからの脱却こそが民進党に求められているのではないか。党名をも変えた以上、旧政権イメージを払しょくすることが必要だと思うのだが。
 もう一つのテーマは、野党共闘をめぐる代表の姿勢である。代表選挙の中では「野党共闘」の在り方をめぐっては、候補3人に余り差はなく、積極的推進を訴える発言もなかったように思う。共産党にすり寄ると見られることを避けていたと思われるが、見直すという明確な言葉もなかった。総選挙ともなれば共産票が喉から手が出るほしい候補はたくさんいるという状況の中、一応野党共闘の追及は行われると思われるが、要は、民進党が積極的に推進するか否かである。
 次の総選挙を想定した場合、当然政権選択選挙であり、自公政権に代わる政権構想が求められる。政権構想までいかなくとも選挙協定で調整し、野党共闘を推進することが確実に求められていると考える。次期総選挙で、7月議院選挙と同様の野党共闘が実現すれば、自公勢力が大幅に議席を失うことは確実である。自公政権こそ「野党共闘」を恐れており、分断を執拗に追及している。共産党と政権を組むのは無責任だ、などの攻撃である。改憲反対、安保法制の廃止、脱原発に加えて、非正規労働の根絶や社会保障の拡充の課題で、統一政策をまとめることは十分に可能であり、その政策を軸とした政権構想は可能と考える。10月末の2補選を野党勝利で乗り切り、野党共闘の在り方についての議論を進める必要があろう。
 代表の国籍問題も選挙中マスコミが大きく取り上げかけたことに注意が必要であろう。ハーフであること自体を右翼は問題にするだろうと予想はできた。イメージダウンを狙ったマスコミリークが発端だったが、案外与党側は冷静だったように思う。台湾籍問題だったこと、台湾が非常に親日派であることなども要因と思われる。しかし、国籍と選挙権問題には、未解決の課題も存在する中、攻撃に対しては受け身ではなく、在日外国人の選挙権問題などに積極的に対応する姿勢こそ求められていると感じる。(2016-09-19佐野)

【出典】 アサート No.466 2016年9月24日

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