【投稿】トランプ米大統領:一晩に「陰謀論」投稿、数百回

<<「一体何が起こっているんだ?」>>
12/1、トランプ大統領は月曜日の夜、自らのソーシャルメディア・Truth Socialに、一夜にして1時間に「数百」回、「10秒ごとに新しい投稿を1時間も続け、合計約400件の投稿があった」という。常軌を逸した、通常では考えられない異常さである。

CNNのエグゼクティブ・プロデューサー、ヴォーン・スターリング氏は「昨夜は一体何が起こっていたんだ?」と疑問を呈している

しかもその投稿の大部分は、「陰謀論」で占められており、「ミシェル・オバマが『バイデンのオートペンを操っていた』とか、バイデンの大統領令は実際にはミシェル・オバマによって発令されていた」、オバマ大統領の毎週の『殺害リスト』といった、何の裏付けもない、実証しようとさえする気のない、得手勝手な主張を矢継ぎ早に連射しているのであった。挙句の果てに、「バラク・オバマが軍事法廷にかけられることを保証する」と宣言する投稿までしている。

 さらには、ベネズエラのニコラス・マドゥロ大統領がトランプ氏に屈服し、トランプ氏がベネズエラを支配していると主張するAIビデオまで投稿、おまけに、マドゥロ氏は「ジョー・バイデン前大統領が彼らのカルテルのリーダーだと自白したことを認めた」とまで主張。さらに、カナダが不正選挙に関与していたという投稿までしている。2020年大統領選挙に関する嘘、翌年、自らが煽り立てた1月6日の議会突入占拠事件を、民主党下院議長ペロシ氏のせいにする、民主党を扇動者呼ばわりする、イルハン・オマル氏、ティム・ウォルツ氏への怒りなど、

要するにトランプ氏の気に入らない人々に片っ端から当たり散らし、自らの被害妄想に基づいた「陰謀論」を、立て続けに投稿したのであった。完全な精神異常状態をさらけ出したものと言えよう。

トランプ氏の、追い詰められた精神状態がもたらしたものとはいえ、これらは、まだほんの一部であり、「明らかに精神的に衰弱しかけており、頭に浮かんだことを何でも投稿していた。今後さらに悪化するだろう」と指摘される事態の進行である。

<<「トランプ氏の完全な失敗」>>
こうしたトランプ氏の異常な事態の進行は、彼に追従し、付き従うことしかできない取り巻きを除いては、かつてないほど孤立していることの反映にほかならない。

 そして今や、これまでのトランプ支持者自身からさえ孤立しつつある。
アトランティック誌のジョナサン・レミア氏によると、縮小する支持基盤の支持を集める代わりに、トランプ氏は「海外旅行、個人クラブでのゴルフ、裕福な友人、ビジネスリーダー、大口献金者との会食」を選んでいるという。「集会以外では、トランプ大統領は就任1年目と比べて、演説、公のイベント、国内旅行を大幅に削減している」。「そして、有権者との定期的な接触の欠如は、共和党員とホワイトハウスの支持者たちの間で、トランプ氏が孤立しすぎていて、国民が大統領に何を求めているのか分からなくなっているのではないかという懸念を強めている」、さらに、「トランプ氏の鈍感さは、彼の側近たちをも動揺させ始めている」と指摘している。

ガーディアン紙のモイラ・ドネガン記者は、共和党への影響力が低下するにつれ、「トランプ大統領の権力の衰退は無視できなくなっている」、「政府閉鎖の間、彼はマール・アー・ラーゴでギャツビー・パーティーを開いている。ほとんどの時間を舞踏室の建設に費やしているようだ。それに、イースト・ウィングの破壊は、一部の人が予想していなかった象徴的な打撃を与えたかもしれない」、「トランプ大統領はある程度の個人的な衰退に陥っているように思われ、その衰退は無視できなくなっている」とも指摘している。

12/2、深夜の「Truth Social」での異常な投稿の連発の直後、トランプ大統領は火曜日にテレビ中継された閣議を招集。冒頭、まずはバイデン前大統領を攻撃し、自らのホワイトハウス復帰以来、アメリカ経済は急成長を遂げていると、またもや大嘘を繰り返し主張、「電気料金が下がっている」と、現実とかけ離れた虚をつき、「有権者のコスト上昇に対する懸念は、すべて彼らの空想に過ぎない」と、インフレを「空想」だと言い募り、「『手頃な価格』という言葉は民主党の詐欺だ」と断言、「彼らはそう言って、次の話題に移り、皆『ああ、物価が安かったんだ』と思うんです。いいですか、住宅価格の高騰という問題は、民主党が仕掛けた作り話です。民主党が価格問題を引き起こしたのです。」と開き直っている。

 12/3、シルビア・ガルシア下院議員(テキサス州選出、民主党)は、「トランプは「手頃な価格は民主党の詐欺だ」と言う。億万長者で、食料品と電気代のどちらかを選ばなければならなかったことがない人には、簡単に言えることだ。テキサスの労働者家庭は、本当の詐欺が彼の関税、彼の保険料の高騰、そして住宅危機に対処したり、実際に価格を下げるためのいかなる計画も提供しない彼の完全な失敗であることを知っている。」と、手厳しく批判している。

トランプ氏は、今や窮地に追い込まれつつある、と言えよう。追い詰められた政権が危険な賭けに打って出ることを、封じ込める政策、闘いの戦略が要請されている。
(生駒 敬)

 

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