<<トランプのドタバタ:対イラン戦「まもなく終結」>>
3/10、トランプ大統領は、イランへの攻撃は「間もなく」終了する、ただし、今週中に終結することはないと発言。しかし、そのわずか数分後、フロリダ州ドラルでの記者会見で、イランが世界の石油供給を妨害しようとすれば攻撃を強化すると警告し、中東情勢が悪化する可能性があると発言。さらに、イランが「完全かつ決定的に敗北」するまで戦争は続くと述べている。
記者が、「あなたはこれを「短期の遠足」“short-term excursion.”だと呼びました。すぐに終わるだろうと言いました。今週中に終わると思っているのですか?」と質問すると、「いいえ、でもまもなくです。」と答えている。
まさに、ドタバタである。この右往左往のトランプ氏の発言に振り回されて、市場はジェットコースターのような動きを見せ、原油価格は急騰し、株式市場は急落したが、その後反転、さらにトランプ大統領とロシアのプーチン大統領との電話会談が「非常に有意義」であった、ロシアのエネルギーに対する制裁緩和の可能性に関する報道を受けて、市場は再び混乱に見舞われている。
そもそも、トランプ氏、ならびに閣僚の発言は、違法な対イラン先制攻撃開始以来、目まぐるしく変遷し、追い込まれ、後退に後退を重ねている。「すぐに終わる」どころか、「9月まで戦争を続ける」計画を立てざるを得なくなっていたのである。
その経緯は以下の通りである。
* 2月28日、トランプ大統領はAxiosに対し、イランとの戦争は「2、3日」で終結する可能性があると発言。
* 3月1日、トランプ氏はビデオメッセージを発表し、戦争は「4週間以内」で終わると述べた。
* 3月2日、トランプ氏は、戦争は「4~5週間と予測されている」と述べ、米軍は「それよりもはるかに長く続く能力」を持っていると付け加えた。
* 3月4日、ピート・ヘグゼス陸軍長官は記者団に対し、「4週間と言うことはできるが、6週間かもしれないし、8週間かもしれない」と述べた。
* 3月6日、ポリティコは国防総省が9月まで戦争を続ける計画を立てていると報じた。
* 3月9日、CBS報道によると、トランプ大統領はホルムズ海峡の制圧を検討している。( Strait of Hormuz → Strait of America )
<<「その夢は墓場まで持っていくべきだ」>>
この3/10の記者会見は、2月28日に攻撃を開始して以来初の公式記者会見で、トランプ氏は、記者団に対し、イランはもはや海軍、空軍、対空兵器を保有していない、「全てが吹き飛ばされた」、「彼らにはレーダーも通信手段もなく、指導力も存在しない」、だから対イラン戦は「すぐに終わるだろう」と発言したのであるが、共和党議員に向けた演説では、「我々は既に多くの点で勝利を収めてきたが、まだ十分ではない」と付け加えた。
ところが、戦争の実態は、
9日目: イラン戦争はより広範囲かつ長期化
― イランの新たな強硬路線の指導者
― 新リーダーが「新たな段階」を約束
― イランによる過去24時間のドローン攻撃は130機以上
― 米軍は「限定的」な地上部隊を語る
― バーレーンの淡水化施設が打撃を受ける
― 原油価格102ドル、4年ぶりの高値
― アメリカ人は不支持、59%対41%
― ロシアはイランに情報を集中させている
対するイランは、3/9、米国との長期戦に備えており、経済的な痛みだけが終結をもたらすだろうと高官がCNNに語っている。
イランの最高指導者室の外交政策顧問であるカマル・ハラジ氏は「もはや外交の余地はないと思う。ドナルド・トランプ氏は他者を欺き、約束を守らなかった。我々は2度の交渉でこれを経験した。交渉の最中に攻撃を受けたのだ」と述べ、「他国が介入して米国とイスラエルによるイラン侵略の終結を保証するほどの経済的圧力がない限り、介入の余地はない」、「この戦争は、インフレやエネルギー不足といった形で、他国に多大な圧力、つまり経済的圧力をかけてきた。もし戦争が続けば、この圧力はさらに高まり、他国は介入
せざるを得なくなるだろう」と述べている。
そして、たび重なる米・イスラエルの背信的な先制攻撃の経験から、実際のイランの軍事力は質的・量的に強化され、イスラエルの防衛迎撃ミサイルの枯渇、数十億ドル規模のアメリカのレーダーシステムの破壊、そして綿密な準備によって支えられおり、イラン側は新型ミサイルも保有、適切なタイミングで使用することを明言しており、長期戦に耐えうる膨大なミサイル備蓄を保有しているのである。
現実に、3/9の時点で、イラン側からの反撃、弾道ミサイル「数十発」の攻撃を受けて、中東の米軍基地は軒並み攻撃を受け、イスラエルのテルアビブは完全に停電し、イスラエル最北
端のハイファ港は全焼、ハイファの製油所も全焼したと報じられている。
イランのペゼキュシアン大統領は、イランの降伏を期待する者は「その夢は墓場まで持っていくべきだ」と、トランプ氏に突き付けている。
トランプ氏の「まもなく終結」と、その右往左往は、土壇場のあがきだとも言えよう。一刻も早く戦争終結に追い込む、平和のための闘いが要請されている。
(生駒 敬)
